October 10, 2019

Daily Oregraph: をかしきこと

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 神奈川県のAさんが、ありがたいことに、今年もどっさり落花生を送ってくださった。こいつの塩茹でをモグモグやりながら、今この記事を書いている。

 さて相変らず色気のない論文と格闘して疲れたから、中川@やたナビさんのツイッターに紹介されていた『宇治拾遺物語』中の「河原院での宇多天皇と源融の幽霊とのバトル」(笑)をさっそく拝読した(どうもありがとうございます)。なにしろぼくは、河原院跡に二度も足を運んだほどの、奇人源融ファンなのである。

 ちょっとだけ勝手に引用させていただくと、(融の左大臣は)「陸奥(みちのく)の塩釜(しほがま)の形(かた)を作りて、潮(うしほ)を汲み寄せて、塩を焼かせなど、さまざまのをかしきことを尽して住み給ひける」というのだが、問題は「をかしき」である。

 驚くなかれ、三千人もの人足を使って塩を焼いたというから、話半分としたって、当時の人々から見ても尋常のふるまいではあるまい。まさか「趣がある」などという人がいたとは思われず、21世紀のぼくと同じく「ヘンテコな」と思ったにちがいない。一筋縄ではいかない京都人のことだから、当時どんな陰口を叩いたものか、想像するだけでおかしくなってくる。

 そんな変人だから、天皇さんに向っても傍若無人のふるまいをするのかというと……二人のバトルについては、中川さんの校訂本文をぜひお読みいただきたいと思う。もうからないお仕事をコツコツとつづけておられる中川さんもまた、奇人というべきであろう……というのは、もちろんほめているのである。鴨川のほとりで塩を焼くよりは、千倍も世のためになるのだから。

【10月14日 追記】

 六条河原院跡については、現地案内板の写真を掲載した2014年の記事をご参照いただきたいと思う。また案内板にも記されている「本塩竈町」については2017年の記事をごらんいただきたい。

 なお京都見物の機会があったら、ぜひ河原院跡を訪れていただきたいものである。特に観光客だらけの名所にうんざりされた方にはおすすめである。

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October 06, 2019

Daily Oregraph: ミヤマニガウリの秋

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 街路樹も色づきはじめ、本格的な秋の到来である。

 先月の下旬から、やっかいな仕事(といっては叱られそうだが)を引き受けたために、一日の大半を、キーボードを打って過ごしている。ドストエフスキーやディケンズともお別れして、当分はとんと色気のない、しかも理系の文章を相手にしなければならない。あんたにできますかいな、といわれてもやるしかない。

 当然頭はスパゲッティになる。散歩には出ない。腰が痛くなる。消費税が上がろうと、売国政権がどうなろうと、おれの知ったことかという気分になる。

 だが、それではいけない。そうだ、幸い天気もよし、わが友ミヤマニガウリを見に行こう。どっこいしょ。

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 さすがに雨風に打たれたせいか、あちこちにぶら下がっていた実はほとんど姿を消し、花も激減したけれど……おお、健気にもまだ咲いていたか。

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 しかも見よ。うかつにも今日まで気がつかなかったけれど、いつも観察している地点からわずか20メートルほどの場所に、これほどの群落が成長していたのである。自分よりも強大な植物を覆いつくすその姿には学ぶべきものがあると、あなたは思わないだろうか。

 ずいぶん以前のことだが、奇特にもミヤマニガウリの研究に没頭していた京大の(院生だったか学生だったかは忘れたが)某君が、調査中に行方不明になったことをネットで読んだことがある。おそらく山中で道に迷ったのであろう。

 ミヤマニガウリに命を捧げた君は、わざわざ深山には分け入らず、わが釧路の平地に来るべきであった。声をかけてくれれば、案内もしてあげただろうし、ステーキは無理にしても、釧路ラーメンの一杯もご馳走してあげられただろうに!

