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May 14, 2017

Daily Oregraph: 京都足棒日記 神社巡り編 (2)

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 3月26日。この日最初に訪れたのは、東寺近くの六孫王神社。

 「清和源氏発祥の宮」とあるとおり、六孫王とは源経基(つねもと)を指す。経基は清和天皇の第六皇子の子、つまり孫にあたり、鎮守府将軍に任ぜられ源姓を与えられたので清和源氏といい、のちの頼朝につながる。

 「出生から出世まで」は面倒を見てくださるが、いったん出世したらあとは独立独歩ということらしい。

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 鳥居をくぐると中央には池があり、丸い石碑には神龍池という文字が刻まれている。

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 神社のサイトにある説明によれば、昔は「六ノ宮権現とも呼ばれ」今昔物語集巻十九第五話に「六の宮といふ所」とあるのがこの神社らしい(注:原文は中川@やたナビさんの労作「攷証今昔物語集(本文)」で読むことができるのでご参照いただきたい)。

 しかし行きあたりばったりで行動するぼくにそんな予備知識はなかったから、境内をブラブラしただけだったのは残念である(もっとも、一切の先入観なしに訪れるのも楽しいのだが……)。

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 この日二つ目の神社は桂川を渡ってすぐ、嵐山の少し南に位置する。

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 松尾大社。大社らしく鳥居も大きい。

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 境内の広さは、コンパクトな六孫王神社とは比較にならない。

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 ええとこのお子さんなのだろうか、着物姿の(たぶん)姉・弟のお参りするところをプロとおぼしき人々がビデオ撮影していた。

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 この大社も予備知識ゼロだから、どんな神様を祀るものやらわからず、ウロウロしていると、人だかりがしている。

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 どうやら大ベテランの方が山車(?)の組み方を指導されているらしかった。よほどおたずねしようかと思ったが、みなさん真剣そうなので遠慮しておいた。

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 「樽うらない」とは初めて見るものである。初穂料300円で矢を二本渡してくれる。それで樽を的にして射るわけだが、真ん中の黒丸に命中すれば「大吉」、その外側の赤丸だと「当り」、外れると「あまり福」(凶でないところがやさしい)、それぞれに対応するお守りをいただけるらしい。

 この場合、純然たる運任せではなく、弓道の心得の有無がおおいに関係するから、ぼくがパスしたことは申し上げるまでもない。

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 なんで樽うらないかというと、酒樽を正面に据えたお酒の資料館なるものがあったので納得。お酒に縁のある神様だということがわかった。

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 ここの神様は禁酒はされないが(笑)、禁煙主義らしい。

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 祭神は大山咋神(おおやまぐいのかみ)だが、もともとは松尾山山頂付近の磐座(いわくら)信仰らしいから、三輪山に似たものなのかもしれない。

 この神様は酒造りがお得意で、素戔嗚尊は松尾の神様のお造りになったお酒を飲んで八岐大蛇を退治したのだそうな。なんだか頭がボーッとするほど大昔の話である。

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 こちらにはしゃもじ形の「かけ絵馬」というのがあって、どうするのかと思ったら、

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こういうことであった。

 (もう少し嵐山に近ければ、観光客がわんさと集まるのかもしれないが)この日は日曜日にもかかわらず、意外に人出は少なかった。

 帰宅後調べてみたら、見所はもっとたくさんあったようだ。インターネット環境になかったから仕方ないけれど、ある程度の予備知識はやはり必要らしい。六孫王神社もそうだが、もしまた機会があったら再訪してみたい。

(つづく)

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Comments

そうなんですよ。
松尾大社は、我が大神神社と並んで我々酒飲みには最も大切にするべくお酒の神様。

私も一度は入て手を合わせ、日ごろの感謝を申し上げねばと思っているのですが、なかなかチャンスが無くてねえ・・・

Posted by: 三友亭主人 | May 14, 2017 22:38

>三友亭さん

 そりゃそうです。三友亭さんともあろうお方がお参りしないわけにはいきませんよ。ついでに樽うらないも試してごらんなさい。

 まさか境内で酔っ払うわけにはいかないのでしょうが、お賽銭を上げるとお猪口で一杯だけ(笑)飲ませてくだされば……と思います。

Posted by: 薄氷堂 | May 15, 2017 09:57

ご紹介ありがとうございます。
松尾大社は、かなり昔に論文に載せるため、田植祭というのを撮影に行きました。
5〜10歳ぐらいと思われる女の子を、お父さんと思われるオッサンが肩車して社殿の周りを練り歩くというもので、子供が小さければいいんですが、大きい子だとかなりきつそうに見えました。
http://kyototravel.info/%E5%BE%A1%E7%94%B0%E6%A4%8D%E5%BC%8F
この写真を載せる予定だった論文は、なぜかボツになったり、出るはずの本が企画倒れになったりして、いまだに活字になっていません。
写真を撮るのに夢中で、賽銭を上げてくるのを忘れていたので、神のお怒りに触れたのかもしれません。

Posted by: 中川@やたナビ | May 24, 2017 22:24

>中川@やたナビさん

 勝手にリンクを張ってしまい、大変失礼いたしました。なお六の宮と「いふ」ではなく、「云ふ」が正解ですが、どうかご容赦のほど。

 この巻十九第五話だけ印刷して拝見しましたが、よくまあ全巻入力されたものと感服いたしました。大変な手間と時間を要したにちがいありません。

 松尾大社の田植祭というのは五穀豊穣を祈るお祭りだそうですが、酒造の神様だから、田植→米→酒という連想も働きますね。

> 写真を撮るのに夢中で、賽銭を上げてくるのを忘れていた

 それはお互い様です。特に禁煙主義の神社だと、一服してお賽銭のことを思い出すひまがなく(笑)、よく忘れますよ。
 

Posted by: 薄氷堂 | May 25, 2017 09:58

>勝手にリンクを張ってしまい、大変失礼いたしました。

いえいえ、リンクは引用と同じですから、無断でも全然失礼じゃありません。むしろうれしいです。
なんなら、本文もコピペしていただいても、いっこうにかまいません。

>大変な手間と時間を要したにちがいありません。

最初は読みにくさと異体字の多さで、何十年かかるかと思いましたが、だんだん慣れてくると大した苦ではなくなってきました。
今は今昔ロスみたいな感じです。
ともあれ、なにしろ元の本の字が小さいので、老眼が進む前に終わってよかったと思います。

Posted by: 中川@やたナビ | May 27, 2017 18:07

>中川@やたナビさん

 どうもありがとうございます。また利用させていただくこともあるかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 インターネットに文章や写真などを掲載する以上、(剽窃は論外として)無断で引用されることはあらかじめ覚悟すべきだとぼくは考えております。しかし世の中にはたまに「引用・リンクお断り」というお方もいないではないので、やはり気を使うものです。

 さてぼくも老眼の一歩手前になったらしく、辞書の細かい文字を読むのがつらくなりました。だからPCで利用する辞書のほうが(文字サイズも変えられるし)読みやすいんですけど、全部PCというわけにはいきませんから、ほとほと弱っています。

Posted by: 薄氷堂 | May 27, 2017 21:26

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