Daily Oregraph: にわか信心
家人が神社に行きたいというから、昼少し前につきあった。正月も六日ともなれば人影は少ない。その代り、木の枝は結ばれたおみくじで真っ白になっていた。
おみくじや破魔矢などの屋台(?)は店仕舞いをしているところであった。いわば後の祭りである。
不信心者らしくお参りを人任せにして境内を眺めていると、真新しいお稲荷さんの祠が目に入った。そのへんをコソコソそうろつき回っている気弱なキタキツネとは大ちがいで、眼光鋭いお狐さんである。
石碑を読んでみると、
ああ、あの神社が合祀されたのか。
御得稲荷大神がいかなる神様かは知らないけれど、なんとなく現世利益がありそうなお名前である。日本の神様はガラリと戸を開ければ長火鉢を前に赤い顔をして熱燗を一杯やっていそうだから、気楽に頼み事できるような気がする。
そのためにも次に来たときにはお賽銭を上げなくてはいけない。
-ばかもの! 手ぶらで来るとはなにごとか。
とまあ、神様からお叱りを受けたわけだが、世間並みの信仰心を持ち合せている家人がぼくのために求めたおみくじは大吉であった。迷信とばかにしてはいけない。ことばには力があるのだ。大吉といわれて気を悪くするような人はいまい。
今度はきっと五円玉を用意してまいりますから、大吉の私めをなにとぞよろしく。
Comments
「御得」とはすごいですねえ。
うん、いかにもご利益がありそうだ。是非ともお参りせねばと思うのですが、気軽にお参りするには釧路はあまりに遠いですネ。
そこで・・・ご提案ですが、こっちの神様は薄氷堂さんの分までお参りしときますから・・・そっちの神様は・・・お願いできませんかねえ~
Posted by: 三友亭主人 | January 07, 2017 06:54
>三友亭さん
お安い御用です。大吉の私にお任せあれ。
追ってご報告いたします。
Posted by: 薄氷堂 | January 07, 2017 17:47