August 07, 2022

Daily Oregraph: 裏庭画報 キツリフネ

 本日の最高気温は22.7度。曇り。

 今日は40分ほど草むしり。残念ながら目立った効果はないのだが、放置しておけば半月後には悲惨なことになるから、黙々とむしる。だがこの空しい作業にも効用はあって、ほぼ無念無想、世間のいやな話題を束の間忘れることができるのはありがたい。

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 キツリフネ。おお、いつもの年とは花の場所が変っている。五月に土留めの工事をして広範囲の土を掘り返し、ナナカマドとユスラウメの木を切り倒した結果、環境が一変したのである。

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 これはスミレの仲間だが、こいつも去年まではここでみかけなかったから、今年越境入学してきたにちがいない。ぼくはどちらかというと園芸種には冷淡なのだが、まあ暖かく迎えてやることにしよう。

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 なんと、いままでは裏庭でみかけなかったムシトリナデシコが進出しているではないか。さては虎視眈々と機会をうかがっていたらしい。油断のならぬやつである。

 だんだん虫も増えてきた。アリが身の丈に合わぬ大きな餌をかついで歩いている。雑草をなぎ倒すとクモが何匹も走り出てくる。蚊がプーンと音を立てて首の回りを飛び回る。だから今の時期は草むしりなんぞしたくないのだ。

 さて推理小説はやめにして『1980年代アメリカ短編小説傑作選(The Best American Short Stories of the Eighties)』という選集を読みはじめた。1990年発行だから、たぶん30年くらい前に東京か札幌で買ったのだと思う。その昔は読みもしない(実は当時はろくに読めもしなかった)本をずいぶんと買いこんだもので、長年放置しているうちに紙に黄色いシミが浮いているばかりか、たまに開くとバリバリ音を立てて背が裂けてしまうものまで出る始末。こうして本も年を取るのだ。

 1980年代の小説というと、ぼくにとっては超現代文学なので、ほとんど知らない作家ばかりである。本書に収録されている20人中、これまでに読んだことがある作家はジョン・アップダイク(John Updike)のみとは情けない。

 ピーター・テイラー(Peter Taylor)という人の作品を一編読み終わったのだが、『白鯨』にくらべたら当然スケールはごま粒ほどに小さくなる代わりに、たぶん国はちがっても書かれた時代が近いせいだろう、共感をもって読むことができた。文章は……そりゃ1851年のしかも難解をもって知られるメルヴィルの文章にくらべたら読みやすいにきまっている。大体三倍速で読めると思う(笑)。

 しばらく1980年代につきあってから、ふたたび19世紀に戻るとしよう。

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August 05, 2022

Daily Oregraph: 翻訳家同情論

 本日の最高気温は20.5度。曇り時々晴れ。

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 少し風があったので、窓を開けると室内は肌寒いくらいであった。

 『白鯨』をやっと読み終えた。ふだんよりもずいぶん時間がかかったのは、たいへん読み疲れする文章のせいである。手元にある古い翻訳には明らかな誤訳がいくつかみつかったけれど、全体的には当然ぼくの頭の出来のほうが悪いから(笑)、苦労してお付けになった詳しい訳注のお世話にもなったし、教えられるところの方が圧倒的に多かった。

 それにしてもよくもまあこういう面倒な小説の翻訳を引き受ける方がいるものだと思う。知識経験のない分野については、いくら辞書をひっくり返してもピンと来ない部分は残るもので、専門の人からあれこれ突っ込みが入ったとしてもしかたがない。それにかなりできる方でも何かの拍子にふだんならしない誤読をすることはあるものだ。

 しかしプロの翻訳家としてはわからんではすまされないから、わからなくとも期限内になんとか原稿用紙を埋めなければならないのである。だからまちがいの一つや二つあったからといって責めるのは酷というものだ(もちろん全体にあまりにも低レベルな翻訳は話が別)。

