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November 30, 2024

Daily Oregraph: 古い写真から-臨港鉄道沿いの道

 本日の最高気温は5.3度。曇りのち晴れ。

 先日の「ジブリ坂?」という記事に、今は通行禁止となった知人(しりと)までの臨港鉄道線路沿いの道について書いたけれど、当時撮った中で適当な写真はないものかと古いファイルを探してみた。

 当時はこの道をあきるほど撮ったけれど、これといった写真はなかなかみつからない。あ、これならいいんじゃないかと思って選んだのが次の一枚である(2004年8月14日撮影。ひょっとしたら過去に掲載したことがあるかもしれない)。

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 これを選んだ理由は、なんといってもジーンとなつかしさがこみ上げてきたこと。そしてめずらしく人の姿が写っていること(めったに人は通らなかった)。

 なお NIKON D70というデジタル一眼レフ(使用レンズは失念)で撮影したものだが、このカメラはわずか 600万画素である。なーんだ、とおっしゃるかも知れないが、ぼくにはなんの不満もない。ぼくの持っている1,200万画素以上のコンパクトデジカメとは段違いのいい写りである。しかもこのカメラは二十年たってもまだちゃんと動作するから、また使ってみたい。

 釧路の景色もずいぶん変わったことだから、これを機会に古い写真を見直し、ネタ切れ対策(笑)として利用しようかと思っている。

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November 26, 2024

Daily Oregraph: 11月26日駅裏散歩

 本日の最高気温は6.5度。晴れ。

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 薄い雲が広がっているけれど、まずまずの天気である。今となっては旧式なデジタル一眼レフ(Nikon D200)と、もっと旧式なレンズ(Ai Nikkor 50mm F1.2)の組合せをバッグに入れてバスに乗った。

 またしても駅裏を散歩したのだが、まずは鉄北ショッピングセンター内を撮った次の一枚をとくとご覧いただきたい。

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 「なんだつまらん写真だな」とおっしゃるのはごもっともだが、実はこの写真には深い意味(笑)があるのだ。

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 上の場所を反対側から撮ったのがこちら。逆光と順光とではここまで写り具合がちがうものか、というのも驚きだが、肝心なのはそこではない。

 テレホンクラブの看板は撤去されていなかったのである。つまりぼくは10月31日の記事でウソを書いてしまったことになる。とはいっても、店の前にガラクタが積まれていなければ当然気づいたはずだし、門番の黒猫さえいなければ前進して看板を目にしただろうから、罪一等を減じていただけるのではないかと思う。

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 聖鉄北ショッピング教会のステンドグラスの下で深く反省したことは申し上げるまでもない。

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 ああ、例のシュールな一升壜看板は真正面にあったんだなとはじめて気がついた。慣れたつもりでも見落としていることは多いものだ。

 そこで素直に太田商店さんへ行ってみることにした。ずいぶん以前にお店を見たことがあるけれど、少なくともここ数年はごぶさたしているからだ。

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 店舗はこのすぐ左にある(一升壜の向きを見よ)。ぼくは最近あまりアルコールを摂取していないのでこのたびは店内に入らなかったが、日本酒の種類は豊富らしいので、あなたもぜひ。

 このあともしばらくフラフラと歩き回り、意味もなくシャッターを切りつづけた。

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 たとえばこういうのに出会うと、ぼくは無性に撮りたくなる。一種のクセである。ものはいいようで、偶然芸術(accidental art)とでもラベルを貼っておけば一応は恰好がつく。自分にだってなんだかさっぱりわからないくせに、「わからんやつには到底わからんさ」とか、「ナンセンスに意味を求めるバカがいるか」とでもいって澄ました顔をしていればいいのである。

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 めずらしく大勢の旅行客でにぎわう駅舎内を一回りしてから、駅前のバス停へ。

 駅裏はしばらくパスするとして、お次はどちらへ行こうかと思案中である。

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November 25, 2024

Daily Oregraph: ジブリ坂?

