本日の最高気温は4.4度。晴れ。一日中暖かかった。
こんなしょうもない写真を撮るようでは焼きが回った……と笑うのは素人の浅はかさで(笑)、ものもいいよう、何気ない日常風景を切り取ったわけ。
さて『ウォールデン』の最終章より……
愛よりも、金よりも、名よりも、真実を我に与えよ。
今どき顔を赤らめずにこんなセリフをいう人はいないと思うが、ソローは大まじめである。金や名はともかく、愛もいらないというのは、ソローが群れない人つまり徹底した個人主義者だからだろう。たとえ思想的に近い人々であっても、彼はつきあいはしても一切の組織には属さなかった……というよりそれは性格的に無理だったにちがいない。
たとえ相手が国家や法律だとしても、悪しき法や制度には黙って従わないと彼は明言している。自分が従うものはより高い次元の法なのだというのである。つまり宗教でいえば、教会という制度にではなく神にのみ従うわけだ。だから千万人といえども吾往かんというやつで、同調圧力には絶対に屈しない。彼の『市民的不服従(Civil Disobedience)』はのちにガンジーやキング牧師などにも大きな影響を与えたし、非暴力とはいえ権力側からすれば十分に危険思想だろうね。
たとえほんの数年にすぎなくとも、この風変りな人物が湖畔の粗末な小屋に住んで粗衣粗食に甘んじたことを立派だと評価する人もいるだろうし、その一方で好きで貧乏しているわけでもなければ高等教育を受ける機会にも恵まれなかった人々にとっては、所詮はインテリの気まぐれな「実験」じゃないかと苦々しく映ったかもしれない。高邁な理想を並べ立てられて一歩退く人もいるだろう。
しかし繰り返しになるけれど、『ウォールデン』の自然描写は見事というほかなく、読者の思想的立場のいかんを問わず、一読の価値はあると思う。
税金の使い途に異議を唱え、人頭税の支払いを拒否して一晩投獄された彼が、コロナ禍によって失職し税負担力ゼロになった人々からも(!)容赦なく取り立てる消費税にどんな反応を示すか想像してみたくもなるけれど、残り時間の少ないぼくはさっそく次へ進まなければならない。
ふたたびディケンズに戻って『二都物語(A Tale of Two Cities)』を読むことにする。やれやれ、またしても19世紀である。
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