February 15, 2008

Daily Oregraph: 2008-02-15

080215wport 今日も写真を撮れなかったな……と、事務所の明かりを消したとたん、スクリーンに映像が浮かび上がった。

 しょうもない写真だけれど、こういう眺めにレンズを向けるようになるまでには、何年もの歳月がかかったし、多くの人々の影響を受けてもいると思う。

 ひさびさに20世紀引用文集を開いてみると……
 
   The virtue of the camera is not the power it has
   to transform the photographer into an artist, but
   the impulse it gives him to keep on looking.

       Brooks Anderson, ONCE AROUND THE SUN 1951

 ぼくのまずい訳でまことに申し訳ないが、入試の答案じゃないからご勘弁いただくとして(笑)、

    カメラの美点は、写真家を芸術家に変身させる力が
   あるところにではなく、見つづけようという気持に駆り
   立てるところにある。

 このアンダーソンという人のことば、日本語 Google ではさっぱりヒットしないけれど、英語で検索すると、写真に関連してあちこちで引用されており、ずいぶん有名らしい。

 残念ながら芸術家にはなりそこねたし、さっぱり腕も上達しないけれど、カメラを持つと目が変わることだけはたしかだと思う。

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August 09, 2007

Daily Oregraph: 2007-08-09

070809fishing 会社前の岸壁。

 カラフトマスが釣れるらしい。このところ連日釣り人でにぎわっている。

 ……と、一日一枚を消化したものの、どうも納得がいかない。自分が釣りに興味のないせいもあるのだろうが、いかにもおざなりな写真である。撮ればいいというものじゃないよなあ。

 そこで港町に寄ってみたのだが、霧にかすんだ景色同様、ボンヤリして気分が乗らない。

 いつもの黒猫もいないしなあ……帰ろうかなと思ったら、いた。

070809cat 今日は運良く魚にありついたのだ。よほど腹をすかせていたのだろう。ガツガツとむさぼる音が聞こえてくる。

 ところがダメな日というのはなにをしてもダメなようで、カメラの露出がとんでもない数値を示すのであった。

 えっ、8分の1秒? 6分の1秒? そんなバカな。

 せっかくいいタイミングで撮れたショットが、いずれも2段以上の露出オーバー。おまけに被写体ブレだからいやになる。

 故障かなと思ってレンズをほかの対象に向けるとほぼ納得できる値を示すのに、黒猫に向けたとたんにおかしくなるのである。60~40分の1秒から、いっぺんに8~6分の1秒に変わるのだから、目を疑った。

 この一枚はマニュアル露出に切り替えて撮ったもの。いいかげん疲れたので、今日はこれでやめにしたのであった。

 心霊ファンの諸君なら訳知り顔にうなずいて、ふん、唯物論に毒された薄氷堂に霊がイタズラしたのだとかなんとか、おもしろい説明を発明するところだろうが(笑)、あいにくぼくはアルコールには依存しつつも、そこまでアホではない。

 帰宅後じっくりカメラの設定を確かめてみると……おやおや、露出設定ダイヤルがいつのまにかスポット測光に切り替わっていたのであった。相手が黒猫だから、故障どころか、カメラは正確に測光していたのだ。心霊学よりはニコンの測光のほうが信頼できる証拠である。

 そういえば思い当たることがある。

 異常に気づいたのは昨日のこと。どうも露出にハズレが多く、へんだなあとは思っていたのだ。しかしふだんいじったことのないダイヤルがずれているとは、思いもよらなかった。

 ファイルを調べてみたら、一昨日(7日)からスポット測光に切り替わっていることがわかった。ところが7日に撮ったのは霧の中を出港する船だったので、あたりはまっ白。どう測光したところでたいしたちがいは出なかったはずだ。

 ダイヤルのズレを教えてくれたこの黒猫はぼくの恩人?

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May 21, 2007

Daily Oregraph: 2007-05-21

 15日の記事に掲載した(当時)釧路村別保の写真について、うっかり撮影時期を「1970年代後半」と書いてしまったが、どうも70年代後半ではなく、前半のようなので訂正しておきたい。

Shirakaba_in_1970s それに気づいたのは、同じネガに写っていたこの写真のおかげである。

 例の別保のヘボ写真よりもさらに出来の悪いこの一枚、ふつうならはずかしくて人前には出せないのだが、もはや時効が成立している。酷評したければするがいいさ。

 さてどんな写真にもなにがしかの価値があることを証明するこのシリーズ、いよいよ佳境に入ってきた。

 まず場所が特定できるのはえらい(笑)。「写真に一切説明は不要」とおっしゃる芸術派ならフンと鼻で笑うところだろうが、ちょっと待っていただきたい。

 金閣寺や東京タワーの写真なら説明不要なのはもちろんだけれど、この写真に「白樺小学校」のバス停が写りこんでいなかったとしたら、価値はゼロに近いと思うのだ。

 次に映画の看板にご注目いただきたい。かろうじて「ミラノ座」という文字が読めるであろう。そう、かつて釧路にミラノ座という映画館があったことを思い出させてくれるだけでも値打がある。芸術写真じゃないからといって、けっしてバカにはできないのである。

