Daily Oregraph: 維新よりニシン
このところほとんど写真を撮っていない。精神だけは(笑)芭蕉翁と同じで、どうも旅に出なければ意欲が湧いてこないのである。季節はちがうけど、なんで年寄る、というところも同じ。
それでも昨日ニシンの写真を撮っておいたのは上出来といえる。ニシンは春の季語だし、困ったときには歳時記を開けばなんとかなるからだ。どれどれ、
主婦のよろこび鰊干す針金があつて 細谷源二
ぼくの歳時記に載っている六句の中からこれを選んだのは、魚の生々しさがもっともよく表現されていると思ったからである。主婦の手に残る魚の生臭さまで感じたのは、ちょっと句意からは離れてすぎてしまったかもしれないけれど。
干したニシンもうまいものだが、酒飲みなら、
親父のよろこび今夜飲む酒があつて 三友亭(?)
というところだろうか。
ニシンは小骨が多くてイヤになるけれど、まあ我慢できないことはない。昔は猫またぎとまで呼ばれたらしく、ほとんどが肥料にされたらしい。しかし人の役に立つのだからえらいものだ。あとは……いわなくてもわかるね(笑)。
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Comments
>親父のよろこび今夜飲む酒があつて 三友亭(?)
結構な句(笑)、代作ありがとうございます。けっきょくのところ、酒があればなんとか一日が終わりますからね・・・
にしんは、関西にいると身欠にしんとか、京都のにしんそばとか・・・後はそのお子様の数の子か、ぐらいですが、あれがちょいと苦手で・・・
宮城にいたころは塩焼きがほとんどでしたね。おっしゃるように小骨が多いんですよね。でもこれは好きでしたね。
そうそう、一度だけ刺身で食べたことがありました。東松島市にある宮戸島というところの民宿がついにやっていた居酒屋さんに正月早々出かけたら刺身はこれしかないって出されたですが、なかなか乙なもんでした。
自分の家で漁したものを中心に出しているお店でしたが・・・その日の網にはにしんしか入らなかったそうで・・・にしん尽くしの料理でした。
Posted by: 三友亭主人 | March 21, 2013 22:46
ああ、鰊。
僕がこの世で一番好きな食べものは
鰊の切込みです。
親父は小樽でしたから、
食卓にはイカの塩からよりも鰊の切込み。
ただし、最近は小樽でもあまり獲れなくなって来たようで
輸入物の切込みも増えているとか。
青森の鰊の切込みに押されているとも聞きます。
ああ、少し嘆かわしい。
Posted by: 根岸冬生 | March 22, 2013 10:00
>三友亭さん
これ、自由律の俳句なんでしょうかね。
> 酒があればなんとか一日が終わりますからね・・・
つまり酒がなければ終わらないと……(笑)
> 京都のにしんそば
一度だけ食べたことがありますけど、格別うまいものとは思いませんでした。魚の獲れぬ土地ならではのものでしょうか。でも塩鯖には感心しましたよ。
わが家ではやはり塩焼きがメインです。数の子はなぜあれほど珍重されるのか、ぼくもよくわかりません。
Posted by: 薄氷堂 | March 22, 2013 22:09
>根岸冬生さん
> 僕がこの世で一番好きな食べものは
鰊の切込みです。
そういうお方はたいへん珍しいと思います。お父上の思い出も手伝ってのことでしょうか。
ぼくはニシンの切込みはこれまでに一度か二度しか食べた覚えがありません。やはり小樽とは風土がちがうのかもしれませんね。
Posted by: 薄氷堂 | March 22, 2013 22:17
こんにちは!
じつはニシンをしっかり食べた記憶がないのです。
ああこれがニシンだ、と意識して食べたことがない、
というのはなんだか不思議な気がしています。
むかし東北や北海道のほうで「ニシン御殿」というのが
建った、という話を聞いたことがありますが、
それからしてもどうしてニシンがあまり売ってないのか、
どうも不思議でなりません。
Posted by: 只野乙山 | March 23, 2013 11:05
>只野乙山さん
関西方面ではあまり生ニシンは出回っていないのかもしれませんね。
かつては獲れすぎるほど獲れて、畑のこやしとして使われたようですが、いつからか資源が激減したと聞きます。最近また少しずつ回復しはじめたようですよ。
Posted by: 薄氷堂 | March 23, 2013 23:19