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June 29, 2022

Daily Oregraph: 裏庭画報 オオダイコンソウ

 本日の最高気温は19.5度。雨。暑さとは無縁の世界である。

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 これは昨日撮影したオオダイコンソウ。気の毒なくらい地味な花である。人でいえば、ごくふつうのアパートの二階でつつましく暮す市民というところだろうか。

 -だって名前がねえ、大根草だぜ。カラーで撮ってもパッとしないし、白黒みたいに見えるところは、いかにも大根だ。

 -ばかいえ、大根は大事な野菜だ。ぼくは苦手で食えないんだが、君たちの好きなタクアンだって大根じゃないか。韓国の船に行くとたいていキムチの匂いがするように、ぼくらは気がついていないけど、外国人が日本船に乗ると、きっとタクアンが匂うにちがいない。日本人たるもの大根を軽蔑しちゃいけないぜ。

 -ふ~ん、そんなものかなあ。そういえばタクアンも黄色いくせに目立たないし、この花はいっそタクアンソウとでも命名すればよかったんじゃないかな。

 ……とまあ散々ないわれようだが、重税に苦しむ多くの日本人はダイコンソウみたいに生きているんだからいわば仲間同士、道ばたでこの花を見かけたら挨拶のことばのひとつもかけてやってほしい。

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June 25, 2022

Daily Oregraph: 裏庭画報 ギョウジャニンニク満開

 本日の最高気温は24.0度。晴れ。ちょっと風が強かったけれど気持のいい一日だった。

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 そろそろだなという予想たがわず、ギョウジャニンニクの花がほぼ満開になった。いわゆる「きれいな花」とはいいにくく、むしろ奇妙なかたちをしているけれど、爆発しそうなエネルギーを感じさせてくれる。こいつをまるごとパクリと食ったら元気になれるかも知れないね(とてもそんな度胸はないが……(笑))。

 さて捕鯨に対する風当たりは相変らず強いけれど、以前日本人がイルカを穫るのはけしからんという、いわれなき非難を浴びたことがあったと記憶している。連中は鯨油が不要になったから捕鯨業から撤退しただけの話で、かつては世界中の海でクジラを乱獲していたんだから、その身勝手さには呆れるしかない。

 たとえばその昔イギリスでは捕鯨業に補助金を出していたほどで、今ごろえらそうになにをいってやがると思うのだが、彼らはクジラだけでなく実はイルカも穫っていたのである。イルカからも少量ながら油が取れるからだ。

 それだけではない。

 Porpoise meat is good eating, you know.(『白鯨』第32章)

 少なくともアメリカ捕鯨船の船員は喜んでイルカの肉を食べていたという動かぬ証拠ゆえ、ここに記録しておく。イルカの肉はうまいよなあ……だったら素直にそういえばいいのに。

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June 20, 2022

Daily Oregraph: 裏庭画報 ナガメ

 本日の最高気温は20.9度。晴れたり曇ったり雷が鳴って雨が降ったり、忙しい天気だった。

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 このシリーズではめずらしい昆虫だが……最初はテントウムシかと思ったら、なんだ、カメムシかよ。調べてみたらこいつはナガメである。アブラナ科の野菜の害虫だという。

 交尾中に手を出すのは気が引けるからそのままにしておいたけれど、小松菜の害虫なら退治しておけばよかった。次に姿を現わしたら許さないぞ。

 それにしてもなんというデザインだろうか! ぼくはクイークェグの刺青を連想したよ。

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June 18, 2022

Daily Oregraph: 裏庭画報 笹取り

 本日の最高気温は20.1度。晴れのち曇り。今年初めて20度を越えた。

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 今は昔笹取の翁といふ者ありけり……大変有名な一節だから、どなたもご存じだろうと思う。なにを隠そう、かく申すぼくがその翁である。ちっとは見なおしていただきたいものだ。

 しかしこの笹なるもの、よろずのことに使えるどころか、越後の笹餅に用いる以外にはなんの役にも立たない。もちろん光も発しなければ、いとうつくしい姫も現われない。ただボーッと生えて、風が吹けばカサカサ鳴りながら突っ立っているだけである。

 しかもでくの坊のくせにほかの花々を枯らしてしまうから、ぼくの天敵である。地中に広く根を張っているので、抜いても抜いても根絶は無理であって、いくら奮闘しても勝ち目はない。まるで自公政権を相手にしているようなものだが(笑)、ここであきらめてはなるまい。明日も明後日も、おれは笹を引っこ抜くんだ。

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 生き残っていたギョウジャニンニクの花が咲きはじめた。満開になったらまたお目にかけたい。

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June 14, 2022

Daily Oregraph: 裏庭画報 チゴユリ

 本日の最高気温は13.8度。曇りのち晴れ。6月も半ばだというのに、なかなか気温が上がらない。

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 チゴユリが生きていた。ごく小さなユリだが、その小さいところがいい。つつましい美しさ。

 あちこちからササが顔を出していたので、かたっぱしから始末した。根っこは残るけれど、いまのうちなら頭の部分はスポッと抜き取れるのである。ササはにっくき敵だから当分この作業を続けようと思う。

 さて船員志願の青年イシュメイル君、ある港町にやって来たはいいが、あいにく宿は満室で、全身奇妙な刺青に覆われた怪人クイークェグと寝床を共にすることになる。最初は野蛮人と同衾するのをためらっていたけれど、よくよく観察してみればクイークェグはみかけによらずまともで親切な男である。

