October 25, 2008

Daily Oregraph: 2008-10-25 晩秋の十勝を走る (5)

081018toshibetsu_st1 10月18日 (3)

 JR根室本線利別(としべつ)駅。

 幕別駅と池田駅との間に位置し、行政的には池田町に属する。池田駅は何度も立ち寄っているが、ここは初めて。

 駅の周辺の集落はかなりの規模があり、けっしてさびしい場所ではない。駅舎もそれなりに大きいので、かなりにぎわった時期もあったのだろう。

081018toshibetsu_st2 無人駅と化したいま使われているのは待合室のみ。

 最近ではめずらしく室内におかれている灰皿が目をひいた。

 観光客の訪れるような土地ではないから、軽食喫茶を開店しても商売になりそうになく、事務所部分は空のままである。
 
081018toshibetsu_st3 ローカル駅のホーム風景は、どこも似たり寄ったりという感じがしないでもないけれど、だからといって記録しておかなければあとで後悔するだろう。

 ありふれた風景はありふれているがゆえに人の興味を惹かず、その多くがまともに記録されぬままいつのまにか姿を変えてしまうからだ。

 写真上が帯広方面、下は池田・釧路方面である。

 ホームの向こうには、どこまでも十勝平野が広がっている。

081018ikeda_st1 さてこの日最後に訪れたのは池田駅。ここは特急停車駅である。

 リッチなワインの町だけあって、駅舎もなかなか立派だし、すぐ近くには独立した大きなトイレと広い駐車場もある(ひさしぶりに利用したところ、いつのまにかトイレットペーパーがすべて取り外されていた)。

081018ikeda_st2
 待合室には Kiosk もある。

 いまでこそワインが有名だけれど、池田町の古くからの名物は、駅前にある米倉屋というお菓子屋さんのバナナ饅頭。

 この写真ではさすがに判別できないが、Kiosk でも買える。

 特別うまい菓子とはいえないかもしれないが、こどもの頃はおみやげにこの饅頭をもらうのが楽しみだった(しまった! ひとつ買って写真を撮ればよかった)。

081018ikeda_st3 上の駅舎の写真にはワインの樽も写っているが、目をひくのがこのオブジェである。

 おはずかしい話だが、このオブジェ、何度も目にしているのに、この日までコルク抜きとワインのビンだとは気づかなかった。まさかそんなものを駅前におっ立てるとは思わなかったからである(笑)。

 この駅はホームを撮りにくいから別の機会を待つことにして、金属性のワインのビンを利用して記念にセルフ・ポートレイト……ゆがんでいるところに味があるかもしれない。

 次回はこのシリーズ最終回である。

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Daily Oregraph: 2008-10-25 晩秋の十勝を走る (4)

081018nishiobihiro_st1  10月18日 (2)

 冬のあとには春が来る……柏林台駅を見たあとで西帯広駅を訪れたぼくは、つくづくそう思った。

 いや、駅舎そのものはごくありふれた建物なのだが、落ち着いた住宅街に囲まれた環境が、訪れたものをホッとさせるのである。

 柏林台駅周辺のやや殺伐とした景色とは異なり、この一帯にはおだやかさが漂っているのだ。
 
081018nishiobihiro_st2  どこの無人駅もそうであるように、内部はがらんとしているけれど、大きなガラス戸があるせいか、ちょっと一般の住宅めいている。

 カーペットを敷いてコタツでも置けば、ごろりと横になって昼寝をしたくなるような気分になるかもしれない。
 
 
081018nishiobihiro_st3 
 駅舎がコンパクトなわりにホームは広い。

 写真は十勝清水・滝川方面。

 

081018nishiobihiro_st4 こちらが釧路方面である。

 なんとなく雰囲気を感じ取っていただけるだろうか。

 釧路方面から見て、帯広-柏林台-西帯広という順だから便利もそう悪くないし、引退後静かに暮らすにはいい土地だという印象を受けた。

 ……といっても、もちろんぼくにはそんな資力はないし(笑)、海から離れたくもないけれど、大都会に疲れたあなたの老後にはおすすめ。

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October 23, 2008

Daily Oregraph: 2008-10-23 晩秋の十勝を走る (3)

081018hakurindai_st1  10月18日 (1)

 JR根室本線柏林台駅。

 この駅の前を何度か通りかかり、そのたびに風変わりな建物だなと思ってはいた。

 一見大きな駅のようだが、実はそうではなかった。

 

081018hakurindai_st2_2 これが駅の入口。

 はてな、この感じはなんとなく新富士駅に似ているようだ……と考えながらシャッターを切ろうとしたら、背後から

 -あ、写真撮ってるよ。

 声の主は女子高生二人組のひとりであった。

 あのね、こんな無粋な駅を撮影するからには、たしかにあやしいおじさんにちがいないけれど、幼稚園のこどもじゃあるまいし、声に出していうことはない。腹の中で「なに、このヘンなおやじ」と思っていればよろしい(笑)。たしなみを忘れちゃいけないよ。

081018hakurindai_st3 ホームから釧路方面を撮る。

 釧路方面も滝川方面も寸分たがわぬつまらなさで、無味乾燥もここまで徹底すれば立派なものだ。

 まもなく例の二人組がこの人間とはまるで相性の悪いホームへやってきて、ペチャクチャおしゃべりをはじめたところは、ふしぎな光景だった。

 写真を撮り終えたおじさんは、もう冬が来たかのような殺風景なホームをさっさとあとにしたのであった。

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October 19, 2008

Daily Oregraph: 2008-10-19 晩秋の十勝を走る (1)

