November 08, 2024

Daily Oregraph: ELAC DBR62 について

 本日の最高気温は 8.9度。晴れ。

 ELAC DBR62 というスピーカーのスペックは下のとおり。
Dbr62_spec  なにしろ金はなくても時間だけはたっぷりあるから、十日ほど徹底的に聴きこんで受けたぼくなりの印象をまとめると、

 ・全体的にフラットでクセがなく、特に中高域では刺激的な音がほとんで出ない。もちろん録音の出来にもよることだが、ピアノの音はキンキンしにくいし、サ行の音もかなり自然だ。ソプラノ独唱のあの耳をつんざく強烈な波動砲(?)にも耐えられる(実は今回スピーカーを新調した目的はそのへんの不満の解消にあった。特にキンキンいうピアノの音にはついに我慢しきれなくなったのである)。

 ・音像定位にすぐれ、たとえば歌手は真正面に位置し、たいへん自然で気持がいい。ある意味では、これは高音がどうの低音がどうのというよりも重要なポイントではないかと思う。

 ・このサイズとしては低音の量感がたっぷりあり、もちろん高級な大型システムとは比べるべくもないけれど、大編成の管弦楽曲を鳴らしても、ぼくの八畳間でなら十分お釣りがくる。広々としたお部屋で聴かれる方には当然別の選択があるだろう。

 ・最近のブックシェルフにしてはめずらしく、バスレフポートが前面にあるのもありがたい。密閉箱でさえ左右・背後の壁面の影響を受けるのだから、背面バスレフはスピーカー設置場所の制約を特に受けやすいと思う。

 その一方で、

 ・刺激的な鋭い音がおとなしく聞こえることからもわかるように、全体的にやや抑制が効いているように感じられ、ほんのちょっぴりお上品というか控えめに聞こえる傾向があるから、これといった特徴がない、あるいは迫力が今一つだと不満に感じる人もいらっしゃるようだ。たとえばコテコテの演歌などを聴くと、たぶんなるほどと納得していただけるのではないだろうか(このたびはめったに聴かない都はるみ女史や北島サブちゃんの歌も鑑賞しましたよ)。

 まあそのへんは個人の好みの問題だからしかたがないけれど、とにかく「いやな音」がしないことは確かである。そうかといって、けっして暗くダルい音ではない。女性ボーカルなどはのびやかで暖かみも感じられ、音像定位のよさもあって、つい聴きいってしまう。

 さて肝心の価格だが、二本一組で約八万円だから、決して庶民には手が届かないほどの無茶な額ではない。お値段倍以上というならもちろん話は別だが、これならクラシックから歌謡曲までさまざまなジャンルの曲を安心して楽しめるスピーカーとしておすすめできる。設計者のセンスの良さがうかがわれるすぐれた製品だと思う。

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 サランネットは磁石式で、近づければピタリと定位置にはまる。このスピーカーにかぎらず、サランネットを外して聴いたほうが音はかなりクリアになり、そのちがいはだれにでもわかるほどだ。

 しかし試聴を終えてから、ぼくはあえてサランネットを取りつけた。ずいぶん地味な見た目だが、スピーカーは見えなくてもいいと思ったからである。それに音、音というけれど、人間の耳は鋭敏であると同様に鈍感でもある。どんな音でも長く聴きつづけているうちに慣れてしまうものだ。

 それよりもスピーカーの置き台にご注目いただきたい。知る人ぞ知る、往年の YAMAHA NS-690Ⅱ である(こいつはウーファのウレタンエッジがボロボロに劣化して音が出なくなってしまった)。

 重量が 27kg とガッシリした NS-690Ⅱ の上にのせると、椅子に座ればツィータがほぼ教科書どおりの高さにくる。地震対策として四隅には滑り止めシートをはさんである。ヤマハの上に置いたので(笑)、ピアノの音が全体に大きく改善されたことは申し上げるまでもない。

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November 06, 2024

Daily Oregraph: スピーカーのエージングとブレイク・イン

 本日の最高気温は9.8度。曇りのち晴れ。

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 十月末に新しいスピーカーを購入した。見せびらかすほどの高級品ではないけれど、気に入っている。最近低調なブログのネタにもなるからはりきってご紹介したいところだが、まずはこのたび気がついた大事なポイントについてお話ししたい。

スピーカーのエージング?