 この看板には「ソイレント・グリーン」という映画のポスターが貼ってあり、これこそ撮影年月を特定する手がかりとなったもの。

 この映画は1973年の作品である。看板には、「3月」あるいは「8月」とおぼしき不明瞭な文字が見えるが、写真の景色から見て、明らかに8月であろう。

 ミラノ座はたしか封切館だったから、この写真は1973年の7月ないし8月に撮影されたものであることがわかる。もし封切でないとしても1974年、炭素年代測定法よりもはるかに正確といえよう。

 かくして撮影年月日をメモしていなかったネガから、すでにご紹介した桂恋や別保で撮影した写真が1973~1974年のものであると判明したわけである。

 実はこの写真にはほかにも見どころがあるけれど、長くなりそうだから今夜はこれでお開きにしておきたい。

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May 15, 2007

Daily Oregraph: 2007-05-15

 ええ、お古いところを一席。

Beppo_in1970s これは1970年代後半に別保(当時はまだ釧路村ではなかったか?)で撮った一枚。

 MFレンズでとっさに撮ったとはいえ、ピントが甘い。おまけに主題があいまいだし、構図もいいかげんで中途半端。落第写真の典型である。今でもヘタクソだけれど、当時はよほどひどかったことがわかる。

 よく見ると、たぶんバス停の左にいるカップルに興味を抱いたであろうことがわかる。それがあいまいなのはぼくの度胸のなさのあらわれであることは、見る人が見ればすぐにおわかりになるだろう。

 しかし……しかし、である。いくら出来が悪いからといって、この写真を捨て去っていいものだろうか?

 まずこの写真には、どうも今風でない景色が写っている。これで10点獲得(笑)。次に画面左にご注目いただきたい。

 さぼっているのか、学校帰りなのか、草むらに寝転がっている中学生が二人見える。実はシャッターを切ったときにはこの二人を意識していなかった(スキャンしたあとに気づいたのである)。ようするに勝手に写りこんでいたわけ。この意外性で、さらに10点追加。

 もともとせいぜい10点の値打ちしかなかったダメ写真は、かくして30点に昇格したわけだ。これも素人写真のおもしろさのひとつだと思うのだが、いかがだろうか?

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May 07, 2007

Daily Oregraph: 2007-05-07

070505sunset 今日の夕方は雨。日中はとうとうシャッターを切るチャンスがなかった。

 これは5月5日の夕方に撮った、臨港鉄道の夕景である。ぼくはマンネリの大家だから、何度も同じ景色を撮っているようだけれど、写真を見ると微妙にちがうところがおもしろい。

070507lens -おいおい、もう例の一升瓶を開けたのか?

 いや、まだ開けちゃいないんだけど、2年半ぶりに注文したレンズが届いたので記念撮影。

 みせびらかすほど高級なレンズではない。タムロンの A16(17-50mm F2.8)、フィルムカメラ換算では 25.5-75mm ということになる。

 ぼくは標準レンズの男だから、35mm レンズ(フィルムカメラ換算 52.5mm 相当)一本あればたいていの場合間に合ってしまうのだが、どうしても広角が必要なこともある。たとえば飲み会などでは、24 mm レンズ(36mm 相当)でもまだ足りない。そうかといって、ふだん使わない広角単焦点レンズを買う度胸もなければ必要もないから、3万円台で買えるこれを選んだ。

 Nikon 純正の高性能レンズだと値段がこれの4倍以上だから、とても買えやしない。もちろん安いからにはそれなりのワケはあるにせよ、性能まで4分の1というわけではない。タムロンやシグマのようなメーカーの存在は、ほんとうにありがたいと思う。

 それにしても、根っからの標準派としては、ファインダーをのぞくと目がクラクラする(笑)。

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April 26, 2007

Daily Oregraph: 2007-04-26

070426wport かろうじて一日一枚。

 なに、会社の前から天気が崩れる直前の妖しい空を撮っただけのしょうもない写真で、いつもながら申し訳ない。

 天気予報が的中し、このすぐあと雨がザアザア降りはじめた。

 さてこういうしょうもない写真を撮る人間のことを、わが国ではアマチュア・カメラマンという。写真がうまくなると頭に「上級」という称号(?)が付き、どんなもんだいとご本人も鼻高々である。

 しかしぼくはこの「カメラマン」ということばに以前から疑問を抱いていたのである。

 カメラマンという以上、あくまでもカメラが主であり、主人公であるカメラという機械を扱う技術者というイメージをぬぐえない(いいわるいをいっているのではない。一流の技術者はたしかに存在するのだから)。

