March 12, 2019

Daily Oregraph: 雪中泡盛

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 せっかく道路から雪が消えたというのに、降ったよ。降りやがった。しかも、どっさり。たっぷり水分を含んだ重い雪である。

 -やあ、降りましたねえ。親分のいったとおりだ。

 -春先はいつもこうだ。おれもだてに年を取っちゃいねえよ。

 親分と八公、まだ三月なのに汗をかきながら、せっせと雪かきにはげんだことは申し上げるまでもない。しかしまるで楽しみがないわけではなく……

 といったって、「旦那」となまめかしく婀娜な声がしたわけじゃないけれど、雪中にきらりと光ったのは、

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 -おっと、こいつは……?

 -スコップ屋の旦那からいただいた泡盛よ。琉球の風で雪を追い払おうという趣向さ。

 さすがは親分、だてに年を取っちゃいない。馬の鼻面には人参、八公を釣るにはアルコールと心得ている。八のやつ、猛然とスコップをふるいはじめたから、まずは作戦成功というところだ。

 -しかしなあ、八よ、おれも焼きが回ったらしい。節々が痛くてかなわねえよ。

 親分、嘆き給うな。泡盛が待っていますぜ。

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March 09, 2019

Daily Oregraph: 氷ゆるむ

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 本日の春採湖。氷は少しゆるんできたようだが、春はまだ遠い。

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 昨日古本屋で拾った鏡花『日本橋』の初版復刻本から。装幀は小村雪岱。色っぽいご婦人が登場するだけに、殺風景な春採湖の眺めとは大ちがいである。

 パラパラめくっていると、ギョッとした。

 「真個(ほんとう)に貴下(あなた)、そんなぢや情婦(いろ)は出来ない。口説くのは下拙(へた)だし、お金子(かね)は無ささうだし、

 おいおい、それはおれのことかい(笑)。

 いったい鏡花の小説は文章が独特だから読みにくいし、筋もわかりにくいものが多いけれど、そんなことはどうでもいい。不世出の天才ゆえになんでもゆるされるのである。

 たとえば、

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 もはや筋がどうの、意味がどうのとヤボなことをいってる場合じゃない(笑)。あだな声、下駄の音、留木(香木)の匂い。朧を透かした霞の姿とははっきりわかりかねるけれど、いきなり暗がりに女が幽霊のように出現した情景を、極上の酒を舌で転がすように味わえばいいのである。

 少なくとも……国会で繰り返されるやりとりよりは一万倍も上等の日本語だから、すさんだ心の安定を取り戻す妙薬にはちがいない。

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February 23, 2019

Daily Oregraph: 散歩再開

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   ひさしぶりに散歩に出たので、氷を見物しようと港町岸壁までやって来たら、もうほとんど融けていた。飲み残しの水割りみたいなもので、まるで絵にならない。祭りが終ったあとのさびしさにも似ている。

 さすがに風はまだ少々冷たいけれど、日射しはけっして弱々しくない。真冬の間はどうしても運動不足がちになるものだが、そろそろ二本の足を使う時期になったようだ。

 足から弱るか、頭から老いぼれるか……どっちにしてもゾッとするけれど、まずは歩け、歩け。

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February 07, 2019

Daily Oregraph: 石炭列車最後の冬

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 またしてもうっすらと雪が積った。ほんの 2センチほどなのだが、線路の回りは除雪していないから、雪はもっと深く見える。

 ひょっとして石炭列車は通らないかしらと思って来てみたけれど、やはり列車は来なかった。決まった時刻表がないため、列車に出会えるかどうかは運任せなのである。

 採炭量の多かった当時は散歩中にしばしば列車をみかけたし、夜には汽笛の音が自室まで届いたものである。最近はさびしくなったなあ、と思っていたら……

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 昨日の北海道新聞朝刊の記事である。残念、ついにこの日が来たか。

 昭和、平成という区切りとは別に、一つの時代の終りを迎えたような気がする。

 列車の写真を撮ることができなかったので、当ブログ2012年1月9日の記事をごらんいただければ幸いである。

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January 29, 2019

Daily Oregraph: 裏庭画報 グースベリは死なず

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 09時50分の南の空。雪がちらほらと舞っている。午後からは青空が出た。最高気温は0.3度。

 昨夜からの積雪は約3センチほどであろうか。この冬は特に雪が少なく、大いに助かっている。

 毎度雪かきの話ではご退屈だろうから、

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これをごらんいただきたい。

 え、十分退屈じゃないか、って? まあ、そういいなさんな。(たしか)二年前に枝を切り取ってここに植えたグースベリなのだが、しっかりと生きている。

 植物は実にしたたかなものである。ぼくなどはその冬に耐える姿にジーンと感動するけれど、金が命の新自由主義者たちには無縁の境地であろう(笑)。

 ここに断言しておきたいが、人類が滅亡したあかつきには、墓地だけじゃない、高級外車も、ブランドもののバッグも、銀行の金庫も植物に占領されることは確実だ。それが自然の摂理である。

 もはや墓前で紙銭を燃してくれる人もいなければ、お経を唱えてくれる坊さんもいないから、自分だけあの世で楽をしようったってそうはいかない。そうなれば金持と貧乏人、人種や肌の色、優等生と劣等生の区別もなく、人類滅亡してはじめて平等が実現するとは、ハハ、のんきだね。

 そんなことを教えてくれた哲学的なグースベリの枝だが、ここは日当りが悪すぎて実がならないから、今年は場所を変えてやりたいと思う。春を待とう。

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January 25, 2019

Daily Oregraph: 0.9度のぬくもり

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 昨日の午後に降った雪はわずか1センチほどだから、シュトーレンにまぶした粉砂糖のようなものであった。必要もないのに雪かきしたのは、われながら立派である。