 新品のスピーカーの音をなじませるためには数十時間あるいはそれ以上の「エージング」が必要だとよくいわれる。しかし aging = growing old (年を取ること)なのだから、ウィスキーを樽で熟成させるのならともかく、ごく短期間でスピーカーに年を取らせるというのは妙な話である。

 ご存じのとおりスピーカーはエッジの劣化などがなければ、何十年たっても平気で音を出す。たかが数週間程度で老化するのだとしたら、一年もたてばコーン紙はクタクタになってしまうにちがいない。そんなバカな。

でも「エージングする」と音は変わる

 大勢の方がそうおっしゃるのはたしかだ。それをみな「気のせい」にしていいものだろうか?

 実はぼくはいわゆるエージング効果には懐疑的だった。自分では明らかに音が変わるという経験をした記憶はないし、どうせオーディオ雑誌のヨタ記事を真に受けてそう思いこんでいるのだろうと考えていたのである。

 ところがこのたびスピーカーを購入して毎日聴きこんでいるうちに、音が激変するのを実感したのである。それはとても「気のせい」などではなく、アッと驚くほどの変わりようなのであった。

 新スピーカーを鳴らしはじめてまもなく首をひねったのは低音の量感である。全体としてはけっして悪い音ではないのだが、教科書どおりの位置で聞くと明らかに低音が足りない。低音がかなり出るという評判だったし、また最近のブックシェルフでは12~13センチ・ウーファが主流なのにこいつのウーファは16センチ(6.5インチ=いわゆるロクハン)なのだから、もっと低音が出なければおかしい。

 そこでスピーカーに耳を近づけてみると、意外にも低音はたっぷり出ている。ところが耳をだんだん離すと、あるところでその低音がフッと消えてしまうのだ。まさかと思ってアンプとの接続を確認したが、配線のプラス・マイナスに間違いはない。こういう現象は初めてだったからびっくりしたのである。

 音がガラッと変わったのは四日目(※訂正:実際は五日目)だった。いつものようにアンプのスイッチを入れ、教科書的ポジションに坐ってボリュームを上げると、左右のスピーカーの間からいきなり豊かな低音がたっぷりと響いてきたのだから耳を疑った。これまた初めての経験である。

「エージング」と「ブレイク・イン」

 オーディオの世界では怪しげな迷信が横行しているせいもあって、ことあるごとに肯定派と否定派が論争を展開している。「エージング論争」もそのひとつだと思う。そこでたまにはぼくもまじめに考えてみた。

 結論からいうと、「エージング」ということばが不適切なのである。あらゆるものは老化するから、丈夫なスピーカーといえども、十年二十年と歳月が経過すれば微妙に音は変わるだろう。それをエージングと呼ぶのならかまわないと思う。しかし新品を使いはじめたごく初期のうちに音がはっきり変わるとすれば、それはエージングなどではありえない。

 このたびは明らかに音の変化を認めたのだが、それをなんと呼ぶべきなのだろうか? 疑問を感じながら、ふと輸入代理店が製品に添付した和文マニュアルを読んで膝を打った。なるほど、これならわかる。

 新しいうちはユニットの鳴らしこみ(ブレイク・イン)が必要です。ある程度鳴らしこんだ後に設置場所などの詳細なセッティングを行うことをお勧めいたします。

 たいへん親切な説明だと思う。ブレイク・インという表現もいい。ただしこれからご説明するように、「必要です」は必ずしも適切な表現とはいえない。

 ブレイク・インとは、break in (イギリス英語では run in)と動詞で使えば「エンジン・車などを初めのうち丁寧に運転する」つまり慣らし運転することをいう。break-in と名詞にすれば、「各動作部品が効率よく働くようになる運転初期の段階(つまり慣らし段階)」ということ。

 エンジンにかぎらず一般にメカを使いはじめると、必ずブレイク・インの時期を経過してから調子よく動き出すということだ。エイジングの果てには必ず老化=劣化が待っているのだから、ブレイク・インとはまったく性質がちがう。

 だからブレイク・インは必要なのでも不必要なのでもなく、またあなたの意志によってしたりしなかったりするものではなく、メカを動かす以上初期のうちに自然に行われるものなのだから、どうのこうのという論争の余地はまったくない。

 どうしてもエージングと呼びたければそれでもかまわないけれど、以上から明らかなように、特別の作業はまったく不要であることがわかる。エンジンの回転数を無茶に上げずにふつうに運転していればやがて車の慣らしが終わるように、スピーカーの場合も耳を聾するようなバカでかい音を立てずにごくふつうに鳴らしていれば、だまっていてもいずれ慣らしは完了する。

 YouTube にはエージング用の音源と称するものが出回っているけれど、そんなものは必要ない。いやでもなんでもブレイク・インの段階を経過するのだから、いつもどおりに好みの音楽を鳴らしていればいいのだ。どうしてオーディオの世界にはこの手のもっともらしい思いつきが幅を利かせているのだろうか?

