August 24, 2008

Daily Oregraph: 2008-08-24 温根内

0824onnenai1 ここ数日、涼しいというよりも、めっきり寒くなった。

 今朝の温根内もまた肌寒く、おまけにこっちが泣きたくなるような空模様なのであった。

0824onnenai2 ときおり雨の粒がポツリポツリと落下する中、カメラを帽子でかばいながら、本降りになるのを恐れて今日のコースはいつもの半分。

 楽しみにしていたゴキヅルを見られなかったのは残念だった。

0824onnenai3 まだ一面のドクゼリとサワギキョウを楽しめるけれど、もうそろそろシーズンも終わりに近いようだ。

 いちいち写真は掲載しないが、このほかにツリフネソウ、キツリフネ、ミゾソバ、アキノウナギツカミ、ママコノシリヌグイ、ヒヨドリバナ、そしてヤマハハコなど。

 ツリガネニンジンはもうそろそろ終わりかけ。ハンゴンソウが咲きはじめていた。

080824tonumazeri 今日はドクゼリにまじって咲きはじめたトウヌマゼリをご紹介しよう。

 ドクゼリの花はもっと球形に近く、ふんわりした感じだが、トウヌマゼリも盛りになるともう少し丸くなる。

 一番のちがいは葉のかたち。

 写真右上はトウヌマゼリ、右下がドクゼリの葉である。

 トウヌマゼリの葉っぱはひょろりと細長く、縁のギザギザが鋭いトゲ状になっているから、すぐに区別がつく。まちがってドクゼリを食べぬよう、サバイバルのために覚えておきたい。

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August 11, 2008

Daily Oregraph: 2008-08-10 (2) 秋……?

080810sawagikyo 10日に温根内で撮った写真のうち、もう一枚だけ。

 暑さのさなかになにをバカなとお思いになるかもしれないが、毎年この花、つまりサワギキョウを目にすると、ぼくは秋の気配を感じるのだ。

 もう立秋は過ぎているのだからけっして無理のある話ではないし、道東の四季のうちで俳句の季と一致するのは、まさにこの時期だけかもしれない。

 さて一杯やって寝るとするか。秋だからね。

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August 10, 2008

Daily Oregraph: 2008-08-10

080810onnenai 温根内湿原のドクゼリとサワギキョウ。

 今夜は時間がないので写真を割愛するが、ほかにエゾニワトコの赤い実、ツリフネソウ、ヒロハヒルガオ、クルマバナなど。

 木道を歩くとさすがに汗ばむけれど、先日の東京を思えば、比較にならぬ涼しさであった。

 ただいま23時54分。部屋の窓を開けっ放しにしているせいか、ちょっと肌寒いくらい。ぜいたくなものである。

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July 28, 2008

Daily Oregraph: 2008-07-27

080720suiren 春採湖畔のトンボの池(人工池)に咲く、たぶんスイレン(ヒツジグサ)。どなたかが持ち込んで育てた花ではないかと思う。

 スイレンとハスの区別はよくわからないけれど、ハスならもっと首が長いはずなので、スイレンにしておこう。

 ずいぶんいいかげんな話だが、どうかまちがっていたらご指摘いただきたい。すぐに訂正するのがぼくのいいところなのだから(笑)。

080720ichigefuro 春採湖畔の散歩道沿いにひっそりと咲くイチゲフウロ。

 派手なスイレンよりも、こちらのほうがぼくの好みにかなっている。

 今年どなたかが立てた案内板に教えられるまで、こいつの存在には気づかなかったのだが、それもまたよし。ゆっくりとひとつひとつ花の名前を覚えていくのが、素人らしい楽しみなのである。

 写真を撮ったまま名前のわからぬ植物はいくつもあって、いずれ不明の部としてフォルダをひとつこしらえるつもりがついそのままにしてあるから、このままでは写真を探すのにひと苦労しかねない。

 植物の名前など図鑑さえあればたちどころに判明するかというと、けっしてそんなことはない。人間と同じように植物にも個体差があるため、ますますわかりにくいのである。すっかり泥沼にはまって、芋焼酎を飲みながら空しく時間が過ぎてゆくこともめずらしくはない。

 外国語の勉強もそうだが、こういうときにはつくづくいい先生がほしいと思う。バカもの、そんなこともわからんのか! と怒鳴られても、疑問が氷解するのなら耐えられる。

 問題は時間である。かりにいい先生がみつかったとしても、住み込みの弟子になって、廊下の雑巾がけから子守まで黙々とこなすには、少々年を取りすぎたからだ。

(写真は2008年7月20日撮影)

