June 26, 2019

Daily Oregraph: 楠を見る男

 最近は部屋にこもることが多いので、なかなか写真が撮れない。上手下手に関係なく、絵のない絵日記はありえないから、それは非常に困る。絵が欲しいのは絵日記や絵本だけではない。ディケンズの小説のように、挿絵あればこそ時代の風俗もわかるし、おもしろさも倍増する。もっと挿絵入りの小説本があっていいと思う。

 さて、絵は自分で描かねばならないという法律はない。画料を支払って専門家に頼むという方法もあるけれど、そんな余裕はないぜ、という自己責任で貧乏になった諸君もきっといるだろう。

 しかし人間万事金次第という連中には想像もつかぬだろうが、一文にならなくとも絵を提供してくれる人はたしかにいるんだから、世の中けっして捨てたものではない。

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 堂々たる楠の勇姿に圧倒された当社大阪通信員が写真を送ってくれた。無給だというのに、実にありがたいことである。いずれ大阪へ遊びに行ったら一杯おごるから、期待しないで待っていてくれ。

 おい、たまには街を撮ったらどうだい、と提案しても、彼がスマホのレンズを向けるのは、たいてい植物である。どうも植物から生命力をもらっているふしがある。光合成ならぬ緑合成人間なんだろう。

 写真はどこかの公園で撮ったもののようだ。いいね。こんな場所を散歩して、歩き疲れたら立呑み屋で一杯なんてのも悪くない。いつになったら実現するか知れないけれど……

 あ、暑苦しい夏には絶対行かないからね(笑)。

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June 22, 2019

Daily Oregraph: 大阪の赤い花

-銀杏(イチョウ)に赤い花が咲くって知っていたかい?

 大阪通信員からそんなメールが届いた。知りまへん。我不知道。Je ne sais pas. 第一釧路にイチョウの木なんてないのである。調べてみたら、雄花は黄色、雌花は緑らしい。

 しかし写真がないから「赤い花」といわれても見当がつかない。そこで写真を撮って送ってくれと催促したら、おれのスマホじゃズームで撮れないんだ、という。すまん、無給だからズームレンズ付きデジカメは買えないよなあ……

 それでも撮ってくれたから、まあごらんあれ。

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 問題の部分がちょっとわかりにくいから、

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トリミングしてみると、たしかに赤い花が見える。なるほどこれはめずらしいにちがいない。

 おい、これはきっといいことがあるぜ。赤い花だからね、なにかパッと華やかな出来事が待っているはずだ。ゆめ疑うことなかれ。

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June 20, 2019

Daily Oregraph: 妖怪と詩人と

 いつものコースを散歩した。一応コンパクト・デジカメは首からぶらさげているのだが、最近ではめったに写真を撮ることはない。どこにレンズを向けても定点撮影になってしまいそうな気がするのである。

 もちろん狐狸妖怪のたぐいでも出現すれば話は別だ。実際狐ならこのへんにもいる。しかしキタキツネじゃありきたりでつまらない。からかさ小僧、大入道、ぬりかべなんて連中が目の前に現れることはないだろうから、まあいいさ、今日はひたすら歩くことにしようと思っていたら、

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正直いって、これにはギョッとした。たかがプラスチックの人形にすぎないのだが、妙に落ち着かない気分がする。紙にマルを書いて点々を打ち、横棒一本引いただけでも人の顔に見えることを考えると、こいつはまさしく人間そのものだ。しかもぱっちり目を開いているから、からかさ小僧の何倍も気味が悪い。

 う~む、意外にも妖怪に出会ってしまったらしいな。

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 知人(しりと)の浜に、めずらしく人影を発見した。妖怪ではない。最初は近くの漁師さんかと思ったが、そうではなかった。

 啄木だ。現代の石川啄木にちがいない。啄木はじっと海を見ていた。お顔の判別できぬ距離だからよかろうと、詩人のお姿を勝手に撮影させていただいた。

 本日は思わぬ収穫があったというべきだろう。

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June 13, 2019

Daily Oregraph: 裏庭画報 小松菜収穫

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 ちょっとした仕事が二つほど入ったので、ブログをさぼっていた。どうせ毎日遊んでいるんだろうと思われてはシャクだから、ここに明記しておく。

