Daily Oregraph: 奇習の話
本日の最高気温は5.6度。晴れ。昨日に引き続き風が強かった。
これは強風の吹き荒れた昨日、二階の窓越しに撮った太平洋。みごとに時化ている。雪にならなかったのは幸いである。
The Mayor of Casterbridge は明日本文を読み終える予定。翻訳によって『キャスタブリッジの市長』や『カスターブリッジの町長』などとされているが、英国風に発音すると「カースタブリッジ」が最も近いと思う。小さい町だから町長でいいかも知れない。傑作だからぜひお読みになることをお薦めしたい。
先日は本書からファーミティという小麦粥をご紹介したが、今回はスキミントン・ライド(skimmington-ride)という英国の田舎の奇習について、ちょっとだけ。
たとえば亭主をないがしろにする悪妻の所行が目に余るとしよう。近隣の住民がそれをこらしめるため、というより笑いものにするために、わら人形に本人をすぐに特定できるような衣装を着せた亭主と女房の似姿を作ってロバなどに乗せると、行列を作ってそいつを引き回すのである。
手近な道具や楽器をジャンジャン・ブーブーとやかましく鳴らしながら、行列は通りを練り歩く……というから、一種のリンチまたは村八分に近く、実に陰湿かつ残酷なものである。本書の注によれば、地方によっては loo-belling とか riding the stang ともいうらしく、さすがに1882年には法律で禁じられたけれど、1917年に一度行われたという記録があり、なんと1960年代にも似たようなことがあったらしい。
歴史入門書には書かれていないからまったく知らなかったし、人間がいやになるような話だから、ちょっとショックを受けた。しかしこういうお上品な人々が顔をしかめそうなことを正面から書くところはさすがハーディだと思う。
さて本文を読み終えてもイントロダクションが控えている。本書のそれはなんと約50頁(!)もある。そんなに長い前説を読んだらゲンナリすることまちがいなしだから(笑)、先日も「けっして先に読むな」と申し上げたのである。
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