 本日の最高気温は6.8度。晴れ。

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 ここは近所の名もない坂……だったはずなんだが、だれが名づけたのかは知らないけれど、最近ではジブリ坂というらしい。「らしい」というのは、たぶん正式名称ではないからだ。

 どうして「ジブリ」?、とぼくに聞かれても困る。もちろんジブリの名は承知しているが、ぼくは特にアニメファンではないから、ジブリ風とはなにか、またこの坂のどこがジブリ風なのかはさっぱり見当もつかない。

 しかしあえて異を唱える必要はないので、ジブリ坂としておこう。全国の坂ファンのみなさま必見の坂なんだから、ぜひ記憶にとどめておいていただきたい。

 かつてはこの坂を下って直進すると臨港鉄道の線路にぶつかり、右手に折れて線路沿いに、太平洋の海風に吹かれながら知人(しりと)まで歩くことができた。格好の散歩道としてぼくは気に入っていたのだが、臨港鉄道の廃線後レールが撤去されてからは、残念ながら通行禁止になってしまったのである。

 あの散歩道さえ復活すれば、ジブリ坂の価値は大いに上がるのだが!

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November 24, 2024

Daily Oregraph: 枯れたベニイタドリと昔のレンズ

 本日の最高気温は5.4度。晴れ。

 今年最後のササ刈りと落ち葉拾いをした。ササも落ち葉もまだ残っているけれど、きりがないからこれでおしまい。

 さていつも悪くいっているベニイタドリだが、枯れ果てた姿を見ると案外絵になるようだ。いやなやつでもここまで老いてしまえば、なんとなく同情が湧いてくるものである。

 そこでふと思い立って、ずいぶん以前に買ったまま眠らせてあるレンズ(Ai Nikkor 50mm f/1.2)を引っぱり出して撮ってみた。

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 F1.2という恐ろしい明るさのこのレンズは、写真を見てのとおりザワザワとしたボケが特徴で、ちょっと描写にクセがある。50mm 標準レンズの割にはごつくて重い(調べてみたらまだ需要はあるらしく、現役の商品である)。
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 今となってはどうしてこいつを買ったのかさっぱり思い出せないが、入手して間もなくカメラがデジタル化し、ぼくのカメラ(Nikon D200)だと画角が素人のふだん使いには難しい 75mm 相当になってしまうため、戸棚にしまいこんでしまった。その代りに35mm F2 (これだと 52.5mm相当)を標準レンズとして使っていたのである。

 ぼくの腕前では接近して絞り開放で撮るのは至難のわざなので、ベニイタドリの写真はF2 で撮影した。それでも手持ちでこの距離にピントを合わせてシャッターを切るのは難しい。ピクリとでも動いたら、たちまちピンぼけになってしまう。何枚か撮ったうちから一枚選んだけれど、ピントはまだ甘いかもしれない(ご参考までに、うっかり ISO400 にしたまま撮ったので、シャッター速度は 8,000分の1秒)。

 一眼レフは野暮なのでもう何年も外に持ち出していないのだが、せっかく昔のレンズを取りつけたのだから、こいつで町歩きでもしてみようかと思っている。75mm 相当というのはつらいけれど、ブログのネタ探しにもなるし運動にもなる。それに……なにごとも修行である。

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November 21, 2024

Daily Oregraph: 人面樹と遊ぶ

 本日の最高気温は12.8度。曇りのち晴れ。

 点が三つあれば人の顔に見えることはよくある。こうした錯覚は、いち早く敵を発見しようという古い時代の警戒心の名残りなのかもしれない。

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 腕の細さからみて栄養不良と思われる衛兵が叫んでいる。

 -おい、止まれ。止まらんか!

 点が三つどころではない。目も鼻も口も備わっているれっきとした人の顔である。先日東栄小学校校舎跡でみかけたのだが、一瞬だれかが彫刻刀で木に彫り付けたのかと疑ったほどだ。しかしそんなことがあるはずもなく、もちろんすぐに錯覚だと気がついた。

 第一位置が低すぎる。無理な姿勢を取って彫らなくてはこうはいくまい。だから自然のいたずらだとわかってはいても、なんだか気になる。

 そこで本日ふたたび通りかかった際に、近寄って観察してみた。

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 ちょっと角度を変えて見ると、なるほど人の手は加わっていない。まったく偶然の産物にすぎないのだが、左目などはいやにリアルで、全体に昔大映の特撮映画で見た「大魔神」によく似ている。

 映画で得た知識によれば、大魔神は(特に乙女の)涙に弱い。そこで(ぼくはあいにく乙女ではないが)ポロリと涙をこぼし、

 -けっして怪しい者ではございませぬ。どうかお通しくださいませ。

 かくして無事帰宅した次第である。

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November 15, 2024

Daily Oregraph: 11月の町歩き

 本日の最高気温は12.3度。晴れたり曇ったり。

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 十一月もはや半ばである。所用あって外出したついでに、末広町界隈をぶらぶら散歩してきた。

