Daily Oregraph: 悲劇ぎらい
本日の最高気温は12.9度。晴れ。
超スローペースで読んでいる『テス』もやっと終盤にさしかかってきた。ペースが遅い主な理由は、もともと悲劇が苦手なせいである。しかもハーディの悲劇は徹底していて、『ジュード』もそうだったが、人間苦境にあっても努力すれば必ず明るい未来が訪れるなどという、読者を安心させるような甘さはみじんもなく、やることなすこと万事が裏目に出て、これでもかというほど主人公を苦しめるだからたまらない。
しかしこれは大傑作である。そうでなければ小説にはもっぱら負担の軽い娯楽を求めるぼくのことだから、途中で放り出しているところだ。いまさら読書感想文などを書く気もなし、どう傑作なのだといわれても、読めばわかるというしかない。批評については研究者にお任せするとして、まずはお読みになることをおすすめしたい。
スローペースのもう一つの理由は、同時に複数の本を読んでいたからだ。今日までにハーンの『骨董』と太宰の『津軽』(こちらは半世紀ぶりの再読)をかたづけた。一見すると選択基準がいいかげんにも思えるけれど、理由がないわけじゃない。
前者は積ん読処理作業の一環だし、後者は来月予定している東北旅行の予習をかねて読み直した次第。あらためて感じたのは、小泉八雲先生は一種の奇人であること、太宰治は(嫌う人もいるけれど)やはり抜群に文章がうまいこと。
そんなわけで、今のところしぶとく生きている。
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