 本日は小松菜の初収穫。種をまいたのが五月四日だから、ずいぶん日数がかかっている。いかに釧路の気温が低いかおわかりいただけるだろう。もう少し待てばもっと大きくなるけれど、このくらいのサイズのほうがうまいと思う。

 すでに虫食いの穴がポツポツ見えるけれど、来月からは虫の活動が活発になるから、もっとすごいことになる。雑草もはびこりはじめた。たとえ猫の額ほどの地面でも、自然を相手にするのはしんどいものだ。

 ニューヨークのストライキのつづきは、まだ手を着けていない。原作は迫真の描写で一気に読ませるのだが、かなりのページ数だし、メモを取っていないから(小説を読むのにメモを取らないのがふつうだとは思うが……)、うまくまとめるのがむずかしい。ちょっと考えてからにしたい。

【業務連絡】

 11日に英単語帳がやっと16,000項目を越えました。どこまでつづくぬかるみぞ(笑)。

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May 30, 2019

Daily Oregraph: 緑の季節

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 相生坂東側。いよいよ本格的な緑の季節になった。

 本日の最高気温は気象台の記録では16.9度だというのだが、ほんまかいな? 少し風はあったが、天気はよし、さわやかな散歩日和であった。

 せっかく歩いて気分爽快になったというのに、最近のニュースを見ているとうんざりする。ハムレット王子のセリフではないが、どうやらこの世の関節が外れてガタが来たらしい。

 ガタが来ているのだから、「それを正すべくおれはこの世に生を受けたのだ!」とは、さすが王子にふさわしいセリフである(小田島雄志氏の訳を拝借)。わが国のアベさんにも、一国の首相たるもの、ウソでもいいから(笑)そういう決めゼリフをいってほしいものだが、ダメだありゃ。

 あの目に余るへつらいぶりには、あまりご立派とはいえぬ飼主であるトランプ氏でさえ心底軽蔑しているにちがいない。このバカめ、と思っているはずだ。せめて飼主が無法を行ったら手を噛むくらいの気概がなくてはいけないのに、あれではいかにも情けない。

 快適な緑の季節だというのに、頼むよ、ほんとに、恥ずかしいんだからさ。 

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May 26, 2019

Daily Oregraph: 釧路に夏が来た

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 白妙の衣は干していないけれど……相生坂に夏が来た。

 本日の最高気温は24.0度。ちょうどいい気温ではないか。散歩をすると、途中からうっすら汗がにじんでくるけれど、少し風があるからまことに気持がいい。

 帯広では38.8度、いつもは涼しい根室でも34.0度だったから、釧路がいかに快適な町であるかおわかりいただけることと思う。避暑に行ける金持でなくとも、みんな平等にこの涼しさが味わえるという、わが国屈指の民主的都市である。

 珍無類のでかい笠をかぶって暑さをしのごうという(よくもまあ、あんなバカなことを考えついたものだ)どこぞの暑苦しい大都会を脱出して、あなたも釧路にいらっしゃい。

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 近所のお宅のユキヤナギ。わが裏庭のものより枝ぶりがよかったので、勝手に撮影させていただいた。当社大阪通信員君がユキヤナギの写真を送ってくれたのは3月20日だから、こちらは2ヶ月以上遅れている。

 すなわち遅咲きの花というわけだが、これはほめことばである。この涼しさが幸いして、いずれ釧路が脚光を浴びる日もくるであろう。遅咲きの町というわけだ。

 特にこの冷涼な気候は勉学には最適だから、ロシア圏を視野に入れた国際大学都市を目指すのも悪くはない。九州の大分に APU という大学があるんだから、North Pacific University (略称 NPU)というのはどうだろう(どうせホラを吹くならこのくらいでなくちゃね(笑))。

 あ、釘を刺しておくけれど、一儲けをたくらんで補助金詐欺をしてはいけませんぞ。

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May 24, 2019

Daily Oregraph: 最後の一棟

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 釧路東港中央埠頭の西側岸壁に残った倉庫最後の一棟。すでに二棟が解体され、残ったこの一棟も解体されているのは知っていたけれど、ひさしぶりに通りかかったら、ずいぶん工事が進んでいたのには驚いた。

