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April 12, 2017

京都足棒日記 ふしぎいなり編 (2)

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 千本鳥居に入る。実際は千本どころか五千本以上あるらしい。

 自分のメモとして、詳しい地図を見ながら、ざっと伏見稲荷のお山巡りコースをまとめてみよう。当日は地図なしに歩いたから、まだ記憶の新しいうちにふり返ってみようというわけだ。

 千本鳥居は本殿裏手から左右二手に分れ、三ツ辻でひとつになる。それが四ツ辻からはふたたび左右二手に別れ、そのどちらも上之社のある頂上(一之峰)へ通じている。右手のコースを取れば、途中三ノ峰、二之峰を通過することになる。

 写真とつき合わせてみたところ、ぼくの取ったコースは山頂までは右手、右手と進み、下りは上りの反対だったようだから、ちょうど一回りしたことになる。

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 途中脇道があったので登ってみると別のお社(伏見神宝神社)があり、「かなえびな」なるものを拝見した。

 もはやかなえるべき望みもないジジイは、この風流なお雛さんを拝見するにとどめ、いま来た脇道を引き返した。

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 小なりといえども山は山、青々した竹藪なんぞもあって、北海道からのお上りさんにはちょいとめずらしい。

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 脇道を下れば、ふたたび千本鳥居である。

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 このあたりから本格的な登りになる。稲荷山はもちろん険しい山ではないけれど、登りの石段が連続するのは体にこたえる。

 ははあ、やつめ、さぞかしハアハアと息を切らしたことだろう、とお思いかもしれないが、それはちがう。どんどん登りつづけるからこそ息が切れるのであって、一段ずつノロノロ進む分には息の切れようがない(笑)。

 つまり足が思うように上がらないのである。膝を曲げるのがつらい。老化や劣化ということばが目の前にちらついてくる。だんだん後悔の念が湧いてくる。

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 石段に次ぐ石段を登ってたどり着いたのが四ツ辻である。市街地を一望できるから、いつの間にかかなり上まで登ってきたらしい。

 参道の要所要所には茶屋というか休みどころがあり、ここにも割と大きなお店があった。この場所は休みどころというより、思案のしどころといったほうがいいかもしれない。

 観光客のほとんどは、ここから引き返すにちがいない。それもあたりまえの話で、この先なおも延々とつづく石段を登って、山頂をめざすべきかどうか……

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 四ノ辻からはこのお社(たぶん二之峰 中之社)まで、まったく写真を撮っていない。写真どころではなかったのである(笑)。

 足がなかなか上がらない。まるで拷問である。途中ぼくよりも年配のリュックを背負った爺さん婆さんのグループに追い抜かされたのは情けなかった。しかも彼らはお参りのベテランらしく、どこそこのスポーツ用品メーカーの品は具合がよろしいなどと、ノンキな会話を楽しんでいるのだから、余裕綽々である。

 おのれ、今に見ておれ。おれだって地元に住んでいれば、こんな山道など鼻歌まじりで登るようになってみせるぞ。

 なお途中ところどころに自動販売機も設置されているが、場所柄すべて割高なのはやむをえない。あらかじめ飲物を用意しておくのが賢明であろう。給水必須である。

 ぼくはうっかりそれを忘れたために自販機のお世話になったけれど、それではまだ足りず、途中のお社でお手水をがぶ飲みしたから、これからの季節、500 ccのペットボトルを二本ほど用意したほうがいいと思う。となればリュックも必要か。

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 地図を見れば、二之峰から一之峰まではほんのわずかな距離なのだが、容赦なく石段はつづく。永遠に石段を登るという神罰がギリシャ神話にあったかどうかは知らないけれど、それに近い気分になる。

 そのときである。「山頂」の二文字が前方に現れたのは。

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 翼よ、あれが稲荷の一之峰だ。

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 達成感にひたるどころか、すっかり疲れ切って、物好きにも山頂をめざした自分に腹が立ったから、お賽銭は上げなかった(笑)。人様の信心は尊重するが、神仏は頼まず。宮本武蔵の心境だな(それにしては腹を立てるところが未熟である)。

 やれやれ、やっとこれより下り道だ。

(つづく)

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