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November 27, 2022

Daily Oregraph: 泣いて誤植を斬る

 本日の最高気温は 9.4度。晴れ。

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 カモメの水兵たちの集まりぐあいはよろしくない。たぶん夜遊びが過ぎたのだろう。

 風はけっして強くはないが、だんだん冷たさを増している。しかし港町から望む雌阿寒の山並みに雪はまだ見あたらない。

 さてこれまでも散々誤植には泣かされてきたけれど、昨日のことである。

  He saw the mall, ...(以下略)

 こいつがおかしい、変だ、と思う人はふつういないだろう。mall が遊歩道か商店街かは文脈によるとしても、ごくごく基本的な文章であって、まちがいなどあろうはずがない。

 ところがですね、これとんでもない誤植なんですよ。生き仏のような薄氷堂さんがプンプン怒るのも無理はございません。

 いかに曲芸的に解釈してもコンマの後と意味がつながらない。ああでもない、こうでもないと悩んだ末にインターネットで別のテキストを探したら、なんとですよ、正解が

  He saw them all, ...

とは玉下駄、駒下駄、日和下駄。たちまち疑問氷解したのはいいが、責任者出てこい!(昔新京極の吉本で聞いた人生幸朗師匠の決まり文句なんだが、知るや君?) 気の毒だが斬罪に処するものとする。

 まったくいやがらせのような誤植である。すっかりやる気をなくしたので、本日は勝手におれさまの祝日と定め、お休みをいただいた次第である。

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November 22, 2022

Daily Oregraph: 20世紀へ

 本日の最高気温は 11.3度。晴れ。

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 おだやかな水面からもわかるように、風が弱くポカポカとした散歩日和であった(写真は北埠頭接岸中の巡視船「そうや」)。

 『ピクウィック・ペーパーズ』を読了した。この作品はしばしばわが『東海道中膝栗毛』に比せられるようだけれど、主人公一行が旅先で滑稽な失敗を繰り返すところが似ているというだけで、読めばすぐにわかるように、ずいぶん印象は異なる。滑稽一辺倒ではなく、どことなく悲哀を感じさせるところは、やはりディケンズ調だなと思う。

 若きディケンズの大出世作だし、成立の過程も興味深く、文学部の飯の種(笑)としても非常に価値があり、大勢のえらい先生たちが寄ってたかって研究の対象にしているから、素人の出る幕などはない。当時英国では文字を読める人ならだれもが知っていたというくらいの超ベストセラーで、おもしろいこと請け合いだから、機会があったらお読みになってご損はないだろう。

 さてまじめな研究は文学部の諸先生にお任せするとして、残り時間の少ないジジイはさっさと次へ進まなくてはいけない。それならもっと速く読んだらどうだといわれそうだが、年を取ると万事に時間がかかり、特に読書に関してはスピードの低下が著しく、なかなかそうはいかないのである。

 ぼくが一番落ち着くのは19世紀なのだが、ちょいと20世紀に寄り道して、今回はイヴリン・ウォー(Evelyn Waugh, 1903-1966)の『もっと旗を(Put Out More Flags)』である(付記参照)。

 それから再び19世紀に戻るつもり。積ん読組の本はまだ山ほど残っている。ああ……

【付記】ウォーの戦争三部作については記憶が混同し、うっかり誤記してしまったので訂正しておきたい。第一作が Men at Arms (1952) 、 第二作が Officers and Gentlemen (1955)、そして第三作が Unconditional Surrender (1960) である。Put Out More Flags (1942) は、やはり第二次世界大戦を扱ってはいるが別の作品系列に属する。どうもボケが始まったらしく、今ごろになって気がついた。白旗を掲げて無条件降伏するしかなさそうだ。(2022-12-06)

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November 18, 2022

Daily Oregraph: 裏庭画報 最後の草むしり

 本日の最高気温は 7.2度。晴れ。

 雪が降る前に今年最後の草むしりをした。雑草もあらかた枯れたし、もうほとんど虫もいないから、草むらに踏み込んで、これまで手の届かなかった場所にある笹も刈る。ついでにまだところどころに残る落葉を拾ったら、たちまちゴミの大袋が一杯になってしまった。

 今年はナナカマドの木を伐採したり土留め工事をしたり、裏庭の環境が一変したので、来春どれだけの花が生き残っているか不安もある。

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 メイゲツソウがドライフラワーになっていた。こいつはもともとが野暮ったいから、枯れたほうがかえって見やすいかもしれない。