 もしカメラではなく写真を主と考えれば、どうしても photographer でなければおかしいのではないか。

 そこでアメリカの辞書 Random House を調べると、

   cameraman     a person who operates a camera, esp. a
             movie or television camera

   photographer   a person who takes photographs, esp.
             one who practices photography
             professionally

 COD も参照したのだが、cameraman は professionally という副詞が追加されているだけでほぼ同じ定義(photographer は独立した項目になっていなかった)。

 ぼくの語感はやはり正しかった。カメラマンは「カメラを操作する人」なのである。しかも そのカメラは、ふつうテレビ・カメラや映画用のムービー・カメラを指すらしい。

 しかしどちらであれ、そのままでは通常プロを意味するから、もっぱらスチール写真を撮る素人を英語で表現する場合、アマチュア・フォトグラファー(amateur photographer) というのが正しいと思う。

 以前どこかで書いたけれど、某写真雑誌が写真家を「Cマン」などと表記しているのは情けない。「フォトグラファー」は長すぎるというなら、「写真家~氏」と表現すべきである(まさか、Pマンとはいわないだろうが……)。

 万国の素人写真家諸君、今日からは晴れて photographer を名乗ろうではないか。もっともうまいへたはまた別の話だが(笑)。

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March 19, 2007

Daily Oregraph: 2007-03-19

 昨日は写真を一枚も撮っていないと思いこんで、ブログをさぼってしまったのだが……ちゃんとシャッターを切っていたのだった。

 ちょいとショック。疲れていたせいもあるとはいえ、朝の写真を夕方には忘れるとはなにごとだろうか。
070318wport
 さて昨日の写真から一枚。船をほぼ真横から撮ると、こんなぐあいに写る。

 船の図面をそのまま写真にしたようだから、いつも申し上げるように、絵としてはつまらないのだが、資料的価値は高いので、一枚は撮っておくべきだと思う。実際仕事上役に立つこともある。

070319sunset そして今日もまた日が暮れてゆく。

 なんの取り柄もない写真だけれど、一日一枚を実行できたのはありがたいことである。

 -もうひとつ、なにか忘れていやしませんか?

 -おっと、忘れるもんか。芋焼酎一日一杯……いや二杯もわるくない。

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March 15, 2007

Daily Oregraph: 2007-03-15

070315sunset 仕事の途中に一日一枚を実践。日没直前の空である。

 なんの変哲もない写真だが、なぜかぼくの今日の気分にはふさわしく、けっして無理をして撮ったわけではない。

 そりゃそうだよな、と思う。人が記録が目的でもないのになにかにレンズを向けるからには、ふつうそうさせるだけの心の動きがあるはずだ。

 そいつを説明しろといわれても、うまく答えられることもあれば、ないこともある。わかっていてもいえないときだってある。

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March 14, 2007

Daily Oregraph: 2007-03-14

   わが影に驚く夜の寒さかな   薄氷堂

……なんてね、昨夜は見たまま寒がったまま駄句をひねってみたが、ここ数日ほんとうに寒い。風のせいもあるのだろう。

070314snow 寒いけれども、釧路にはほとんど雪は残っていない。低気圧は道内のあちこちに大雪をもたらしたが、釧路ではただ風吹くばかり。

 しかし今朝苫小牧から到着した船が雪を運んできた。デッキに残る雪は昨日降ったものである。船長のお話では、朝降りはじめた雪が、みるみるうちに積もったとのこと。

 そんなわけで、無賃乗船の雪が今日の一日一枚になってくれた。なんだか意地になってシャッターを切っているような気がする。意地になるにはもちろんワケがあるけれど、今は黙してゆかん。

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March 08, 2007

Daily Oregraph: 2007-03-08

070306cpoint2 一日一枚、それが撮れない日ももちろんある。

 そこで今日は6日の夜に撮ったボツ写真をあえてお目にかけ、お茶を濁すことにしたい。

 夜のチェックポイントをねらったのだが、ピントがどこにも合っていない。暗い場面でピントが合いにくいのは、コンパクト・デジカメの泣き所である。

 時間をかけて何度も撮れば、たいてい一枚くらいはピントが合うけれど、こういうシーンではそんなことはしていられないからちょっと困る。

 いじっているうちに発見したのが、Picasa 2 でモノクロ変換してから色温度をプラスにふると、古くなって変色したモノクロプリントのようになること。プラス方向にふればふるほど古くなる。