 ブレイク・インの効果や期間にはスピーカーの個体差によるちがいもあるだろうし、いつの間にか自然に終わるものなのだから、人によってはっきり気づいたりまったく気づかなかったりすることもあると思う。今回はたまたま効果が顕著だったことと、暇にまかせて毎日朝から晩まで集中して聴きつづけたせいもあって、日ごろ鈍感なぼくにもわかったのだろう。

 いずれにしても、ブレイク・イン後に音を評価せよという輸入代理店の適切なアドバイスには素直に従いたいと思う。

 次回はいよいよ ELAC DBR62 について。

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May 07, 2021

Daily Oregraph: 裏庭画報 5月7日

 本日の最高気温は14.7度。晴れ。

 記事はたいして変りばえしないけれど、植物には明らかな変化が見られる。今の時期は一日も目が離せないのである。

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 ニリンソウ。

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 オオバナノエンレイソウ。花が少し開きかけてきた。

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 エゾヤマザクラ。たった一日でずいぶん変った。

 さて本日聴いたのは、グレン・グールド弾くところのバッハ。ゴルトベルク変奏曲と平均律クラヴィーア曲集第1巻、どちらも YouTube で聴くことができる。

 グールドというピアニストは、はじめて聴いた人が「あれっ?」と思うほど独特の演奏をし、世間でいう優等生の枠にはとても収まらない人物であるような印象を受ける。

 放課後の高校の音楽室でだれかがピアノを弾いている。廊下を通りかかった音楽教師が不審に思ってのぞいてみると、これがグールド君なのであった。完全に自分だけの世界にひたって一心に弾いているから、声をかけるのもはばかられる。とにかく邪魔をしないで放っておくように、という一種のバリアが存在するようでもある。

 まことにあっぱれの腕前なのだが、独特すぎてみなのお手本にするのはためらわれるし、第一あの世界に入りこめるほどの生徒はめったにいまい……音楽教師はそう考えて腕組みしながら、この扱いのむずかしい不思議な生徒の弾くピアノの音色に聴き入るのであった。

 とまあ、素人が勝手にそんな想像をしたくなるような演奏は実に魅力的であって退屈とは無縁、つい聴きこんでしまう。ぼくは大変気に入っているけれど、案外好き嫌いは分かれるかも知れない。

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May 06, 2021

Daily Oregraph: 裏庭画報 ニリンソウ開花

 本日の最高気温は 14.7度。晴れ。

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 まだ満開ではないが、ニリンソウは開花しはじめた。

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 エゾヤマザクラのツボミは明らかに変化しつつある。

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 昨日は気づかなかったオオバナノエンレイソウのツボミ。今の時期、植物はたった一日で劇的に変化するものだ。

 昨夜はリヒテルの演奏するシューベルトのピアノソナタ D. 840 を聴いて、ウ~ンと唸った。凡手が弾いたとしたら、たぶんあまり面白味を感じない曲なのかも知れないが、リヒテルのタッチは信じられないほど絶妙だから、退屈するどころか一音一音耳をじっと澄まして聴き入ってしまう。

 これほどすぐれた演奏を聴くのはめったにない経験だけれど、残念ながらぼくごときが千万言費やしたところで音は聞こえてきやしない。あいつ、また口から出任せをいってやがるとお疑いの方は、だまされたと思って読みかけの本を閉じ(笑)、こちらから聴いていただくしかないと思う(なお不自然な終り方をしているのは未完の作品だから)。

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May 01, 2021

Daily Oregraph: 続・USBメモリ ファイルソート物語

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 本日の最高気温は 13.6度。風もおさまり、絶好の散歩日和なので相生坂を下りて少し歩いてきた。

 さて昨日の記事の続編である。

 TEAC CD-H750 の取扱説明書によれば、「●再生可能な最大フォルダ数:99 ●再生/録音可能な最大ファイル数:2000」となっており、1フォルダ当たりの最大ファイル数については記載されていない。

 marantz CD6007 ではどうかというと、再生可能なのは「フォルダの階層数 8階層(ルートフォルダ=ルートディレクトリを含む);フォルダ数 255;ファイル数 65025(USBメモリの容量に依存)」となっている。1フォルダ当たりの最大数についてはやはり記載されていない。

 これをお読みになって、あなたはどう判断されるだろうか?

