August 27, 2008

Daily Oregraph: 2008-08-27 その後の若波丸

 日本郵船の若波丸に再会したのは2000年の6月であった。

000616pwave1 ところは十勝港。

 おや重量物船とはめずらしいと、M.V. "PIONEER WAVE"の船内に入り、通路に掲げられている一般配置図を見てビックリ。

 書き換えられずに図面に残った船名は、なんと若波丸ではないか。とんだところで昔の女友だちに出会ったような気分であった。名前が変わったからには離婚したのだろう(笑)、君も苦労したんやなあ。

000616pwave2 年期の入った船だけに、事務室には一種の貫禄漂い、黒板に描かれた Stowage Plan にもちょっと味がある。

 どうしてこんな古い写真を引っぱり出したのかというと……ときどき「若波丸」をキーワードにネット検索し、このマイナーなブログをお読みくださる方がいるので、読者サービスのつもりで写真を探したのである。膨大な写真のストックを誇る(?)わが社ならではの企画といえよう。

060620deck ついでだから大サービス。

 ここからは釧路港で撮ったものだが、重量物船だけあってごつい造りであることがわかる。

000620sounding バラスト・タンクの計測をする乗組員。

 こんなところに sounding pipe があるのもいまどきの船とはちがい、なんとなくなつかしい。

 とっくにスクラップにされたであろう彼女の記念のために、また本船を愛するファンのみなさまのために、データの一部を記載しておく。

 建 造         : 1978 / MHI Nagasaki, Nagasaki, Japan
 船 級           : NK
 トン数           : 15,262 tons gross / 8,326 tons net
 寸 法             : LBP×B×D   152.00 (m)×24.40 (m)×14.20 (m)
 ハッチカバー    : Folding type steel hatch cover
 ホールド・ハッチ : 4 holds / 4 hatches

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August 26, 2008

Daily Oregraph: 2008-08-26

080826gendeavor1  廊下でみかけた表示。

 いや、特に意味はない(笑)。

 

080826gendeavor2
 夜のアッパー・デッキ。

 これもまた、特に意味はないのだが、なんとなく。そういうことってあるよね。

 ブレボケはご愛嬌。

 

080826gendeavor3 出港前にメスルーム(食堂)でくつろぐ乗組員。

 ぼくもセルフサービスでコーヒーを一杯いただきながら、パチリ。

 意味がありそうでないのはこれも同じ。まあね、この世は意味にあふれているから疲れてしかたがない。たまにはナンセンスもいいんじゃないだろうか。

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August 25, 2008

Daily Oregraph: 2008-08-25

080825cpoint 今日のセキュリティ・チェックポイント。

 おお、時計つきではないか。デスクに小さなめざまし時計を置いているのはよくみかけるが、こういうのはめずらしい。

 備えつけの記録簿には訪船者が何時何分に乗船したかを記録するから、親切といえば親切だけれど、サインするときにはデスクの向こう側に回るので、結局は腕時計のお世話になるのは残念。

 しかしあまり役には立たなくたって、時計は権威の象徴(笑)。アイディア賞には値すると思う。

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August 23, 2008

Daily Oregraph: 2008-08-22 ドラフトの話 (3)

Yamanashimaru1 いよいよ計算の世界に入る(ぼくのもっとも苦手とする分野(笑))。

 その前に予備知識としてもうひとつ、船の長さについておさらいしておこう。

 ふつうは LOA(Length Over All 全長)で長さを表すのだが、ドラフト計算では LBP(Length Between Perpendiculars 垂線間長。Lpp と表記されることもある)を用いる。これは船首垂線(満載喫水線と船首材前面との交点を通る鉛直線。以下 FP と略す)と船尾垂線(ふつう舵柄中心と満載喫水線との交点を通る鉛直線。以下 AP と略す)との間の距離をいう。

 なお上の図は『海運実務事典』(昭和38年 日本郵船社内報編集室編)付属の「山梨丸(10,100総トン)縦断面図」をもとに作成した。いまどきこんな船はないけれど、実に美しい船型なので借用させていただいた。詳しい図面がないので満載喫水線(黒と灰色の境目)は不正確であることをお断りしておく。