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 こんな自称ゲージツ写真(?)を撮ったり、

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 いつの間にか通り抜けできなくなっていた路地に入りこんだり、

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 解体された丸ト北村の跡地を眺めたり、ひさしぶりにノンビリした気分になれた。

 先日新しいスピーカーを購入してしばらく音楽にひたっていたのは、実はヘンリー・ジェイムズの恐ろしく読みにくい文章に取り組んで、頭がスパゲティになったせいだ。おのれの脳味噌の出来の悪さにすっかり嫌気がさして深刻なダメージを食らい(笑)、気分転換の必要に迫られたわけである。スピーカー代は治療費だな。

 しかしいつまでも遊んでいるわけにはいかないから、そろそろ平常どおり営業を再開するつもりだけど……できるかな? 

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November 10, 2024

Daily Oregraph: 裏庭画報 ササとの戦い

 本日の最高気温は12.9度。晴れ。

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 裏庭にはびこるササの葉とベニイタドリの枯枝をかたづけようとはりきって作業をはじめたのだが、わずかこれだけで 45リットルのゴミ袋が一杯になってしまった。ササだけならまだしも、枯枝をポキポキ折りながら押しこむと、無理をすれば袋が穴だらけになるので、どうしてもギューギュー詰めにできないからである。結局一袋で音を上げてしまった。

 ベニイタドリもしぶといけれど、ササの頑固さには閉口する。地中に根を張り巡らしているから根絶はむずかしいのだろう。せめて葉をできるだけ刈り取って、光合成による栄養補給を妨害しようという、つまりは糧道を断つ作戦なのだが、ほとんど効果はないようだ。

 去年の秋もずいぶんササをたくさん刈り取ったつもりだが、夏になるとやはりあちこちからニョキニョキ葉を伸ばして結局元の木阿弥、まことににっくきやつである。こいつを相手のいくさには勝ち目がないからやめたほうがいいのかも知れないけれど、放っておけばふたたび原野と化してしまうので、あきらめるわけにはいかない。

 夏の間は虫が多いし、冬は雪に埋もれるから、作業をするなら今しかない。達成感のないバカバカしい仕事だけれど、明日もまた……

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November 08, 2024

Daily Oregraph: ELAC DBR62 について

 本日の最高気温は 8.9度。晴れ。

 ELAC DBR62 というスピーカーのスペックは下のとおり。
Dbr62_spec  なにしろ金はなくても時間だけはたっぷりあるから、十日ほど徹底的に聴きこんで受けたぼくなりの印象をまとめると、

 ・全体的にフラットでクセがなく、特に中高域では刺激的な音がほとんで出ない。もちろん録音の出来にもよることだが、ピアノの音はキンキンしにくいし、サ行の音もかなり自然だ。ソプラノ独唱のあの耳をつんざく強烈な波動砲(?)にも耐えられる(実は今回スピーカーを新調した目的はそのへんの不満の解消にあった。特にキンキンいうピアノの音にはついに我慢しきれなくなったのである)。

 ・音像定位にすぐれ、たとえば歌手は真正面に位置し、たいへん自然で気持がいい。ある意味では、これは高音がどうの低音がどうのというよりも重要なポイントではないかと思う。

 ・このサイズとしては低音の量感がたっぷりあり、もちろん高級な大型システムとは比べるべくもないけれど、大編成の管弦楽曲を鳴らしても、ぼくの八畳間でなら十分お釣りがくる。広々としたお部屋で聴かれる方には当然別の選択があるだろう。

 ・最近のブックシェルフにしてはめずらしく、バスレフポートが前面にあるのもありがたい。密閉箱でさえ左右・背後の壁面の影響を受けるのだから、背面バスレフはスピーカー設置場所の制約を特に受けやすいと思う。

 その一方で、

 ・刺激的な鋭い音がおとなしく聞こえることからもわかるように、全体的にやや抑制が効いているように感じられ、ほんのちょっぴりお上品というか控えめに聞こえる傾向があるから、これといった特徴がない、あるいは迫力が今一つだと不満に感じる人もいらっしゃるようだ。たとえばコテコテの演歌などを聴くと、たぶんなるほどと納得していただけるのではないだろうか(このたびはめったに聴かない都はるみ女史や北島サブちゃんの歌も鑑賞しましたよ)。

 まあそのへんは個人の好みの問題だからしかたがないけれど、とにかく「いやな音」がしないことは確かである。そうかといって、けっして暗くダルい音ではない。女性ボーカルなどはのびやかで暖かみも感じられ、音像定位のよさもあって、つい聴きいってしまう。

