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September 11, 2022

Daily Oregraph: 裏庭画報 コスモスの前で

 本日の最高気温は21.6度。晴れ。

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 先日ご紹介した越境入学組のコスモスが咲きそろってきた。不思議なことに、この一角だけは背の高い雑草がほとんど目立たない。もし雑草抑制効果があるとすれば、こいつもなかなか役に立つから、学費を減免してもいいと思う。

 リチャード・ヘンリ・デイナ(Richard Henry Dana, Jr., 1815 - 1882)の『水夫生活二年間(Two Years Before the Mast, 1840)』を読みはじめた。ハーバードの学生だった著者が眼病を患って退学し、平水夫として帆船に乗り組んだときの記録である。彼はのち復学して法学を修め、政治家としても活躍した。

 Before the mast (マストの前で)というのはイディオムで、辞書を引くと「平水夫として」と説明してあるが、これは水夫の寝泊まりする場所がマストの前、つまり船首部の甲板下にあるからだ。当時水夫は船首部、船長や士官は船尾部と、はっきり居住区が分かれていたのである。名家の息子が眼病を癒やす目的で海に出るのなら客船の乗客にでもなればいいものを、過酷な労働を覚悟の上で水夫になるのだから、この人は只者ではない。

 日本ではなぜか文庫本にはなっていないようだし、あまり知られていないかもしれないが、英米では大変有名な作品である。ぼくはかつて百数十頁まで読んだのに、会社の仕事が忙しくなって放り出し、積ん読組に入れていた(現役のころはそうして読みかけのままにした本がいくらでもある)。

 抜群におもしろい作品なのだが、なにしろ舞台は帆船である。幸い巻末の用語集が充実しているから助かるけれど、『白鯨』でも苦労したように、マストや帆などの操作が複雑怪奇でわかりにくいのだ。たとえば「エンジンを使わずにどうして風上へ向かって走るんだ?」など(笑)、経験者でなくては満足に理解できないと思う。

 丁寧に読んでも素人には不明なところが残る。しかしわからないところを適当にごまかしながらでも、おもしろいものはおもしろい。今回は最後まで読めるだろう。

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