 日中はひさびさに気温が上がり、ごらんのとおり、道路の雪はかなり融けている。よほど暖かいだろうと思いのほか、最高気温は0.9度にすぎなかった。つまりわずかでもプラスだとまるでちがうのである。

 
 さてこんな低調な記事ばかり書いていると、あいついよいよボケはじめたかと疑われそうだけれど、当分は大丈夫じゃないかと思う。なにしろケンブリッジの先生が書いた『価値と分配の諸理論』という恐ろしい(笑)専門書と、奇人イヴリン・ウォー(ご存じかな?)の小説を併読するという無鉄砲な真似をしているのである。

 どこまで理解できたかは別として、アダム・スミスは一応読破したけれど、経済学は純然たるど素人だから、リカードだのシュンペーターなどといわれても、そういえばどこかで名前を聞いたなあという程度にすぎない。まだ十分の一しか読み進めていないが、これまでに理解したのは、リカードという人はなかなか偉い人物だということだけである(正直に恥をさらしているのだ)。この先どうなるかはまったくわからないが、単語だけは記録したいと思っている。

 ウォーは過去にいくつか読んでいるが、今手にしているのは「戦争三部作」のひとつ『士官と紳士』で、いやこれがなかなか読ませるのには驚いた。無類のおもしろさなのである。日本の戦争小説に見られる暗さや悲壮さはまるでなく、戦争を賛美しているわけではないけれど、ユーモアたっぷりで、いわば余裕派といってもいいのではないか。とにかく人物描写とセリフ回しが抜群にうまい。

 ブログが低調なのは、雪かきと読書のせいだとご理解くだされば幸いである。

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January 24, 2019

Daily Oregraph: 熱燗未満

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 吹雪だというから20センチくらいの積雪は覚悟していたのだが、結果は約5.5センチ。雪の少ない太平洋岸のありがたさである。

 結局前回よりもほんの1.5~2センチほど多めだったに過ぎないけれど、そのわずかの差によって案外余計な手間がかかるのには、あらためて驚いた。

 それでも作業は楽々終ったから、とても真っ昼間から熱燗を飲む資格はない。残念である。しかし予報によれば、今日の午後から夜にかけてまた雪が降るらしいので、明朝また雪かきの可能性はある。

 ほかにネタもなし、また明日結果をご報告するつもりである。

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January 21, 2019

Daily Oregraph: 迷い雪

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  う~む、どうしようかなあ……と、ひさびさに降った雪はほんのわずかだったから、雪かきすべきかどうか大いに迷ったのも無理はない。

   いくたびか雪の深さをたづねけり  子規

 -まず一寸ちょいというところでしょうか。

 -そうか……

 子規先生、もしこのとき病床にあったとすれば、自ら障子を開けて確かめることができなかったのだから、いろいろな想像が湧いてくる。だが雪の深さによってスコップを持とうかどうか決めようという男には、詩心など微塵もない。

 -ちぇっ、一寸とはまたえらく半端じゃないか。ばかにしてやがる。

 結局雪かきはしたけれど、あっという間にすんだから、実際その必要はなかったかもしれない。

 しかしである。天気予報を見てギョッとした。なんと24日は吹雪のマークがついているではないか。わずか数センチの積雪といえども、いまの気温では融けずに残るのだから、やはり除雪しておくにかぎる。

 わずか一寸の雪では熱燗を一杯やる資格はないが、吹雪となれば話は別である。ヤケ酒になる可能性だってあるだろう。

 結果については、次号を待たれよ。

【追記】

 上に引用した子規の句は角川書店編 俳句歳時記に拠ったものだが、ネット検索してみると、圧倒的に多く「いくたびも……」として紹介されている。

 俳句のことだから、ひょっとしたら両バージョンあるのかもしれないけれど、ぼくの印象では「いくたびも」はちょっとくどく、シーンとした間が感じられない。「いくたびか」を採りたいと思うがいかが?

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January 01, 2019

Daily Oregraph: 新年のご挨拶

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 晴天の下雌阿寒の山並みを望みつつ新年のご挨拶を申し上げます。本年もマイナーな当ブログをどうかよろしくお願いいたします。

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 今年こそ悪徳政治家どもに神罰の下らんことを祈願しようと思ったのですが、なにしろ根っからの行列ぎらいときていますから(笑)、いずれあらためて出直すことにいたしました。

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 おねえちゃんのおみくじ吉凶いずれかは存じませぬが、世の中良いことはそうないけれど、悪いことばかりでないことも確かです。いやなことの多い時代ですが、どうかめげずくじけず生き抜いてください。

 あ、おねえちゃんばかりではありません。もう将来のないあなただって、けっして希望を捨ててはいけません。今日は元日です。世界平和と消費税廃止の実現を祈って、昼間から一杯やろうではありませんか。

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December 28, 2018

Daily Oregraph: 歳末散歩

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 本日の南大通。

 日本海側とちがって、しばらく雪が降っていないから、ずいぶん歩きやすくなった。好天がつづいているのにまだ少し雪が残っているのは、日中の気温が低いせいだ。日陰では道路が凍ったままである。

 だから風はひどく冷たい。外に出たくはないけれど、運動不足解消のためには致し方ない。それに親分を自称している手前、鼻水を垂らしながら町の見回りをしなくてはいけないのである。

 予報によれば、明日から一週間はまずまずの天気らしい。雪かきをせずに年末年始を迎えられるのはなによりもうれしいことだ。雪にお悩みの日本海側のみなさま、楽をしているわれわれをどうかお赦しください。

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