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July 15, 2008

Daily Oregraph: 2008-07-13 厚岸・浜中を行く (3)

080713ayamegahara_a 霧のあやめヶ原では、放牧された馬があちこちでおとなしく草をはんでいた。

 馬たちは花には手をつけず草だけを食べるから、ふつうなら茫々と生い茂る草に隠れてしまう花々が比較的よく見えるのだろう。

080713ayamegahara_b ヒオウギアヤメ。

 これあるがゆえにあやめヶ原というのだが、おおかたの花は枯れはじめており、写真を撮るのに一苦労した。見ごろは一週間前だったかと思う。

 花は一般に美しく老いるということがなく、盛りを過ぎると無残な姿をさらすものだが、アヤメのように大柄な花は特にそれが目立つ。

080713ayamegahara_c
 淡い紫のエゾフウロと黄色いシコタンキンポウゲは、道ばたの草むらにいくらでも咲いており、まさにユビキタス。

 

080713ayamegahara_ そのほかにみかけた花をまとめてお目にかけたい。

 ヒオウギアヤメがすっかり枯れてしまえば、ここを訪れる人も激減するのだろうが、ここの花はアヤメのみにあらず、ときどき植物観察にやってくる価値は十分あることが確認できた。

 濃霧の季節が過ぎれば太平洋の眺望も楽しめるので(2007年9月2日の記事ご参照)、ぜひこの秋のドライブコースにあやめヶ原を加えるようおすすめしたい。

 なおアヤメ祭りのすんだあとだったからか、売店からやかましい演歌が流れてこなかったのはなによりだった(笑)。

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June 15, 2008

Daily Oregraph: 2008-06-15 温根内情報

 温根内湿原ではミツガシワが見頃。ヒメカイウもそろそろ。

 (カラフト)イソツヅジが咲きそろうのは一週間後だろうか。ハナタネツケバナはそろそろ盛りを過ぎようとしている。

080615tsuruikidoato 鶴居軌道跡の定点撮影。原野にも緑が濃くなってきた(それにしても天気がパッとしない)。

 今日は軌道跡沿いの花をいくつかご紹介したい。

080615shikotankinpoge1
 シコタンキンポウゲ。

 光沢のある強烈な黄色の花びらは、非常に露出がむずかしく、撮りにくい花である。

 これはそうめずらしい花ではなく、釧路市内でもときどきみかける。

 

080615karamatsuso カラマツソウ(キンポウゲ科)は種類が多く、なにカラマツなのかはちょっと自信がない。

 これを撮っていると、ひとりの老紳士から声をかけられた。彼の手にしたノートには、この日みつけた植物の名がいちいち大きな文字でメモしてあった。

 ご親切にも、この先にベニバナイチヤクソウが咲いていると教えてくださったのである。

080615benibanaichiyakuso ベニバナイチヤクソウ(イチヤクソウ科)はまだ実物にお目にかかったことがないから、教えられたとおり、ビジターセンター裏手の崖下に行ってみると、群れをなして咲いていた。

