Daily Oregraph: 裏庭画報 雪娘との対話
ワサビではない。ワビサビのドライフラワーである。
雪は七難を隠すとはよくいったもので、秋の終りには雑草の目立った畑は少女の肌のように清らかで、足を踏み入れるのがためらわれるほどであった(so ... that の構文だなあ)。
-おじさん、靴を脱いで上がってね。
雪娘はそういうと、切れ長の目でぼくをじっとみつめた。だんだん恐くなってきた。
-うむ、そうだな。だけど……遠慮しておこう。
-そうよね、ここは心のよごれた人の来るような場所じゃないの。おじさん、なにかうしろめたいところがあるでしょう?
ああ、この娘はなんでも知っているのだとぼくは思った。
-そりゃあ、あるさ。この年までなにもないわけがない。だれだってそうじゃないのか。
雪娘はかすかに笑ったように見えた。
-いいのよ、これからおじさんを雪に埋めてきれいにしてあげるから。
というわけで(笑)雪が降りはじめた。大雪ではないけれど、着実に積もってくる。心のよごれたおじさんとしては、生埋めになってはたまらないから夕方雪かきをしたが、明朝もまた雪かきは必至である。おい、雪娘、勘弁してくれよ。
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Comments
>れからおじさんを雪に埋めてきれいにしてあげるから。
本当に雪は何もかもきれいさっぱりに覆い隠してしまいますよね。
けれども、それが解けた後には・・・
・・・・ですよね。
Posted by: 三友亭主人 | February 09, 2014 21:50
>三友亭さん
> けれども、それが解けた後には・・・
もちろん美しくよみがえったおじさんが現れるに決まっているじゃありませんか。
Posted by: 薄氷堂 | February 10, 2014 13:12