Daily Oregraph: 粥に酔う話
本日の最高気温は11.0度。曇りのち雨。
今年最後と思って裏庭に残った落葉を片づけ、ついでに笹を少し刈った。大きなポリ袋2つに詰めこんだけれど、もう半袋分ほど残っている。竹箒で掃き集めたのだが、湿った地面に葉が貼りついているから、うまくまとまらないのである。
このあと畑の落葉と雑草に取りかかるつもりだったが、雨が降り出しそうになったので断念。雪が降る前にもう一度出動しなければならない。厄介なものだ。
さて先日からトマス・ハーディの『キャスタブリッジの市長(The Mayor of Casterbridge)』を読みはじめた。おもしろい話が書かれていたので、簡単にご紹介したい(もっともぼくは妙なものをおもしろがるクセがあるから、あまり期待していただいては困る)。
とある村に市が立って、いろんな露店が並ぶ。その中にファーミティを食わせるテントがある。このファーミティ(furmity)というのは別名フルーメンティ(frumenty)ともいって、脱穀した小麦をシナモンや砂糖を加えたミルクで煮るのだが、この小説では小麦粉やレーズンなんかも入っている。要するに小麦粥なんだが、そいつを店のおばさんが「おいしいファーミティだよ!」と大声を出して客を集めるのである。
そこまではふつうだが、おもしろいのはここから。客が目配せすると、おばさんは隠し置いたラムを取り出して、鉢に盛った粥の中に投入するのである。どうして隠しておくかというと、このラムは密輸品なのだ。当時は税金が高すぎたから密輸が横行したらしい。
ラム入りの熱い粥を食うんだからたまらない。たちまちアルコールが体内に回る。何倍もお代りすると、粥に酔ってへべれけになるわけだ。その挙句に泥酔した主人公がその場で細君を競りにかけて売り払う……という信じられない話がこの小説の発端である。
まさかと思うかも知れないが、19世紀(たぶん中頃まで)の英国の田舎では、女房を金で売ったという実例がいくつも記録に残っているらしい。もちろん違法だから、あとになってやっかいなことも持ち上がったにちがいない。
女房の売買にも興味はあるが、酔いが回るほどの酒を粥に混ぜるということは日本国でも行われた(行われている)のだろうか? 識者(笑)のご教示を待つ。
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