081017haobi_st1 10月17日 (1)

 早朝に出発したので、時間の余裕はたっぷりある。

 当然駅めぐりだな……というわけでやってきたのが、JR根室本線羽帯(はおび)駅。

 この時間はまだ曇っていたせいもあり、一日のスタートにはふさわしからぬわびしい景色に、たいして遠くに来たわけではないけれど、旅愁めいたものを覚えるのであった。

 この駅はホームにコンパクトでこぎれいな待合室があるだけ、稲士別駅よりはマシだと思う。

081017haobi_st2 しかしホテルに備えつけの無料「道内ポケット時刻表」には、稲士別だけではなく羽帯も駅名が記載されていない。ついでにいえば、上厚内や古瀬も無視されている。

 紙面の制約もあるのだろうが、これら超ローカルな駅を利用するビジネス客や観光客などいるはずがないということか。

 こうした不遇な駅を見ると、ハラハラ涙が落ちてくるというのはおおげさだけれど(笑)、いつまで生き残れるのだろうかと、同情が湧いてくることは確かである。

 写真上は帯広・釧路方面、下が十勝清水・滝川方面。

081017haobi_st3 狭い待合室はほとんど方丈記の世界。掃除がゆきとどいて、こざっぱりした感じがする。

 ここで一日数本しか停まらぬ列車を待ちながら、仮の宿り、誰がためにか心を悩まし……とかなんとか考えるのもまた趣深くはあろうが、そんなまねをしているようでは一生日本銀行券との縁は薄いだろうな。

 いかん、いかん。せっかく天から金が降ると歌われる、わが国有数の豊かな農業地帯を訪れたというのに、朝っぱらからそんな貧乏くさいことを考えていては。

081017shimizu_st1 頭の中から不景気な鴨長明を追い払ってやってきたのがJR十勝清水駅。

 今日はこの町にある製糖工場を見学させていただくのだが、まだ時間がたっぷりあるので立ち寄ってみた。
 
 

081017shimizu_st3

 さすがに駅舎内は堂々たる構えである。

 しかしここならあるだろうと予想した Kiosk がないのは意外であった。

 もちろん駅ソバもなく、もしあればこの朝は出発が早かったから一杯食べたいところだったのだが……

 
081017shimizu_st2 十勝清水駅は特急停車駅である。

 ホームをのぞいて見ると、ちょうど6時32分釧路発の特急スーパーおおぞら2号が到着するところだった。

 すべての特急がここで停車するわけではないにしても、駅としての格が高いことはまちがいない。
 
081017shimizu01_3 ここには大きな製糖工場がふたつあり、この日はそのうちのひとつを訪問した。

 今年この工場では近隣5町村のビート(甜菜または砂糖大根)約40万トン強を処理し、約6万3千トンの砂糖を生産するという。今年は豊作だそうな。

 工場でいただいた資料によれば、国内でビートを生産するのは北海道に限られ、そのビートから生産される砂糖は日本の砂糖の8割を占めているとのこと。

 今はちょうどビートの収穫期にあたり、工場は原料の受け入れ・製糖と、一年でもっとも忙しい時期を迎えたばかりなのである。

081017shimizu02 これが原料のビート。

 ビートはアカザ科の植物で、みかけは大根というよりも大きなイモといった感じである。

 ビートをきれいに洗って機械で千切りにしたところは、水でもどした切り干し大根に似ている。

 それを直接絞るのではなく、温水に漬けて糖分を抽出させた滲出汁から不純物を除去したものを濃縮して砂糖の結晶を取り出すというのが、製糖工程のおおまかな流れである。

 糖分を抜かれたビートのかすは、工場内で別に加工されて、飼料用のビートパルプペレットとして出荷される。余すところなく利用されるわけだ。

081017beet 広大な十勝平野のあちこちでみかけたこの畑の作物がたぶんビートじゃないかと思う(もしちがったらご指摘いただければ幸いである)。

 曇り空はいつの間にかからっと晴れて、畑のあざやかな緑が目にしみた。

 工場見学を終え、夕方までは自由時間というめったにない幸運に恵まれたので、このあと十勝管内を勝手に視察(?)。たいして写真は撮らなかったけれど、次回ご報告したい。

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October 06, 2008

Daily Oregraph: 2008-10-06 北海道四分の一周 (14)

080906isobunnai_st1 JR釧網本線磯分内駅。

 磯分内には雪印乳業の工場があるから、もっと立派な駅があってもよさそうだけれど、このへんでは自家用車なしの生活など考えられず、駅を利用するのはせいぜいお年寄りか高校生くらいのものだろう。

 白塗りの駅舎は、庭でおとなしく留守番をしているポチのように見えた(よくごらんなさい。そう見えてくるから(笑))。

080906isobunnai_st2 ローカル無人駅のさびしさにはもうなれっこになっているとはいえ、この寒々しい待合室で列車を待つ気分はどんなだろう、とあらためて想像してみた。

 軽食喫茶の経営が成り立つ程度には観光客の訪れる藻琴駅や北浜駅、そして止別駅を思えば、ここはいかにも不遇の駅である。

 

