Daily Oregraph: 道はひとすじ
六月になった。だからといって散歩のコースを変えるわけではない。むやみに憲法を変えてはいけないのと一緒である。
そうはいってもたまには変化が欲しいから、ひさしぶりに知人の浜に降りてみた。予想に反して、今日は無人であった。等比数列は不成立である。
しばらくボーッとしてから線路に戻ろうとすると、踏切におじさんがひとり立っていた。すれちがってから後ろ姿でも撮ろうと思ったら、なんとおじさんは悠々と立ち小便をしはじめたではないか。
そこで知人の路地のネコを撮ることにした。数年前にはずいぶんネコが寄ってきたものだが、最近はさっぱりである。とうとうネコにも嫌われたか。
ああ、やっぱり改築ではなく解体工事だったのか。
ここには立派な啄木の歌碑がある。ちょっと読んでみようか。
よりそひて
深夜の雪の中に立つ
女の右手のあたゝかきかな
啄木はまるで呼吸をするように自然に歌を詠む人で、やはり一種の天才というべきなのだろうが、こういう歌は生理的にあまり好きになれない。
よくもまあ臆面もなく……という感じがするのである。深夜女の手をにぎるのは別に悪くはないけどさ(いや、うらやましい(笑))。
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