 さて肝心の価格だが、二本一組で約八万円だから、決して庶民には手が届かないほどの無茶な額ではない。お値段倍以上というならもちろん話は別だが、これならクラシックから歌謡曲までさまざまなジャンルの曲を安心して楽しめるスピーカーとしておすすめできる。設計者のセンスの良さがうかがわれるすぐれた製品だと思う。

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 サランネットは磁石式で、近づければピタリと定位置にはまる。このスピーカーにかぎらず、サランネットを外して聴いたほうが音はかなりクリアになり、そのちがいはだれにでもわかるほどだ。

 しかし試聴を終えてから、ぼくはあえてサランネットを取りつけた。ずいぶん地味な見た目だが、スピーカーは見えなくてもいいと思ったからである。それに音、音というけれど、人間の耳は鋭敏であると同様に鈍感でもある。どんな音でも長く聴きつづけているうちに慣れてしまうものだ。

 それよりもスピーカーの置き台にご注目いただきたい。知る人ぞ知る、往年の YAMAHA NS-690Ⅱ である(こいつはウーファのウレタンエッジがボロボロに劣化して音が出なくなってしまった)。

 重量が 27kg とガッシリした NS-690Ⅱ の上にのせると、椅子に座ればツィータがほぼ教科書どおりの高さにくる。地震対策として四隅には滑り止めシートをはさんである。ヤマハの上に置いたので(笑)、ピアノの音が全体に大きく改善されたことは申し上げるまでもない。

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November 06, 2024

Daily Oregraph: スピーカーのエージングとブレイク・イン

 本日の最高気温は9.8度。曇りのち晴れ。

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 十月末に新しいスピーカーを購入した。見せびらかすほどの高級品ではないけれど、気に入っている。最近低調なブログのネタにもなるからはりきってご紹介したいところだが、まずはこのたび気がついた大事なポイントについてお話ししたい。

スピーカーのエージング?

 新品のスピーカーの音をなじませるためには数十時間あるいはそれ以上の「エージング」が必要だとよくいわれる。しかし aging = growing old (年を取ること)なのだから、ウィスキーを樽で熟成させるのならともかく、ごく短期間でスピーカーに年を取らせるというのは妙な話である。

 ご存じのとおりスピーカーはエッジの劣化などがなければ、何十年たっても平気で音を出す。たかが数週間程度で老化するのだとしたら、一年もたてばコーン紙はクタクタになってしまうにちがいない。そんなバカな。

でも「エージングする」と音は変わる

 大勢の方がそうおっしゃるのはたしかだ。それをみな「気のせい」にしていいものだろうか?

 実はぼくはいわゆるエージング効果には懐疑的だった。自分では明らかに音が変わるという経験をした記憶はないし、どうせオーディオ雑誌のヨタ記事を真に受けてそう思いこんでいるのだろうと考えていたのである。

 ところがこのたびスピーカーを購入して毎日聴きこんでいるうちに、音が激変するのを実感したのである。それはとても「気のせい」などではなく、アッと驚くほどの変わりようなのであった。

 新スピーカーを鳴らしはじめてまもなく首をひねったのは低音の量感である。全体としてはけっして悪い音ではないのだが、教科書どおりの位置で聞くと明らかに低音が足りない。低音がかなり出るという評判だったし、また最近のブックシェルフでは12~13センチ・ウーファが主流なのにこいつのウーファは16センチ(6.5インチ=いわゆるロクハン)なのだから、もっと低音が出なければおかしい。

 そこでスピーカーに耳を近づけてみると、意外にも低音はたっぷり出ている。ところが耳をだんだん離すと、あるところでその低音がフッと消えてしまうのだ。まさかと思ってアンプとの接続を確認したが、配線のプラス・マイナスに間違いはない。こういう現象は初めてだったからびっくりしたのである。

 音がガラッと変わったのは四日目(※訂正:実際は五日目)だった。いつものようにアンプのスイッチを入れ、教科書的ポジションに坐ってボリュームを上げると、左右のスピーカーの間からいきなり豊かな低音がたっぷりと響いてきたのだから耳を疑った。これまた初めての経験である。

「エージング」と「ブレイク・イン」

 オーディオの世界では怪しげな迷信が横行しているせいもあって、ことあるごとに肯定派と否定派が論争を展開している。「エージング論争」もそのひとつだと思う。そこでたまにはぼくもまじめに考えてみた。