 おれも人間ならやつも人間だ。おれがやつを恐がるように、やつだっておれを恐がってもおかしくはない。酔っ払ったキリスト教徒と一緒に寝るよりは、シラフの人食い人種と寝るほうがましというものだ。(『白鯨』第3章)

 イシュメイル君のこの健全なる精神を、排外主義者にはぜひ学んでいただきたい。人間見た目は白かったり黒かったり黄色かったりするが、まずは虚心坦懐につきあってみることだ。理屈の通じない粗雑な日本人よりも常識をわきまえた外国人のほうがいい、というあたりまえのことがきっとわかると思う。ときには自分よりはるかに知識教養が深かったり、人間味あふれる人物に出会えることだってあるのだしね。

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June 10, 2022

Daily Oregraph: 裏庭画報 エゾノクサイチゴ

 本日の最高気温は15.4度。曇りときどき晴れ。

 土木工事のためほとんど丸裸になった裏庭に咲く花といえばコンロンソウくらいだが、片隅にこんなものが……

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 エゾノクサイチゴである。ずいぶん前には小さな実をつけたものだが、最近はまったく見なくなった。

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 生き残っていたギョウジャニンニクはもうすぐ開花しそうだ。せめてもの慰めである。

 さて滑稽小説につづいては趣向を変えて、メルヴィル(Herman Melville, 1819-1891)の『白鯨(Moby Dick)』を読むことにした。以前途中まで読んで投げ出したうちの一冊。積ん読の本を一冊でも減らしてから死ぬのが現在の目標なのである。

 連日のように聞かされるケチな連中のニュースにはうんざりしているから、このスケールの大きい小説を読んで憂さ晴らししたいと思っている。

 ところで第一章を読んでいたら、「乗客として船に乗るには財布がいるし、中身が空なら財布はただのぼろ切れにすぎない」という一節があった。つまり金がないのに船に乗るつもりなら水夫として働こうというわけだ。頑健な肉体に恵まれた青年ならそれもいいだろう。しかし関節の弱ったジジイはどうする(笑)。

 岸田さんは国民に投資を勧めているが、ぼろ財布しか持たぬ庶民にどうしろとおっしゃるのだろうか。靴磨きでもして元手を稼げということかな? 収入が増えるどころか年金まで減額され(マクロもミクロもあるか、バカヤロウ!)、このうえ消費税でも上がろうものなら気息奄々、永久に元手はたまるまいが……

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June 05, 2022

Daily Oregraph: P. G. ウッドハウスのすすめ

 本日の最高気温は14.5度。曇りのち晴れ。

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 わが家の真向いのお宅が取り壊された。いずれ新しい家が建つまでは海がよく見える。この景色に新鮮な印象を受けるのは、最後に見たのが子どもの頃だからだろう。

 さてウッドハウス(P. G. Wodehouse)の『ウースター家の掟(The Code of the Woosters)』を先日読み終えた。わが国でウッドハウス(1881~1975)という作家を知る人はさほど多くないのではないかと思うが、英国では国民的作家の一人、つまり別格的存在といっていいだろう。

 いわゆるユーモア小説の大家であり、彼の作品の登場人物はいずれも奇人変人のたぐいで、ほんとかよというような途方もないストーリーがめまぐるしく展開し、抱腹絶倒、息もつかせずに一気に読ませる……といいたいところだが、俗語を駆使しているから、学習辞書だけではとても先へ進めず、つっかえ、つっかえ読むことになる。しかしそれでもとにかくおかしい。人生がつくづくいやになったときに(笑)読むといいんじゃないだろうか。

 『ウースター家』についてはネタばれになるから詳しくは書かないが、しょせん滑稽小説だろうなどとなめてはいけない。文学作品からの引用がちりばめられているので、極東の読者がより深く楽しむためにはやはり先生が必要だと思う。しかし、あいにく身近に先生はいないよね。残念でした。

 いや、まあお待ちなさい。あきらめるのは早すぎる。いまや大学に入り直さなくてもそれなりに勉強できるありがたい時代だ。世の中にはウッドハウス研究家なる奇特な人々がいて、Madame Eulalie's Rare Plums という驚くべき専門サイトには作品ごとの詳細かつ丁寧な注釈がある。このサイトなくしては首をひねるだけで終ったであろう箇所がいくつかある。長年の研究の成果を無償で提供してくれる高邁な精神には感謝感激だ(税金をかすめ取ることしか頭にない政治家どもとはえらいちがいだな)。

 本作のテキスト(無料)もインターネットで読める。そこの英文科のおねえさん、あなたお読みになりましたか? ミスなんとか大学に応募している場合じゃない。これ、必読ですぞ。

 なお天下の OED もウッドハウスは特別扱いで、ウッドハウス語(?)は下の例のように5つ掲載されている。

Pgw

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June 01, 2022

Daily Oregraph: 裏庭画報 コンロンソウ

 本日の最高気温は14.2度。曇り。

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 裏庭の工事が終ったので見て回ったら、コンロンソウが咲きはじめていた。こいつは地味な花だけど、雄大な崑崙山脈を連想させる名前がいい。この白はきっと高山に残る雪の色なのだろう。

 幸いなことに姿を消したはずのギョウジャニンニクのツボミもみつかり、ホッとした。踏まれて倒されたのが起き上がったのだと思う。ひどく傷んでいなければ花が咲くだろう。

 しかしニリンソウなどは来年の春が来るまで安否を確認できない。諸君、どうか生き延びてくれ!

 五月は中旬以降なにかと雑用が多く、落ち着いて本を読めなかったけれど、気がつけばはや六月である。なかなか事は思いどおりにはかどらないのに、確実に歳は取りますなあ(笑)。

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