080906isobunnai_st3_2 一応は記録せねば気がすまないから、ホームに出て写真を撮る。

 なんだ、つまらない写真じゃねえか、などとおっしゃらないでいただきたい。

 どうせたいした腕前もないくせに、人をあっといわせるような芸術写真を撮ろうなどと思ってはいけない(笑)、分をわきまえて、あくまでもクールに記録する心がけが大切、と自分にいい聞かせているからだ。

 上が網走方面。下が釧路方面。

 木の柱のペンキが剥げかかっているところをみると、この駅舎、新しそうに見えるけれど案外古く、外壁の化粧直しをしたのかもしれない。

 今回の取材では最後の駅となったせいかわびしさもひとしお、このあと釧路へ戻るまでは、ほとんど無言で車を走らせたのであった。

 ここでちょっとこのたびの取材旅行の反省をしてみよう。

 一日の走行距離は意識的に抑えたつもりだが、車の旅の宿命とはいえ、結局ただ走るだけの時間が多くなってしまい、やはり欲ばりすぎであった。

 もちろん自由になる時間や資金との相談になるけれど、移動距離はせめて一日200キロ以内にはおさめたい。もっと寄り道を楽しみたいからである。

 もっともそんな調子では、いつになったら稚内までたどり着けるのか見当もつかないが……(笑)

(2008年9月6日 撮影)

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October 04, 2008

Daily Oregraph: 2008-10-04 北海道四分の一周 (13)

080906yamubetsu_st1  JR釧網本線止別(やむべつ)駅。

 止別とは、いかにも大地ここに尽きるといわんばかり、薄氷堂がバッタリ倒れて人生に終止符を打つにふさわしい地名である。

 しかしあたりには小さい集落もあり、けっして絶望感に打ちひしがれるような土地ではない。

 駅舎にはやはり軽食喫茶店(ここではラーメン喫茶と称している)が同居しており、屋根の上のペガサスが異彩を放っている。

080906yamubetsu_st2_2 名刺をベタベタ貼り付けた北浜駅の駅舎を見たあとだけに、ちょっと心配しながら中へ入ると、ごらんのとおり、スッキリしていたので一安心。

 自分の足跡を残したいという気持はわからないでもないが、壁に名刺を貼りつけるのは美観を損ねるのでいただけない。いわゆる駅ノートのほうがずっとスマートだと思う。

 待合室には昔なつかしいストーブが据えられていたけれど、煙突がはずされていたから飾りものかもしれない。

 喫茶店入口前のメニューを見ると、ラーメン・ソバ・ウドンの値段が新しく貼り替えられていた。最近の物価高騰の波は、ついに北海道の止別にまで及んだらしい。

080906yamubetsu_st3_2

 

 ホームからの眺めも記録しておこう。

 上は網走方面、下が釧路方面である。

 すぐ近くの小清水海岸は、残念ながらここからは見えない。いつかこのあたりの海岸をゆっくり歩いて、オホーツク海をながめることにしよう。



080906yamubetsu_st4 ちょうど昼時だったから、ラーメン喫茶「えきばしゃ」に入ることにした。その名のとおり、店内はラーメン屋風六割、喫茶店風四割といった感じである。

 先客はカップル一組とバイク乗りの青年ひとり。

 運ばれてきたラーメンには麩が浮かんでいた。麩入りのラーメンにお目にかかるのは、広尾町の大衆食堂以来である。

 おや、と思ったのは麺だ。ほとんど縮れのない太麺は札幌ラーメンともちがうし、もちろん釧路の縮れた細麺とはまったくちがう。全体として味はけっして悪くないのだが、釧路人ならこの麺にいささか違和感を覚えるかもしれない。

 そういえば網走方面でラーメンを食べるのはこれがはじめてだから、このあたりではこういう麺が一般的なのか、それともこのお店独特の麺なのかはわからない。

 網走管内ラーメン店の調査が必要だな。取材費を貯めねばなるまい(笑)。

 すっかり脱線してしまったが、このたびの釧網本線駅めぐりも次回はいよいよ最終回。磯分内駅をご紹介したい。

(2008年9月6日 撮影)

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October 03, 2008

Daily Oregraph: 2008-10-03 北海道四分の一周 (12)

080906hamakoshimizu_st1 北浜駅の次は原生花園駅だが、そこはパスして浜小清水駅をめざした。

 ところがあるのは道の駅。最初は首をひねったけれど、よく見ればここは道の駅とJR浜小清水駅が同居しているのであった。

 そういえば本別駅も道の駅といっしょだったが、あそこは廃線になってしまったから、現役の鉄道駅と道の駅とが同じ建物というのはめずらしいのではないだろうか。

080906hamakoshimizu_st2 

 

 ごらんのとおり、内部はみやげものを並べたごくふつうの道の駅である。

 
 

080906hamakoshimizu_st3
 しかし……なるほど鉄道の駅でもある。

 たしかにこぎれいだけれど、木造駅舎を見たあとでは、味も素っ気もない造りに思えてならない。

 なつかしいハエ取りリボンがぶら下がっていなければ(笑)赤点をつけたいところだ。

080906hamakoshimizu_st4_2

 ホームへ出てみると、ごくふつうのローカル駅である。

 しかしどうもここはおもしろみに欠ける。景色がのっぺりしているのだ。

 無趣味といってもいい。もう一度訪れようという気にはとてもなれないね。

 -そんなら、どうしてこの駅の記事を取り上げるのだ?