 ここは何度となく通っているのだが、タイミングのずれのせいだろうか、この花が咲いているとは知らなかった。教えてくださったご老人に感謝。ありがたいことである。

 さて今日はこのあと林道を走破することとなったのだが、それは次回にて。

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June 09, 2008

Daily Oregraph: 2008-06-08 緊急! 温根内情報

080608himekaiu  6月8日温根内。ヒメカイウ(サトイモ科)が咲きはじめた。

 いよいよ温根内に黄金の季節がめぐってきたのである。

 これからが一年で一番いい時期なのだから、今度の土日は断然温根内へ行くべし。何年も通った男がいうのだからまちがいない。

 だからこそ哀愁の日高本線特集をうっちゃって(笑)、「緊急! 温根内情報」と週刊誌風の派手なタイトルをつけた記事を掲載するわけ。

080608hanatanetsukebana ハナタネツケバナ(アブラナ科)があちこちに咲いている。ワンダフルだ。

 たまには真上からのぞいてみると……おお、これは楚々たる美人だね。

 奥まっていてわかりにくいが、雄しべ6個、雌しべ1個。この貴重な花を見るだけでも温根内へ行く価値があると思う。

080608mitsugashiwa ミツガシワ(ミツガシワ科)の花がかなり目立つようになった。今度の土日はさぞかしみごとだろう。

 写真でも確認できるように、雄しべ5本、雌しべ1本。

080608isotsutsuji イソツツジ(ツツジ科)の花も大分咲きはじめたが、まだまだこれから。

 雄しべ10本、雌しべ1本。なお道東に咲くのはカラフトイソツツジというのが正しいらしく、
 
     葉の裏面全体に白軟毛が密生するものを
    イソツツジといい道南~本州北部にある。

            -滝田謙譲『北海道植物図譜』

 以上が温根内の主なきれいどころである。

 そのほか鶴居軌道跡には、今を盛りと咲いているコンロンソウ(アブラナ科)や、鮮やかな黄色を誇るシコタンキンポウゲ(キンポウゲ科)など、見るべきものは多い。

 だまされたと思って足を運んでごらんになることをおすすめしたい。薄氷堂がけっしてホラ吹きでないことがおわかりになるだろう(笑)。

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May 31, 2008

Daily Oregraph: 2008-05-31 温根内情報

080531onnenai 今朝の温根内鶴居軌道跡。ここは先週も撮ったけれど、今年はこのあたりを定点撮影しようと考えている。

 またしても曇り空である。薄曇りなら植物を撮るにはかえって好都合なのだが、う~む、ちょっと暗いなあ。

 おまけに寒い。ゾクゾクするくらい寒いのである。

080531mitsugashiwa_2 それでも一週間たって来てみると、ミツガシワの花がぐんと増えていた。

 先週はやっと申し訳程度に開いたばかりの白い花-清楚のような、淫靡のようなふしぎな花-が今日はみごとに全開、湿原を埋めつくすのはたぶん6月第2週の週末、まさに温根内を訪れるチャンスである。

 6月中旬は温根内が一年中でもっとも輝く時期だから、天気がよければ、仕事をうっちゃってでも(笑)断然行くべきだ。Believe me.

 さて今日はやっと咲きはじめた花々をご紹介しよう。

080531flowers 左はビジターセンターの手前の道路沿いに咲くコンロンソウ(アブラナ科)。どちらかといえば地味な花だけれど、忘れないでほしい。

 右はまだ十分に成長していないけれど、ハナタネツケバナ(アブラナ科)だろう。湿原でこんな早い時期に見るのは初めてだ。

 菅原繁蔵著『樺太植物誌』に載るこの花を亡き父が霧多布湿原で発見し、釧路市立博物館に標本を持ち込んだことから、国内における存在を学界が認知したのは昭和54年のことだから、もう約30年も前の話である。

080531isotsutsuji イソツツジの原(濃い茶色に見えるのがイソツツジ)にも、ちらほらと白い花が咲きはじめた。

 これまた6月中旬以降になると花盛り、みごとな景色を楽しめるだろう。貧乏人がゼイタクを味わうには、6月の温根内を歩くにかぎる。

080531sumire 鶴居軌道跡ではツボスミレがいっせいに咲きはじめた。

 しかしなにぶん路傍に咲く小さい花だから(写真左)、鑑賞するにはしゃがみこんで目を近づける必要がある。

 かく申すぼく自身、十年前には道ばたにこんな花が咲いていることさえ知らなかった。遠くを見ながら歩いていても見えないものがたくさんあるということなのだろう。

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May 25, 2008

Daily Oregraph: 2008-05-24 温根内情報

 24日(土)は朝から冴えない天気。おまけに気温が低く、春採湖畔は期待できないので、温根内へ向かった。

 内陸といっても直線距離では海岸からわずか十数キロなのだが、やはりこちらは気温が数度高く、車から降りたとたんにちがいを感じる。

080517tsuruikido これは湿原との境をなしている鶴居軌道跡の道。

 湿原側はまだ枯草が優勢で、軌道跡の緑の濃さとは対照的である。6月も中旬になれば景色は一変し、湿原に緑がよみがえる。

080524mitsugashiwa

 6月中旬には大群落をなして咲き乱れるミツガシワだが、今はまだ気の早い連中があそこに一輪こちらに一輪というぐあいに、ごくまばらに見えるばかりである。


 

080524himeshakunage

 まだ花を見せぬイソツツジの原の中に、ところどころつつましく咲くヒメシャクナゲ。ごく小さい花だから、注意して探さなければ見落とすかもしれない。

 このあたりにはホロムイツツジも咲くのだが、もう時期はずれで、花はボロボロに傷んでいた。

 

080524enkoso いま温根内の天下を取っているのが、エンコウソウである。

 湿原内、鶴居軌道跡ともに群落をなして咲き誇っているが、これは軌道跡沿いで撮ったもの。以下すべて軌道跡で撮影した写真である。

 これは葉っぱのかたちからしてもまちがいなくエンコウソウだが、前回来たときに見た個体がエゾノリュウキンカなのかエンコウソウなのか、いまだに決めかねている。

 