 ここで前回の計算シートをもう一度見てみよう。このシートでは、無地のセルに数値を入力し、うすい橙色のセルには自動計算の結果が表示されるようだ。

 では計算シートの解読に取りかかろう。

Dsurvey2 まず船首部両舷の喫水を平均し、船尾部のそれも平均、船体中央も同じく平均値を計算する。左右の数値がちがうのは、この場合船が右舷側に傾いていることを示しており、これがふつうだから平均を取るのである。

 次に船首の平均喫水と船尾の平均喫水とを足して2で割るのだが……ここまではなにをしようとしているのか了解できる。

 問題は計算の際に、船首・船尾それぞれの平均値の下に corr というセルがあり、そこに表示された数値を引いたり足したりしたあとの数字をもとしていることだ。もちろん corr は correction だから、なにかを修正しているんだなとはわかるけれど、これはなんだろうか?

 初めての方にもわかっていただけるようご説明するので、どうかご心配なく(笑)。ただし根気は必要である。

 計算シートの数値でわかるとおり、船の喫水はふつう船尾のほうが深い(もし船首・船尾ともに等しければ even keel という。またごく稀ながら、前のめりになることもないではない)。

 船首と船尾の喫水差をトリム(trim)という。上の計算シートの場合、目で見た喫水の差(apparent trim)は、10.090 - 7.770 = 2.32 (m) と表示されている(小数点以下の数字の表示が統一されていないのは、このシートの難点)。これを 「2.32 m の船尾トリム」と表現する。

Yamanashimaru2_3 さて喫水の correction(修正)を理解するため、左の図をごらんいただきたい。ここで LBP(垂線間長) が登場するのである。

 ドラフトを計算するには、船首垂線 FP と船尾垂線 AP 上の喫水値が必要である。ドラフトのマークはいずれもふつうは垂線より内側にあるため、ズレが生ずる。つまり肉眼で喫水を測読するのは赤丸の場所の値だが、計算に必要なのは黄丸の場所の値というわけだ(もちろんドラフトマークが垂線上にあれば修正は必要ない)。

 図では、船首垂線と船首ドラフトマークとの距離を d1、船尾側のそれを d2 とした。

 前述のとおり、ふつう船首よりも船尾の喫水が深いから、船体は後ろに傾いている。図中灰色の四角形で囲まれた船首部分の拡大図解を見れば、修正の必要なことがおわかりになるだろう。

 船首喫水の修正量(stem correction)は次のように計算する(単位はすべてメートル)。
 
  (1) 船首ドラフトマークと船尾ドラフトマーク間の距離
    つまり LBP - (d1+d2) を求める。

  (2) 見た目のトリムを(1)の結果で割り、1 m あたりの
    トリム量を求める。すなわち、
        Trim /{LBP - (d1+d2)}
    トリムを計算する際の注意については、あとで説
    明する。

  (3) それに d1 を掛ければ、d1 の長さ相当分のトリム
    量つまり修正量がわかる。

    今回はうかつにも本船のデータを記録しておかな
   かったので、逆算して d1 と d2 を求めてみたところ、
   d1=1.2 (m)、d2=7.8 (m) だとわかった。

    なお LBP は 193.5 m とわかっている。
 
 実際に計算してみると -0.015089 だからピタリである。船尾喫水修正量(stern correction)もまったく同様の計算だから、(3) で d2 をかければ +0.098081 となり、まずはめでたし。

 さて修正量はプラスするのか、マイナスするのかだが、実は船尾トリム(trim by the stern)か船首トリム(trim by the head)かでちがってくる。船尾トリムの場合は上の図のとおりだから、船首側では修正量をマイナスしなければならない(船尾側では当然プラス)。

 ぼくがウンザリしてきたくらいだから、もうイヤになってきた方もおいでかと思うが(笑)、便利な方法がある。修正量を求めるとき、

  船首側修正量計算時……トリム=船首喫水-船尾喫水
  船尾側修正量計算時……トリム=船尾喫水-船首喫水

 として計算シートを作成しておけば、船尾トリムか船首トリムかは無視してもよく、正負は正しく求められる。いま勉強している例では、船首側マイナス、船尾側プラスである。

 例外は球状船首など船首ドラフトマークが船首垂線 FP の外側つまり前方にある場合だ。この場合は、ドラフトマーク間の距離は d1 分だけ増えて、LBP+d1-d2になることに注意する。また修正量計算時のトリムは船首側・船尾側ともに、船尾喫水-船首喫水とすれば正負を正しく求められる。

