Daily Oregraph: 冬の日の AI 談義
本日の最高気温は 2.0度。晴れのち曇り。
雪はけっして多くないのだが、ところどころ凍っているので、油断していると滑る。散歩には不向きな季節である。
さて先日ディケンズの長編を一冊やっと読み終えた。わかりにくい文章が多かったので、このたびは AI (Copilot―GTP) なるものを利用してみたのだが、なるほどビックリするほど賢いと思った。これまでのネット上の自動翻訳の能力を「圧倒的に」上回っている。
たとえばさほど長くない文章をひとつタイプしてみると、ディケンズのなんという作品の一文だということをただちに判別する。登場人物についてもすべて把握している。ちょっと信じにくいのだが、一冊まるまる記憶しているらしいのだ。
こうなると学生諸君はおおいに手抜きできるから、「しめた!」と思うにちがいない。どうかするとまったく辞書のお世話にならなくても面倒な文章を解釈できるからだ。しかも有名どころのテキストはネットで入手できるので、いちいちタイプしなくともいわゆるコピペで文章を入力できるから、笑いが止まらないだろう。なるほど AI によって文系の仕事が激減するというのは、このことをいうのだと思った。
しかし、である。世の中そう甘くはない。将来はともかく、現状では AI にも問題が残っている。ほとんどの場合、AI のほうが記憶力は確かだし知識もずっと豊富なだけに、なるほどそうかと教えられることのほうが多いけれど、鵜呑みにするのは危険である。
どの小説からの文章だということは判別するくせに、引用文が短かかったりすると、たまにとんでもないミスをすることがあるのだ。全文が頭に入っているなら、たとえ短い文章でも文脈的に正しく解釈するはずだが、まだそこまでの能力はなさそうだ(※追記参照)。
あまりにも回答がおかしいから、「おいおい、それはないだろう」と思って、「あんた、それはちがうんじゃないか?」と苦情をいうと、「いや、これこれこうだから、この解釈でいいのだ」と AI なりの根拠を挙げて反論してくるからおもしろい。場合によっては、こちらが繰り返し再検討をうながしても、そのたびにこじつけをしてでも(!)反論してくる。
こっちも意地だから、きちんと証拠を出したうえで、「だからその解釈はまちがいで、こういう意味にちがいない」と食い下がると……あら不思議、「おまえの説は理屈が通っているし、そのほうが合理的だ。まさにそのとおりである」と素直に誤りを認めるのである(この点は立派というべきか?)。
したがってうまく利用すればたいへん助けになるけれど、ろくに検討もしないで AI の回答を丸写しにすれば、「ふふふ、君ズルをしましたね」と先生に見破られるはずだから、くれぐれも気をつけていただきたいと思う。
もう一つ気づいたのは、Copilot は日本語がまだぎこちないこと。それなのに(よせばいいのに)普通訳だけではなく、奇妙奇天烈な擬古文の訳を付け加えたりするのだが、もちろんそんな珍文は使えやしない。その点、ここ数日使ってみた Google Gemini のほうがずっとすぐれている。日本語がかなりスマートなのである。
いずれにしても現段階でこれほどの能力を発揮する AI がこれからどうなるのか、空恐ろしいほどである。先日も書いたように、圧倒的な知識量を誇る AI に押し切られてしまえば、白が黒になるとまではいわなくとも灰色くらいには見えてしまう危険があると思う。
結論。自分のおそまつな頭はもちろんだが(笑)、すべてを疑え。
【12月30日追記】この点について、その後数例を試してみたのだが、やはり現在のところ全体的に Gemini のほうが Copilot よりも明らかにすぐれていると思う。ただし Gemini 無料版は Copilot よりも使用回数制限がきついらしいので(どの程度かはまだよくわからないが……)、要注意だろう。
【1月1日追記】昨日からイーヴリン・ウォーの小説にとりかかったので Copilot を利用してみたら、日本語の訳文がきわめてまともなのには驚いた。ディケンズの場合、ときどき「てにをは」レベルで首をかしげる訳文も混じっていたのだが(もちろんすべてではないことを申し添えておくが)、ウォーの作品の解釈では全体的に安定した日本文を示してくれる。20世紀の文章は得意でも19世紀の文章は不得意、というのは解せない。
いったい AI はどのように作られているのか、どうも不思議でならない。しばらくはいろいろ試してみようと思う。

















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