 ちょうど昼休みで工事が中断されていたから、工事車両の出入口からちょっとだけ中をのぞかせてもらった(内部へは立入禁止だから念のため)。弥生中学校校舎の解体のときにも思ったのだが、滅びゆく建物には、刻々と姿を変えていくだけに、一種のはかない美しさがある。滅びの偶然芸術だな。

 窓から見える最後の一葉に自分の命を託したのは、オー・ヘンリーの短編中に登場する病人であった。まさか倉庫最後の一棟におのれの運命を重ねているわけではないが(笑)、ああ、とうとうこいつも姿を消すのか……という一抹のさびしさは否定できない。

 で、からっぽになったら、西側岸壁はこれからどう利用されるのか? 全国の読者諸君もきっと興味をお持ちのことと思う(?)。わかったらお知らせするので、あてにしないでお待ちいただきたい。

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May 10, 2019

Daily Oregraph: 古本物語

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 本日古本屋で拾ったのはこれである。えらい先生の著書ゆえぼくも存在を知ってはいたが、学生時代は筋金入りの怠けものだったから、もちろん読んでいるはずもなく、罪滅ぼしになろうかと、神社にお賽銭を上げるつもりで(笑)300円を支払った次第。

 この手の古本を買うと気になるのが持主である。定価1.600円といえば安価だと思うかもしれないけれど、昭和40年発行だから、結構なお値段と考えたほうがいい。今ならまず五千円は下るまい(立派な造りの大著だからもっと高価ではないか)。ふつうのサラリーマンなら、当時買おうか買うまいかちょっと迷う額であったはずだ。

 まず英語の先生あたりが候補に浮ぶけれど、奥付に押してある赤いスタンプを見ると、「釧(路)□□字」という文字が読み取れる。

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 そして、これ。そう、図書館である。では、どこの図書館だろうか? なお「大正堂」という書店をぼくは記憶していないが、Google で検索すると「釧路市詳図 (大正堂書店): 1932」というのがヒットするので、少なくともかつて釧路市内に存在したことはまちがいない。

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 本文をぱらぱらめくっていたら「釧赤看学」の文字を発見。奥付に見える「字」と組合わせると「赤十字」であろうと推測できる。してみれば「釧路赤十字看護学校」だろうか?

 検索してみると「釧路赤十字看護専門学校」はヒットするのだが、どうも詳しい情報が見当たらない。関連する項目を探してみると、ウィキペディアの「日本赤十字北海道看護大学」(1999年に北見に設置)の項目が参考になった。以下同項目から引用する(太字は薄氷堂)。

 北海道における日本赤十字社の救護看護師養成は、1894年(明治27年)に始まる。これまで旭川(1923年開設)、北見(1939年)、伊達(1944年)、釧路(1966年)、浦河(1990年)にそれぞれ赤十字看護専門学校が開校され、看護師を養成していた。 当初、釧路市に開校の打診があったが、綿貫釧路市長が財源がないことを理由に独断で拒否、結果的に立地の機会を喪失した。

 1999年の日本赤十字北海道看護大学開学に伴い、北見、旭川、釧路の赤十字看護専門学校がそれぞれ統廃合され、現在は伊達と浦河の2校で看護師養成が行われている。

 つまり釧路赤十字看護専門学校は1966(昭和41年)に設置され1999(平成11年)に閉校になったらしい。ぼくの買った本には「廃」の字のスタンプが押してあるから、閉校になったときに図書館の蔵書を処分したにちがいない。

 ついでにご紹介すると、Google の検索結果にこういうのがあった。

 釧路赤十字看護専門学校同窓会は、今後、同窓会の維持が困難になるため2010年11月6日(土)の同窓会総会で承認を得、解散いたしました。

 母校を失うというのは悲しいことだ。ホロリとさせられる話である。

 さてこれで出所はわかった。看護専門学校では英語も教えていたのだろう。斎藤先生の文学史は(失礼ながら)若い学生諸君の手に負えるような書物ではないから、たぶん英語担当の先生が図書館の予算を使って、ご自分の欲しい本を注文されたのだろうと思う。