080524yamatanetsukebana おっと、こいつはなんだろうか? 何年通っても見落としはあるものだ。

 アブラナ科だろうと見当をつけて図鑑にあたった結果、葉っぱのかたちからヤマタネツケバナ(=オオバタネツケバナ)と決めた。ちがっていたらお詫びするとして、とりあえず決めないことには安眠できないから、閣議決定したのである。

080524kusaichigo 道ばたに雑草のようにいくらでも咲いているこの白い花は、すぐにイチゴの仲間とわかる。

 イチゴは種類が多いから、これまでさぼってきたのだが、今回は慎重に調べてみた。

 はい、閣議決定。エゾノクサイチゴだよ、諸君。

 エゾノヘビイチゴとよく似ているが、写真でもわかるとおり、

     雄しべの長さが3~4㎜と雌しべの集合よりも
    長いのがこの種の特徴(エゾノヘビイチゴでは低

    い) - 滝田謙譲『北海道植物図譜』

 また写真を拡大するとわかるが、葉の表面にも軟毛が見える。たぶんまちがいないだろう。

 というわけで、今日はひさしぶりに勉強してしまった(笑)。

【追記】

080524ezooosakuraso うっかり忘れてしまったけれど、いつもとはちがう場所でみつけたエゾオオサクラソウ。

 まだつぼみがいくつか見えるので、開花して間もないことがわかる。

 エンコウソウなどとはちがって群生しないだけに、みつけたうれしさは格別、まるで昔の恋人に出会ったような気分になり、おお、ひさしぶりだね、と声をかけたくなるのである。

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May 18, 2008

Daily Oregraph: 2008-05-18 開花宣言

 またしても天気予報が外れ、午前中は曇り空であった。

 しかし貴重な休日だから、例によって北太平洋シーサイドラインを東に向かって走り、尻羽岬は天気のよい日の楽しみに取っておくことにして、海沿いの狭い道をたどって門静へ。

 あいにくの空模様のせいもあって、パッとしたした写真は撮れなかったけれど、明日以降の記事でご紹介することにしたい。

080518sakura1 皮肉なことに、午後からは薄日がさしてきたので、裏庭のサクラをチェックすると、エゾヤマザクラは気象台の開花宣言に遅れること3日にして開花していた(手前)。

 ボケているけれど、右奥にはチシマザクラが見える。

 そのほかナナカマドの木などもあって、自然公園の名に恥じぬ堂々たる庭つきの大邸宅に住んでいると錯覚するように(ずいぶん苦労して)撮ってみたのだが……(笑)

080518sakura2 写真は上がエゾヤマザクラ、下がチシマザクラである。写真ではちょっとわかりにくいけれど、木も花もチシマザクラのほうが小ぶりである。

 花の色はふつうチシマザクラのほうがずっと白っぽいのだが、わが家のエゾヤマザクラは淡い色をしているので、そう際立ったちがいはない。

 自然公園というのは真っ赤ないつわり、実はネコの額ほどの地面だから、サクラの木を引いて撮るのはむずかしい。悲しいことに、トタン屋根やら家の壁やら木塀やら電線やら無粋な連中がぞろぞろ写りこんでしまうからである。

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May 17, 2008

Daily Oregraph: 2008-05-17 裏庭自然公園

 おじいさんは山へ柴刈りに行った。いや、ほんとうに刈ったのである……あのなまけもののおじいさんが。

080517sakura この上天気、日本一遅い裏庭のサクラもきっと咲いたことだろう。

 そう思ったおじいさんは、カメラをぶら下げて、よっこらしょと立ち上がり、荒れ放題の裏庭へ向かったのだが……ああ、これではまだ開花宣言は出せぬわい。

 エゾヤマザクラ(左)はまだ開ききっていないし、チシマザクラ(右)もつぼみのまま。15日には釧路、16日には根室で開花宣言が出され、サクラ前線はついに日本列島を縦断せりとマスコミは報じたけれど、それは誤報である。日本一遅いサクラはわが裏庭にあり。

 それにしても荒廃の度を加えた裏庭はひどいことになっていた。去年の枯草がそのまま残った上に草が伸び、このまま放置すればいずれヤチボウズが出現するのではないかと疑われるほど。

