Daily Oregraph: 間の悪い話 (2)
キーボードの話のついでに、ぼくの手元にあるタイプライタ教本(注)から図と写真をひとつずつご紹介しよう。今どき英文タイプを習おうなどという酔狂な方はおいでにならないだろうが、まあ、話の種にはなるかと思う。
なんとスペース・バーの長いこと! 左親指は「分担なし」になっているが、ぼくは時々スペース・バーを担当させることがある。これはまあ、北辰一刀流と二天一流のちがいのようなものである。
記号キーの配列はタイプライタのメーカーによって微妙なちがいはあるけれど、もちろんアルファベットの配列はどれも共通。上の例のように、数字「1」のキーがない場合は、アルファベットの「l」を代用する。
上図にしたがって、最初にすべての指を置くのがホーム・ポジション。ちょっと見にくいけれど、写真をごらんあれ。
写真のモデルは女性だが、やはり右親指は「N」と「M」の境目近くにある。男のごつい指だと、もう少し右寄りに来るだろう。これを見ても、最近の日本語キーボードだと、スペース・バーの狭すぎることがおわかりいただけると思う。パソコン・メーカーの猛省(笑)を促したいところである。
なおホーム・ポジションは合理的に考え抜かれているから、断然能率がいい。かつては英文タイプは実務の道具であったが、いまや日本語もキーボードで入力する時代なのだから、中学校あたりでホーム・ポジションを教えてはいかがだろうか。若い人なら一週間もあれば基本を習得できると思う。
(注) 『実務に役立つ 英文タイプの打ち方』 高瀬泰英著 昭和56年 大泉書店
【8月23日追記】
勤務先にあるクラシックなタイプライタをご覧あれ。
ああ、このシンプルさ! 一種の風格さえ感じずにはいられない。そうとも、スペース・バーはこうでなくてはいけないのだ。
もう使う人もないままホコリにまみれている。キーを押してみたら、ずいぶん渋くなっていた。油をさしてやる必要がありそうだけれど、今さら出番がないしなあ(笑)。
The comments to this entry are closed.
Comments