November 24, 2024

Daily Oregraph: 枯れたベニイタドリと昔のレンズ

 本日の最高気温は5.4度。晴れ。

 今年最後のササ刈りと落ち葉拾いをした。ササも落ち葉もまだ残っているけれど、きりがないからこれでおしまい。

 さていつも悪くいっているベニイタドリだが、枯れ果てた姿を見ると案外絵になるようだ。いやなやつでもここまで老いてしまえば、なんとなく同情が湧いてくるものである。

 そこでふと思い立って、ずいぶん以前に買ったまま眠らせてあるレンズ(Ai Nikkor 50mm f/1.2)を引っぱり出して撮ってみた。

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 F1.2という恐ろしい明るさのこのレンズは、写真を見てのとおりザワザワとしたボケが特徴で、ちょっと描写にクセがある。50mm 標準レンズの割にはごつくて重い(調べてみたらまだ需要はあるらしく、現役の商品である)。
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 今となってはどうしてこいつを買ったのかさっぱり思い出せないが、入手して間もなくカメラがデジタル化し、ぼくのカメラ(Nikon D200)だと画角が素人のふだん使いには難しい 75mm 相当になってしまうため、戸棚にしまいこんでしまった。その代りに35mm F2 (これだと 52.5mm相当)を標準レンズとして使っていたのである。

 ぼくの腕前では接近して絞り開放で撮るのは至難のわざなので、ベニイタドリの写真はF2 で撮影した。それでも手持ちでこの距離にピントを合わせてシャッターを切るのは難しい。ピクリとでも動いたら、たちまちピンぼけになってしまう。何枚か撮ったうちから一枚選んだけれど、ピントはまだ甘いかもしれない(ご参考までに、うっかり ISO400 にしたまま撮ったので、シャッター速度は 8,000分の1秒)。

 一眼レフは野暮なのでもう何年も外に持ち出していないのだが、せっかく昔のレンズを取りつけたのだから、こいつで町歩きでもしてみようかと思っている。75mm 相当というのはつらいけれど、ブログのネタ探しにもなるし運動にもなる。それに……なにごとも修行である。

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May 29, 2020

Daily Oregraph: 2014年 京都の雨傘

 たまにはカメラの話題でも……といっても、高級カメラの話じゃない。昔でいえばライカを買って毎日磨くような趣味はないし、なにを使っても下手は下手、分相応の普及品をぶら下げて歩くのが、日本の下級ジジイのあるべき姿だと信じているのである。

 別に昔の写真を持ち出してごまかそうというわけではないが、ふと思い立って雨の写真を探してみた。予想どおり非常に少ない。傘がきらいな男なので、用事か約束でもなければ雨降りの日にはめったに外出しないから、まあ当然といえば当然である。

 退屈だろうから3点だけ。いずれもコントラストを思い切って強めに調整してみた。まずい出来だけれど、こうして見直すと、十年前からだんだん一眼レフ離れしていった様子がわかっておもしろい。

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 まず2010年2月15日。東京である。RICOH CX2 使用。たしか永田町付近だったと思う。ちょっとピンぼけだけど、ポケットにカメラを入れてあるから、傘をさしたおねえさんを写せるわけだ。この時もぼくは傘をさしていない。しかし傘をさした人、特におねえさんを撮るのは好きなのであります。

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 これも同日夜。これは新橋だね。やはりCX2。今どきの高級カメラはずいぶん夜に強いらしいが、ぼくなんかはこれだけ写れば十分だ。

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 こちらは2014年10月22日、京都。OLYMPUS TG-820 使用。こいつは現場用として買った防水・防塵カメラで、見た目も冴えないし、だれもほめなかったけれど(笑)、オリンパスの隠れた名機であった(後継機よりもいい)。バスの窓越しに撮った一枚だが、このしっとりとして渋い色調をごらんいただきたい。京都にぴったりのカメラだったと思う。