 古来荒れ果てた庭は、にぎやかなりし過去とさびれた現在とを対比させる好材料として、しばしば文学に登場する。

 旅の坊さんがこういう庭を通りかかると、白髪の翁に出くわしたりするのだけれど、これが実はただ者ではない。もとはなんとかの中将の幽霊だったりするのである。

 このおじいさんはもちろんもと中将ではないが、ふらふらした足取りは幽霊に近い。ブツブツいいながら、伸びに伸びてチシマザクラを圧迫しているバラの枝などを容赦なく切り払い、そいつを束ねてヒモでくくったやつを、近日中に資源ゴミとして出そうと運ぶ姿は、とんと出来そこないの二宮金次郎。

080517nirinso ニリンソウが気をそろえたかのように一輪ずつ開花した。毎年のこととはいえ、おじいさんはうれしいのである。

 -こうして撮れば荒れた庭は他人には見えぬ。可憐な花の咲き乱れる花園としか思えまい。写真などでは虚実はとてもわからぬことよ。

 ……と、ワケのわからぬことをつぶやきながら、おじいさんは低く笑うのであった。

080517katakuri お、カタクリが……

 ニリンソウの葉の間から顔を出し、反り返るほどの勢いで開ききっていた。先日はしょんぼり花を閉じていたのが、五月の陽光を浴びて精一杯存在を主張しているのだ。

 おじいさんの顔だってほんのり赤みがさして、見ようによってはこのカタクリのようなのだが、芋焼酎の飲みすぎによる酒焼けだからお話にならない。

080517enreiso そしてオオバナノエンレイソウ。

 野の花咲き乱れるこの裏庭は、荒れたりといえども立派な自然公園なのである。

 公園管理人のおじいさんは、このあと部屋の網戸の網を張り替えるなど、この日はめずらしくこまめに働いたのであった。

 ごぼうびは……もちろん imoshochu on the rocks、いっそう頬の赤みが増したようである。

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May 10, 2008

Daily Oregraph: 2008-05-10

 天気予報では午前中は晴れだったから、会社の仕事を片づけて温根内へ直行する予定にしていたのだが……予報は大外れ、空はみるみるうちに雲に覆われて、風が冷たいのなんの、とても木道を歩く気分にはなれなかった。

 ほんの短い時間ではあったが、雪がちらほら舞い降りてきたのには驚いた。おいおい、ご冗談でしょう。

 結局そのまま帰宅して買い物をすませ、今日も収穫なしかとあきらめかけて気がついた。

 おっと、裏庭のカタクリはもう終わったかな?

 先日見たときは朝早かったため花は開いていなかったのである。

080510katakuri どれどれ……やはりこの寒さのせいなのだろう、花はうなだれたままであった。花のかたちといいサイズといい申し分ないのだが、このしょんぼりした様子では、無理な姿勢でシャッターを切った甲斐がなく残念。

 カタクリの周囲に見えるのはニリンソウの葉である。たぶん来週末までには花が咲いているだろう。

 幽霊屋敷の庭みたいに荒れ果てた草むらに、例年どおりいろんな植物が順番に花を咲かせてくれるのはありがたいことだ。

080510tsurunekonome 一日中日の当たらぬじめじめした場所に咲いていたのはツルネコノメソウ。地味な小さい花である。
 
  山地の沢などの湿地や水辺で普通に見られ
            る多年草 (滝田謙譲『北海道植物図譜』より)

 う~む、ここはたしかに湿地だろうなあ(笑)。

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May 06, 2008

Daily Oregraph: 2008-05-06 温根内

080506onnenai1 先日の教訓を無にせぬため、今朝は万全の備え……といっても、これだけ。

 ほんとうは一眼レフを2台用意するといいのだが、地面にしゃがみこんだりするときにはじゃまくさくてしょうがないから、ポケットデジカメをいっしょに首からぶら下げる。

 メモ帳、ボールペン、コンベックス、予備の電池をポケットに突っこみ、いつもとは逆のコースで鶴居軌道跡の道を出発した。

080506onnenai2 2日前に来たときにはたしかまだ咲いていなかったこの花は、バラ科のキジムシロかツルキジムシロだろう。

 ツルキジムシロのような気がするけれど、このところ慎重になっているので(笑)どうも自信がなく、断定できないのだ。

 キジムシロ、ツルキジムシロ、ミツバツチグリ……これらは花をぱっと見ただけでは区別しにくい。

080506onnenai3 さて問題のエンコウソウとエゾノリュウキンカだが、結論からいうとよくわからなかった。

 いくつか花のサイズを測ってみたところ、2.5センチから大きいものでは4センチ。

 4センチもあるものはエゾノリュウキンカじゃないかと思うのだが、今日見たものがすべてエゾノリュウキンカなのか、両方入りまじっていたのか、どうも判然としない。

 あるいはすべてエンコウソウで、たまたま花の大きい個体があったのかもしれない。手元の図鑑類をあたってみてもスッキリせず、どうも泥沼にはまってしまったらしい。

 それにしてもいやな世界に足を踏みこんだものだ。あの黄色い花、この白い花と指さしていた頃がなつかしい(笑)。

 よい先生がいらっしゃれば弟子入りしたいところだが、時間も足りないしなあ。あ、金もうけばかり考えている諸君には無縁の世界だから念のため。一文にもならないことは確実である。