 まあ、お待ちなさい。この駅は逆転ホームランを放って、ぼくをアッといわせたのだから。

 
 

080906hamakoshimizu_st5 実はこの駅の売り物はDMVらしい。

 道路を走行中のDMVは釧路でもみかけたが、こいつは線路の上も走れるというJR北海道ご自慢の乗り物である。

 おもしろいアイディアだとは思うが、実際には車社会の北海道ではあまり役に立たず、いつか忘れ去られてしまうだろうというのが、ぼくの予言である。JR北海道だって、まさかムダな投資をしてDMVを量産などしまいと思う。

 だからDMVが逆転ホームランなのではない。

080906hamakoshimizu_st6 これだよ、これ、DMVまんじゅう(笑)。

 その意外性、そのバカバカしさ……いや、やるもんだなあ。

 見ればごくふつうのコンパクトな饅頭である。浜小清水饅頭ともオホーツク饅頭とも、なんとでも名づけられようものを「DMVまんじゅう」とはあっぱれ。

 この饅頭の前では、肝腎のDMVも影が薄く、ぼくはよほどおみやげに買おうかと思ったけれど(笑)、冷静に考えればちとお値段が高すぎる。そうさね、せいぜい600円がいいところかな。

 結局購入はしなかったが、この饅頭の発案者に敬意を表して浜小清水駅をご紹介したのだから、どうかご勘弁いただきたい。

(2008年9月6日 撮影)

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October 02, 2008

Daily Oregraph: 2008-10-02 北海道四分の一周 (11)

080906mokoto_st1 JR釧網本線藻琴駅。

 やはり木造の駅舎はいい。

 木はぬくもりがあるからいいといわれるのをよく耳にするけれど、どんなものだろうか。実際にはぬくもりどころか、昔風の木造建築は真冬の北海道では寒くてかなわないのである。

 そうではなく、少しずつカドが取れ、自然に年を重ねるところが見るものの感動を誘うのだろう。秋の陽光を浴びながら縁側でキセルをスパスパやるお爺さんの慈愛に満ちた顔にも似たところがあると思う。

080906mokoto_st2 駅の事務所だったスペースには軽食喫茶店がテナント(?)として入っている。

 お店がうるさく自己主張せず、駅舎内はスッキリしており、チャラチャラしていないところは好感がもてる。

 人気があれば建物もかえって傷みにくいだろうし、よい工夫かもしれない。

 

080906mokoto_st3 例によってホームへ出てみる。

 写真は左が網走方面、右が釧路方面。

 見捨てられた浜田浦駅周辺のような荒涼感はなく、適当に手入れされた風景である。

 

080906kitahama_st1 藻琴駅の次は北浜駅。

 ここもコンパクトな木造建築で、やはり軽食喫茶店が同居している。

 こんな小さな駅になぜ? と首をかしげたのは、観光客らしいグループが駅舎内で熱心そうになにかを見ていたからだ。

 

080906kitahama_st2 なんと、彼らはこれを見ていたのか!

 壁一面にベタベタ貼られていたのは、ほとんどが名刺である。

 ゴミ捨て場さながらの幸福駅よりはマシだけれど、だれがはじめたものか、これではせっかくの木造駅舎が台無しではないか。

 正直いって、ぼくにはおもしろくもなんともなく、ただ悪趣味としか思えなかった。

080906kitahama_st3_2


 ガッカリしてすぐ車に戻ろうとしたのだが、カンシャクを起こしてはソンと思いとどまった。この駅から見るオホーツク海の眺めが実にすばらしかったからである。

 上の写真にもちらと見えるが、この駅には簡単な展望台があるので、よっこらしょと登ってみた。

 ホームでは、さきほどの観光客グループが網走方面にカメラを向けはじめた。

 さては列車が来るな……


080906kitahama_st4 思ったとおり、網走方面から列車が近づいてきた。

 右手にはオホーツク海。いい感じである。

 駅舎内がスッキリしていさえすれば、ここは自信をもって推薦できる駅なのだが……

 接近する列車を何枚か撮りながら、真冬の吹雪の中でここから写真を撮れば絵になるんじゃないかと考えた。

 横なぐりの雪と真っ黒い蒸気機関車との取り合わせなら、白と黒の対比がすばらしいだろうな……鉄ちゃん見習いはそんな勝手なことを考えて、機嫌をなおしたのであった。いやはや、どうも単純だね。

(2008年9月6日 撮影)

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September 22, 2008

Daily Oregraph: 2008-09-22 北海道四分の一周 (8)

 美瑛~旭川間は約24キロ。

 旭川の中心街は混んでいるだろうと判断して、新神楽橋を渡り大雪通へ。途中ちょっと寄り道して飲み物などを仕入れてから、秋月橋を通過して国道40号線に入り、ガソリンを補給して士別をめざす。

 旭川市はこれで二度目なのだが、前回は仕事をすませてトンボ返り、今回も時間の余裕がないためほとんど素通りになってしまった。全国の旭川ファンのみなさまにはまことに申し訳なく、次の機会にはぜひ市内をじっくり見物したいと思っている。

