Daily Oregraph: 明窓浄机?
本日の最高気温は15.4度。晴れのち曇り。
明窓浄机という言葉には麻薬的な魅力があり、こういうすっきりした部屋(2002年9月撮影。金福寺芭蕉庵)に小さな机を置いて、塵ひとつない机の上には本と辞書が一冊ずつ、主は端然として正座し、宇治の煎茶を啜りながらゆっくり頁をめくる……というのは実に格好がよろしい。理想的である。読書人とはこういう人をいうのであろう。
しかしそううまく話が運ぶはずはない。明窓はともかく、浄机はまず無理な注文である。辞書だけで少なくとも数冊、それに参考書が何冊か加わるから、液晶ディスプレイに場所をふさがれた机にはとてもすべてを置く余裕などない。余った分はどうしたって床に転がさざるをえないではないか(しかしこれが案外便利だから困る)。
しかも日によってはさらに参照する辞書や本が増えるので、しまいには新世界の飲食店街みたいな様相を呈することになる。当然片づけるのがおっくうになってそのまま放りっぱなしにするから、まさか坂口安吾の部屋ほどではないけれど、数日もすれば雑然混沌として、とても掃除機を使うどころの状態ではなくなってしまう。
これではいけない! 第一不潔である。今朝奮然として立ち上がり、数週間ぶりに掃除をしたというのが個人的大ニュースなんだから、われながら情けない。バカじゃないかと思う。
Comments
私などは机はとてもじゃないが使える状態ではなく、その椅子も物置状態。従って読書は多々者上の寝転がってという体たらくです。
ちなみにパソコンは食卓の上。食事のたびにあちらこちらに行ったり来たり・・・
「明窓浄机」
美しい言葉だとは思いますがねえ…ほど遠いなあ。
Posted by: 三友亭主人 | October 07, 2021 18:24
>三友亭さん
調べものをしながら本を読むと、だれだってそうなりますよねえ。
ぼくは膝が痛むので畳の上は苦手なものですから、椅子をもうひとつ用意して、時々そいつに両足を預けています。その足置き用の椅子にも辞書を置いたりしますので、足を動かすとそいつがドサッと音を立てて床に落下することもしばしば……
ところで芭蕉庵ですが、夏は涼しそうですけど、真冬は想像するだけで恐ろしく(笑)、風流も命がけと悟りました。
Posted by: 薄氷堂 | October 07, 2021 21:05