 要するにドラフトマークが船首垂線の内側つまり後方にある場合とは符号反転するわけだが、納得していただくためもうひとつの図をごらんいただきたい(もちろん船尾トリムの場合)。

Yamanashimaru5 左の図ではドラフトマークが FP より前方にあり、上の図とは逆に修正量をプラスして FP 上の喫水値を求めなければならないことがわかる。

 かくして修正後の船首喫水と船尾喫水との平均値(Mean)は  8.971495 となることがわかった(もとの計算シートでは小数点第4位まで表示されているが、そのままだと電卓では計算が合わないから、ぼくが第6位まで入れておいた)。

 やっと喫水修正をマスターしたところで、どっと疲れが出たから今夜はこれにて。なんでまたこんな面倒な連載をはじめたものか……(笑)

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August 21, 2008

Daily Oregraph: 2008-08-21 ドラフトの話 (2)

Dsurvey_2 Ship's Office のパソコンをのぞいてみたら、おや、ドラフトサーベイの計算シートではないか。

 そういえば『ドラフトの話 (1)』を掲載したのは今年の2月27日。いやはや、ずいずんサボったものである。

 ちょうどいい材料を手に入れたので、シリーズを再開しようと決心した(えらい!)。上の写真は、これから話を進めるうえで役に立つから、毎回掲載することにしよう。できれば印刷してご参照いただきたいと思う(なお写真の数字は、正しい数値を入力する前のものだから念のため)。

 はっきりいって、おもしろいテーマではない(笑)。しかしこれも海事思想普及のためと、老骨に鞭打って話を進めたい。

 まずは初級編から。

 P-S とF-A というアルファベットを目にしてピンとこないようでは、とても先へ進みようがないから、ここで写真によって確認しておこう。

Vessel P は port(左舷)、S は starboard(右舷)。なんで左舷が port なのかを追求すれば、論文をひとつ書けるくらい奥が深く、興味をお持ちの方は佐波宣平先生著『海の英語』をお読みになるようお勧めしたい。

 一方右舷が starboard なのは、佐波先生によると、   

   この言葉が steer(舵を操る)+board(舷)、つまり
  「舵器のとりつけられる舷」の意に由来するというの
  は語源学者間の定説として動かし得ない。

 右舷だけをネタに論文を一編というのは無理のようである。

 F は fore(船首。オモテ)、A は aft(船尾。トモ)。P-SとF-Aさえ押さえておけば、船体の位置関係はたいてい表現できる。

 M つまり midship (船体中央)は、ふだんあまり使われないのだが、ドラフトサーベイにおいてはもっとも重要な部分である。

 P-S両舷のF-M-A、合計6ヶ所にあるドラフトマークを測読した結果が、最初の写真の、

   Fwd(P)  7.76   Aft(P)  10.08    Mid(P) 8.760
   Fwd(S)  7.78   Aft(S) 10.10   Mid(S) 8.970

である(単位は m。なお下の写真は別の船のもの)。Fwd はもちろん forward の略。

 疲れたから今夜はこれでおしまい。

 次回はいつになるかわからないが、検索しやすいようにドラフトサーベイのカテゴリーを新設したのでご利用いただければ幸いである。

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August 19, 2008

Daily Oregraph: 2008-08-19

080819cpoint1 今日の船上セキュリティ・チェックポイント。本船はチップ船である。

 あまりにもシンプルな手前のデスクはともかく、うしろにある控え室(?)にご注目いただきたい。

 雨風をしのぐ……もちろんそれも目的にはちがいないのだが、それではどうして陸上側だけカーテンを開けているのだろうか? そして雨も降っていないし、風だって弱いのに、なぜ三方のカーテンを閉める必要があるのだろうか?

 -え~? わかんない。 Hindi ko alam.