080506onnenai4 キジムシロにエンコウソウ……頭で考えたって解決のつく問題じゃないから、考えるのはよして、めったに歩かない中間コースの木道を通ってビジターセンターに戻ることにした。

 こちらの木道は最近修復されたばかりであった。

 ムダな高速道路や赤字必至の空港を作るのは困るが、こういうところに予算を投入するのなら納税者のひとりとしては大歓迎である。ついでに達古武の木道もなんとかしていただきたいものだ。

080506onnenai5 昨日から今朝にかけて降り続いた雨のせいで、湿原らしい景色が広がっていた。

 温根内はこれからがすばらしい。黄金の季節の到来である。

 今日はこのあとコッタロ湿原経由で塘路へ。白樺台さんお気に入りの塘路小中学校を初めて訪れたので、明日にでもご報告したい。

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May 04, 2008

Daily Oregraph: 2008-05-04 温根内

080504onnenai 仕事の合間に(笑)今年初めて温根内へ。

 まだ枯野の間にところどころ緑が混じって見える程度で、本格的な花の季節の到来はもう少し待たなければならない。

 連休だからだろうか、ガイドさんに率いられたグループをいくつもみかけた。こんな場所で人混みはうんざりなので、いつもは朝早く来るのである。

 倍速で歩いてすべてのグループを追い越し、やっとひとりになれた幸せをかみしめる(笑)。

 湿原の木道沿いにはまだ花の姿は見えなかったけれど、鶴居軌道跡の道ばたではそろそろ花が咲きはじめていた。

080504ezonekonome 鮮やかな黄色の花はエゾネコノメソウ。

 ここには何年も通っているが、この花の存在には気づかなかった。

 地味なツルネコノメソウとは対照的に派手な黄色が目立つ。花も一回り大きい。

 ひさびさに植物アルバムを更新できるのがうれしい。

080504ezonoryukinka エンコウソウだろうと思ってアップで一枚撮ったのだが……葉っぱの縁の切れ込みが深いし、花もなんとなく大柄だから、エゾノリュウキンカかもしれない。

 しまった。もっといろんな角度から撮っておけばよかった。花のサイズも測定すべきであった。

 時間が十分なかったせいもあるとはいえ、おのれの未熟さを思い知らされた。

 明日は天気が悪いから、明後日か週末に確認するつもり。必ず手帳と鉛筆、巻尺を用意のこと。

080504kujakucho 今年初めて撮ったチョウはクジャクチョウ(寄れなかったのでトリミング)。

 やっと野原に出るのが楽しい季節になった。

 今年はしばらく中断していた読書を再開しようかとも考えたけれど、そんなことをしている場合じゃない(笑)。

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April 26, 2008

Daily Oregraph: 2008-04-26 花咲く裏庭

 いよいよ本格的な花の季節である。

 春採湖畔はエゾエンゴサクやキバナノアマナが見頃。ネコノメソウも咲きはじめ、ちょっと地味なフッキソウもつぼみを出していた。

080426ezoengosaku 帰宅して裏庭へ行ってみると、おお、今年もたくさんのエゾエンゴサクが!

 急遽プランを変更して、裏庭特集へ切り換えることにした。写真左は春採湖畔、右はわが裏庭のエゾエンゴサクである。この花は濃淡さまざまのバリエーションに味があると思う。

080426kibananoamana 残念ながら裏庭に咲いているキバナノアマナはこれだけ。おまけに写真を撮りにくい場所だから閉口した。

 この花を観賞するなら断然春採湖畔がおすすめだ。まさにユビキタス、無数に咲いているからである。

 葉の緑は青みを帯びた独特の色合いで、これだけ見てもよくわからないけれど、周囲の緑とくらべればちがいは一目瞭然、異彩を放っている。

080426urahoroichige なんといってもわが裏庭の自慢はこのウラホロイチゲである。しかも気のせいか去年よりも数が増えており、ごくスケールは小さいけれど一応は群落といってもいいのではないだろうか。