 結論からいうと、「エージング」ということばが不適切なのである。あらゆるものは老化するから、丈夫なスピーカーといえども、十年二十年と歳月が経過すれば微妙に音は変わるだろう。それをエージングと呼ぶのならかまわないと思う。しかし新品を使いはじめたごく初期のうちに音がはっきり変わるとすれば、それはエージングなどではありえない。

 このたびは明らかに音の変化を認めたのだが、それをなんと呼ぶべきなのだろうか? 疑問を感じながら、ふと輸入代理店が製品に添付した和文マニュアルを読んで膝を打った。なるほど、これならわかる。

 新しいうちはユニットの鳴らしこみ(ブレイク・イン)が必要です。ある程度鳴らしこんだ後に設置場所などの詳細なセッティングを行うことをお勧めいたします。

 たいへん親切な説明だと思う。ブレイク・インという表現もいい。ただしこれからご説明するように、「必要です」は必ずしも適切な表現とはいえない。

 ブレイク・インとは、break in (イギリス英語では run in)と動詞で使えば「エンジン・車などを初めのうち丁寧に運転する」つまり慣らし運転することをいう。break-in と名詞にすれば、「各動作部品が効率よく働くようになる運転初期の段階(つまり慣らし段階)」ということ。

 エンジンにかぎらず一般にメカを使いはじめると、必ずブレイク・インの時期を経過してから調子よく動き出すということだ。エイジングの果てには必ず老化=劣化が待っているのだから、ブレイク・インとはまったく性質がちがう。

 だからブレイク・インは必要なのでも不必要なのでもなく、またあなたの意志によってしたりしなかったりするものではなく、メカを動かす以上初期のうちに自然に行われるものなのだから、どうのこうのという論争の余地はまったくない。

 どうしてもエージングと呼びたければそれでもかまわないけれど、以上から明らかなように、特別の作業はまったく不要であることがわかる。エンジンの回転数を無茶に上げずにふつうに運転していればやがて車の慣らしが終わるように、スピーカーの場合も耳を聾するようなバカでかい音を立てずにごくふつうに鳴らしていれば、だまっていてもいずれ慣らしは完了する。

 YouTube にはエージング用の音源と称するものが出回っているけれど、そんなものは必要ない。いやでもなんでもブレイク・インの段階を経過するのだから、いつもどおりに好みの音楽を鳴らしていればいいのだ。どうしてオーディオの世界にはこの手のもっともらしい思いつきが幅を利かせているのだろうか?

 ブレイク・インの効果や期間にはスピーカーの個体差によるちがいもあるだろうし、いつの間にか自然に終わるものなのだから、人によってはっきり気づいたりまったく気づかなかったりすることもあると思う。今回はたまたま効果が顕著だったことと、暇にまかせて毎日朝から晩まで集中して聴きつづけたせいもあって、日ごろ鈍感なぼくにもわかったのだろう。

 いずれにしても、ブレイク・イン後に音を評価せよという輸入代理店の適切なアドバイスには素直に従いたいと思う。

 次回はいよいよ ELAC DBR62 について。

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November 05, 2024

Daily Oregraph: 裏庭画報 最後のコスモス

 本日の最高気温は12.1度。晴れ。

 もう花はすべて散ったと思いこんでいたのだが……

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 コスモスの花ふたつ、しっかり生き残っているのを見落としていた。わが裏庭今年最後の花である。

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November 03, 2024

Daily Oregraph: 十一月の青空

 本日の最高気温は13.0度。晴れ。

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 エゾノコンギクの花散りにけり。花はなくなっても、これはこれでおもしろい。婆さんたちが日だまりに大勢集まって、にぎやかに世間話をしているように見えるのである。

 花の命は短くて、あっという間に白髪頭になった婆さんたちのことだから、どうせたわいのない話なのだが、革命派の集会じゃあるまいし、それはしかたがない。

 -ついこの間までは時間をかけて化粧していたのに……

 -それもおっくうになっちまったねえ。

 -まったくどうしてこうなるのかしら。

 -しかたがないさ、みんな年を取るんだから。ほらごらんよ、あの桜の木だってとうとう丸裸だよ。

 一同ここで溜息をつき、首を振りながらエゾヤマザクラを見るのであった。

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 そうとは知らず、桜の木の下では管理人の爺さんがブツブツ文句をいいながら落ち葉を竹ぼうきで掃き集め、せっせとゴミ袋に詰めこんでいる。

 空はあくまでも青い。いつの間にか十一月になっていた。

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