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September 24, 2019

Daily Oregraph: 日はまた暮れる

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 今日はまたミヤマニガウリ観察日記を書こうと思っていたのだが……

 ぼくはもともと(党派を問わず)政治家という人種が嫌いである。だから政治の話なんぞしたくない。もし連中が余計なことをして他人に大迷惑をかけないのなら、つまり天下泰平なら、けっして話題にはしないだろう。

 多少税金をちょろまかして、たまに飲み食いするくらいは(笑)、役得として大目に見てやってもいいと思う。エルキュール・ポワロのセリフじゃないけれど、それが "Human nature." つまり人間なんてたいていそんなものだからである。清廉の鎧で身を固め、潔白のおしろいで仕上げたような人々の集団というものは、想像するだけでウソくさく、薄気味の悪いものだ。

 しかしものにはほどというものがある。

 調子に乗りすぎて悪事のかぎりをつくし、越後屋学園の理事長といっしょに、座敷でご金藏からこっそり持ち出した小判を数えていると、時代劇なら桃太郎侍が乗り込んで見得を切ったり、座頭市が「てめえたちは生かしちゃおけねえ」といいざま仕込みを抜くところなんだが、21世紀の文明社会ではそんな乱暴な真似はもちろんゆるされない。

 だが、待てよ……

 金に困った爺さんがコンビニでパンを盗んだとしたら、ああ無情、あっさり御用になるばかりか、ヤジを飛ばしただけで岡っ引きにどやされるというのに、補助金詐欺はもちろん、婦女暴行を働いても、人をひき殺しても、しょっぴかれずにお天道様の下を堂々と歩いている連中がいるとはどうしたことだろうか。

 ここははたしてほんとうに野蛮国じゃなくて文明国なのだろうか? え、日本の夜明けは近いって? 冗談じゃない、とっくにまた日は暮れちまったよ。

 先日神田明神下を通りかかったら、親分がこぼしていた。

 -お上が御法を曲げるようじゃ世も末だぜ。おれもそろそろ身の引きどきかも知れねえなあ。

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September 19, 2019

Daily Oregraph: 斜陽

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 秋風が吹いていた。斜陽の国ニッポンの野にも、海にも…… そしてもうすぐ日が暮れる。

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 この方のおっしゃるとおり、数字がすべてを物語っている。「国益」なることばにだまされてはいけない。主権在民の国では国益=民益であるはずなのに、一部利権屋たちの利益が国益という便利なことばにすり替えられ、それを守れといわれたって、奴隷じゃあるまいし、ハイハイと従うわけにはいかないではないか。

 ここまで腐りきった政権をいま支持することは、いわば犯罪に荷担することであり、あなたの仲間たちを裏切ることにも等しいとぼくは思う。もっともあなたがいわゆる上級国民なら(笑)、話は別だけれど。

 どこぞの官房長官はこのたびの「災害発生前から政府一体となって警戒体制をとり適切に対策を講じてきたなどとして、問題はなかったという認識を示しました」そうである。NHKの大本営発表から引用したのだからまちがいない。

 しかし問題があったかなかったかを判断するのは、あなたじゃなくて国民、とりわけ被災地の方々だろう。かんちがいするんじゃないよ。

 -いいですか、坊や、大きくなったら、あんな大人になってはいけませんよ。

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September 14, 2019

Daily Oregraph: 秋風吹く

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 移転した道銀釧路支店の跡地が有料駐車場になっていた。北大通の駐車場なんてたいして儲かる商売とも思えないのだが、またひとつ増えたことになる。まばらになったビルとビルの間の荒野に秋風が吹く。

 地方都市というより、衰退しつつある日本の現状を象徴しているような気がしてならない。東京は景気がいいなどと思っている楽天的なお方は、オリンピック後の惨状を見てビックリされぬよう、今から覚悟しておいたほうがよろしいかと……

 十月からは消費税10%、バカなことをするものだ。おまえ、経済学もわからんくせに余計なことをいうな……とおっしゃるかもしれないが、ちょいと待った。

 税金は上がる、収入は増えぬでは、使える金が確実に減るんだから、冷えこんだ内需がさらに落ちこむことは、小学校の算数でわかる理屈である。微分方程式を操ることは得意でも、四則演算の不得意な秀才がいるんだから、ハハのんきだね。

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September 11, 2019

Daily Oregraph: 釣れるかな?