 さあて、冬が来るぞ。

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November 13, 2022

Daily Oregraph: ハーム・チアの謎

 本日の最高気温は14.5度。曇り。

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 なにもネタがないので、たまには英語のお勉強。ディケンズの小説からロンドン方言のクイズを2問だけ出そうと思う。おもしろいから(?)解いてみてね。

 方言だから最初はさっぱりわからないが、それなりに規則性があるので、読み慣れるとだんだん見当がついてくる。しかしときどきすぐには意味がわからないものもあるから油断できない。

 まずは pianner forty てのはどうだろう? 字面だけながめていても意味不明だが、音にしてみるとピアナー・フォーティ→ピアナフォーティ、そう、pianoforte だと納得できるだろう。

 こんな具合に解読していくのだが、今日ちと手こずったのが…… harm-cheer である。なんですか、これは? 頭がクラクラしてきた(笑)。

 音にしてみてもハーム・チアだし、原文は「馬車の中にハーム・チアを持ちこんだ」というんだからなんのことやら見当がつかず、しばらく首をひねったけれど、わかってみれば「な~んだ」ということになる。

 なんと正解は armchair なんですよ。語頭の h 音が脱落するのはよくあるけれど、このように余分な h 音が付くこともあるという一例。これがもし arm-cheer か harm-chair だったら、または原文が「彼はハーム・チアに腰かけた」だったら、すぐにわかっただろうと思う。

 こんなところに余計な時間を取られるのは困るとお思いになるかも知れないが、さにあらず。だんだんおもしろくなってきて、次はどんな難問が出るだろうかと楽しみになるから不思議である。こんなトンデモ英語が通じるんだったら、バカにされている日本式英語が通じないはずはないとも思えてくる。

 ただし……ロンドン方言をおもしろがっていても、ちっとも入試勉強の役には立たないから念のため。

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November 10, 2022

Daily Oregraph: カモメの密集隊形

 本日の最高気温は16.2度。晴れ。この時期にしてはポカポカと暖かかった。

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 密集隊形を取る港町のカモメについてはすでに何度か写真を掲載したが、今日の並びぐあいはことのほか見事だったので、つい見とれてしまった。

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 もちろん連中はいつもこのように並んでいるわけではなく、この突堤はふだんはがら空きである。いったいカモメたちはどんな条件のときに密集するのか、また肩寄せ合えばなにか有利な点があるのかは謎である。

 この光景を見ると韓国の人混みで起こった悲惨な事故を連想するけれど、よくよく観察すれば、カモメたちの距離はそれなりに保たれていることがわかる。かりに押し合いへし合いする事態になったとしても、幸い連中には翼があるから大事故にはなりえない。

 ぼくは日頃カモメの脳味噌をバカにしているのだが、どうやら人間のほうが圧倒的に賢いとはいえないようである。人間は飛べもしないくせに、なぜ逃げ場のない狭い通りに密集したがるのだろうか?

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November 03, 2022

Daily Oregraph: 11月のスミレ

 本日の最高気温は12.9度。曇り。

 笹を刈り、最後まで残った落葉を拾う。

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 花も紅葉もなかりけりといいたいところだが、モミジはあった。大きくなったヤマモミジの木を、何年も前に業者に伐ってもらって以来である。なにモミジかは知らないけれど、カエデ科であることはまちがいない。

 こいつは植えたわけではなく勝手に生えたのだが、いずれ成長して大木にならぬともかぎらない。しかしせっかくだから少なくとも数年はこのまま伐らずに紅葉を楽しもうと思う。

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 越境組のスミレがまだ一輪だけ咲いていたので、ちょっと驚いた。わが裏庭では今年最後の花かもしれない。

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November 01, 2022

Daily Oregraph: 貨車解体

 本日の最高気温は13.6度。曇りのち晴れ。

 臨港鉄道春採駅跡の近くを通りかかると、なにやらさかんに作業をしていた。

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 なんと、石炭の貨車を解体しているのであった。

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 なんだかもったいないような気もするのだが、いくら筋金入りの「鉄オタ」でも、まさか貨車を買い取って庭に飾ろうという豪傑はいまいし、スクラップにするしかないのだろう。

 石炭列車の運行がとっくに終了したことはもちろん承知しているけれど、線路もほとんどが撤去され、こうしていま貨車が解体されているのを目前にすると、ひとつの時代の終りを実感しないわけにはいかない。

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