 いや、それを悪くいっているのではない。お金の使い途としてはまちがっていないからである。図書館にはまともな本がなければならない。大きな大学の図書館ではなく、地方都市のささやかな学校図書館の本棚に斎藤勇の『イギリス文学史』が置かれていることは誇っていいと、ぼくは思う。学生のだれかがそれを開いて、「ああ、こんな世界もあるのだ」と知り、「私たちの学校にはこういう本だってあるのだ」と思うだけでも、図書館予算1,600円分の価値は十分にある。

 その立派な本をわずか300円の叩き売りで買ったぼくは、先ほど少しだけ読んでみたのだが、名著だと思う。文章はけっしてえらそうな学者風ではなく、明快でまことに読みやすく、通りいっぺんの解説調とは無縁だし、静かな情熱さえ感じられる。

 本は増やしたいどころか、どんどん捨ててしまいたいのだが、つい…… これもなにかの縁というやつか。

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May 05, 2019

Daily Oregraph: 定期コース復帰

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 ほんとうにひさびさの定期散歩コース。快晴、寒くなく暑くなく、風はあるが強からず、まことに快適である。

 あちこち緑が目立ってきた。季節の移り変わりを味わうには、やはり歩くのが一番である。

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 この線路もいずれ撤去されるんだろうと考えながらカーブを曲がると、沖に停泊する船が見えた。ハッチは五つ。いわゆるハンディ・バルカーだが、ここで化学肥料でも揚げるのかな。

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 もう一つカーブを曲がると、プーンと磯の香りがしてきた。あまりにも強烈だったから崖の下を見ると、匂いの出所はみごとな昆布である。これだよ。これはね、山間の盆地に暮していちゃ嗅げない匂いなんだ。千金の値があると思う。

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 知人の砂浜でもやっと緑が優勢になってきた。やがて来る短い夏の前ぶれといったところだろうか。

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 おやおや、フキノトウがこんなに伸びている。

 結局歩きながらたいしたことを考えているわけではない。へえ、ほんとに季節が変ったなあ、とあたりまえのことに感心しているだけである。しかし理屈を排除して景色をありのままに受け入れるというのは、案外禅の境地に近いかもしれない(笑)。

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April 27, 2019

Daily Oregraph: 裏庭画報 雪中花

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 -やあ、とんでもねえ。この時期に雪ですぜ。

と、八公があきれ顔でいっても、親分は一向にあわてない。五月の八日に降ったことだってあるからな、と澄ましている。

 -それにな、地面を見ねえ。もうあらかた融けちまったよ。京大阪に降る雪みてえなもんだ。

 たしかに道路はもう乾きはじめている。大気はすでに雪の味方ではないのだ。

 そこへ裏庭から八卦見の薄氷堂の声が聞こえてきた。

 -おやおや、せっかく咲いたエゾエンゴサクの花がしょんぼりしているよ。

 -先生、まあお上がんなさい。おい、八、燗の支度だ。

 なんだかんだといっては昼間から酒を飲もうというのだから、のんきな連中である。これもひとえに市民の生活を第一にお考えくださる清廉の大老安倍様の善政のおかげで、人々の懐も温かく、気分もおだやか、まことにありがたき御世なるかな……と思ったら、座敷に上がって煙管を取り出した薄氷堂、意外にも深く溜息をついて、

 -いや、親分、こう景気が悪くちゃ、さっぱりいけねえ。観音様の境内に出かけて商売しようてえ気にもなれませんよ。エゾエンゴサクの花といっしょで、やつがれもすっかりしおれちまった。

 -なあに、先生、明けねえ夜はないっていうじゃありませんか。安倍様だっていつまでも生きてるわけはねえ。そう腐らねえで、まあ一杯おやんなさい。

 すると八公にしてはめずらしく気をきかせて、裏の障子をからりと開け放し、

 -雪見酒の花見酒ってのはどうです。

 一同愉快そうに笑って、酒宴がはじまった……ことにしておこう(笑)。

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