Daily Oregraph: 2011-08-18 巷に雨の降るごとく
またしても雨。今週は天気が不安定である。こんな鬱陶しい天気がつづくおりしも、泊原発営業運転再開のニュースに、道民の間では高橋知事への不満や失望が広がっている。
なにしろ福島原発事故の始末がてんで片づいていない時期だから、マスコミにも評判よろしからず、たとえばネットで拾った東京新聞の記事をごらんいただきたい。はるみちゃんボロボロ。よくここまで書いたものだなあ、と驚くほど辛辣な文章である。これを読んだあなたは、なんだ結局は北電から金をもらっていたのか、やっぱりなあ……そうお思いになるかも知れない。
しかし東京新聞の書きようはあんまりではなかろうか。高橋知事にはファンが多く、実際に会って話したことのある方は、たいていその頭の回転の早さと人をそらさぬ応対ぶりにコロリとまいるらしい。失礼をもかえりみずぼくがはるみちゃんと呼ぶくらいだから、なかなかチャーミングな女性なのである。
そんな彼女がたかが数十万円ほどのはした金とひきかえに、道民の安全を売り渡すような悪人であるはずがないではないか。だから「話せばきっとわかってもらえる」と期待する人々も少なくない。しかしぼくはいくら話し合ってもムダだろうと思うのである。
なんだ、おまえさんざんホメておいてそれはないだろう? とおっしゃるかもしれないが、ホメるわけでもけなすわけでもない。よくお考えいただきたい。
注目すべきは彼女の経歴である。属する世界がぼくらとはまるでちがうのだ。ぼくらが多数だけれど力のないその他大勢だとすれば、彼女は少数だが金も力もある人々の間で、道を踏み外すことなくすくすく育ってきた優等生である。彼女は根っから業界寄りの人なのだから、それがいかんと苦情をいったってしかたがない。そもそも話が噛み合うわけはないのである。
彼女は正しいと信ずることを着実に実行しているにすぎない。つまり信念に基づき、雑音に惑わされることなく仕事を確実にこなす理想的な官僚なのだ。どんな議論をふっかけたところで、ああいえばこうと、優秀な頭脳を駆使して必ず巧みにかわすに決まっている。とてもあなたやぼくのかなう相手じゃない。
だから夢を壊してまことに申し訳ないけれど、凡庸かつ素朴な庶民がいくら熱心に脱原発を訴えたって、彼女には少しも効果がないだろう。それが長く憂き世に生きてきたぼくの予想である。
優秀かつ立派な人なのだ。だから困るのである。
(Canon IXY 30S)
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Comments
まこともって同感です・・・。笑)
Posted by: ひげ | August 19, 2011 05:13
私も同感・・・
かといって、どちらかといえばそうではない立場で育ってきてどこぞの府知事まで上り詰めたせいか、「誰でも」同じことができると思い込んでいるような方も付き合いづらいとは思いますが・・・
今朝、大和は久しぶりの雨。これで涼しくなればいいのですが・・・
Posted by: 三友亭主人 | August 19, 2011 05:28
>ひげさん、三友亭さん
日本国は民主主義だというのでかんちがいしている人が多いけど、世の中まったくちがう空気を吸って生きている人々もいるわけです。
はるみちゃんも途中で太宰治みたいに(笑)まっとうな道から外れていれば、さらに魅力あるお人になったと思うのですが、これはアルコール依存症のダメ人間の勝手な感想ということで……
Posted by: 薄氷堂 | August 19, 2011 07:38