 経験上この種のコンパクトデジカメの寿命は大体5年程度で、CX2 も TG-820 もすでに故障してしまったから、現在は別の機種を使っている。古いデジタル一眼レフも持ってはいるけれど、めったに使っていない。古くたって頑丈だから完動するし、画質は圧倒的にいいんだけど、あまりにもじゃまくさく、野暮ったいから、持ち出す気にはなれないのである。カメラ界の戦艦大和だよね。

 もはや旅行はコンデジで決まりである。それも高級品はいらない。最近ではスマホの写真でも画質は十分だと思うけれど、ぼくはあの撮影スタイルがどうしても気に入らないのである。しかしそれはジジイが保守的なせいであって、スマホでもどんどん撮ったほうがいい。

 雨の日でも部屋にこもっていないで、雨傘を撮りに出かけようかな。

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April 07, 2017

Daily Oregraph: 流氷消ゆ

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 千代ノ浦の流氷はウソのように消えてしまった。昨夜の雨のせいだろうか、道路脇に点々と残っていた雪もまた……

 しかし五月の初めまでは雪の降る可能性があるから油断できない。女心と春の空である(ちがったっけ?)。

 しばらく中断していた英単語帳の作業を再開。現在10,165項目である。目標としては15,000項目程度。

 京都シリーズ本編は明日以降。しばらく時間を持て余すことはなさそうだ。ありがたや、ありがたや。

 なおここで今回の旅行で使用した CASIO のコンパクトデジカメ ZR-3000 についてメモしておくと、

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背面の SET ボタン外周のリングを左右に回すことによって、簡単に露出補正できる。ところが便利と不便はしばしば共存するものらしく、このリングが軽く回転するために、知らぬ間に体に触れて補正値が変ってしまうのである。

 これには弱った。常用-1/3 なのに、+0.7 になっていたりするのである。そのためレタッチしきれない写真が多かった。もっとひんぱんにチェックすべきであった、と反省している。

 もう一つ、これまで使用して感じたのは、いわゆる色収差が目立つことだ。だから暗い部分と明るい部分が同居する場合、それぞれの色合いがかなりちがってしまうのは残念。

 しかしそれ以外には大きな不満はない。それどころか、電池の持ちのよさは特筆もので、200枚以上撮影してもビクともしないからありがたい。電池の目盛りがひとつ減ってからのねばりも驚異的で、まさに旅行用カメラとしてはうってつけだと思う。

 いくら画質がよくたって、もはやじゃまくさい一眼レフを旅行に持ち歩く気にはなれない。豪邸よりも方丈の庵、みたいな心境である(笑)。

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June 30, 2016

Daily Oregraph: ちょっとピンぼけ

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 本日の船上セキュリティ・チェックポイント。今朝の担当者はたいへん真面目そうな青年であった。

 この写真は……ピンぼけじゃない。

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 二層になっている船艙の下層にもぐった。ほとんど漆黒の闇である。足元がおぼつかないから、ときどき匍匐しながら前進する。洗い立ての作業着がいっぺんに汚れて、色男が台なしになってしまった。

 かなりの枚数を撮ったのだが、一枚もピントが合わない。合焦マークが点灯しないのである。ヘッドランプにレンズを向けてもまるでダメ。だからコンパクトデジカメはなあ……と、あきらめてはいけない。

 もちろんストロボを発光させて、強引にシャッターを切ってみたら、どれもそこそこ見られる程度に写っているのにはビックリ。被写界深度の深いコンパクトデジカメならではのよさだろうと感心した。

 どの写真にも、いわゆるオーブが写りこんでいる。この浮遊霊(笑)の正体はホコリか粉と相場が決まっているんだから、早とちりは禁物である。

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April 06, 2016

Daily Oregraph: 白黒散歩

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 今日の定点撮影。

 本日も白黒モードにセットして、いつものコースを散歩。レンズ交換は面倒くさいので、カメラとレンズは別のセットである(Nikon D80 + Tamron SP AF 28-75mm F2.8 XR Di)。