 -だから現場に行かなくちゃいけないのさ。

 答えはチップよけ。荷役中に飛散するウッドチップのダストまみれになるのを防ぐためのしかけなのである。うまいことを考えたものだ。生活の知恵だね。

080819cpoint2  それにしても配置が悪い。狭いデッキではほかに撮りようがないのだ。あまりにも愛想がないから、

 -写真、写真。写真を撮るから出ておいで。

 え、マジかよ、というような顔をして出てきたところをパチリ。おれもずいぶんずうずうしくなったものだ(笑)。

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July 24, 2008

Daily Oregraph: 2008-07-24

080722cpoint
 当社ならではの船上セキュリティ・チェックポイント・シリーズも回を重ね……さてこれが何回目なのか、ぼくにもわからない。

 いずれ写真集でもとは考えているのだが、引き受けてくれる出版社がないので弱っている(笑)。


 

080722corn_2 これが本船の貨物、全部トウキビである。

 なにしろ酪農家のみなさんを困らせているほど値段が高騰し、宝の山ともいえるだろう。せめて宝を手にすくい、じっと手を見る。

080723gangway さてチェックポイントの近くに、こんな掲示があった。

 こう細かく書かれていてはいっぺんに読み切れないけれど、読んだよ、ぼくはマジメに読みました。

 感銘を受けたのは第7条の WALK DO NOT RUN. だなあ。人生の智恵をたっぷり含んだ至言といえよう。もっとも釧路マラソンクラブ会員のみなさんからは異論が出そうだけれど……(笑)

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July 22, 2008

Daily Oregraph: 2008-07-22 飛鳥Ⅱで昼食を

 ティファニーで朝食を、飛鳥Ⅱで昼食を、そして自宅で楽しいながらも貧しい夕食を……このワケのわからなさがいかにも日本人らしいところなのかもしれない。

080722aska1 昨日茅沼温泉のレストランで550円のラーメンを食べたばかりのぼくは、なぜか釧路に入港した飛鳥Ⅱのレストランで今日の昼食をしたためることとなった。

 先代の飛鳥には仕事で何度かおじゃましたこともあるし、国内クルーズに乗せていただいたこともある。だからいわゆる「まかない」をいただいたこともあれば、ブレックファストからディナーまで一通りは経験したこともある(セレブ、セレブ……)。

 たしか朝昼晩の3食プラス午前・午後のお茶の時間(ひょっとしたら夜食もあったかな)。お茶の時間といえどもごちそう責めゆえ、しっかり食べれば満腹になり、まさにメタボ製造マシンだという記憶があるから、どんなランチかと興味津々、勇躍船に向かったことは申し上げるまでもない。

080722aska2 釧路のえらいさんたちに混じって薄氷堂がテーブルにつくのはどうも気がひける。やはりぼくには大衆食堂がお似合いなのだ。

 プライバシーに配慮して、レストランのピカピカの天井に映るセレブな方々を撮ってみた。

 白樺台さんの弟子だけに、ボーイさんの被写体ブレは計算に入っているところがえらい(笑)。

080722aska3 う~む、今日は和食ときたか。

 ずいぶん品数が少ないのは、ちょっと意外。はてな、いったいどうしたんだろう?

080722aska4 運ばれてきた料理を見て、ハッと思うところがあった。

 ぼくが国内クルーズに乗船したのはちょうど15年前。今や時代は一変して健康志向だし、乗客はほとんど年輩の方々である。どっさり料理を出しても食べ残し続出はまちがいない。

 つまり天下の郵船がケチっているわけではないのである。その証拠にお代わり自由だから、もしあなたがご飯を十杯、ザルソバを二十枚食べたければ、ボーイさんは喜んで運んでくれる。しかし人間だれしもミエというものがあるから、ふつう大食いは控えるにちがいない。

 なるほど乗客の健康に配慮しているのだなと悟りながらも、ついついザルソバをお代わりしてしまったのはぼくの若さのなせるわざであり、もう一枚お代わりしなかったのはミエをはったせいである(笑)。