 サブフォルダをいくつか作った場合、それぞれのファイル数を合計して最大許容範囲以内であれば、各フォルダ内のファイル数には特に制限はないと考えるのが自然だと思う。つまりすべてのファイルをルートディレクトリに保存した場合、USBメモリの容量が十分あれば、TEAC では 2,000 まで(marantz では 65,025 まで)ファイルは認識されるはずだとぼくは最初考えた。

 ところが TEAC を使用中、たしかファイル数が 500 を越して、正確には忘れたけれど 510 あたりで認識されなくなってしまった(ファイル名の長さなどによって、認識するファイル数には多少の増減があるかもしれない)。まあ500もあればふつうは十分だから、それ以来 USBメモリ1本あたり 500 ファイルまでを目安にしていた。

 marantz の場合はファイル制限がその約半分、250+αなのであった。つまり250を目安にして、残りのファイルを別フォルダに移さなくてはならないから、昨夜はその作業をしたのである。ファイルを削除・追加・移動すると、あらためて前回の記事で述べた (b)→(a) の手順を踏む必要があるから、結構時間がかかる。BGM にジャズを流していなければ癇癪を起こしていたかもしれない(笑)。

 TEAC にせよ marantz にせよ、問題なのはフォルダ内のファイル数制限があることではなく、取扱説明書にそれが明記されていないことだ。USBメモリ入力端子のある CDプレーヤーは他社製品にも存在するが、そのへんについてはきちんと説明されているのだろうか?

 オーディオ製品は「いい音が出さえすればいい」というわけではない。使用にあたってユーザーに誤解を与え、余計な手間をかけさせるようでは困る。万事厳密であるはずの優秀な理系技術者のみなさんが、駄文学部卒に苦情をいわれるようでは情けないではないか。

 同じフリーソフトによって処理した USBメモリを使って、認識されるファイル数がかたや約 500、かたや約 250 なのだから、ぼくの誤解ということはないと思うが、もしこの問題を回避する方法があればぜひお教え願いたいと思う。

 それにしても……音楽を快適に聴くためにパソコン操作が必要な時代になるとは!

【追記】

 強引に修理した(?)パイオニアの CDプレーヤー PD-01A(1996年製)は、その後何事もなかったかのように完全動作している。驚異的に優秀かつタフなメカニズムだと思う。

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April 30, 2021

Daily Oregraph: USBメモリ ファイルソート物語

 本日の最高気温は13時現在で8.9度。雨。風やや強し。

 宣言どおり昨日は畑仕事をした。まだ少し早いけれど、小松菜と水菜の種をまいた。

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 さて今日のテーマは USBメモリに保存した曲をソートした順にプレーヤーに認識させる方法について。例によってマイナーな話だが、最近は USBメモリで音楽を聴く方が増えたし、このたびプレーヤーの機種によって仕様がちがうことに気づいたので、メモを兼ねて記録しておきたい。お困りの方がおいでかもしれないからだ。

 エクスプローラーで開けば曲名がアルファベット順にそろっていても、CDプレーヤーではその順番に再生されない。ぼくの TEAC CD-H750 の取扱説明書には(今読み直してみたが)その説明がないから、最初はとまどったけれど、

 (a) フリーソフト UMSSort でメディアを指定して「まとめてソート」→「ファイルのソート」→「反映」(ソート結果を反映するの意味)を実行すれば、以後その順番で再生されることがわかり、問題は解決した。CD-H750 ではアルファベットでも日本語でもソート結果が生きるのである。

 ところが marantz CD6007 は曲者で、以上の操作ではソート結果を受けつけないのだ。それを解決するためにはフリーソフトの Mp3tag が必要である。具体的には、

 (b) Mp3tag を起動してメディアを指定し、全ファイルを反転させて「ファイル名」の欄がアルファベット順に並んでいることを確認→「ツール」→「自動ナンバリング・ウィザード」を実行する。その結果、「トラック」の項目(隠れている場合は右側へずらすと見える)にトラック番号が記録される。

 その後上記 (a) を実行する。

 これで無事ソート順(トラック番号順)に再生されるようになり、めでたしめでたしと思ったら、marantz さんは一筋縄ではいかなかった。

 ファイル名がアルファベットの場合はまったく問題ないのだが、日本語全角文字の場合は、なぜかトラック番号は無視されるのである。これには首をひねった。あれこれ考えた末に思いついた方法は次のとおり。

