Daily Oregraph: 誤植の話
本日の最高気温は23.1度。晴れ。
ここ数日写真を撮っていないので、18日に撮影した白蕪でお茶を濁しておこう。
やはり虫食いがひどいけれど、よさそうなところを選び、炒めて食った。蕪は葉っぱがうまいのである。あの微妙な苦味がいい。
さて本を読んでいて困るのが誤植である。人間のすることだから少しくらい誤りがあるのは当然としても、ペンギンブックスを含め、安手の紙を使ったペーパーバックには結構誤植がある。
たいていはすぐにわかるけれど、ときどきまぎらわしくて意味を取りちがえそうになるものもある。だから複数のテキストを比較するといいのだが、そう何冊も同じ内容の本を買えるわけがない。そういうときに頼りになるのがインターネットだ。
著作権の切れた古典なら、たいてい数種類のテキストを比較参照できる。インターネットの場合、データを取り込む(打ちこむ?)際に新しいミスが追加されることがときどきあるから、あるテキストを参照して内容になおも不審が残る場合は、さらに別のテキストと「比較」することが大切である。
誤植も単純な凡ミスならいいけれど、どこぞの政治家の発言のように、白を黒にするようだと迷惑千万である。そんな誤植があるものかとお疑いの方のために、本日出くわした実例をお目にかけよう。
上がぼくの持っているテキスト、下がインターネットのあるサイトで見つけたものである。ほら、白が黒になっているでしょう(笑)。
ある捕鯨船(原告)の銛を打ちこんだ鯨が、銛・ロープ・ボートもろとも逃げてしまった。その後その手負い鯨を別の捕鯨船(被告)が捕獲したというので裁判になり、上はその判決の一部である。
ずっと読んでいくと、判決は鯨を横取りした被告に有利で、鯨本体はもちろんそれに附属していた銛とロープは被告のもの、ただしボートは乗組員が生命を守るためにやむなく放棄したのだから原告に返却せよというものであった。
ところがぼくのテキストでは「原告が後で魚(鯨)を穫ったがゆえに、前記物品(銛とロープ)は原告のものである」となっている。もちろんすぐにおかしいとは気づいたけれど、一瞬全体を誤読したかと疑って(笑)、もういっぺん段落の最初から読みなおすはめになった。
また念のため別のテキストを確認したから、ずいぶん時間を無駄づかいしてしまった。「まずおのれの頭を疑い、それからテキストを疑え」というのがルールだから、仕方がないといえばそれまでだけど、植字工のうっかりミスにはやっぱり腹が立つ。
え、虫に食い荒らされるような土地に野菜を植えるのも「誤植」じゃないかって? そんな殺生な。
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