080722aska5 これが食後のナボナ クリームチーズ。

 ナボナのなんたるかを余は知らぬが、ついつられて食べてしまった(笑)。

080722aska6 これが飛鳥Ⅱのレストランである。

 広角レンズでもおさまりきれないほど広い。興味をお持ちの方はぜひカメラに魚眼レンズを装着して乗船されることをおすすめしたい。

 ついでにいえば、メタボなにするものぞ、人間食欲のあるうちが花、食料の潤沢にあるうちが花なのだから、どうかミエなどはらずに何十杯でもお召し上がりいただきたい。

 なあに、食うものがなくなれば飢えるだけの話なのだから……とは、せっかく豪華客船で食事したくせに、えらく景気の悪い結論になってしまった。

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July 08, 2008

Daily Oregraph: 2008-07-08

080708wport1 釧路名物の濃霧はほとんど雨に近く、デッキはびしょぬれである。

 霧の中、黙々とバラストタンクの計測をする乗組員。

 

080708wport2 みごとなスコップさばきに、思わず見ほれてしまった。

 それもそのはず……スコップをみかけるとつい体が動いてしまうという働き者は、われらが釧路マラソンクラブ代表のスコップさんなのであった(笑)。

080708wport4 冴えない天気のせいもあるのだが、今日はなんとなく疲れてしまった。

 それでも夜の港へレンズを向けてシャッターを切るのはジャーナリスト魂のあらわれである……ほんとに立派だなあ(笑)。

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July 06, 2008

Daily Oregraph: 2008-07-05

080705night1
 霧の深い夜に


 

080705night2

 
 
 こういう危険な作業をじっと見守るのは、自分がなにもしなくたって



 

080705night3
 それはそれで疲れるものだ。

 時計はすでに午後十時を回り、今日のところはとりあえずお互い一杯やって寝るしかあるまい。

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July 01, 2008

Daily Oregraph: 2008-06-30 沖へ

080630outerharbor1 日没間近の釧路港港外……ああ、ほんとうに久しぶりだなあ、沖へ出るのは。

 船長が双眼鏡をのぞいているのは、ラダー(縄ばしご)がどっちの舷に降ろされているかを確認しているのである。どうも左舷側には見あたらないようだ。

 するとタイミングよく本船から無線が入り、starboard (右舷)だという。

080630outerharbor2 なにしろ仕事モードゆえ、なかなか思いどおりに写真は撮れず、途中省略して、2枚目はいきなり船上セキュリティ・チェックポイント。

 デスクで署名しておられるのは、沖にきてくださった検疫官。外航船舶は検疫手続きを済ませないと入港できないのである。

 どこの国であれ、第一港ではなによりも先に検疫ということを、船舶マニアなら覚えておこう(笑)。通常は無線検疫という制度の恩恵にあずかるのだが、場合によっては、このように臨船検疫が行われる。

 いい機会だからお断りしておくと、ぼくだってたまにはタメになることを書くのだから、バカにしちゃいけない。海国日本市民のみなさまに海事知識を普及しようと、これでも日夜奮闘しているのである。

080630outerharbor3 無事手続きを終えて下船するところ。

 防波堤の外はもろに太平洋、凪のようでいてウネリのあるのが釧路沖の売りものだから、油断は絶対に禁物だ。

 日頃はずぼらな薄氷堂も、さすがに命は惜しいとみえて、こういうときは人が変わったようにマジメな顔になる(らしい)。

 

080630outerharbor4 船に別れを告げ、今日はこれにて……といいたいところだけれど、まだぼくには仕事が残っている。

 残りの手続きを陸上で片づけ、本船に書類を届けなければならないのだ。

080630outerharbor5 ふたたび戻ってきたときには、あたりはすでに真っ暗。点々と白く見えるのはカモメの群れ。

 暮れた海に浮かぶほのかに白いカモメたちの姿は、いつ見ても幻想的だ。あ、紙切れが飛んでいる、と思ったらカモメだったりするのである。

080630outerharbor6 乗船する直前にラダーをセットしてくださるタグボートの乗組員のみなさん。

 ありがたいことである。おかげさまでケガもなく仕事をすますことができた。

 こうして多くの人々の力によって、港は活きているし、ぼくも生きていける。現場で働く醍醐味だろう。

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June 23, 2008

Daily Oregraph: 2008-06-23

080623fujimaru1 東港中央埠頭3号を離岸し出港する客船ふじ丸。

 見送っているのは運輸支局や釧路市港湾空港部のみなさんはじめボランティアの方々。出迎えや見送りを盛大にという、まことにけっこうな活動なのだが、ふだんは仕事の都合もあってなかなか参加できないのである。

