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April 12, 2019

Daily Oregraph: くすのき物語

190411_osaka

 4月11日に当社大阪通信員が撮影した十三公園の楠。最近ぼくは低調ゆえ、写真を送ってくれるのは大いに助かる。しかしいくら写真を提供してくれても、無給であることには変わりない。すべてアベノミクスのせいである(笑)。

 たしかに堂々たる楠である。かたちもいいし、生命力に溢れている。一方の通信員君は枯れかかっている。緑の葉を茂らせる樹木と枯れゆく爺さん(失礼)との間に吹く風は、さわやかにはちがいないけれど、どことなくもの悲しくもある。

 -ねえ、こんなに天気がいいのに、どうして悲しそうな顔をしてるの?

 -う~む。それはね、君も大人になればきっとわかるよ。

 ここで通信員のお爺さんは、かつて新聞でみかけた佛教大学の広告コピーを思い出すのであった。

    人間は、
    いつか
    死ぬ。

 -ほんとだよなあ。それに、この楠だって、いつかは枯れるのだ。

    木は
    いつか
    枯れる

 -だとすれば、

    悪は
    いつか
    滅びる

ということになるな。いや、そうならねば困る。

 -お爺さん、なにブツブツ独り言をいってるのさ。はい、これ。

 そういって少年は、大阪のうるわしい習慣に従って、飴玉をひとつ差し出した。お爺さんは礼をいって、素直にそれを受け取った。賢そうな子だから、いずれあそこに見える北野高校にでも進学するのだろう。

 お爺さんの相手に飽きた少年は、教会のほうへ駆けていった。その後ろ姿を見送りながら飴玉をほおばったお爺さんは、思わず口をすぼめた。酸っぱいレモンの味がしたのである。

 -ああ、おれはこの味をすっかり忘れていた……

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Comments

>木は いつか 枯れる

でも、多くの場合は私たちが死ぬ、ずっとあと。

問題は

>悪は いつか 滅びる

目下のところの最大の悪が自分の年齢に近く、ひょっとしたら自分よりも先に生き延びる可能性があること・・・

Posted by: 三友亭主人 | April 16, 2019 06:28

>三友亭さん

 たしかにこの世に人のあるかぎり、悪人はのさばりつづけるでしょうね。

 いくらなんでも、数の上では悪人のほうが多いとは考えにくいのですが、問題は善人(とはいわなくても、ふつうの人)がお人好しすぎることです(だから善人なのか……(笑))。

 その「どんな目に会おうともすべてに感謝して、なにも疑おうとしない」お人好しが災いして、結果的に悪人に荷担し、大多数を不幸にしてしまうということに気づいて欲しいものです。

 どうしたらいいのか、久延彦さんのお知恵を拝借したいところですね。

Posted by: 薄氷堂 | April 16, 2019 11:01

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