 見物といっても、マイナー路線が売り物の当社としては、例の動物園などはどうでもよく(笑)、古くから開けた街だけに、市内のところどころにたぶんまだ残っているであろう古い建物の取材が目的……実は前回タクシーの窓から目をつけていたのである。

 旭川より北はぼくにとって未知の土地である。とにかく北海道は広く、知らない土地のほうが多いのだ。

080905pippu_st1 旭川市を抜けると比布(ぴっぷ)町……正直いって比布町という町の存在はほとんど無意識下に沈んでいたのだが、道路標識に「比布駅」の名をみつけたぼくは、ブラックホールに引き寄せられるように、駅へ向かってハンドルを切ったのであった。

 たいして用事もないのにフラフラと立ち寄る-これを日本語では「縁」があるというらしい。

 ピンク色、いや「スキーとイチゴの比布町」とあるからにはイチゴ色に塗られた駅舎をよく見ると、案外クラシックなデザインの建築であることがわかる。

 まだ昼食には少し早いから入りはしなかったが、かつて事務所だった部分は軽食喫茶になっていた。

080905pippu_st2 待合室をのぞくと、驚いたことに、列車を待つ若者がひとり。

 いや、駅に乗客がいるのはあたりまえなのだが、ローカル駅ではめったにお目にかかれないからビックリしたのである。

 いつもシナチクの入らぬラーメンみたいな写真ばかり撮っているから、ついうれしくなってしまった。

080905pippu_st3
 やはり縁があったのだろう、ホームへ出るとまもなく旭川方面から列車が滑りこんできた。

 こうこなくちゃいけない。

 東京の山手線とはちがって、めったに列車はこないのだから、なんとなく胸が高鳴り、まるで子どもみたいなものである。

 列車が停車したので、さきほどの若者が乗るのだろうと見れば、ひとりではなく二人づれだったらしい。

 先日さとう公彦さんにこの写真をお見せしたところ、ああ、これは登山客ですね、とのこと。

 二人の乗った列車が名寄方面へ走り去るのを見送りながら、普通列車、昔でいう鈍行に乗って旅行したころを思い出す。

 ぼくはよそよそしい飛行機やお上品な豪華客船の旅がほんとうの贅沢だとは思わない。いまや最高のセイタクとは、時間に縛られず、コッペパンをかじりながら(笑)鈍行で旅をすることではないだろうか。

 盛岡から青森まで、英語よりも難解な土地の方言を聞きながら列車に揺られたこと、二重連の蒸気機関車に牽引された函館から釧路まで通しの鈍行では、途中夜明けを二回迎えたこと……もちろん三十年以上も昔の話だが、そんなことをふと思い出したのである。

080905pippu_st4 比布駅前。

 美瑛の駅前とはえらいちがいだが、こちらのほうがぼくにはしっくりくる。

 時間さえたっぷりあれば、せっかく縁あって立ち寄ったのだから、町内を歩いてみたかったのだが、ふたたび国道40号線に戻ることにした。

 ところがここで道に迷い、どこをどう走っているのかわからなくなってしまう。太陽の位置から方角を判断してやっと国道に復帰するまでにかなりの時間を要してしまった。

 塩狩峠ではちょっと休憩しようかどうか迷ったけれど、結局素通りして剣淵町の道の駅でトイレを借りた。この町は「絵本の里」を売り物にしているらしいが、このときはどうして絵本なのかさっぱりワケがわからなかった。番外編でご紹介するつもり。

080905shibetsu_st1 剣淵を過ぎるとまもなく士別市である。

 士別駅の駅舎はバカバカしいほど横に長く、どうにも写真の撮りようがないのには閉口した。

 いったいどうしてああいう設計をしたものか、首をひねらなければ全体を見渡せないほど細長いのであった。やむをえず一部だけ撮ったのがこれ。

080905shibetsu_st2 士別駅の内外に人影はほとんどなく、駅舎は堂々たる長さを誇るというのに、人口(約2万3千)ではさして変わらぬ富良野の駅よりもずっと活気がないという印象を受けた。やはり観光客の有無がものをいうのだろうか。

 それでも Kiosk 代わりに小さな売店があるし、「そば」のノボリを見てホッとする。

080905shibetsu_st3 ろくに街も歩いていないのに第一印象に引きずられてはいけないと承知しつつも、ついさいはての駅みたいな写真を撮ってしまう。

 宗谷本線の終着駅は稚内だから、どうか誤解なきよう。

 
080905tanukiya やはり縁あって立ち寄った士別の街もまた、時間不足のため歩くことができず、不満が残る。

 金が欲しくないといえばウソになるけれど、もっと欲しいのは時間である。

 大学で貧乏学を専攻したぼくはパンをかじりながら車中泊をしても耐えられる男だから、いつか北海道をゆっくり回ってやろうと思う(さすがに今回のように連れがいてはムリだろうけど(笑))。

 せめてもの記念に、駅前のソバ屋さんで昼食をしたためることにした。

 手打ちソバをおいしくいただきながら、さてこれからどうしようかと思案した。

 名寄まで北上して東に進路を転じ、興部経由で今夜の宿泊地である紋別をめざすか、それとも士別からこのまま東へ向かい、滝上町経由で紋別へ行くか、どちらのコースもたいして距離は変わらぬだけに、おおいに迷ったのである。

 結局士別滝の上線(道道61号線)を通って紋別へ向かい、あこがれの名寄市はまたの日に訪れることに決定した。

(2008年9月5日 撮影)