  今日は会社帰りにうまくタイミングが合ったので、取材をかねて(笑)ぼくも仲間に加わった。

 はりきってやってきたのはいいが、作業服ばかり着ているといつの間にか背広の似合わない体になってしまうように、いつも貨物船ばかり撮っているせいだろうか、客船はどうも勝手がちがうのである。

 先日も酔っ払って電話をかけてきた京都の高橋物川先生に、「君の写真には色気いうもんがありまへんなあ」とイヤミをいわれたのだが、祇園で女性のうなじを専門に撮影している好色一代爺さんと無骨な貨物船を相手にしているマジメな現場職員をいっしょにされてはどもならん。

080623fujimaru2 さて貨物船なら経験上この角度がねらい目だけれど、本船の場合はどうもいけない。お尻の曲線は色っぽくて悪くはないのだが、上部の肋骨めいた構造のせいか、なんだか楽屋裏をのぞいているようで、あまり美的とはいえないのだ。

 もし客船は一般に斜め前方から撮るがいいのだとすれば、次回は接岸時の出迎えに参加せねばならないが(笑)、なかなかチャンスはないだろうな。

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May 12, 2008

Daily Oregraph: 2008-05-12

 あいかわらず行きあたりばったり、いつもながら無方針の方針でまことに申し訳ないが、今日は一日一枚を実行できたので、音別・直別探訪編は明日以降に延期することにしたい。

 といったって、世間を驚嘆させるに足る芸術写真が撮れたわけではもちろんないけれど……

080512draftmark ああ、このマークを見るたびに、誰に頼まれたわけでもないのに原稿を催促されているような気がしてならない。いったいドラフト・サーベイ入門編はどうしたのだ?

 いや、ちゃんと手元に教科書も用意しているのだが、なにぶん敵は技術系の分野だけに、雑文科出身の酔っ払いには荷が重いのである。

 やりますよ、いつかきっとやります。絶対に降参なんてしませんとも。

    We shall never surrender.

 -おまえね、たったひとりなのにどうして we なの?

 -たわけ、the royal we を知らぬのか。

080512cpoint そんなわけで、身をやつして作業服を着用に及んだ余は今日も船上チェックポイントを撮るのであった。

 いいなあ、このかすかな微笑、仏様のそれに近いと思う。

 一見おとなしくて、ちょっぴり不器用そうなヴェトナム人が、傲慢な大国アメリカとかつて堂々渡り合ったとは、とてもぼくには信じられない。

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May 02, 2008

Daily Oregraph: 2008-05-02

080502bridge1  最新の船のエンジン・テレグラフはどうだったか、以前ご紹介した大型の円形のものなのかどうか……気になって夜も眠られないので(笑)、船長にお断りしてブリッジにおじゃました。

 なるほどすべての機能が集中した一体型コンソールはスマートだけれど、どこかゲーム機を連想させるところがあり、オモチャめいて見える。

 昔は小さな船にも大型の木製舵輪があって、自動車なんかといっしょにしてくれるなという貫禄が備わっていたけれど、最近の船のスティアリング・ホイールは軽自動車のそれよりも小さいんじゃないかと思う。

 おいおい、こんなんで大丈夫かよ、といいたくなるのである。

080502bridge2 さてエンジン・テレグラフはというと、上の写真の一番手前……これまた機能一点張りで、任天堂のゲーム機なみにコンパクトになっていた。

 もちろんおおげさである必要はないし、コンパクトであって悪いはずはないのだが、おもしろみはゼロである。一般的に新しいものというのは、どうしてこうもつまらないのだろうか。効率はいいのかもしれないけれど、ゆとりが感じられないのだ。

 なお操作はすべて自動的に記録されるんでしょうとたずねたところ、それは船によるらしい。本船には記録装置はないとのことであった。

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May 01, 2008

Daily Oregraph: 2008-05-01

 俳句の世界では立夏(今年は5月5日かな)から夏である。

 夕刊によると、今日は網走・北見方面では、フェーン現象のせいもあって30度を超したというからビックリ、やはり地球温暖化のせいだといいたくなるけれど、まあお待ちなさい。わが釧路市の最高気温は9.4度だったのだから。