 (c) もとのファイル名が 「山田太郎 ○○の歌.mp3」だとすると、ローマ字の読みを頭に付けて、「Yamada Taro 山田太郎 ○○の歌.mp3」に変更するのである。ファイル数が多い場合は手間がかかるけれど仕方がない。次回からはファイルを保存する際に一手間かければいいわけだ。

 その上で (b)→(a)の手順を踏んで問題は解決した。

 整理すると、 (c)(必要な場合のみ)→(b)→(a)を実行すれば、ほとんどのメーカーの機種に対応すると思う。プレーヤーを買い換えても問題がないように、最初からこの手順をすべて実行しておいたほうがいいだろう。

 これほどの手間をかけなくても、パソコン→USB-DAC を利用すれば選曲はきわめて容易で、便利この上もない。こんなに楽をしていいのだろうかと思うほどである。

 しかし音楽を聴くのにいちいちパソコンを起動するというのもシャクにさわるから(笑)、CDプレーヤーや USBメモリ・プレーヤーには十分存在価値があると思う。CDが廃れはじめているのは確かだけれど、LPレコードプレーヤーが絶滅していないことからもわかるように、CDプレーヤーが地上から消滅することは当分ないだろう。

【付記】"&" は曲者

 USBメモリにはつらくあたる(?) CD6007 だが、上の記事を書いた後でもうひとつ注意点がみつかったので付記しておく。

 上記手順をすべて実行した結果、曲順が

Adam Smith - Good Morning 1.mp3 (トラック番号 1)
Adam Smith - Good Morning 2.mp3 (トラック番号 2)
Adam Smith & David Hume - Quiet Night.mp3 (トラック番号 3)

になったとしよう。トラック番号順だと当然 Good Morning 1 からスタートするはずだが、実際には Quiet Night が先に再生される。

 ほかにも "&" の混じったファイル名で同じ現象が起きる。どうやら & 記号を優先するらしい。結局 & → and に変更して作業をやり直せば、めでたくトラック番号順に再生されることがわかったけれど、いったいどこまで気むずかしいのだろうか。

 USBメモリ端子を利用してファームウェアを変更できるといいのだが、無理だろうなあ。リモコンで一発選曲できない点も含めて改善の必要がありますぞ、marantz さん。

 さらに引用符(')も優先されることがわかったので要注意。もちろん & にせよ引用符にせよ、再生の順番が狂わないかぎり変更または削除する必要はないので念のため。

【付記2】

 もうひとつ問題のあることがわかった。ディレクトリ(フォルダ)ごとのファイル数制限である。実は TEAC の CD-H750 にもこの制限はあったのだが、実用上さほど問題にはならなかった。しかし marantz CD6007 では1フォルダあたりの認識可能なファイル数が TEAC の半分しかないことに気づいたのである。もちろん新しいフォルダを作ればすむ話だけれど、ユーザーにとっては重要な点だと思うので、明日の記事で詳しく書くつもりだ。

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April 28, 2021

Daily Oregraph: カーメン・マクレエで音を決める

 本日の最高気温は13.0度。まずまずの天気であった。

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 6月に納品と聞いていた CDプレイヤー(Marantz CD6007)が届いたので、印象を一言。オタクな話だから適当に読み流していただければありがたい。

 高音寄りかと予想していたけれど、線は決して細くなく、低音がよく出る。音域・音場ともにやや狭いかなという印象を受けるけれど、そのかわり音がみっしりつまった感じがするところは悪くない。

 アナログ出力を使うかデジタル出力にするかで大いに迷った。CDを取っかえ引っかえして聞き比べた結果、オーケストラの全合奏のとげとげしさが明らかに少ないアナログ出力に傾いたけれど、今ひとつ判断しきれなかった。

 なにげなく USBメモリに記録していたジャズヴォーカルを聴いているうちに登場したのがカーメン・マクレエの After Glow というアルバムで、これが決定打になった。ちがいがハッキリわかったのである。

 デジタル出力(光デジタルケーブル使用)だと歌声が穴の開いた瓢箪みたいに聞こえるのである。なんのことかわかりにくいかもしれないが(笑)、つまり本来一人の人間の発する声は全音域連続してまとまっているはずなのに、途中でいくつか穴が開いた瓢箪みたいに音が漏れて、中身がつまっていないのだ。