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September 21, 2008

Daily Oregraph: 2008-09-21 北海道四分の一周 (7)

 美瑛中心街の映画のセットのような町並みをはじめて見ると、だれしもビックリ仰天するにちがいない。

 どの商店もこぎれいでツルツルピカピカ、建物のかたちはそれぞれ異なるのだが、どれもこれも同じように見え、ほとんど個性が感じられない。たぶん統一感ある景観をめざしたのだろう。

 浦河の街でも似たような経験をしたけれど、ここはもっと徹底している。

 汚らしさを一掃した、豊かさと清潔感にあふれる町並みは、しかし現実感がひどく希薄で、なんとなくウソくさく、落ち着かない気分にさせられるのである。どのお店でもリカちゃん人形が店員として働いているんじゃないかとさえ思われるのだ。

 ぼくは「映画のセットのような」と書いたけれど、適切な表現ではないかもしれない。映画のセットならもっと現実に似せて作るだろうからだ。

080905biei_1_4 美瑛駅に着いて駅前を見渡すと、これまた日本離れというか浮世離れした景色が広がり、なんと形容していいやら、ことばがすぐには浮かんでこないのである。

 どこにでもある田舎町といっしょにしてくれるなとでもいいたそうな街なのであった。田舎町にも上流階級があるとすれば、ここがそうなのかもしれない。

 釧路市の山の手からやってきたぼくでさえ(笑)、なんだか自分が場違いな存在に思えてならず、ズルズルと下品な音を立ててラーメンを食ったり、芋焼酎に酔って放歌高吟するなどもってのほか……あの、ここで北海道弁ば使ってもいいんだべか?

 
080905biei_2 こざっぱりした駅舎内には、ゆったりとした待合室もある。

 立ち食いソバ・コーナーは見あたらなかったが、この街の駅にゴボウ天ソバは似合わないからしかたあるまい。

 しかししゃれた喫茶コーナーでもあればなあと思った。

 -おねえさん、コーヒー一杯。

 -ウィ、ムッシュ。

 なんてね。

 
080905biei_3
 ホームを見ると、本来実用一点張りでかまわないはずの連絡橋までしゃれた造りなのはさすが美瑛である。

 ホームの「名所案内」には、意外なことに、なんとかの木がたくさんある美瑛の丘は紹介されていなかった。

 
Bieimap 観光客の押し寄せる丘の名前が名所案内に見あたらないのはちょっと奇妙に思ったけれど、駅前の案内板「丘のまち びえい」という案内板にはちゃんと詳しい地図が示されていた。

 ご参考までにその案内図の一部を掲載しておくことにする。

 すべて回ろうとすればほとんど一日がかりだろうから、図の左上、だいだい色のエリアを見物することにした。

080905biei_4 地図が頭に入っていないからウロウロ走っていると、道ばたに一台の乗用車が停まっており、観光客が遠くへカメラを向けていた。

 見れば、なだらかな丘の上に木が数本。

 はてな、なんの変哲もない木じゃないかと思ったが、しばらくしてから、あれが「親子の木」らしいと気がついた。

 だれが名づけたかは知らないが、なるほど大きいほうが両親で、真ん中の小さいのが子どもというわけか。

080905biei_5
 ふ~ん、と少しだけ感心して(笑)、あたりを見回すと、JALのジェット機が超低空を飛んでいたので、ついつられて航空写真の分野にまで足を踏み入れてしまった。

 車輪の出ているのが見えるから、すぐ近くの旭川空港へ着陸するところだろう。

 
080905biei_6 お次はこの木である。

 「ケンとメリーの木」という、口にするのも気恥ずかしい名前がついているのは、かつて人気の高かった日産スカイラインの広告に由来するらしい。

 道路を隔てて広い駐車場があるのには驚いた。たしかに目立つ木ではあるが、正直いってそれほどの銘木とまでは思えない。

 まだ午前10時前だったせいか、それほどたくさんの観光客は集まっていなかったが、バイク乗りの若者などがやってきて写真を撮っていた。

 近くに見える建物は Pension Ken & Merry というから、経営をこの木に依存しているわけだ。恐るべき木である。

080905biei_7 ついでだから……と立ち寄ったのが、この「セブンスターの木」である。

 こちらはセブンスターの広告に使われたのだろう。ぼくにはこれまたごくふつうの木に見える。

 近年嫌煙権なるふしぎな権利(?)が幅を利かしているというのに、人気が衰えないのはどうしたことか?
 
080905biei_8 ここにも広い駐車場があり、やがて観光バスが停まると、観光客がぞろぞろとやってきた。

 もちろんたかが木だけを目当てに観光客がやってくるわけではない。

 この一帯のなだらかな丘陵に展開する、仮想現実の町美瑛にふさわしい一種の巨大な人工庭園ともいうべき美しい風景とセット販売の観光スポットなのである。

 それは納得できるのだが、やはりこの木の集客力(笑)にはくやしさをおぼえるのだ。

 釧路にだって探せばかたちのいい木はいくらでもありそうだし、名前のつけようもあるだろう。しかし問題は売り込みかたで、なんだかしらないが見物しなければソンだと思わせる名所を作るには、よほど敏腕のプロデューサーが必要にちがいない。