 ある方のブログを拝見したら、ウラホロイチゲは春採湖畔にも咲いているらしい(ぼくは場所がわからず、まだ確認していないが)。

 しかしウラホロイチゲの咲き誇る裏庭が市内にいくつもあるとは考えられないから、資産はなくともリッチな気分……そうだなあ、落ちぶれた貴族といった格だろうか(笑)。

 -爺や、ウラホロイチゲを見ながらワインを飲みたい。冷えたのを持ってきておくれ。

 -旦那さま、お忘れですか……ワインセラーはとっくに空でございます。

 悲しいなあ。でも芋焼酎があるからいいさ。

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March 30, 2008

Daily Oregraph: 2008-03-30 裏庭のフクジュソウ

080331fukujuso この様子だと、開花してから相当の日数がたっているようだ。

 ゆとりのなかった去年は裏庭のフクジュソウを撮っていないが、一昨年は3月25日に撮影している。

 さすがキンポウゲ(buttercup)の仲間だけあって、とろけるような黄色が売りもの。

 フキノトウのほうがずっと早く顔を出すけれど、花らしい花としては、やはりこいつが春一番である。

 一面の枯れ草の間に輝く鮮やかな黄色が北国で珍重されるのもむべなるかな。

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September 30, 2007

Daily Oregraph: 2007-09-30 温根内情報

070930onnenai1 車から降りたとたん、ブルっと体が震えた。涼しいのではなく、寒いのである。

 幸い天気がよかったから、30分ほどしたらポカポカしてきたけれど、わずか1週間で気温はぐっと低下したようだ。

070930onnenai2 ミゾソバ(左)もごらんのとおり。春採湖畔ではまだ最後の力をふりしぼって咲いているのだが、ここではすっかり花を落とし、みすぼらしい姿になりはてていた。ふつうこういう哀れな姿を写真には撮らないものだが……(笑)

 右はエゾリンドウだろう。22日に来たとき、めざといさとう公彦さんが気づかなかったのは残念である。1週間前なら、これほど衰えてはいなかっただろうから。

070930onnenai3 ほとんど花の姿がみあたらない今、わずかに残るハンゴンソウは昆虫にとって貴重な存在にちがいなく、たくさんのアブが集まっていた。

 すっかり花を落としたハンゴンソウがあちこちで立ち枯れていたから、これは咲き遅れたものだろう。

070930onnenai4 木道のところどころでは、倒れたヨシ(だと思う。イネ科はむずかしい)が、踏切の遮断機みたいに通せんぼをしていた。わびしさ満点である。

 まあ、そこをなんとか、無理をいって通してもらう。

070930onnenai5 色気の乏しい秋の原野にあっては、栄養不良のナガボノシロワレモコウのさえない花もまた貴重な彩りといえる。

 ふだんあまり目立たない花が存在を主張する時期なのだろう。

 先日はレンズを向けようともしなかったくせに、われながら現金なものである。

 

070930onnenai6 花の季節が終わりを迎え、原野がふたたび本来の原野に戻ろうとしているいま、ひとり気を吐いているのがゴキヅルである。

 実の割れたものも割れていないものもいっしょにぶら下がり、まだ当分の間はぼくたちの目を楽しませてくれる。

 温根内のゴキヅル地帯は、こちらの地図のハンノキ林の中、ちょうど「1100m」と書かれているあたりである。たぶん10月いっぱいは観察できると思うので、ぜひ。

 鶴居軌道跡では、先日さとうさんがみつけたヤマブドウの実をチェック。春採湖畔のヤマブドウのほうが豊作のようだ。

 けなげに咲いているヒメジョオンのほかは、この道沿いにはほとんど見るべき花はなかった。

070930onnenai7 帰りがけにビジターセンター付近でみかけたトンボ。写真図鑑にはあたってみたけれど、名前は不明である。

 おわかりの方がいらしたら、なにトンボかぜひお教えいただきたいと思う。

 しきりに羽根を震わせていたのでブレている。ストロボを発光させればよかったのかな。

 逃げられては困るのであわててシャッターを切るのは、修行の足りない証拠(笑)。

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September 29, 2007

Daily Oregraph: 2007-09-29 秋を味わう

070929harutoriko0 全国の春採湖ファンのみなさまにお贈りする秋のチャランケチャシ風景。

 「チャランケチャシ? なんだ、それは?」という方には勝手にお調べいただくこととして(笑)、釧路出身者ならこの写真をごらんになった瞬間、きっと「お、チャランケチャシ!」とおわかりになるはず。ここはいわば釧路市民の心のふるさと(?)なのである。

