Daily Oregraph: 飛ぶ鳥を落とす寒さ
本日の最高気温は 8.6度。晴れ。
中途半端に切った木の幹から無数の枝が生えている。このまま放置したらどうなるのだろうか?
ヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)の『オーランドウ(Orlando)』を読み終えた。これは大変風変りな小説で、うんと乱暴にいえば、伝記の体裁を取った大人向けファンタジーである。
16世紀に誕生して20世紀まで生きた主人公が、男として女と結婚したのち30歳にして突如女性に変身し、やがて男と結婚して男子を産むという途方もないストーリーだから、LGBT差別禁止法に反対する人ならたまげて腰を抜かすんじゃないだろうか(書かれたのは1928年ですよ、どうか腰を抜かしてください)。
作品の解釈については頭脳明晰な諸先生にお任せするとして、the Great Frost (1708~09年に西欧を襲った大寒波)がどう書かれているか、ちょっとだけご紹介することにしよう。
空中で凍りついた鳥たちが石のように地面に落下した。ノリッジでは健康そのものの若い田舎女が道路を渡りはじめたが、街角で氷のような突風に見舞われるや、人々の見ている前で粉々にくだけて土ぼこりとなり、屋根の向こうに吹き飛ばされてしまった。(第1章)
いくらなんでも恐ろしすぎてたぶんホラ話だとは思うが(笑)、これから想像できるように、内容はユーモアに富んでいるし皮肉も効いており、土ぼこりにならず生き残った21世紀の保守派がどうお感じになるかは知らないけれど、ぼくは案外読みやすい小説だと思った。
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