 アナログ出力に切り替えたとたんにアッと驚いた。一個の肉体を持つ人間が発する声に聞こえたのである。そのちがい歴然たるものがあって、スカスカだったマクレエさんに肉体が戻って、声もピタリと定位した。すばらしい歌声である。これにてアナログ出力使用に決定。

 カーメン・マクレエ恐るべし(笑)。これまで彼女の大ファンというほどではなかったが、すっかり見なおした。もちろん声の録音が素直でよかったせいもあるのだろう。いじりにいじった録音がやたら多いから、音質を判断する際には要注意だと思う。

 なおこの CDプレーヤー、USBメモリが使えるのは長所だけれど、ひとつ予想外の欠点がある。TEAC のプレーヤーとは異なり、USBメモリに限ってはリモコンの数字ボタンでは任意の曲を一発選曲できないから、スキップボタンを押しまくらなくてはならないのだ(別法あるも面倒さはさほど変わりない)。音質に不満はないのだが、実に惜しいと思う。

 ……てなわけで、畑を放りっぱなしにしている。いかん、いかん、地道に働かなくては、お天道様に申し訳ない。明日こそやるぞ。

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April 17, 2021

Daily Oregraph: 最後のオーディオいじり

 本日の最高気温は7.0度。曇り空で寒いから、散歩を断念。せっかくなら日の光を浴びて歩きたい。

 さてこの二三日は音楽びたりである。幸い PIONEER の CDプレーヤーは順調に動作しているので、注文した品が届くまで(6月になるらしい)メカはもってくれると思う。

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 今朝ふと思い立ってスピーカーのサランネットを外したら、これまで聞こえなかった音がワーッといっせいに飛び出してきたのには驚いた。多少は違うだろうと思ったけれど、これほど変化するとは予想もしなかった。約20年ほどいじらなかったから、ほこりで目詰まりを起こしていたのかも知れないが、結局サランネットはスピーカー保護の役に立つ以外は無益の存在にちがいない。考えてみれば、薄靄を通して景色を眺めるようなものだからである。

 あちこちにあった音の凹みが、新たに聞こえはじめた音によって埋まったらしく、明らかに全音域がなだらかになった。楽音の細部がはっきりくっきり聞こえる。音の広がりや奥行き感も向上した。スピーカーの音が確実にワンランク向上したので、買い換える気持はまったく失せてしまった。これで十分である。しかも改善にかかった費用はゼロ。

 写真のとおり、お見せして自慢するようなスピーカーではない。中級ミニコンポのおまけ用スピーカーシステムだから、1本当たりたぶん1万円未満だろう。しかしこの ONKYO D-V7、それなりのアンプで鳴らしてやると俄然実力を発揮するからユニットの基本性能は高く、廉価版中の銘器(笑)といっていいのではないか。

 それにしてもこの設置方法はおかしいんじゃないか、とおっしゃる方もおいでかと思う。窓枠の上の壁に直付け、しかもスピーカー間隔が狭い(約65センチ)。教科書の教えに反していることはまちがいない。

 実はミニコンポを自室にセットする際場所に窮して、苦し紛れにネジ止めしたに過ぎないのだが、意外にも(いい音とまではいえないにしても)ごくまともな音が出る。壁にがっちり固定したのがよかったようだ。つまり大げさにいえば家と一体化したわけで、小柄なのにフルオーケストラの大音量にも耐える。

 それまでは YAMAHA の NS-690II というそれなりに名のあるスピーカーを使っていた。こいつは使いこなしが難しく、悪戦苦闘の連続であった。壁からの距離やら床からの高さやら、あれこれ工夫しているうちに月日は過ぎ去り、やがてウーファ・エッジのウレタンがボロボロに劣化してしまったのを機に、やくざなオーディオ道楽はきっぱりやめて、茶の間から撤退して自室にミニコンポを導入したのであった。

 それから幾星霜(笑)、D-V7 はそこそこ普通の音を鳴らし続けていたわけだが、新年早々かつて NS-690II と一緒に使っていた LUXMAN L-510 を引っぱり出して接続してみたら、予想外にいい音がするではないか。その後 L-510 がついに斃れて DENON PMA-1600NE を導入したら、低音は 30cm ウーファより当然劣るものの、全体としては NS-690II よりもまとまりのよい音になった……というのがこれまでのあらすじである。