070929harutoriko1 盛りをすぎたはずのミゾソバ(左)だが、どうしてどうして、まだがんばっていた。

 『ガイドブック 春採湖畔花ごよみ』に「この花が咲くと花の季節の終わりです」とあるユウゼンギク(9月23日の記事ご参照)もしおれはじめたというのに。

 右はまばらに残るネムロブシダマの果実。うまそうだけれど、有毒だから味見しないように。

070929harutoriko2 秋の味といえば、サケ、サンマ、ジャガイモ、タマネギなど海山の幸がたくさんあるけれど、今日味わってみたのはこちら。

 まずは一昨年も去年も(すっかりもがれたあとだったため)撮れなかったヤマブドウ(左)。

 一粒だけ味見させていただくと……お、いける! やはり今年の暖かさのせいだろうか、思ったほどすっぱくないのである。

 ひょっとしたら……と期待してエゾスグリのある場所に走り、やはり一粒だけ。真っ赤に熟してうまそうに見えるけれど、いままでこいつにはだまされてきたのだ。口に入れた瞬間に吐き出すほどすっぱいのである。

 ところが今年の実はちがっていた。もちろんすっぱいことはすっぱいのだが、吐き出すほどではない。

 いうまでもないことだが、自然公園内では植物採集禁止だから、ありったけもいでいくのはご法度。しかし一粒ずつ秋の味を楽しむくらいは、許されてしかるべきだと思う。いや、自然に親しむためにも、むしろこどもたちにはぜひ味わってほしいとぼくは願っている。ただしけっして欲ばってはいけないし、欲ばって食べるほどうまいものでもないが……(笑)

070929harutoriko3 さてすっかりおとなしくなったミヤマニガウリを観察してみよう。

 写真左をごらんいただくと、葉っぱにくるまれた実が透けて見えると思う。

 写真右のように、葉っぱにくるまれている実はたいていひとつではなく、いくつかまとまっているところがおもしろい。実をくるまない葉はもともとの姿を保っているから、たまたま葉がしおれたわけではなく、実を寒さから守るためだろうとぼくは信じている。

 葉っぱがまるくなって重そうにぶらさがっていたら、中をのぞいてごらんになるといい。ミヤマニガウリは最後の最後まで人を楽しませてくれる、なかなかの芸達者なのである。

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September 23, 2007

Daily Oregraph: 2007-09-23 春採湖畔

070923mizosoba 昨日温根内で見たミゾソバはかなり勢いを失って、葉の枯れはじめたものが目立ったけれど、春採湖畔ではまだこのとおり。やはり季節の進行は温根内の方が早いのかもしれない。

 もっともトンボの池のほとりにある同じ仲間のアキノウナギツカミは、すっかり枯れ果て、みすぼらしい姿をさらしていた。

 春採湖畔のミゾソバは栄養が行き渡っているようだから、ソバガキをぜひ食べてみたいと思う(笑)。

070923yuzengiku
 花の季節の終わりを前にして鮮やかに咲くこのキクは、たぶんユウゼンギクだろうと思う。

 草むらに咲いていたため、うまく全体を撮ることができなかったので、茎や葉のつき方など、明日にでも再確認する必要がありそうだ。

 

070923himejoon こちらはヒメジョオン。

 これまで無視してきたわけではないのだが、あまりにもさりげなくあちこちに咲いているせいか、写真におさめるのは今年これがはじめて。

 ヒメジョオンとヘラバヒメジョオンはたいへんよく似ており、ふたつ比べればすぐに区別できるけれど、単独で見るとちょっと迷ってしまう。モニター等倍でチェックすると、茎の下のほうまで毛が生えているのを確認できるから、こちらはヘラバではなくふつうのヒメジョオン。

 デジタル画像はルーペがわりに使えるので、種類特定の際たいへん有効なのである。画像のアラをさがすためにわざわざ等倍鑑賞するわけではない。
070923ezofuro 
 今日は消えゆこうとしている花にもスポットライトを当ててみたい。

 道東ではあちこちにたくさん見られるエゾフウロ。

 これはゴマツリ岬のものだが、さすがに花の衰えは隠しようもなく、まことにわびしき姿である。

 

070923mimikomori ミミコウモリの花に変化があらわれた。

 タンポポの綿毛のように見える部分には、たぶん種子がついているのだと思うが、このふしぎな花はいったいどういう構造になっているのか、外からはわかりにくい。来年の宿題。