 おもしろい効果なので、試してみる価値はあると思う……と、ごまかしてみる(笑)。

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March 06, 2007

Daily Oregraph: 2007-03-06

070306cpoint 今日はひどく忙しかったのだが、一日一枚はぼくの悲願である。昨日は見えなかったチェックポイントの船名が読めたのでパチリ。

 コンテストねらいの人にはわからないだろうが、ぼくはこの写真に大満足。

 え、なぜだって? だってとびきりいい笑顔が写っているじゃないの。

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March 02, 2007

Daily Oregraph: 2007-03-02

 ここ二日ばかり芋焼酎のグラスやレコードのジャケットなどを撮ってごまかしているのは、写真を撮るゆとり(時間ではなく……)がないからである。

 今夜はごまかしようがないので、まあいい、人間こういうときもあるさと開き直って、ハードディスクにストックしてある写真をぼーっとながめていたら……

020919misonobashi おや、待てよ。ふとひらめくものがあったから、画面を等倍にし、小川ひろき氏の看板を立てかけてある柱に注目したところ……あ、そうだったか! と、つまらぬことを思い出した。

 -おいおい、こんなヘボな写真を見せられるこっちの身にもなってくれよ。

 まあまあ、そういわずにお聞きなさい。紅茶にひたしたお菓子を口にしたのがきっかけで遠い昔の記憶がよみがえり、とうとう大長編小説を書き上げたお方もいることだし、強力な記録媒体である写真には当然記憶を呼び起こす力があるはずじゃないか。

 ここは上賀茂御薗橋西詰。ぼくの学生時代には、この辺に大きな喫茶店があったのだ。ところがその名前がどうしても浮かんでこない。年を取ると固有名詞を思い出せない、というのはほんとうだ。

 この写真を撮ったのは2002年9月なのだが、現場に立ってもなお記憶を取り戻せなかった。通りの景色も一変していたし、喫茶店の建物も見あたらなかったからだろう。

 そこでもう店はないのだ、と思って写真を一枚だけ撮っておいたのである。

 なにしろヘボでつまらぬ写真だから(あえて否定しない)、その後も何度か見るたびに、ふん、つまらねえと自分で愛想をつかしながらも削除しなかったのは、いささかの記録的価値を認めてのことであった。

 しかし今夜やっと記憶がよみがえったのである。

 柱の一番右上には「バイロンビル」という看板が見えるではないか。そうか、「バイロン」であった。

 -いや、やっとすっきりしたね。霧が晴れて、いっぺんに色とりどりの風景が目の前にあらわれたようだ。次から次へと、いろんな記憶が浮かびあがってくる。

 -で、小説は?

 ちぇっ、ぼくにそんな腕前があるものか。でもね、これだけはいっておきたい。

 若者よ、写真を撮っておけ。

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February 28, 2007

Daily Oregraph: 2007-02-28

070228dangerous この写真、名づけて危険な関係

 というのは冗談だが、D70のプリセット・ホワイトバランスを試してみた。ちょっとだけ明るさはレベル調整したけれど、ホワイトバランスは撮ったままである。

 おっ、なかなかいけるじゃないか。手の色など、実物とくらべてみてもほとんど変わらない。このへんはデジタルのありがたさだなあ。

 芋焼酎は無色透明だけど、こうしてみればやはり水とはちがう。水よりも澄んだ感じがする。ブランデーじゃないが、命の水というところだろうか。

 勉強のため、光の当て方や露出を変えてみようかとも思ったのだが、別にレポートを提出して単位を取る必要もないのだし、おまけに芋焼酎を何杯飲めばいいのかしれたものじゃない。

 この写真は2杯目。それもグラスの中身がかなり減っている。このまま撮りつづけたらたいへんな事態になりそうだから、やはりぼくと芋焼酎とは危険な関係

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February 09, 2007

Daily Oregraph: 2007-02-09

 気が乗らないときは昔の写真をながめるにかぎる。

 ぼくの撮ったモノクロ・フィルムはさほど多くはないが、その半分以上は行方不明になってしまい、実に惜しいことをしたと思う。

 物川先生のように口の悪いお方なら、きっとこうおっしゃるだろう。

 -ふん、しょうもない。君のヘボな写真のどこが惜しいんや。

 -どうせヘボですとも。おまけに昔はもっとヘボでした。見直すほどに、われながらほんまに情けなく、芋焼酎五合一気飲みして頭から蒲団をかぶり、ふて寝したくなるほどの出来ですからね。

 しかし、である。

 -先生、NHKのど自慢に出ても最初の一節で鐘ひとつ、という音痴がカラオケ歌ってはあきまへんか? へたくそな短歌や俳句を「昼のいこい」に投稿してはいけないとおっしゃるのですか? ヘボな写真をブログに載せちゃいかんのですか? そりゃあんまりじゃなかとですか(と、涙声になっている)。

 腹が減っているときには賞味期限の切れたカップ麺でもうまいものだ……それじゃ全然たとえになっていないけれど(笑)、ようするにないよりはマシ、古い写真には少なくともなにがしかの記録的価値はあるものだ。

 かつてせっせとフィルム・スキャナで取り込んだ写真、もうすっかり見飽きたはずなのだが、丹念にチェックしてみると、保存しっぱなしでろくに見ていないものが何枚かあったのには驚いた。