 さてスピーカーの高さに問題があることは認めるとして、左右の間隔はこれでまったく問題ない。ステレオ感は十分どころか、むやみに間隔をあけるよりもすぐれている。

 その理屈を教えてくれたのは奇人江川三郎氏である。とにかく一風変った発想の持主で、スピーカーケーブルの材質による音の変化などは、この方が世に広めたのではないだろうか。もっともそれに便乗して馬鹿高いケーブルで商売する業者なども現われたから、功罪相半ばするところがあると思う。高価なケーブルなんぞに交換するよりも、サランネットを外したほうが効果ははるかに大きいからだ。

 しかし江川さんの提唱されたスピーカー設置法は大変すぐれている。半信半疑で試してみたら、たしかにおっしゃるとおりの効果があって、目から鱗が落ちる思いをした。金が一銭もかからない方法だから、ご参考までにご紹介しておこう。

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 ミニコンポに鞍替えしたときにオーディオ関係の雑誌や本はほとんど捨ててしまったが、これは天下の奇書だから(笑)、大事に保存していたのである。

 本書の「逆オルソン田中・江川方式のステレオ再生」という章から、説明図を引用すると、

Speakers
 要点としては、スピーカーの「左右間隔を取ればそれだけ音場の広さが確保できる」というのは「幼い思考法」であり、「スピーカー間隔を狭めることが問題解決の基本」だというのである。さらに「間隔を狭めて外向きにしたら音像がピシリと定位した」という。

 江川氏の実験結果によれば、外向きにするとかえって定位幅が広がる(つまりステレオとして聞こえる範囲が広がる)というのだが、最初はぼくも「ほんまかいな」と疑った。スピーカーを外側に向けたら、まん中は音の空白地帯になってしまうのではないかと思ったのである。ところが、試してみると高音もちゃんと聞こえるから驚いた。以来ぼくは江川方式を採用している。

 このあとさらに「左右のスピーカーの中央に仕切り板を置くとよい」てなことが書いてあるけれど、さすがに部屋の中で実行するのはむずかしいから、それは試していない。

 なお写真のスピーカーは外向きになっていないじゃないかとお思いかもしれないが、場所的に無理があるので、実はL字金具で調整可能な範囲内でわずかに外向きにしている。

 ほんとうにひさびさのオーディオいじり、これにておしまい。もう余命いくばくもないから、これからは音ではなく音楽をたっぷり味わうことにしたい。

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April 10, 2021

Daily Oregraph: 壊れゆくもの

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 本日の最高気温は7.0度。さほど高くはなかったけれど、風が弱く快適であった。春採湖畔では散歩する人の姿を多く見かけた。

 さてここ数日は、網戸の張り替えをしたり(笑)、なにかと落ち着かなかった。まずプリメインアンプ L-510 がついに故障した。先月の半ばあたりから右チャンネルが不調だと思っていたら、だんだん音が途切れたり歪んだりするようになった。気に入っていたのだが、なにぶん36年以上経過した品だし、経年劣化だろうから仕方がない。

 そこでいろいろ調べて見た上で、最近のラックスの製品は高価で手が出ないから、評判のいい DENON PMA-1600NE というアンプを購入した。L-510 と大体同クラスの製品だと思う。重量は17.6 kgだから、L-510+0.6 kg と結構重い。実はもう少し奮発して PMA-2500NE にしようかと考えたのだが、重量 25 kg(!)と知って断念。ジジイにはそんな重いものを持ち運ぶ元気はありませぬ。

 このアンプ、いわゆるネットワーク機能はないけれど、パソコンと USB接続できる(別売りの USB A-B ケーブルを使用)。どんなものかとんと見当がつかなかったけれど、パソコンにアンプ内蔵スピーカーを接続するのと基本的には同じ要領だから、実際はごく簡単だった。

 専用のドライバーをインストールして、アンプ側のポジションを USB-DAC にセットすれば、CD だろうが YouTube だろうが、パソコン側で再生する音はすべてアンプを通してスピーカーシステムから鳴るという仕掛けである。当然たいへん高音質だし、使い勝手もすぐれている。

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 この写真のように、パソコンのオーディオ再生ソフトを使用しているとき(上)には、アンプ側に「USB: PCM」と表示される。

 パソコンの CD ドライブで音楽CDを再生できるから、しめしめ 故障中のCDプレイヤー(USBメモリのみ使用可能)を買い換える必要はないと喜んでいたら、そうは問屋が卸さなかった。

