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June 27, 2025

Daily Oregraph: 5月24日 風の町の昼飯

5月24日

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 コンパクトなフェリーがあんぐり口を開けて停まっていた。もともとフェリーとはこちらの岸から向う岸まで乗客を運ぶ渡し舟なのだし、脇野沢までは所要時間わずかに一時間だから、このサイズでも十分なのである。

 時間に余裕があればこのフェリーに乗ってみるのもおもしろいけれど、脇野沢からは交通の便があまりよくないから、徒歩旅行者向けではないと思う。

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 さあ飯にありつけるぞと期待して、フェリー案内所のあるトップマストへ向かう。「風のまち」交流プラザとある。ここの二階に中華料理店があるという情報を仕入れていたので、久しぶりにこってりしたものでも食べようと思ったら……なんと、本日休業。

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 となれば、駅前のウェル蟹へ行くことしか思いつかなかったので、ふたたび蟹田橋を渡ると、マツオスーパーが待っていた。

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 このスーパーはそう広くはない。しかも内部を仕切って、半分をだれでも利用できる休憩スペースに充てている。思い切った試みである。

 ほんの申し訳程度の買い物をしてから休憩所へ行ってみた。

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 本棚にずらりと並んだ文庫本は、新しそうなのもあれば古本もあり、(確かめはしなかったが)たぶん売り物ではなく、利用者が寄贈したものではないかと思う。町中のしゃれた小図書館といった趣がある。

 入口近くに飾ってあるねぶた風の女性キャラの下にも「風乃まち」とあるのは、やはり太宰に敬意を表しているのだろう。

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「ちょっとお借りしますよ」とレジのおねえさんにお断りしてテーブルと椅子を使わせていただいた。

 青森駅を出発してからまったく飲み食いしていなかったので、アップルジュースが実にうまかった。数年前だったら迷わずビールにしたはずだが、今のぼくは飲んべえの太宰とはちがう。

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 ウェル蟹に着いたのは13時半ちかく。ここは市場とはいってもごく小規模なものだけれど、食堂があるのはありがたい。さすがに腹が減った。

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 煮干しラーメンは知っているが、「焼干し」ラーメンというのは初耳なので注文してみた。

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 焼干しのご利益なのだろうか、スープはこくがあってなかなかうまかった。釧路ラーメンとはちがって、ちょっと甘味がある。

 まだスープを吸っていないからわかりにくいけれど、ナルトの上に麩が見える。釧路ではラーメンに麩を入れる店はほとんどないので、旅先で見かけるたびにおやと思うのである。

 そういえばこの旅で食べた料理の写真を載せるのはこれが初めてだ。近頃では多くの人がさかんにご馳走の写真を撮って、映えるの映えないのとにぎやかだから、いまさらラーメンや丼物の写真など新味もないので、ぼくはよほど記憶に残った食い物以外は撮らなくなったのである。

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 結局風の町では蟹を食わずに麺を食い、14時14分発の青森行き普通列車で蟹田を後にした。窓外に波を見るのだから観瀾車だね。

 さて明日は青森県で過ごす最後の日である。

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