Daily Oregraph: 相模春紀行 (2) 4月19日 朝の散歩編
05時27分。
北海道の住人にとって、とんと時間の見当がつかない雨戸は慣れぬもののひとつである。それでも自然と目が覚めてしまうのは……いうまでもなく年のせいだろう。朝日が sun sun と部屋に射しこんでもコンコンと眠り続けていた頃がウソのようである。
近くの田尻第一公園に行って、まずは自販機で買ったジュースを飲みながら呼吸を整える。木々の鮮やかな緑を見ると、道東とは季節が完全にずれていることを痛感する。
公園の脇には道祖神がある。そう古い碑とは見えず、こういう信仰がまだ生きていることに軽い驚きを感じた。
道祖神の招きにあひて、三里とまではいかないが、約一時間、つまり一里ほどの散歩をスタートすることにした。
町内会の掲示板はけっしてバカにはできず、特によそ者にとっては貴重な情報源となるから、パチリと一枚撮っておく。
県道46号線。駅前の郵便局が見える。
05時59分。
番田駅のホームには、すでに大勢の通勤客が集まっている。何度も乗り換えして遠くの勤め先に通うのであろう。
ノンキなじじいの散歩とは大ちがいで、何十年もの間こうした通勤が毎日繰り返されると思えば、生きていくのはほんとうに大変なことである。
しかし、かく申すぼくにしたって、それなりに奮闘してきたのだから、労働者諸君にはどうか温かい眼で見ていただきたい(笑)と思う。
この小さな流れは鳩川で、この先で相模川に注いでいる。岸辺に咲いているのは菜の花だろう。
しばらくウロウロしていると、(たぶん)サヤエンドウの花が咲いているのにはビックリした。あとで知ったのだが、昨年の11月に蒔いたものらしい。いくら暖かいとはいえ、越冬して花を咲かせるとは驚きである。
住宅街の間にある畑。おったまげましたよ。
そういえばAさんも土地を借りて野菜を作っておられるのだが、自給自足どころか、収穫がありすぎて処分に困り、近所におすそ分けするほどだという。
まあこれほど気候が異なるのだから、とても勝負にはならない。低温の釧路でちまちまと小松菜を栽培しているのがバカらしくなってきた。
散歩を終えて朝食をご馳走になり、Aさんが案内してくださるというので、ふたたび番田駅へ。
09時26分50秒。さすが正確さを誇るJR、09時27分発の茅ヶ崎行き普通列車が定刻に到着した。
さてこの電車に乗って二人はどこへ行くのでありましょうや。次回をお待ちあれ。
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