 それにふつうはだれでも早く先を読みたいものだから、なんだかよく意味の取れない文章が混じっていたとしても、いちいち原文にあたって確かめるような閑人はいないだろうし、第一そんなことをされた日にはたまらない(笑)。意地の悪い人に鬼の首でも取ったようにまちがいをさらされては、世に翻訳家のなり手はいなくなるにちがいない(※付記参照)。

 『白鯨』の文章はかなり手ごわく、この大作を最後まで翻訳するだけでもご立派、ようおやりになりましたなあ、先生にエイハブ船長の執念が乗り移ったにちがいありませぬ、と感心しましたよ。

 翻訳についてはともかく、『白鯨』が天下の奇書の一つであることはまちがいなく、むずかしい理屈をこねなくとも「重厚な」冒険小説として十分楽しめると思う。鯨と戦う場面の描写からはすさまじい迫力が伝わってくる。素直にハラハラドキドキを味わうのもまたよし。

 さて苦闘の結果、ようやく積ん読本が一冊減った。次をどうしようかまだ思案中だが、その前に軽い推理小説でも読んで一息つこうと思っている。

 付記:結局そうして誤りを含む翻訳書が世にまかり通ってしまうのだから、よりよい翻訳を実現するには、一人でもいいから協力者が必要だと思う。人によって目のつけどころがちがうので、思わぬミスを防げる可能性が高いからである。老練の船長といえども、年下の一等航海士の助言に耳を傾けるべきときはあるものだ。

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June 14, 2022

Daily Oregraph: 裏庭画報 チゴユリ

 本日の最高気温は13.8度。曇りのち晴れ。6月も半ばだというのに、なかなか気温が上がらない。

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 チゴユリが生きていた。ごく小さなユリだが、その小さいところがいい。つつましい美しさ。

 あちこちからササが顔を出していたので、かたっぱしから始末した。根っこは残るけれど、いまのうちなら頭の部分はスポッと抜き取れるのである。ササはにっくき敵だから当分この作業を続けようと思う。

 さて船員志願の青年イシュメイル君、ある港町にやって来たはいいが、あいにく宿は満室で、全身奇妙な刺青に覆われた怪人クイークェグと寝床を共にすることになる。最初は野蛮人と同衾するのをためらっていたけれど、よくよく観察してみればクイークェグはみかけによらずまともで親切な男である。

 おれも人間ならやつも人間だ。おれがやつを恐がるように、やつだっておれを恐がってもおかしくはない。酔っ払ったキリスト教徒と一緒に寝るよりは、シラフの人食い人種と寝るほうがましというものだ。(『白鯨』第3章)

 イシュメイル君のこの健全なる精神を、排外主義者にはぜひ学んでいただきたい。人間見た目は白かったり黒かったり黄色かったりするが、まずは虚心坦懐につきあってみることだ。理屈の通じない粗雑な日本人よりも常識をわきまえた外国人のほうがいい、というあたりまえのことがきっとわかると思う。ときには自分よりはるかに知識教養が深かったり、人間味あふれる人物に出会えることだってあるのだしね。

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June 05, 2022

Daily Oregraph: P. G. ウッドハウスのすすめ

 本日の最高気温は14.5度。曇りのち晴れ。

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 わが家の真向いのお宅が取り壊された。いずれ新しい家が建つまでは海がよく見える。この景色に新鮮な印象を受けるのは、最後に見たのが子どもの頃だからだろう。

 さてウッドハウス(P. G. Wodehouse)の『ウースター家の掟(The Code of the Woosters)』を先日読み終えた。わが国でウッドハウス(1881~1975)という作家を知る人はさほど多くないのではないかと思うが、英国では国民的作家の一人、つまり別格的存在といっていいだろう。

 いわゆるユーモア小説の大家であり、彼の作品の登場人物はいずれも奇人変人のたぐいで、ほんとかよというような途方もないストーリーがめまぐるしく展開し、抱腹絶倒、息もつかせずに一気に読ませる……といいたいところだが、俗語を駆使しているから、学習辞書だけではとても先へ進めず、つっかえ、つっかえ読むことになる。しかしそれでもとにかくおかしい。人生がつくづくいやになったときに(笑)読むといいんじゃないだろうか。

