Daily Oregraph: 氷上散歩
氷上散歩とはまたおおげさな……とお思いの方は、下の写真をとくとごらんあれ。
ここは港町岸壁のやや入舟岸壁寄りの部分。暖かい日に融けてわだちにたまった水が再び凍結したことがよくわかると思う。今日一番滑ったのがここである。
とにかく逃げ場がない。注意に注意を重ねても、靴を氷上に置いたとたんにツルッとくるから恐ろしい。ここを兵隊さんのように行進せよといわれたって、そりゃできない相談ですよ。
もちろん市内でも北大通などを歩いている分には問題ないけれど、裏通りはまだ怖い。
孫子に曰く、
冬に雪降りて道凍らば、歩まんと欲する者は、其の融けるを待て。
というのは真っ赤なウソだけど(大ウソ(笑))、今の時期運動不足になるのはしかたがないのである。
さて道路状況をご理解いただいたところで、時間は前後するが、定点撮影スタート地点に戻ろう。南埠頭前の水面にはほとんど氷は見あたらない。
石炭ローダー前。少しまとまった氷があるけれど、岸壁に近寄ってくる気配はない。
工場の煙を見ると、風は南から南東寄りであろうか。南東寄りだと氷はむしろ港から外へ向かっているはずである。
ところが港町岸壁に来てみると、かなり氷が残っている。それにはワケがあって、
港町の水面は北側をこの突堤で仕切られ、出入り口が狭くなっているため、いったん集まった氷は外へ出にくいのである。
突堤の北側(右手)を見ると、釧路川の上流から流れてきた氷は、やはりゆったりと港口のほうへ向かっている。来るたびに景色が変化しているのだから微妙なものだ。
ここ数日奈良県の狭い旧道の写真につきあって来たのだが、なつかしい景色に心惹かれる一方で、やはり港町育ちの男には息の詰まりそうな感じもする。こうして冷たい風に吹かれながら港を見ると、ノビノビした気分になるのである。
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Comments
いやあ・・・見事に凍ってますなあ~
こりゃあ危ない。危険を押しての撮影活動・・・薄氷堂さんの使命感の強さを感じてしまいます(笑)
私ももとはといえば海辺の育ち。山ばかりの大和では少々息が詰まりそうになります。けれどもこれはどうも海育ちの私だけのものではないらしく、大和の人間は海を見るとたとえそれがどんな海であろうと感動してしまいます。
これは万葉の時代から変わらぬ大和人の感性らしいです。
Posted by: 三友亭主人 | February 14, 2012 06:31
北海道に行くなら真冬に限るというのが
若い時の感性でしたが
いまはだめです。
最後の写真なんか
見ているだけで変な妄想が湧き
ツルッとコケてそのままツツッと滑って
ああ、ポチャッというイメージが・・・・・・。
年のせいで被害妄想かも知れません。
Posted by: 根岸冬生 | February 14, 2012 10:44
>根岸冬生さん
この日は南寄りの風のわりには冷たかったですよ。
最後の写真の場所ですが、行っちゃいけません。世をはかなんだときだけにしてください(笑)。
恐ろしく滑りますから、被害妄想なんかじゃなく、水中転落の可能性大です。
Posted by: 薄氷堂 | February 14, 2012 14:17
こんにちは!
写真を拝見する限り、風が吹いたときに避難する場所が
まったくないような感じがしますね。
北米の高緯度地方で着るような特性の防寒服でないと、
乙山では耐えられそうもありません。
靴も、登山用の特別仕様の物が要りそうで、
うっかり歩くと本当に危ない感じです。
こちらでは朝の一瞬だけ、氷点下になることがあるくらいです。
Posted by: 只野乙山 | February 14, 2012 19:49
>三友亭さん
盆地暮らしはときどき息苦しくなりますよね。学生時代バイトで熊野灘へ行ったときは、ひさびさに海を目にしてうれしかったですよ。
Posted by: 薄氷堂 | February 14, 2012 20:02
>只野乙山さん
日中ですと重装備までは必要ありませんが、一応の防寒対策は欠かせません。
靴は滑りにくいパターンのものをはきますが、それでもやはり滑ります。かといって、歩道にはアスファルトの露出した部分もありますから、アイゼン着用とはいきませんでしょうねえ。
Posted by: 薄氷堂 | February 14, 2012 20:06