 そんなことを考えながら、ぼくは美瑛の丘をあとにした。「マイルドセブンの丘」というタバコ・シリーズもあったのだが、そちらはパス。

 次回はなんと比布駅。われながらワケのわからぬ展開である。

(2008年9月5日 撮影)

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September 14, 2008

Daily Oregraph: 2008-09-14 北海道四分の一周 (6)

080904furano_st1 愛される富良野駅。

 なるほど駅前で記念写真を撮ってもらう熟年夫婦もいるし、人々に愛されているらしい。

 富良野はこれまで列車で通過したことはあったが、駅舎を訪れるのははじめてである。

 

080904furano_st2_2

 この駅は根室本線の途中駅でもあり、旭川へ至る富良野線の始発駅でもある。

 釧路~札幌間の特急が新得から石勝線経由になった現在では、鉄道路線としてはもちろん富良野線の重要度のほうが高いにちがいない。

 駅舎内の構えも堂々たるもので、Kiosk はもちろん駅ソバ・コーナーも完備、旭川への通勤圏内でもあるから、ちゃんと商売が成り立つのである。

 富良野市は人口約2万5千人の小さな都市だが、いまや北海道を代表する観光都市として大変知名度が高い(Wikipedia)。しかし以前書いたように、かつてはそれほど有名なマチではなかったはずだ。



 

080904furano_town1 残念ながら中心街をゆっくり見物するゆとりはなかったが、このマチの売り物はヘソらしい。

 ちょうど北海道のヘソに位置するところから、北海へそ踊りなるものを発明し、駅にも街角にもヘソ人形(?)が立っている。

 しかしへそ踊りやたこ踊り目当てに観光客が押し寄せるとはとても考えられず、首をひねったりヘソをひねったりしながら歩いていると「北の国から」資料館なる立派な建物があり、旅人はなるほどと納得するのである。

080904furano_town2_3 ほくは「北の国から」というTV連続ドラマにはまったく思い入れがないから、資料館をパスしてすずらん通り商店街をパチリ。

 しかし「北の国から」の影響力には想像以上のものがあり、あちこちに点在するドラマに登場した家のセットを巡礼する観光客があとを絶たないと聞く。

 肝腎のドラマはまともに鑑賞していないから、えらそうに批評する資格はないのだが、断片的に見たかぎりでは、たいへんアクが強く、いささかわざとらしさを感じさせる芝居という印象を受けた。ぼくはどうも倉本脚本とは肌が合わないのかもしれない。

 しかし今もって観光客が富良野をめざすからには、「北の国から」によって北海道のひとつのイメージが定着し、それが多くの人々の支持を得たことは認めざるをえないのだろう。

080904furano_town3 北の国の住人のくせに「北の国から」には冷淡なぼくだが(笑)、倉本聡氏が関わっているといういう喫茶店には感心した。

 この日泊まったホテルの近くに朝日ヶ丘総合公園という広い公園がある。その公園の一角に建つログハウス風の「北時計」という喫茶店なのだが、内装もすばらしいし、コーヒーも観光客相手のボッタクリ価格ではなく良心的。

 公園を散歩して一杯の熱いコーヒーにありつけるのはありがたいし、釧路の春採湖畔にもこういうお店があってもいいんじゃないかと思った。

 よそのマチのいいところは断然マネすべきだ。春採湖のネイチャーセンターでもコーヒーは飲めるようだが、開館時間などの制約も多いし、内容も中途半端。もっと活用してはどうだろうか?

 ドラマのセット見物はともかく、富良野近辺には景色のいいところがたくさんあるらしく、時間さえ許せばじっくり回りたかった。せめて美瑛でも……というわけで、次回はもうひとつの観光のメッカである美瑛をご紹介したい。

(2008年9月4日 撮影)

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September 13, 2008

Daily Oregraph: 2008-09-13 北海道四分の一周 (5)

080904ikutora_st1 根室本線幾寅駅。

 クラシックな木造駅舎がいい味を出しているけれど、あちこちに白塗りの案内板が目につく。

 ここは高倉健主演の映画『鉄道員(ぽっぽや)』のロケが行われたので、観光の目玉として駅舎の付近に建てられたセットを保存しているのである。

 

080904ikutora_st2 映画の撮影にあたって手を入れたかもしれないが、まさかこの駅舎までセットとして新築したわけではあるまい。

 幾寅駅ではなく映画で使われた駅名である「幌舞駅」を名乗っているのが、ぼくにはなんとなく気になった。

 建物自体は北海道人にはなじみのある、なつかしい造りである。最近の無国籍風建築よりは断然すぐれていると思う。

 自転車がたくさん置かれているところを見ると、そこそこ利用者もいるらしく、落合駅とは格がちがうようだ。

080904ikutora_st3 駅舎内にも『鉄道員』の看板が掲げられ、かつての駅事務所内には映画ロケに関係する資料-健さんの着た鉄道員の制服や、ロケ風景の写真、出演者の色紙などが展示されている。

 たぶん観光客がわんさと押し寄せた時期もあったのだろうが、この日は駅舎内はガランとして人っ子ひとりみあたらなかった。

 だれもいない駅舎内のテレビには、映画本編か撮影風景かは、注意して見なかったからわからないけれど、ビデオがエンドレスで流されていた。

 映画のロケがこの地の住民に深い印象を与えたであろうこと、「町起こし」の格好の材料になるとはりきったであろうことは想像に難くない。それはわかるんだけどなあ……

080904ikutora_st4 ホーム側に出てみると、幌舞駅-幾寅駅という二重構造(?)になっているのがまたしても気になる。

 観光用なのは理解できるけれど、幾寅駅が幾寅駅であってなぜいけないのだろうか?