 『ウースター家』についてはネタばれになるから詳しくは書かないが、しょせん滑稽小説だろうなどとなめてはいけない。文学作品からの引用がちりばめられているので、極東の読者がより深く楽しむためにはやはり先生が必要だと思う。しかし、あいにく身近に先生はいないよね。残念でした。

 いや、まあお待ちなさい。あきらめるのは早すぎる。いまや大学に入り直さなくてもそれなりに勉強できるありがたい時代だ。世の中にはウッドハウス研究家なる奇特な人々がいて、Madame Eulalie's Rare Plums という驚くべき専門サイトには作品ごとの詳細かつ丁寧な注釈がある。このサイトなくしては首をひねるだけで終ったであろう箇所がいくつかある。長年の研究の成果を無償で提供してくれる高邁な精神には感謝感激だ(税金をかすめ取ることしか頭にない政治家どもとはえらいちがいだな)。

 本作のテキスト(無料)もインターネットで読める。そこの英文科のおねえさん、あなたお読みになりましたか? ミスなんとか大学に応募している場合じゃない。これ、必読ですぞ。

 なお天下の OED もウッドハウスは特別扱いで、ウッドハウス語(?)は下の例のように5つ掲載されている。

Pgw

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May 13, 2022

Daily Oregraph: 本の重さに……

 本日の最高気温は11.8度。曇り時々雨。

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 これは一昨日近所で撮ったものだが、黄色い花はたぶんレンギョウだろう。

 先日日本文学の歴史(角川書店版)全12巻を読み終えたのだが、車で通りを流しながら商店の看板を眺めた程度にすぎないので、どこまで頭に入ったやら。最終巻は昭和43年発行だから、なんと半世紀以上も昔、高橋和巳の名前はちらりと登場するだけである。ほんとに time flies だ!

 読むべきなのに読んでいない本の多さに押しつぶされそうな気がする。日本文学に限っても、その重みでペチャンコにつぶされるんだから、さらに外国文学が加わればどうなるのか、考えるだけで恐ろしい。

 どうせ今からじゃ間に合わないし、気分転換するために P. G. ウッドハウスの『ウースター家の掟(The Code of the Woosters)』を読むことにした。ウッドハウスの小説では、以前『ピカデリ-・ジム(Piccadilly Jim)』というのを読み、腹を抱えて笑った記憶がある。しかしウッドハウスは口語・俗語を駆使しているから、案外手ごわいのである。辞書を引く手間がかかるので、笑うのも楽じゃない(笑)。

 これからどうするかは、ウースター家のあとで考えることにしたい。

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February 10, 2022

Daily Oregraph: 裏庭画報 冬の笹刈り

 本日の最高気温は-0.8度。晴れ。

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 夏の間は雑草にはばまれて手の届かない場所にあるササを刈った。これで全部ではないが、見た目はかなりスッキリした。

 ササがはびこりはじめたのは四五年前からだと記憶している。こいつは恐るべき繁殖力の持主だし、手で引っぱったってビクともしない。鎌で刈っても根が残るから、根絶するのはむずかしい。まったく困ったやつである。

 さてかなり読み進んだ『二都物語』だが、素人目にもいつもと筆致がちがうという印象を受けるのもあたりまえで、フランス革命という血なまぐさい事件を扱っているからなのであった。

 過酷な圧政が革命を招いたのは当然といえるが、革命後の混乱の最中には、革命派の手によって道理に合わぬ残虐行為が行われたこともまた事実である。こういう気の重くなるような事件が背景だから、まともな神経の持主ならとても気楽な文章を書くわけにはいくまいし、読み手もまたスラスラと読み流すことはできず、つっかえつっかえしながらページをめくることになるわけだ(実力不足といわれれば否定はできないが……)。

 ついでにどうでもいいことを一つだけ。

 例の悪名高いギロチンだが、本書の巻末注によれば、フランス革命期に新発明されたものではなく、すでに中世後期にはスコットランドで同様のものが使用されていた。だからこの装置の名前のもととなった(英語読みで)ギロチン博士(DrJ.I. Guillotin)は発明者ではなく、1789年に苦痛のない処刑具として使用することを提案し、それが1791年に採用されたのである。

