Daily Oregraph: P. G. ウッドハウスのすすめ
本日の最高気温は14.5度。曇りのち晴れ。
わが家の真向いのお宅が取り壊された。いずれ新しい家が建つまでは海がよく見える。この景色に新鮮な印象を受けるのは、最後に見たのが子どもの頃だからだろう。
さてウッドハウス(P. G. Wodehouse)の『ウースター家の掟(The Code of the Woosters)』を先日読み終えた。わが国でウッドハウス(1881~1975)という作家を知る人はさほど多くないのではないかと思うが、英国では国民的作家の一人、つまり別格的存在といっていいだろう。
いわゆるユーモア小説の大家であり、彼の作品の登場人物はいずれも奇人変人のたぐいで、ほんとかよというような途方もないストーリーがめまぐるしく展開し、抱腹絶倒、息もつかせずに一気に読ませる……といいたいところだが、俗語を駆使しているから、学習辞書だけではとても先へ進めず、つっかえ、つっかえ読むことになる。しかしそれでもとにかくおかしい。人生がつくづくいやになったときに(笑)読むといいんじゃないだろうか。
『ウースター家』についてはネタばれになるから詳しくは書かないが、しょせん滑稽小説だろうなどとなめてはいけない。文学作品からの引用がちりばめられているので、極東の読者がより深く楽しむためにはやはり先生が必要だと思う。しかし、あいにく身近に先生はいないよね。残念でした。
いや、まあお待ちなさい。あきらめるのは早すぎる。いまや大学に入り直さなくてもそれなりに勉強できるありがたい時代だ。世の中にはウッドハウス研究家なる奇特な人々がいて、Madame Eulalie's Rare Plums という驚くべき専門サイトには作品ごとの詳細かつ丁寧な注釈がある。このサイトなくしては首をひねるだけで終ったであろう箇所がいくつかある。長年の研究の成果を無償で提供してくれる高邁な精神には感謝感激だ(税金をかすめ取ることしか頭にない政治家どもとはえらいちがいだな)。
本作のテキスト(無料)もインターネットで読める。そこの英文科のおねえさん、あなたお読みになりましたか? ミスなんとか大学に応募している場合じゃない。これ、必読ですぞ。
なお天下の OED もウッドハウスは特別扱いで、ウッドハウス語(?)は下の例のように5つ掲載されている。
Comments