 このカメラは D200 とは大ちがいで、 Nikon の製品にしてはクセが強く、使いこなしがひどくむずかしい。案外白黒のほうが向いているんじゃないかと思う。

 ぼくらの年だと白黒写真があたりまえという時代を経験しているから、色彩がなくともまったく抵抗を感じない。

 映像から色彩を取り除くと、残るのは光と影だけである。だからえらい写真家の先生は、白黒では特に光と影を意識せよとおっしゃる。実際名人の手にかかると、まったく色彩がないのに、たとえば女性の色気が見事に表現されていたりするから、へへ~と恐れ入るしかない。

 しかし芸術家などという人種は百人のうちせいぜい数人にすぎないから、その他大勢のぼくら一般市民は、光も影もおかまいなしに、真っ赤なバラから青い海までバシバシ白黒で撮っていた。

 そんな昔を思い出して、気楽に白黒写真を撮るのも悪くはないだろう。

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 フキノトウがボコボコと生えている。

 フキノトウの淡い緑が目に浮かんだあなたには、認知症の心配はないだろう。これも白黒の効用のひとつである。
 
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 知人の浜では漁師さんが昆布を採っていた。こういう景色が寒々しく見えない季節になったのだ。

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 ご存じ、知人の眠り猫。こいつにはそもそもカラーは必要ない(笑)。

 しばらくの間、その日の気分によってカラーと白黒を撮りわけてみようと思っている。

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March 20, 2016

Daily Oregraph: カシオ EX-ZR3000 を使う (7) HDR散歩編

 最終回は散歩しながら HDR(ハイダイナミックレンジ)撮影を試してみようという趣向である。

 その前に前回触れたライティング機能の効果について確認し、常時「入」 にすべきか 「切」 にすべきか決着をつけようと思う。

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 どちらも露出補正は±0。

 一見あっと驚くほどの効果はなさそうだが……岩波古語辞典や右端の辞書の背を見れば明るさのちがいはよくわかると思う。また『春採湖』の背などはずいぶん印象が異なると思う。

 肉眼で見た実物と比較してどっちに軍配が上がるかといえば、『春採湖』の背を基準にすると、ライティング「切」。「入」よりも明らかに見た目に近い。また「入」のほうは右端の辞書の背の金文字が不自然に光りすぎている。実際にはかなりくすんで見えるから、その点では「切」のほうも若干ながら派手目。

 テストの結果、ぼくはライティング「切」を選んだのだが、どんなカメラやレンズを使ったって、どうせ見た目どおりには写らないのだから、効果も極端ではないし、好みで選択してもいいような気がする。

 というわけで、ライティング効果をオフにして、散歩に出かけよう。すべて露出補正は -1/3、縮小+軽めのアンシャープマスク処理のみ。

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 定点撮影その一。ここはこう写るよなあ、と思ったとおりに写る。いくらなんでも地面はこんなに暗くはない。しかしとんでもない露出とまではいえず、これもありかとは思う。

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 HDRとは「露出の異なる複数の画像を連写して合成することで、明暗差の大きい被写体でも白とびや黒つぶれのない写真」を撮影する機能と説明されている。三つのレベルからレベル1 を選択している。

 これは効果ありすぎ(笑)。このシーンでは一つ上の写真をほんのちょっとレタッチしたほうが自然だろう。

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 定点撮影その二。

 ここも二枚撮影したのだが、どちらも大きな差はなかったので、よさそうに見えるほうを選んだ。たしか HDR を効かせたほうだと思うが、記憶は定かではない。シーンによって効果はかなりちがうらしい。

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 強烈な光線下にもかかわらず、意外によく写っている。ただし海の色が見た目とはちがう。

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 HDR の効果は抜群だが、全体にかなり赤みがかっているのはちょっと気になるところである。迷ったらふたとおり撮っておいたほうがいいのかもしれない。