 フランスで使用された最初のギロチンはドイツ人のシュミット(Schmidt)が製作し、1792年に政治犯ではなくある追い剥ぎ強盗の処刑に初めて使われた。なおギロチン博士自身がこの装置で処刑されたという俗説は作り話で、彼は76歳のときベッドで息を引き取った。

 なおルイ16世(Louis XVI)は1793年1月21日、マリー・アントワネット(Marie Antoinette)は同年10月18日にギロチンで処刑された。

 こういう陰惨な話題を取り上げるつもりはなかったのだが、昼間の笹刈りが多少影響しているのかも知れない。

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January 15, 2022

Daily Oregraph: またしても19世紀

 本日の最高気温は4.4度。晴れ。一日中暖かかった。

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 こんなしょうもない写真を撮るようでは焼きが回った……と笑うのは素人の浅はかさで(笑)、ものもいいよう、何気ない日常風景を切り取ったわけ。

 さて『ウォールデン』の最終章より……

  愛よりも、金よりも、名よりも、真実を我に与えよ。

 今どき顔を赤らめずにこんなセリフをいう人はいないと思うが、ソローは大まじめである。金や名はともかく、愛もいらないというのは、ソローが群れない人つまり徹底した個人主義者だからだろう。たとえ思想的に近い人々であっても、彼はつきあいはしても一切の組織には属さなかった……というよりそれは性格的に無理だったにちがいない。

 たとえ相手が国家や法律だとしても、悪しき法や制度には黙って従わないと彼は明言している。自分が従うものはより高い次元の法なのだというのである。つまり宗教でいえば、教会という制度にではなく神にのみ従うわけだ。だから千万人といえども吾往かんというやつで、同調圧力には絶対に屈しない。彼の『市民的不服従(Civil Disobedience)』はのちにガンジーやキング牧師などにも大きな影響を与えたし、非暴力とはいえ権力側からすれば十分に危険思想だろうね。

 たとえほんの数年にすぎなくとも、この風変りな人物が湖畔の粗末な小屋に住んで粗衣粗食に甘んじたことを立派だと評価する人もいるだろうし、その一方で好きで貧乏しているわけでもなければ高等教育を受ける機会にも恵まれなかった人々にとっては、所詮はインテリの気まぐれな「実験」じゃないかと苦々しく映ったかもしれない。高邁な理想を並べ立てられて一歩退く人もいるだろう。

 しかし繰り返しになるけれど、『ウォールデン』の自然描写は見事というほかなく、読者の思想的立場のいかんを問わず、一読の価値はあると思う。

 税金の使い途に異議を唱え、人頭税の支払いを拒否して一晩投獄された彼が、コロナ禍によって失職し税負担力ゼロになった人々からも(!)容赦なく取り立てる消費税にどんな反応を示すか想像してみたくもなるけれど、残り時間の少ないぼくはさっそく次へ進まなければならない。

 ふたたびディケンズに戻って『二都物語(A Tale of Two Cities)』を読むことにする。やれやれ、またしても19世紀である。

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January 01, 2022

Daily Oregraph: 元日の言い訳

 本日の最高気温は-4.8度。晴れ。

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 この年になると元日だからといって特別な思いを感じることもないけれど、昼間からおおっぴらに酒を飲めるのはうれしいことだ。

 -なあんだ、たった一合じゃないか。

 -いや、おれはふだん日本酒を飲まないからね、これでも正月に敬意を表しているのさ。

 さてソローはウォールデン湖(または池)の水深を冬期間に実測している。凍結した湖面に穴を開けて測ったのである。測量術を心得ていたらしく、写真に見える地図を作成しているから、その緻密な仕事ぶりには驚くほかない。