 多少の温暖化にはビクともしない釧路が将来日本の首都になるだろう、というぼくの予想にはちゃんと根拠があるのだ。だって40度にもなろうという炎熱の都会でグッタリしていては、まともな知的活動なんてできやしないだろうからね。

 北海道が涼しいというのはホントでもあり、ウソでもある。実際に涼しいのは北海道でも東部、とりわけ釧路・根室地方だと考えればまちがいない。最近では冬だってせいぜい零下十数度、雪も極端に少ないから快適そのもの、釧路がパラダイスでないというなら、いったいどこがそうだというのだろうか?

080501wport1 5月を迎えた楽園都市釧路の朝は、ちょっと肌寒かった。景色もちょっと霞んで見える。

 それでも朝の港の空気はなんとなく新しい季節の到来を予感させ、まだ1日だというのに、
 
    空輝き水輝きて立夏かな   星野立子
 
という句がすんなりと受け入れられるのであった。

080501wport2 ドラフト・サーベイのシリーズをすっかりさぼっているおわびに、全国の船舶ファンのみなさまにお贈りする綱取りボートの写真。

 やはり港の朝はこうでなくちゃいけない。

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April 12, 2008

Daily Oregraph: 2008-04-12

080412evening 長い一日だった。

 雨が降ったり雪が舞ったり、波瀾万丈の展開となったけれど、夕方にはごらんのとおり。きっと明日は天気がいいだろう。

080412bridge ブリッジから終了間近の揚荷役を見守る船長。

 エンジン・テレグラフのほのかな照明がいい感じだ。夜のブリッジには独特の雰囲気がある。

 

080412departure なんだか暗いところで無理な写真ばかり撮っているなあ。カモメがUFOみたいに写っている。

 しかしいくら疲れていても、無事出港する船を見送るのは最高の気分なのだ。今夜の芋焼酎はことのほかうまい.。

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April 11, 2008

Daily Oregraph: 2008-04-11

 風もなく、いわゆる波もないのに、はるか南方にある低気圧のもたらすウネリによって、船体が大きく動揺することがある。

 一見すると水面は平穏なのだが、前後左右上下あらゆる方向に船は複雑に走り、係留ロープは何度も切れてしまう。そういう場面を実際に目にすれば、自然の驚異にビックリ仰天すること請け合いである。

 そんなとき離岸するべきか岸壁にとどまるべきか、船長は苦渋の決断を迫られる。

 安全第一はだれしも百も承知している。しかしいったん離岸してふたたび接岸するには多くの費用がかかるし、余計な時間もかかる。さりとて無理をしてとどまり、万一事故でも発生すれば、もっと費用がかかるだろう。

080410captain 昨日撮ったこの写真は、決してねらったものではない。

 ロープの張りぐあいを調整する船長や乗組員の後ろ姿をなにげなく撮ろうとしたら、船長が不意に振り向いたのである。シャッターチャンスに弱いコンパクトデジカメだからこそ撮りえた、皮肉な一枚といえるかもしれない。

 掲載するかどうかかなり迷ったけれど、重い責任をになった男の表情をぜひごらんいただきたいと思ったのである(写真をよく見ると、うねる水面もおわかりいただけるかもしれない)。

 幸い本船はロープこそ何本も切れたものの、無事に岸壁にとどまったことを申し添えておきたい。

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April 09, 2008

Daily Oregraph: 2008-04-09

080409fog  綱取りボートの向こうにうっすらと船の影が見える。

 あまりボンヤリしていては絵にならないので、コントラストを少し高めてみた。

 実際はもっと頼りない景色だから、初心者なら(笑)船の接近に気づかないかもしれないが、釧路の達人の目をごまかすことはできないのだ。

080409cpoint これが今日のセキュリティ・チェックポイント。

 デスクはなく、壁に取りつけた小さな棚にノートを置いてあった。

 この乗組員もまたなぜカメラを向けられたのか理解できない様子……まあ、無理もないか。

 まだ本調子ではない。Below な話で申し訳ないが、この4日間ほど連続して、体のだるさに加えて腹の調子がよろしくないのである。

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March 27, 2008

Daily Oregraph: 2008-03-27

080327bridge 海図を広げて次の航海の計画を練る船長。

 こういう真剣な表情は、いつ見ても気持のいいものである。

 