Katsurakoi_1970s これは1970年代(たぶん)半ばの桂恋漁港。以前同じ日に撮った別の写真をご紹介したが、これはスキャンした記憶が残っていない。

 このころから港湾造成工事が始まっていたのだろうか。造りかけの突堤の上に重機が見える。

 遠足で訪れたらしいこどもたちの姿がいかにも釧路らしく、水遊びや砂遊びはしても、けっして泳いではいない。海水が冷たいから、たとえ真夏でも泳げないのである(もっと以前には、浜で焚き火をしながら泳いでいる猛者もいたけれど、このころにはもう遊泳禁止になっていたはずだ)。

 のどかな砂浜に重機が現れたところなどは、いかにも1970年代の風景といえる。

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February 07, 2007

Daily Oregraph: 2007-02-07

 どうもこの数日は気が乗らず、今日も今日とてブログをさぼるつもりで芋焼酎を一杯やっていると、死んだはずだよお富さん、じゃなかった、京都の怪人高橋物川先生からの電話である。

 悪い予感が的中し(笑)、受話器を耳に当てるなり、人肉食についての講義が始まったからには、どうせ先生もシラフではあるまい。

 北海道新聞はひどい左巻きであるだの、君みたいな唯物論者はかわいいもんやだの、例によって言いたい放題だが、こちらはとっくに慣れっこになっているし、ハイハイとうけたまわっていると、

 -君とこの植物アルバム、なんやあれは、万葉にうたわれる花がひとつもあらへんやないか。大和の文化のメインストリームたる和歌の世界からはずれた、しょせんは夷狄の地やな。

 そんなこといわれたって、ブラキストン線にへだてられているんだからしかたがないけれど、たしかに古典的な和歌の世界とのへだたりは大きく、こどものころからずっと違和感を感じてきたことは否定できない。

 おおげさにいえば、日本語を非常によく解する外国人が、真っ赤になったストーブにあたりつつ、へえ、これが日本の伝統文化ねえ、といいながら万葉集や古今集をめくっている……そんなところもないではない。

 -花の写真だけ見せたかてしょうもないしね。写真に和歌でも添えたらどないや。

 よくいうよ、ほんと。ぼくにそんなセンスがないのはもちろんだけど、夫子ご自身和歌なんて詠めるんかいな?

 もちろんアイディアとしては悪くない。そこで Google で検索してみると、花の写真に和歌や俳句を添えたサイトはたしかにある。むろん自作とはかぎらず、歌集や歳時記から選んだものを掲載しているのだが。

 あるサイトでは、ニリンソウの写真に添えて、

   二輪草の一輪すこしおくれけり  岡村英子

なる句を紹介していた。ちょっと理のまさった句だとは思うが、手慣れたものだ。

 ところでそこに掲載されている写真のデータを見ると、ニリンソウは東京では4月の中旬から下旬に咲くらしい。まずそこに問題があるのだ。

 歳時記によれば、春は立春(おおむね2月4日)から立夏(おおむね5月6日)の前日までをいう。

050611nirinso ところが釧路ではニリンソウは5月下旬、どうかするとこの緑変したニリンソウのように、6月上旬(写真は2005年6月11日撮影)まで咲いている。

 つまり季がひとつずれてしまうのである。「一輪すこしおくれけり」どころではない。大和や関東の基準に合わせろといわれても無茶な話だと思うのだが、北海道の国語教師のみなさまはどうお考えだろうか?

 しかし酔漢物川先生の言い分にも、耳を傾けるべきところはある。ぼく自身は短詩型の素養に欠けているから遠慮しておきたいが、花の写真に先人の和歌や俳句を添えるとおもしろいかもしれない。

 ※ニリンソウなのに、どうして写真のは一輪なんだとおっしゃる方もおいでかとは思うが、これは別にめずらしいことではない。

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January 17, 2007

Daily Oregraph: 2007-01-17

 今日はまったくシャッターを切っていないので、昨日(1月16日)掲示板のほうに掲載した、昔撮った夜の写真のつづき。

020208gotanda これも2002年2月8日に、五反田の駅周辺をぶらついたときに撮ったもの。

 この写真には特別な思い出がある。むろん出来がよくて人にほめられたわけではない(笑)。ただの散歩写真である。

 実はその翌年だったか、古本屋に小学館の日本写真全集が並んでおり、定価一冊5,800円のところを千円で買えたので、4冊だけ選んで購入した。

 第7巻『都市の光景』をめくっていると、見覚えのある景色が現れたのにはビックリ。写真家石元泰博さんが昭和58年(1983年)に撮った、昼間の五反田の写真である。

 大型カメラで撮られたその写真は、レンズの画角もちがえば、作品のねらいも異なり、もちろん出来も段違いで、そもそも比較するのは失礼千万だけれど、ぼくとまったく同じ場所(歩道橋上)から、ほぼ同じアングルで撮影したことだけはたしかであった。画面左端に見える二つのビルも、当時とまったく変わっていない。