 -へえ、とても隠者の仕事とは思えないね。

 -そうなんだよ。1846年といえばソローは29歳だからまだまだ血気盛んな頃だし、東洋風の白髪の隠者と同じにしちゃいけない。ふつう隠者が池の測深なんてするものか。

 ときどき混じるお説教調にはちょっと閉口するけれど、自然観察の正確かつ細やかな描写には舌を巻くものがあり、それだけでも『ウォールデン』を読む価値は十分にあると思う。すばらしい。

 ……と、えらそうにほめているくせに(笑)まだ読み終えていないのは、ところどころわかりにくい文章が待ち構えているからである。ときどき神吉先生の翻訳を拝見すると、頭が痛くなるような日本文も混じっているから、ははあ先生も苦心されたんだなとわかる。まことに失礼ながら、「先生、それちゃうやんけ」と申し上げたい部分もまったくないわけではない。

 名のある先生が時間をかけて翻訳された文章を、凡才がいいかげんに読み流しては失礼にあたる。一合の酒をチビチビ飲むように少しずつ読むにはわけがあるのだ……と言い訳しておこう。

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December 11, 2021

Daily Oregraph: 枯れた生活

 本日の最高気温は4.4度。晴れ。

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 万物が枯れてしまった……わけではなく、背丈こそ伸びてはいないけれど、畑の表面にはまだ雑草が青々と生えている。しぶとい連中である。

 さて『ウォールデン』を少しずつ読み進めているが、作者は奇人というより相当の変り者といっていいだろう。実にすがすがしい人柄なのは確かだけれど、金もいらねば邸宅もいらんという主義だから、本など書かずに湖畔でひっそりと暮していればともかく、朗々たる声で自説を発表するからには、なにかと世間と衝突を起こしそうでもある(そうだとしても、決してへこたれそうにないところはえらい)。

 同じく狭い小屋に住んだとはいえ、わが鴨長明先生とは大ちがいで厭世主義とはまったく縁がなく、自ら釘を打ってさっさと小屋を建ててしまうソローは体力に恵まれた行動派である。しかしだれもが森の生活をマネできるというわけもなければ、人生いろいろなんだからマネする必要もなし、彼の独特の主張には魅力を感じつつも、同時にいささか反発を抱く人がいてもおかしくはないと思う。

 なお神吉三郎先生の丁寧な翻訳を無料の青空文庫で読めるから、興味をお持ちの方はお読みになってはいかがだろうか。枯れた生活を送る爺婆がちょっぴり若さを取り戻すにはいい作品だと思う。

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December 05, 2021

Daily Oregraph: 冬本番

 本日の最高気温は3.2度。晴れ。

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 港町岸壁のあたりを少しだけ歩いてきた。

 風はそう強くはなかったが、ひどく冷たかった。水鳥たちがノンキそうにプカプカ浮んでいたけれど、鈍感といおうかなんといおうか、この連中はまるで寒さを感じないらしい。

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 もう昼も近いというのに水たまりに張った氷はまだ融けていない。いよいよ冬本番である。

 『カースタブリッジ』読了。本書のイントロダクションは大いに参考になった。考えようによっては、これもリモート授業の一種といえるかも知れない。ただし授業料を納めていないから、いくつか教えていただきたいところを先生に質問できないところがつらい。だから学校ではちゃんと勉強しておかなくちゃいけなかったのだ。

 うんと乱暴にいえば、この作品は性格がもたらす深刻な悲劇であって、シェイクスピアの悲劇と同様に、思わず涙がポロポロこぼれるような話ではない。ドライアイの治療薬としては、先日読んだ『荒涼館』のほうが効果的だろう(鬼の目にも涙……という場面がいくつもある)。

 しかし劣等生には長々と感想を述べる資格もなければ時間もない。すぐ次の作品に取りかかって、本棚にくすぶっている本を一冊でも多く減らさねばならないのである。

 お次は昔四分の一ほど読んで放り投げたソローの『ウォールデン(Walden)』に取りかかる予定である。これまたうんと乱暴にいえば、アメリカ版の合理的『方丈記』みたいなものだろうか(?)。まあ、コロナによる冬ごもりにはぴったりかも知れない。

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