 以上でテストはおしまいにするが、最後に本機の電池について。

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 電池はでかい。CX6(TG-820とTG-850も共通)の電池とは、容量・サイズともに約二倍である。正確に何枚撮れると計測したわけではないが、たしかによく持つ。ふつうの使い方なら、丸一日撮りまくっても十分おつりがくるだろう。

 それでも予備電池は絶対に必要だが、純正品の標準価格はなんと 7,500円以上もする。安いデジカメが一台買えそうなお値段である。ご冗談でしょう。そんなん買えますかいな(笑)。

 そこで互換電池と互換充電器のセット金2,080円也を amazon でポチリ(USB 充電なんて間が抜けているから、充電器くらい標準で付属にしてよ)。しかし互換電池はちょっと冒険である。純正品よりも容量が大きいと表示されているけれど、それはマスコミの内閣支持率と同じで鵜呑みにはできない。

 充電器のほうは問題なく動作し、純正電池は取説どおり約4時間で満充電になった。だが互換電池のほうは、今のところ動作に異常はないが、一度使い切って充電したら、たしか約2時間ほどで満充電とはあやしい(笑)。

 まあ話半分としても予備としての役には立つからよしとしておこう。ただし寿命は不明である(たぶん短いだろう)。

 さて明日からは平常どおりの営業(?)とし、ふたたびカメラを取っかえ引っかえ散歩する予定である。

 おまけとして、本日知人の路地でみかけたキタキツネ。無事冬を越したらしい。

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 なにしろ特定の機種の話だから、多くの方は退屈されたのではないかと思う。ごめんなさい。反省して一杯やります。

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March 18, 2016

Daily Oregraph: カシオ EX-ZR3000 を使う (6) ステップズーム編

 このカメラには通常の電動ズーム(25~300 mm 相当)のほかにステップズームの機能もあるので、すべてのステップで試し撮りしてみた。すべてホワイトバランスはオート、露出補正 -1/3 である。

 まずはいわゆる標準とされる 50mm 相当から。

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 遠近感が自然で、「見ようと思ったところを見る」とこう見えるから、ぼくは 50 mm 前後が好み。

 この写真にかぎらず、全体の傾向として、ちょっと色かぶりしているようだが、どのメーカーのデジカメにも色にクセはあるから、文句をつけるほどではない。ごく簡単に調整してみると、

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こんなところではないかと思う。以下はすべて縮小して軽めにアンシャープマスクをかけた以外、いっさいレタッチはしていない。

 お次は広角のテストである。
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 28 mm 相当。写真に見える廃漁船に接近し、船尾側から全体を狙ってみよう。ごらんのとおり引きがない。無理をすれば水中転落必至である(笑)。

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 25 mm 相当。露出も悪くない。うまくいった。24 mm ならもっと楽だったと思う。

 レンズを若干上に向けているせいもあるけれど、パイプラインの支柱が傾いて写っている。ぼくがあまり広角を使わないのは、この遠近の歪みのせいである。それが表現としておもしろいという人も多いのだが、ぼくは生理的にイヤなのだ。

 しかしゲージツ的表現は別としても、広角が必要な場面も当然ある。たとえば狭い部屋を一枚の写真に収めたい不動産屋さんなどがそうだろう。

 OLYMPUS TG-850 は広角端がなんと 21 mm だから超広角。これはこれでとても重宝するわけで、

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荷役終了後のカーゴホールド(貨物艙)のほぼ全体が収まっている(TG-850 21 mm 相当。レタッチ済み)。

 「なぜもう一歩前に出ないのだ」とおっしゃる方は現場をごらんになるといい。高所恐怖症のぼくは決死の覚悟で撮ったのである。足場が悪いから、一歩誤れば艙内に転落してあの世行きなんですよ(笑)。

 というわけで、広角ぎらいでも使うときは使うわけ。ついでにいうと、しばしば画像等倍にして細部を確認するのは、別に画質のアラ探しをするつもりはなく、仕事上必要なことが多いからである。

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 35 mm 相当。ふつうここまでが広角とされるのではないかと思う。