 ヤクザ映画時代からの健さんファンであるぼくも、映画『鉄道員』は観ていないので思い入れがないせいか、ちょっと首をひねったのである。

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 ホームには連絡橋もなく、落合駅より地味な造りである。

 写真は上が滝川方面、下が新得・帯広方面。

 あたりまえの話ながら、さすがに駅名票には幾寅と表示されており、ホッとした(笑)。

 

 

 

080904ikutora_st6 ふたたび駅前に出て、「だるま食堂」のセットを見物する。

 すばらしい。実によくできている。

 今では見られなくなった、昔なつかしい駅前食堂をみごとに再現したこのセットを取り壊さずに保存しているのはえらい。

 ……と感心したものの、「鉄道員オープンセット」の案内板は目立ちすぎじゃないかと思った。もっと控えめならいうことはないのだが。

 ぼくの考えはこうである。

 まずこの案内板を撤去して、ついでにほかの案内板もひとつを除いて片づけてしまう。だるま食堂には本日休業の札を掲げておこう。もちろん駅舎から幌舞駅の看板をはずし、本来の幾寅駅に戻すのである。

 そのほうが効果抜群、この食堂を目にしたものは今どきこんな食堂が残っていることにビックリするにちがいない。駅舎内の案内パネルを見て、はじめて映画のセットであったことを知り、そうだったのかと納得するわけ。

 そうそう、駅舎内のビデオ放映もやかましいからよしたほうがいい。せっかくの建物にふさわしくないからだ。

 ここは独特の雰囲気が漂い、一見に値する場所であるだけに、知名度がいつまで持続するものかしれない『鉄道員』という特定の映画にあまり寄りかからず、「鉄道をテーマにした映画のロケに選ばれた場所」くらいにとどめておいたほうがいいと思うのである。

080904ikutora_st7_3

 
 うっかり写真を取り忘れたけれど、駅の向かいにあった理髪店も映画のセットだったと記憶している。

 セットは実にうまくできているので、周辺建物のどれもがなんとなくセットのように見えてくるのであった。

 駅の近くの倉庫で目にした、ぼくにはなじみのない「北紡毛糸」の看板も、わざわざ映画用に作ったんじゃないかと疑い、帰ってからネット検索したところ、これは本物であった(笑)。


080904ikutora_st8 こちらはすべて本物の幾寅市街。

 これはこれで味わいのある通りだと思う。

 まったくうるさい観光客で申し訳ないが(笑)、ケチをつけているどころか、幾寅駅が気に入ったからこそなんだかんだと書いたまでで、どうかお気を悪くされぬようお願いしたい。

 さて、そろそろ富良野も近い。

(2008年9月4日撮影)

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September 11, 2008

Daily Oregraph: 2008-09-11 北海道四分の一周 (4)

080904karikachi 狩勝峠を越えるのは、いったい何年ぶりのことだろうか。

 素通りするのは惜しいので、峠のみやげ物屋の駐車場に車を止め、展望台からの眺望をパノラマ合成用に撮影した。

080904karikachi2 狩勝峠。標高644米。日本新八景の一。

 日本新八景とはどういうものかよく知らないが、たしかに眺めは悪くない……いや、悪くなかったにちがいない。

 ところどころ山をバリカンで刈ったような跡が目立ち、どうにも痛々しい印象を与えるのである。

 みなさまが狩勝峠を車でお通りになる機会などあまりないだろうし、なんとも風変わりな十勝小唄なる歌碑があったので、ついでにご紹介しよう。

   ランランラントセ カネガフル
   トカチノヘイヤニ カネガフル
   狩勝峠で東を見れば
   雲か海かや只茫々
   十勝平野は涯しも知れず

   あれさ日本一豆の国

 カネガフルというのはもちろん「金が降る」だろう。日本一豊かな豆の国を賛美する、えらく景気のいい歌詞である。なにしろ空から金が降ってくるのだから、うれしさのあまり、ついランランランと鼻歌のひとつも出ようというわけ。

 実際に金が雨霰と降ってきた日にはインフレ必至、大変な事態になるだろう……などとバカなことを考えながら(笑)、十円玉一枚降らぬ峠をあとにした。

080904ochiai_st1 峠を下って上川支庁に入り、最初に車を停めたのは根室本線の落合駅である。

 これといって特徴の見あたらぬ駅舎だが、山あいにひっそりとたたずむ姿は印象的で、ぼくは気に入った。

 この写真だけを見ると、いかにも駅がポツリと孤立しているような感じがするけれど、あたりはちょっとした集落になっており、そうわびしい場所ではない。

 写真を撮るほうはたいてい余計なものをカットしようと苦心するから、ときどきそういうことが起こる。おまけに説明文なんてどうとでも書けるので、読者を誤った印象に誘導することなど朝飯前だ。

 ごくふつうの写真でさえそうなのだから、特にプロパガンダ用の写真を見るときには用心したほうがいいと思う。

080904ochiai_st2 無人駅の常として、待合室には人影がなく、ガランとしている。

 観光客の訪れるような駅とも思われず、一日