 だからだれにもほめられたわけではないが、偶然同じ場所から撮ったというだけで、百年も修行を積めばおれもすこしは上達するのではないかと勝手に錯覚し(笑)、なぜかうれしくなったのである。

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January 12, 2007

Daily Oregraph: 2007-01-12

070112wport 倉庫名や事務所名を伏せるため、わざと寄って写したのだが、これはれっきとした報道写真(?)。

 1月7日の記事に、シケに強い東港がこのありさまでは、西港はすごいことになっているのではないかと書いたが、まさにそのとおりであった。

 このプレハブの事務所は、岸壁を越えた波をまともにくらって、建物ごと斜めにズレてしまったのである。当日の様子を知る人にお聞きしたところ、あんなものすごいウネリは初めて見たとのこと。

 低気圧によるウネリの威力もさることながら、もし大津波でも襲来したらどうなるのだろうか? 水の恐ろしさをあらためて認識した次第。

Slowspeed さてルート38さんが昨日の記事にお寄せくださったコメントに、夜景撮るのに三脚でも?などと考えていたところですとあったので、手ぶれ補正なしのポケットデジカメ(Nikon E7600)でどこまでいけるか、ちょっと例をお見せしたいと思う。

 全体をお見せできればいいのだが(案外よく写っているので、ごらんになったらきっとビックリ)、職業倫理上やや問題がある。そこで、ほんの一部分のみを等倍で取り出してみた。

 上はフラッシュ非発光で ISO200・露出時間2.00秒、下はスローシンクロで ISO 70・露出時間1/2秒、いずれも三脚なしである(このカメラは ISO 感度を自動選択する)。上は狙撃兵みたいな格好をして撮り、下は手近にあった台にカメラを押さえつけて撮影した。

 どうして上の写真をフラッシュ非発光にしたかというと、あまりにも暗い場所だったため、とてもフラッシュの光が回らないと判断したからだ(ポケットデジカメのフラッシュは、闇夜の提灯みたいなものだから、ほんとに役立たずだと思う)。下のほうは、ほかのライトがいくつかあって、やや明るい場面だった。

 どちらも多少のブレはあるが、ぼくにとっては十分許容範囲。上のほうは暗すぎてピントもよく合っていないようだが、肉眼で見るよりもハッキリ全体がわかるのには驚いた。

 ルート38さんも夜景に興味をお持ちのようだが、実際にやってみると、案ずるより産むがやすし、意外によく写るものである。おもしろくてやめられなくなるんじゃないかと思う。

 電柱は円いからあまり低速だとカメラが途中で動きやすいため、橋なら欄干がいいように、ゴミ箱など上が平面になっているものがおすすめ。条件がよければ1~2秒まではいけると思う。

 衣服を汚してもよければ、背中全体を強く壁や塀に押しつけてカメラをがっちり構えるとか、地面に腹ばいになって(笑)射撃の体勢を取れば、1/4秒はいける。

 ただし歩留まりは当然悪くなるため、液晶モニターで確認しながら、何枚かシャッターを切る必要がある。もちろん望遠側で撮るのは無理な話だから、広角側~標準(35ミリフィルムカメラでいえば50ミリ程度)がいいところ。

 ポケットデジカメがぶれやすいというのは、撮影スタイルに問題があり、片手撮りなどもってのほか。キヤノンのサイトで片手撮りのアニメを見て、ぼくはビックリした。手ぶれ補正があるからいい、という話ではないと思う。片手撮りはあくまでも非常手段だろう。ちゃんと構えて撮れば案外ぶれにくいというのが、ぼくの印象だ。

 三脚を使えよ、という方もおいでだろうし、そんなことは百も承知しているけれど、散歩するのに重くてヤボな三脚なんぞ持ち歩けるわけがない。

 さあ、あなたもポケットにデジカメを入れて、夜の街をさまよってみてはいかがだろうか。

 なあに、失敗したってどうせアマチュアにクライアントがいるわけじゃなし、疲れたら居酒屋で一杯やる楽しみもある。

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January 11, 2007

Daily Oregraph: 2007-01-11

070111blackcat  彫刻家北郷悟さんの作品「黒猫」。

 わけあってぼくの勤める会社に保管してあるのだが、近日中に所有者にお返しする予定なので、シャッターを切った。

 窓枠は入れたくなかったのだが、場所の制約上やむをえず、残念。

 仕事上の必要から、今日はこのほかに会社で絵画数点をマジメに撮影した。
 

070111kitaodori あいかわらずしょうもない写真なのはご勘弁いただきたいが、これはPowerShot A 710ISの手ぶれ補正機能を、街に出たついでにテストしたものである。

 ポケットデジカメには一眼レフのようなミラーショックがないから、電柱などにカメラをがっちり押さえつければ、手ぶれ補正なしでも1秒、どうかすると2秒まではなんとかいける。