 快晴ではなく太陽が薄雲に隠れたせいだろうか、全体にあっさり目、ちょっと薄味に見えるけれど、調整は十分可能だろう。

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 50 mm を飛ばして 80 mm 相当。中望遠の領域である。

 十分な距離がある場合は、建物の水平垂直がきれいに出て、たいへん自然な写りになる。

 なおこの写真では HDR (ハイダイナミックレンジ)撮影を試してみた。建物の陰の部分がかなり明るめに写っている。もう少し暗めでいいかもしれない。

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 105 mm 相当。

 対岸の建物や倉庫群がかなりあっさり目に写っている。ちょっと霞んだ天気だったとはいえ、もう少しハッキリクッキリしたほうがいいように思う。

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 140 mm 相当。

 この古いセメントサイロは、もっとどぎつい感じなのだが、やはりあっさり目に写っている。レタッチが必要だろう。

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 192 mm 相当。なんで 200 mm 相当にしなかったものか(笑)。

 露出はほぼピタリ。いじる必要はまったくないと思う。

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 望遠端 300 mm 相当

 一部を等倍で切り取ってみると、

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 コンパクトデジカメの 300 mm としてはまずまずの写りかと思う(高級望遠レンズは使ったことがないけれど(笑))。

 最後にもう一枚だけ。300 ミリ相当で近くのカモメを撮ってみた。

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 これも露出ほぼピタリ。水の青は記憶色に合わせてほんの少しだけ調整したくなるが……

 さてテストは一通り終ったけれど、先ほど取扱説明書を読み直したら、ひとつ見落としていた。ライティングという機能が「入」になっていたのである。

 これは「明るい所と暗い所の明るさのバランスを最適な状態に調整して撮影」するというもので、全体にややあっさり目という印象を受けるのはそのせいだったのかもしれない。

 いまさらテストし直す気力はないけれど(笑)、ライティング機能は「切」にすることに決めた。

 次回は最終回。電池のことなどを含めてあれこれ書いてみたい。

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March 16, 2016

Daily Oregraph: カシオ EX-ZR3000 を使う (5) マクロ撮影編

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 近くて遠きは男女の仲(ちがったかな?)……というわけで、このカメラは広角端 25 mm でもここまでしか寄れない。マクロに弱いのである。

 ステップズームの焦点距離ごとの最短撮影距離をまとめてみた(取扱説明書には一覧表が載っていない)。

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 140 mm と 300 mm の間には、中途半端な 192 mm というステップもあるのだが、最短 140 cm というのは、今どきのコンパクトカメラとは思えない距離である。RICOH の CX6 は、マクロモードにすると望遠端(300 mm 相当)でもなんと 28 cm まで寄れる。

 望遠マクロはとても自然な写真が撮れるので、本機のマクロ機能はちょっと残念。一例をごらんいただきたい(光線状態がよくなかったので、レタッチしてある)。

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 なんとなく緊急出動というより、救急車でドライブ・デートに出かけるような印象を受けるが(笑)、8.2 cm×4 cm ほどのブリキのおもちゃである。

 ZR3000 では広角端でこれが精一杯だが、CX6 は105 mm 相当でも余裕があり、ほとんど肉眼で見たのと変らない自然なかたちで写っている。もっとも広角特有の極端な遠近感もまた捨てがたい(?)。

 マクロに弱いのは事前の調べで承知していたから、文句をつけるつもりはない。旅行や町歩きのスナップ用として使う分には、まったく不足を感じないと思う。

 実用上の目安としては、50 mm 相当で A4 用紙が画面におさまればまず困らないと思う。実際に試してみたら、A4 サイズより長辺の少し短い雑誌の表紙がほぼ画面一杯におさまることを確認できた。今となっては珍品に属する本なので、まあごらんあれ。

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 この本に登場するのは30万画素クラスがもっとも多く、最高の140万画素を誇る富士フイルムの DS-300 は、なんと実勢価格 207,600 円也(!)。