 別室でミニコンポに接続して使用中のパイオニア製 CDプレイヤーが L-510 と気をそろえて故障してしまったのである。これは大変丈夫なメカニズムで、24年間も故障知らずで使用したけれど、とうとうトレイが開かなくなってしまった。結局 CDプレイヤーまで注文する羽目になったが、ただいまコロナ禍のせいで人気機種は品薄らしく、品物がいつ届くかはまだわからない。

 安心していい音が聞けるのはうれしいけれど、こうなるとスピーカーも交換したくなる。若い頃なら後先考えず、なけなしの金を注ぎこんでスピーカーも一緒に注文したところだが、年を取ると人間少しは冷静になるものらしい。設置できる場所が限られており、セッティングが面倒くさいから、このたびは見送った。アンプも故障し CDプレーヤーも壊れ、この分だとスピーカーを交換する前にこっちがお陀仏になるかも知れない。

 なおついでに納戸を整理したら、こんな恐ろしいものが出てきた(笑)。

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 みっともないものをお見せして申し訳ないが、昔々作った真空管小パワーアンプの残骸である。フォノ・イコライザアンプをバラしてむりやりシャーシを使い回したから、ボコボコになっている。捨てる前に記念撮影した次第、ああ。

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January 21, 2021

Daily Oregraph: ツララの涙

 本日の最高気温は+2.5度。午前中はひどく寒かったけれど、午後から晴れて気温が上がったのである。

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 ごらんのとおり、ツララが落涙している。彼(あるいは彼女)にとって、融けるのは非常につらいことなのである。

 なに、涙が見えないとな? 心眼を凝らせばきっと見えますぞ(笑)。

 やっと音楽収集作業が一段落し、ホームズ捕物帖の『六つのナポレオン像(The Six Napoleons)』を読み終えた。この短編については次回。

 このたびはずいぶん多くの曲のさわりを聴いて選び、mp3 ファイルを保存した。食わずぎらいにならぬよう、これまで聴いたことのない曲にもチャレンジし、初めての演奏家の演奏にも耳を澄ました。

 いろいろな発見があった。一例だけ挙げれば、ヴォーン・ウィリアムズは「南極交響曲」しか知らなかったが、ほかの交響曲もすばらしいので、全9曲を保存した。そのほか聴かずに死ぬ可能性のあった多数の作品を保存できたのは収穫であった。

 それにしても知らぬ間に恐ろしく腕の立つ若手の演奏家がたくさん活躍しているのには驚いた。しかし技術的にはびっくりするほどうまいのに、聴いていて実につまらない演奏家も中にはいるという印象を受けた。

 好みもあろうから名前は挙げないけれど、ある女性ピアニストの演奏などは、音が目の前を新幹線のように高速に通過していく。とても人間業とは思われないほどだ。なにか文句でもあるかといわんばかりのスキルのせいか、YouTube の視聴数も圧倒的である。

 しかし、however、ただひたすら音符が通過するだけでは、その音自体を味わうヒマがまったくないし、そもそも音楽として聞こえてこないのはどういうわけだろうか? ぼくはけっして情緒纏綿たる演奏が好みというわけではないけれど、必ずしも正確無比の超絶技巧を至上のものとは考えない。

 新しい波を頑固に拒んではいけないと思って、ベートーヴェンのピアノソナタを何曲か素直に最後まで聴いてみたが、例の時代感覚のちがいのせいか(?)どうしても体が受けつけない。口直しにリヒテルの演奏を聴いてホッとした。まるで格がちがう、というのがぼくの結論。こっちは余命いくばくなんだから、反論は受けつけない(笑)。

 さて以下はご参考までに……

 USBメモリには要注意。以前から気づいてはいたのだが、知らぬ間にデータが壊れる可能性なきにしもあらずである。もちろん頻繁に起こるわけではないけれど、今回も一度だけ再生中にストップしたので、その曲を保存し直す必要があった。データのバックアップは必須である。

 また動作不安定だった古い USBメモリを使ったら、A という曲の途中からまるで無関係な B という曲が混入するという奇怪な現象が起こり、メモリを再フォーマットして保存し直したら復旧したけれど、こういうのは躊躇なく捨てるべきだろう。信頼しすぎてはいけないという教訓かも知れない(安物のせい?)。

 USBメモリによってはデータの読み書き中にランプが点滅するものもあり、それを観察すると、停止してから2~3秒は点滅しつづけている。して見ると、メモリを抜き取るときには、曲が停止した直後ではなく、数秒待ったほうがいいのではないかと思う。

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