 これは1/8秒だが、まったく支えなしの手持ちで、しかもカメラをサッと取り出して撮ったものだから、たしかに手ぶれ補正は有効だと思う。夜のスナップも、町中なら十分いけそうだ。

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January 10, 2007

Daily Oregraph: 2007-01-10

070110sky 今日も苦しまぎれの一枚。

 -おい、毎度港の空を見せられる、こっちの身にもなってみろ。

 -まことに申し訳ない。だからこうして芋焼酎を飲みながら反省しているじゃないか。……だけどさ、デジカメが進歩したからこそ、こうして夕暮れの空の微妙な色合いを楽しめるってことを忘れてはいけないね。

 -おっ、開き直りかよ。

980621toeishogakko まあ、これを見ていただきたい。1998年6月に、近所の小学校の運動会を撮った一枚だが、30万画素の世界はこんなものであった(FUJIFILM DS-20使用)。

 メモ用ならこれで十分だという人も当時いたが、メモにもなにも、細部がガタガタだから、ただものが写っているだけで、とても実用になる代物ではなかった。

 最近ではデジカメの写真を等倍で鑑賞するのは邪道だといわれているけれど、そんなこといわれたって、これで等倍なんだから(笑)しかたがない。

980626yoshidashoten 富士写真フイルムの名誉のために、写りのいいのを選んだのがこれ。

 霧がかかって万物の輪郭がボンヤリすると(笑)、このカメラは実力を発揮した。どうだろうか、同じ30万画素でも携帯の画像とはさすがに一味ちがうと思う。(2枚とも一切レタッチは施していない。EXIF のデータが残っているので、興味のある方はどうぞ)

 -どうだい、空の写真だって、ちっとはありがたみが湧いてきただろう。

 -ちぇっ、おれはもう帰るぜ。

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January 03, 2007

Daily Oregraph: 2007-01-03

070103sunrise  今朝は早起きして初仕事。

 船が接岸したのは、ちょうど日の昇る頃であった。気温はさほど低からず、気嵐も立たなかった。

 さっさと昼で帰るつもりだったが、もう一つの仕事がはかどらず、結局帰宅したのは午後7時過ぎ。

 もうこのあとは芋焼酎を飲むしかないではないか。

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December 09, 2006

Daily Oregraph: 2006-12-03 (3)

益浦から桂恋へ(3)

061203katsurakoi1 桂恋漁港に着くと、ちょうど一隻の漁船が帰港したところであった。

 日本全国どこの地方漁港でも見られるありふれた光景なのだが……たまたまぼくが1970年代にここで撮った写真があるので、まずはごらんいただきたいと思う。

70s_katsurakoi1 操業中のたくさんの昆布漁船を、桂恋の浜から撮ったもの。

 昆布漁はもちろん現在も続いているけれど、この景色はやはり今風ではなく、なんとなくなつかしい。

70s_katsurakoi2 こちらは浜から集落を見たところ。小学生の頃こちらに遠足に来たことのあるぼくは、このときすでに景色の変わりように驚いた覚えがある。

 しかし風景は再び一変していた。もうお気づきかと思うが、これら2枚の写真のどこを探しても、防波堤や立派な岸壁など見あたらないのである。 どこがどう変わったのだと聞かれても困るが、家並みの印象もずいぶん変わっていた。

061203katsurakoi2 岸壁の背後には、岩見浜でもみかけた昆布干場があった。

 丘の上には桂恋神社が見える。神社からは港を一望できそうなので、坂道を上ってみることにした。

061203katsurakoi3 コンクリート製の二の鳥居から見た社殿は、さほど古い建物とも思えなかったが、修理でもしているのか、ちょうど工事中であった。

 吹きさらしの境内にはお狐さんの姿もなく、シンプルそのものだが、こうして手をかけているからには、きっと祭りもおこなわれているのだろう。

 
 

061203katsurakoi4 神社から港を望む。

 相当の予算をつぎ込んだらしく、規模は小さいけれど、よく整備された漁港である。1970年代の景色がまるで幻だったかのような錯覚を覚える。

 これほどの変貌を目のあたりにすると、もはや変りようはあるまいとさえ思えるのだが、やはりこれからも地方のマチや浜の没個性化は進行していくのだろうか。

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November 21, 2006

Daily Oregraph: 2006-11-21

 一日たかが一枚とはいっても、仕事をしている以上、撮れない日もあるものだ。しかも夏場とちがって日没の早い今の季節は、勤め人にとって条件は悪い。

 夜景について写真の入門書を読むと、暗くなってからでは美的な絵になりにくいから、空に青みが残っている時間をねらえ、てなことが書いてある。

 しかし午後5時といえば、道東の空はもう真っ暗、夢も希望もないのである。第一空に青みが残る時間帯なら、夜景じゃなくて夕景ではないか。そりゃずるいよ。

061121pekintei 待てよ、あそこはどうかな?