 それを思えば、数万円でそこそこのカメラが買えるとは、まことにありがたい世の中になったものである。それもこれもアベノミクスのおかげじゃ、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。

 それはともかく、これで貼り紙やらバスの時刻表などをメモ撮りするには十分であることがわかると思う。このたびは事前にいろいろ調べたのだが、すべての希望を満足させるコンパクトカメラというのはありそうでないのである。どこかで手を打たなくてはいけない。

 それでも頑固に「おれは行く先々で植物のマクロ写真を撮るのだ」と言い張るお方は、迷わず一眼レフとマクロレンズという最強の組合せを用意されるべし。

 次回はステップズームの全ステップで撮った写真でもお目にかけようかと考えている。

【追記】

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 マクロは苦手と書いたけれど、旅先でよく撮りそうなこの手の写真はだいじょうぶ(28 mm 相当)。たいへんシャープに写るので、どうかご安心あれ。

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March 15, 2016

Daily Oregraph: カシオ EX-ZR3000 を使う (4) オート撮影編

 本機にはオート撮影モードがふたつある。一つはおなじみのプログラムオート、もう一つはプレミアムオート PRO(以下プレミアムオートと呼ぶ)である。

 プレミアムオートは、ピントも合わせなくていいし(インテリジェントAF)、逆光や夜景などのシーンを自動で判別してくれるという、いわばおねえさん仕様である。

 「ピントくらい自分で合わせろよ」というジジイは、スポットAF に設定してプログラムオートを選択するのがふつうだろう。絞り優先やシャッター優先のモードも選べるけれど、撮像素子の小さいコンパクトデジカメではほとんど無意味だからである。

 しかし結果が同じならプレミアムオートを選択しても悪くはない。そう思ってテストした結果をお見せしよう。なお以下の写真は、縮小してほんの少しアンシャープマスクをかけただけで、明るさや色調には一切手を加えていない。

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 どちらもデータは同じで、ズームは50ミリ相当、露出 -0.3 補正、ISO 80  F10.4  1/160秒である。

 露出がまるで同じなのに、煉瓦の色や MOO の壁面に濃淡の差があるのは、たぶんメイクアップ(美白効果)機能が効いているからではないだろうか。

 実はこのときはまだ取説を熟読していなかったので、プログラムオートではメイクアップを解除していたのだが、プレミアムオートのほうでは解除し忘れていたからだ。もし人肌以外もメイクアップするとすれば、ちょっと気になるところである。

 それ以外に大きなちがいがあることにお気づきだろうか? 見逃したからって切腹する必要はないけれど、

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合焦ポイントがちがうのである。プログラムオートでは(たしか)煉瓦の壁面あたりにピントを合わせたのだが、プレミアムオートのインテリジェントAF のほうは手前の街灯に合っている。

 前ボケは目立つからわかりやすいけれど、画面奥のほうはどうだろうか?

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 こちらは画面等倍である。明らかにプログラムオートのほうがシャープである。ピントが港文館手前の街灯に合っているプレミアムオートのほうは微妙にボケている。

 こういうシーンではどこにピントが合ったとしても、ブログ用に縮小した写真ではさほど問題にはならないけれど、さらにちがいを比較して、どっちのオートを選ぶべきか検討してみよう。

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 竹鶴さんにも参加していただいたこのテストには、ふたつの目的がある。ひとつにはオート ISO 感度の上限を 1600 に設定した場合、ふたつのオートモードはそれぞれどの ISO感度を選ぶのか、もうひとつは ISO 1600 は実用に耐えるのかを確認するためである。

 どうやらプログラムオートはブレを防ぐためか、プレミアムオートよりも高感度を選択するらしい。どちらもウィスキーのラベルにピントが合っている。

 なおここまで縮小すれば両者ともに画質はほぼ同じだし、等倍でチェックしてもほとんど区別はつかない(三脚にセットしたのだが、シャッターの押しようが悪かったのか、案外手ぶれ補正が逆に災いしたのか、プレミアムオートのほうは、ほんのわずかにブレている)。ISO 800 は安心して常用できるといっていいだろう。

