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November 08, 2024

Daily Oregraph: ELAC DBR62 について

 本日の最高気温は 8.9度。晴れ。

 ELAC DBR62 というスピーカーのスペックは下のとおり。
Dbr62_spec  なにしろ金はなくても時間だけはたっぷりあるから、十日ほど徹底的に聴きこんで受けたぼくなりの印象をまとめると、

 ・全体的にフラットでクセがなく、特に中高域では刺激的な音がほとんで出ない。もちろん録音の出来にもよることだが、ピアノの音はキンキンしにくいし、サ行の音もかなり自然だ。ソプラノ独唱のあの耳をつんざく強烈な波動砲(?)にも耐えられる(実は今回スピーカーを新調した目的はそのへんの不満の解消にあった。特にキンキンいうピアノの音にはついに我慢しきれなくなったのである)。

 ・音像定位にすぐれ、たとえば歌手は真正面に位置し、たいへん自然で気持がいい。ある意味では、これは高音がどうの低音がどうのというよりも重要なポイントではないかと思う。

 ・このサイズとしては低音の量感がたっぷりあり、もちろん高級な大型システムとは比べるべくもないけれど、大編成の管弦楽曲を鳴らしても、ぼくの八畳間でなら十分お釣りがくる。広々としたお部屋で聴かれる方には当然別の選択があるだろう。

 ・最近のブックシェルフにしてはめずらしく、バスレフポートが前面にあるのもありがたい。密閉箱でさえ左右・背後の壁面の影響を受けるのだから、背面バスレフはスピーカー設置場所の制約を特に受けやすいと思う。

 その一方で、

 ・刺激的な鋭い音がおとなしく聞こえることからもわかるように、全体的にやや抑制が効いているように感じられ、ほんのちょっぴりお上品というか控えめに聞こえる傾向があるから、これといった特徴がない、あるいは迫力が今一つだと不満に感じる人もいらっしゃるようだ。たとえばコテコテの演歌などを聴くと、たぶんなるほどと納得していただけるのではないだろうか(このたびはめったに聴かない都はるみ女史や北島サブちゃんの歌も鑑賞しましたよ)。

 まあそのへんは個人の好みの問題だからしかたがないけれど、とにかく「いやな音」がしないことは確かである。そうかといって、けっして暗くダルい音ではない。女性ボーカルなどはのびやかで暖かみも感じられ、音像定位のよさもあって、つい聴きいってしまう。

 さて肝心の価格だが、二本一組で約八万円だから、決して庶民には手が届かないほどの無茶な額ではない。お値段倍以上というならもちろん話は別だが、これならクラシックから歌謡曲までさまざまなジャンルの曲を安心して楽しめるスピーカーとしておすすめできる。設計者のセンスの良さがうかがわれるすぐれた製品だと思う。

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 サランネットは磁石式で、近づければピタリと定位置にはまる。このスピーカーにかぎらず、サランネットを外して聴いたほうが音はかなりクリアになり、そのちがいはだれにでもわかるほどだ。

 しかし試聴を終えてから、ぼくはあえてサランネットを取りつけた。ずいぶん地味な見た目だが、スピーカーは見えなくてもいいと思ったからである。それに音、音というけれど、人間の耳は鋭敏であると同様に鈍感でもある。どんな音でも長く聴きつづけているうちに慣れてしまうものだ。

 それよりもスピーカーの置き台にご注目いただきたい。知る人ぞ知る、往年の YAMAHA NS-690Ⅱ である(こいつはウーファのウレタンエッジがボロボロに劣化して音が出なくなってしまった)。

 重量が 27kg とガッシリした NS-690Ⅱ の上にのせると、椅子に座ればツィータがほぼ教科書どおりの高さにくる。地震対策として四隅には滑り止めシートをはさんである。ヤマハの上に置いたので(笑)、ピアノの音が全体に大きく改善されたことは申し上げるまでもない。

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Comments

う〜ん。良いスピーカーですね。ちょっと羨ましいです。😀 

今年は正月から大事発生で体調も最悪でした。実家は倉庫や作業場は全壊。家は半壊からその後の余震で全壊です。自然神の力には勝てません。親戚一同無事なだけ良かったです。自分の体調も原因が解って来たので普通に活動できるレベルになってきました。お互いいい歳ですから人見氏もご自愛ください。😁

Posted by: kei Oku | November 09, 2024 06:03

>kei Oku さん

 みなさまお体がご無事だったのはなによりですが、ほんとうに災難でしたね。よく「地球にやさしく」などという人がいるけれど、「地球は人にやさしくない」というのが現実だと思います。

 釧路もたまにかなり大きい地震に見舞われるので、とても他人事ではありません。わがボロ家も前回の大きい地震によってひずみが生じ、壁には亀裂が残ったままです(一応の手当てはしましたが……)。もう一度大きいのが来ればどうなることやら。

 幸いにも体調は回復されたとのことですが、おっしゃるとおり「お互いいい歳ですから」くれぐれもお大事になさってください。

Posted by: 薄氷堂 | November 09, 2024 20:36

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