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 本日の船上セキュリティ・チェックポイント。必要最小限、鴨長明好みの質素なデスクである。

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 おやおや、釣りですか。この竿では大物は釣れないだろう……などとノンキなことをいってる場合じゃなかった。仕事、仕事。

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September 08, 2019

Daily Oregraph: 相生坂ひとり植物観察会

 ミヤマニガウリを見物しに相生坂までやって来た。(頭の出来はともかく)金だけはふんだんにある上級国民に対抗するのはむずかしいけれど、貧乏な下級国民は金のかからぬ高尚な趣味(?)を持っているんだから、すごいですねニッポン。

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 やあ、よくもまあ、補助金なしで立派な群落に成長したものだ。あっぱれ。

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 まだ花は終っていないどころか、花盛りといってもいいくらいだ。前回はチラホラと咲いているだけだったのに、あっちにもこっちにも小さな白い花が見える。

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 秋だからもちろん実はたくさんぶら下がっている。こいつを見ると、飄然ということばが浮んでくる。

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 せっかくだから、実をもう一つ。花がしぼんで実の膨らんでいる様子がよくわかると思う。ぼくはまだ味見したことはないけれど、どこかの先生が試してみた結果、苦い顔をしてミヤマ「ニガウリ」と命名したんだろう。

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 帰り道に坂の途中でみつけたのがエゾトリカブト。去年まではわが裏庭にも咲いていたのだが、今年は見かけない。有毒だが花は美しい。

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September 05, 2019

Daily Oregraph: おれが歩けば……

 臨港鉄道の線路が姿を消したと思ったら、今度は近所の銭湯が取り壊された。これまた長いつきあいだから、ちょっとショックである。

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 こちらは2000年8月13日に撮影した写真。角の薬屋さんは銭湯よりもだいぶ前に姿を消している。

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 これが本日の夕方撮影したもの。なんとなく別の町に来たような感じさえする。

 長年同じようなコースを歩いているうちに変わるのは景色だけではない。音もまたそうだ。

 たとえば次の角を曲がると、やかましく吠える犬がいるとしよう。犬の姿は見えないけれど、ぼくが通りかかると必ず吠える。犬の分際で無礼なやつだが、毎度吠えられると、「おれが歩けば犬が吠える」という一種の法則のようにも思えてくる。そろそろ吠えるぞと身構えたとたんにワンワンとくるのである。

 それがある日ぴたりとやむんだから、諸行無常である。ふつう人間様のほうが犬より寿命が長いから、それも当然かも知れないが、ハハア、あいつとうとうあの世へ行ったか、と思う。

 気分がせいせいしないといえばウソになるけれど、ワンワンいう声が聞こえなければ聞こえないで、しばらくの間妙な気分になるものだ。法則に従って吠えてくれなくては困る、と思うのである。

 線路も消える。銭湯も消える。犬も吠えなくなる。ああ、残ったのはおれだけか……

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August 28, 2019

Daily Oregraph: 没有

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 本日の船上セキュリティ・チェックポイント……といっても、デスクらしきものはない。

 乗組員はヴェトナム人かと思ったのだが、一等航海士に「これこれの書類はあるか?」とたずねると、即座に「メイヨー(没有)」というから、ぼくも思わず「メイヨー?」と聞き返したので、二人とも大笑い。これで中国人だとわかった。

 「没有」は便利なことばで、「無いよー」ほどの意味だから覚えやすい。もうひとつ覚えておくと助かるのが「我不知道 = I don't know.」である。あるサイトでは「ウォ ブー ヂー ダオ」とカナを振っているが、区切って読んではダメ。実際には一気に「ウォプチータオ」といえば十分通じるし、そのようにも聞こえる(ただしイントネーションには注意)。この二つを知っていれば天下無敵じゃないかと思う。というより、ぼくはほかには「你好」と「再見」しか知らないのである(笑)。

 てなことをいってる場合じゃなかった。どうやら明後日まで仕事がありそうだ。

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August 27, 2019

Daily Oregraph: 十勝港絵日記 8月25~26日

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 8月25日。温かい一日だったが、歩道にはちらほらと枯葉が散りはじめている。おいおい、もう秋かよ。

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 8月27日。この日もまずまずの天気。仕事を終えて戻る途中でバイクに乗った旅人をたくさん見かけた。あの元気がうらやましい(笑)。

 このところパソコンいじりやら仕事やらで、さっぱり読書をしていない。時間は容赦なく流れて、もうすぐ九月。

 ずいぶん愛想のない絵日記だが、頭が空っぽなものだから、これにて。

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