 ここでブラインドの開きぐあいを調節し、さらにカーテンを少し閉めて室内を暗めにして、同じテストをしてみよう(しつこい(笑))。画面が上と微妙にちがうのは、スポットAF でラベルにピントを合わせるため、カメラをいったん動かしたせいである。

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 プログラムオートはセットした上限の ISO 1600 を選択し、プレミアムオートのほうは ISO 400 のままというのは驚きである。

 また画像をクリックしてごらんになればすぐにわかるとおり、このテスト結果では合焦位置が両者ちがっている。プレミアムオートは明らかに後ピン。

 これで両者の性格のちがいが明らかになった。プログラムオートは高めの ISO感度を選びプレミアムオートは低めを選ぶ。またプレミアムオートのインテリジェントAF は、思いどおりのポイントにピントが合ったり合わなかったりするのである。

 ついでだから ISO 1600 は常用できるかどうか、ふたつの画像を等倍で比較してみよう。

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 画質にやかましい人ならどうお思いになるかは別として、個人的には常用できると判断した。

 たしかにざらつきはあるけれど、フィルムにだって粒々感はあるのだし、ひどい塗り絵にはなっていないから、ぼくの許容範囲内である。このあたり 1/2.3 型のセンサーとは明らかに一線を画している。といっても一眼レフとくらべてはいけませんぞ。

 さてこれでぼくの常用設定は決まった。

 妙なところにピントが合っては困るから、プレミアムオートは使わない(酒飲みはウィスキーにピントを合わせるものだ)。ISO 感度上限値は 800 とし、それでも間に合わなければ、一時的に 1600 に変更する。

 自撮りおねえさんへのアドバイス。手ぶれ補正はたしかによく効くけれど、念のため、ブレにくいシャッター速度を選ぶプログラムオートがおすすめである。その際、AF  はインテリジェントかマルチをお選びになるといいだろう(レンズのすぐ手前に顔がくるから、ピントを外すことはまず考えにくい)。年寄りのいうことは素直にお聞きなされ。

 次回はこのカメラの弱点であるマクロ撮影編である。

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March 14, 2016

Daily Oregraph: カシオ EX-ZR3000 を使う (3) 設定編

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 あなたはデジカメを最初に使うとき、カメラの諸設定について取扱説明書をよくお読みになるだろうか?

 「べらぼうめ、そんなまどろっこしいことができるかってんだ。こちとら江戸っ子だい」という八五郎さんみたいなお人や、「なあに、いじっていれば直感的にわかるでしょう」というお方が多いのではないだろうか。

 かく申すぼく自身も、取説はほとんど読まないのがふつうだけれど、このたびは少々マジメに読むこととあいなった。おねえさん向けなどとあなどってはいけない。このカメラ、案外手ごわいのである。

 といっても、ただ写真を撮る分には一切面倒なことはない。スイッチを入れてシャッターを押せば、ちゃんとあたりまえに写るからだ。

 自分のスタイルに合わせて便利に使うための設定手順が、思いのほか複雑なのである。以下はそのポイント。

(1) モードメモリー

 取扱説明書には先にキーカスタマイズが登場するけれど、まず第一に設定すべきなのはこちらのほうである。

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 なぜなら、ファンクションリングを「入」にしておかないと、せっかくキーカスタマイズで設定してもその機能が記憶されないことになるからだ。ここはわかりにくいところで、おねえさん向きとはいいかねる。

 すべての項目をチェックすべきだが、特に露出補正値のデフォルトをたとえば -0.3 補正にしている方は、 露出補正を「入」にしておかないと、パワーを入れるたびに補正値を設定し直さなくてはならないから注意。使いはじめてすぐの頃、スイッチを入れ直したら補正ゼロに復帰していたから、はてな? と首をひねったところである。