 通っている歯科医院の隣にある中華料理店。昼間見てもカメラを向けようとは思わないけれど(失礼)、夜になって灯りがともれば、ぐっとなつかしい雰囲気が漂ってくるのである。

 歯の治療も今夜で一段落したことだし、そのうちお店に入ってみようか。

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November 01, 2006

Daily Oregraph: 2006-11-01

 午前中は病院で検査。X線による胸部ポートレイトを鑑賞する。

 自分ではちっともわからないけれど、医師によれば切除したあたりは順調に回復しているらしい。芋焼酎のご利益だろう。

061101whouse 朝っぱらからモノクロ・レントゲン写真なんぞを目にしたせいだろうか、午後仕事の途中に通りかかった北埠頭の倉庫の壁面を見て、いたく感動した。

 こちらはあわれ満身創痍である。

 歴史ある東港の中でも北埠頭はとりわけ古く、その倉庫群は今や崩壊寸前、取り壊されるのもそう遠い将来ではあるまい。

 こりゃあ色は余計だなというわけで、モノクロ変換してみた。

061101whouse2 芸術の秋らしく、倉庫もアートしているとみえ、あちこちにおもしろい模様が浮かび上がっている。

 仕事中だからもちろん時間はない。もう一枚だけ。

 こちらはすべて灰色だが、濃淡さまざまなところに味があると思うので、カラーのままにしておいたけれど、さてどうだろうか?

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February 12, 2006

三輪晃久 遺作写真展

pamphlet ぼくは面倒くさがり屋だから、ふだん美術館とは縁遠いのだが、釧路市生涯学習センターへ行ったついでに、同館3階にある釧路市立美術館をのぞいてみた。

 たまたま写真家三輪晃久さんの遺作写真展が開催されていたので、鑑賞させていただいた(「いただいた」というのは、なんと入場無料だったからである)。

 同氏は千葉県のお生まれだが、写真家としての出発の地は釧路であった。

 釧路で終戦を迎え、占領軍の将校に写真の手ほどきを受けてこの道に入り、世界各国を撮影取材、1978年には北極圏のオーロラ撮影により内閣大臣賞を受賞。日本写真作家協会会長をお勤めになった方である。

 2006年1月川崎市で急逝。享年81歳であった。

 すぐれた風景写真も多いけれど、ぼくは世界各地の人間を撮った作品に感銘を受けた。ヒューマニズムということばは、今や手あかにまみれ、口にするのもなんとなく照れくさいけれど、それがすなおに感じられるのは、さすが写真家の力量であり、またお人柄のあらわれでもあると思う。

060212kmiwaten やはり写真はプリントだ。

 デジカメ世代からすると、なんで見ようと勝手だろう、ということになるのだろうし、実際それは勝手にはちがいない。ぼくだって、自分のへたくそな写真をめったに印刷しやしない。

 しかしこういう写真展を見ると、やはりプリントだ、と実感するのである。

 またフィルム撮影した映画とビデオカメラで撮ったテレビドラマのちがいを思い起こしていただくとわかるように、フィルムから大伸ばししたプリントを見て、デジタル未だしの感を新たにした。画面の奥行きや立体感、つまりは現実感がずば抜けており、ウソくささがないのだ。

 デジカメも一眼レフの普及とともに新たな段階を迎え、いずれは欠点も克服されることと思うけれど、91点もの作品が展示された写真展を見終え、フィルムには底力があることを再認識することとなった。

 三輪晃久遺作展、本日が最終日だから、ラッキーな一日になった。

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June 12, 2005

ひとびと-(9) 孫と遊ぶ

 孫と遊ぶおじいさんの姿などめずらしくもないのだが、この一枚、日本国においてはとっくに失われた、とんでもなく昔の光景のように見えるのは気のせいだろうか。

740315N03 最近のリッチなお年寄りが孫を甘やかせているのとは、なんとなくちがうように感じるのである。

 この写真に味はないけれど(笑)、おじいさんの不器用そうなところに味がある。

 なおこんな罪のない写真をも盗撮として非難したがる岡っ引きのような諸君に対しては、とっくに時効が成立していると申し上げておこう。

(1974年3月15日 京都市内にて)

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May 15, 2005

ひとびと-(8) 車内

 列車の車内のひとびとにも、たまにカメラを向けたくなることがあるものだ。

 しかし最近は肖像権なるものがやかましく、おまけに女性の盗撮をする輩が横行しているので、あらぬ誤解を避けるため、ぼくも遠慮している。たまに車内風景を撮るときには、こっそりではなく、堂々とカメラをかまえて撮る。

 肖像権に嫌煙権……なにかというと根拠の定かならぬ権利をふりかざす人が増え、ギスギスしていやな時代になったものだ。この種のことがらは、権利・義務で