080327departure そして船は出てゆく。

 ぼくはというと、あいかわらず地面にへばりついたままだ(笑)。

 

080327snow このまま一直線に春を迎えると思っていたら、意外にも夕方から雪が降りはじめた。

 どうせつもらずにすぐ融けてしまうのだろうが、あまりにも降りっぷりがいいから、車を岸壁に停めて一枚。

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March 26, 2008

Daily Oregraph: 2008-03-25 & 26

080325cpoint  昨日撮影したセキュリティ・チェックポイント。座り机のような小さなデスクがめずらしい。

 変なやつといわれてもしかたがないけれど、散文派としてはこの写真がちょいと気に入っている。ゲージツでないところがクールでいいんだなあ(笑)。

080326etelegraph これが今日の一枚だが、クール度ではもっと上(?)。

 エンジン・テレグラフ(engine telegraph)である。テレグラフというからにはどこか離れたところと通信するわけで、海文堂の「英和海事用語辞典」によれば機関伝令器、なんとなく機関室につながっていると見当がつく。

 しかし Random House の説明のほうがずっとわかりやすいと思う。
 
   Naut. an apparatus, usually mechanical, for transmitting
   and receiving orders between the bridge of a ship and
   the engine room or some other part of the engineering
   department.

 
 つまりブリッジと機関室との間で命令のやりとりをする装置のことで、たとえばブリッジで FULL AHEAD(全速前進) などと指示すると、それが機関室に伝わり、指示を受けたという返事がブリッジに返ってくるわけ。

 ずいぶん以前はこの近くに伝声管もあったのを覚えているが、最近ではみかけない。

 エンジン・テレグラフをいつどう操作したかは自動的に記録されるので、事故の際にはウソをついてもばれてしまう。ぼくもかつて実際に記録を見たことがあるけれど、事故直前のあわただしいエンジン操作の様子が克明にわかるのには驚いた。ぼくが見たのは、スーパーのレシートみたいに印字されたものであった。

 もっともそれはずいぶん昔の話だから、現在では別のかたちで記録が残るのかもしれないし、そもそもこんなおおげさなエンジン・テレグラフが今なおどの船にもあるのかどうか、ちょっと自信がない(なんとなくひさしぶりに目にしたような気もするのである)。

 ちょいとクールな装置だから、ぼくは気に入っている。

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March 24, 2008

Daily Oregraph: 2008-03-24

080324berthing0  朝から陰鬱な空模様のせいか、気分が重い。

 おまけにここのバースに接岸するときは、船を回す場面がないから、どうも気乗りがしない。入ったなりにそのまま接近するから変化に乏しく、おもしろみがないのである。ダンスだってくるりと体を回転させるから美的なのだ、とぼくは思う。

 船首方向から撮りたがる人が多いけれど、やはり船はお尻から斜めの方向に見たときがもっとも美しい。何年もかかって、ああでもないこうでもないと、さんざん撮った結果発見した法則だから(笑)、だれがなんといおうと、一歩も譲れない。

080324berthing そうはいってもムダに船を180度回転させれば時間もかかるし、金も余計にかかるから、ぼくの首があやうくなるだろう。贅沢をいっちゃいけない。

 あ、この写真は全国一千万のファンネルマーク・ファンへのサービスね。

080324lboat そして今日も活躍する綱取りボート。

 う~む、次回は望遠レンズを用意しようかな……なんてね、おいおい何を考えているんだ(笑)。

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March 16, 2008

Daily Oregraph: 2008-03-16 海水比重を測る

080316hydrometer -1.025?

 -1.024.

 数字だけで会話が成立するプロの世界(笑)。今日は疲れたので、これにて。

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March 14, 2008

Daily Oregraph: 2008-03-14 二引特集

080314onc 逆さにしても酒が一滴も出ない空ビン、