 人によっては、ズーム位置も「入」にしておいたほうがいいと思う。広角派ならともかく、ぼくのように 50ミリ相当前後を多用する者にとっては、ズーム位置を記憶してくれたほうが助かるからだ。ついでにいうと、ファンクションリングによるズームと、ズームレバーは併用できるから使い勝手はよい。

 さて、ここからが肝腎なところ(笑)。撮影モードごとに設定を記憶するのはファンクションリングだけではない。だからこそモードメモリというらしいのだ。

 最初それに気づいたのは、やはり露出補正値であった。プログラムオートのモードで補正値を記憶させたら、プレミアムオートのモードでもそれが生きていたから、どのモードでも共通なのかと誤解したのも無理はない。ところが BS(ベストショット)モードにしたら補正値がゼロになっているではないか。

 このように、設定値がモードによって共通だったりちがったりするのは、設計上の不備だと思う。説明書ももうちょっと親切に記述すべきだ。

 結論としては、よく使うモードごとにモードメモリの各項目をチェックしておくべし。

(2) キーカスタマイズ


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 キーカスタマイズとは、前面のファンクションリングと背面のコントロールダイヤルに、ズームや露出補正など自分好みの機能を割り当てることである。

 説明書には、

Key_customize 
とあって、それぞれ何を割り当てるかはもちろん勝手なのだが、(1) で見たように、ファッションリングの設定は「撮影モードごとに記憶します」とあるから、よく使う撮影モードごとにチェックしておいたほうがいい。

 また「割り当てることができる機能は、撮影モードによって異なります」という注意書きと、「撮影モードによっては、コントロールダイヤルで割り当てた機能を設定できないことがあります」という参考書きにも注意しておこう。

 なお参考書きは変な文章。「設定できない」のなら「割り当てた」はずがないではないか。う~む、どうやらここは「撮影モードによっては、あらかじめコントロールダイヤルに割り当てられている機能を変更できないことがあります」ということらしい(3月17日追記参照)。

 「あれ、機能が働かないや。故障かな?」と現場であわてぬよう、記憶にとどめておいたほうがよさそうだ。

【3月17日追記】

 どうやらぼくの解釈はまちがいであったらしい。参考書きと完全に一致はしないけれど、本日ひとつ発見したことがあるので記録しておこう。

 たとえばBS(ベストショット)撮影モードを選択し、

 1. キーカスタマイズでコントロールダイヤル回転に露出補正を割り当てる。モードメモリで露出補正を「入」に設定する。

 2. コントロールダイヤルで露出補正をたとえば -0.3 にセットすると、パワーを OFF にしないかぎり、補正値は維持される。

 3. ところがいったんパワーを OFF にしたのち、ふたたびパワー ON にすると、あらふしぎ、露出は±0 に戻ってしまう。しかしコントロールダイヤルを回すと露出補正はできるから、もう一度回してセットし直すというわけ。

 つまり、この場合、参考書きとはちがって、コントロールダイヤルに割り当てられた機能(露出補正)は働くが、モードメモリで設定した機能(露出補正値の記憶)が働かないのである。

 各撮影モードごとの設定が完全に独立していない点と併せ、いささか詰めが甘く、複雑怪奇という印象を免れないゆえんである。このカメラを持たずにここをお読みになった方は、さっぱりわけがわからず頭が混乱するにちがいない。読み飛ばしていただいて結構である(笑)。

(3) その他

 そのほかの設定項目については必要の都度取扱説明書を参照するとして、本日ご紹介した二大ポイントに関しては、最初に説明を熟読しておいたほうがいいと思う。
 
 なおぼくは動画を撮ることはまずないので、本シリーズでは一切触れないから念のため。

 今回の記事は、われながら実におもしろくない(笑)。おもしろくはないけれど、カシオのデジカメを愛用する自撮り派おねえさんのために、あえて書いたのである。

 え、なんですって? 「露出補正なんて面倒なこと、いちいちするわけないでしょ、バカねえ」とおっしゃるのですか。えらいすんまへん。

 次回はいよいよ撮影編である。少しはおもしろくなるかもしれない(笑)。

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