Daily Oregraph: 読む前に貼れ
本日の最高気温は24.7度。晴れのち曇り。昨日は雨が降って寒かったのに、なにをとまどったのか、夏の最後っ屁みたいに気温が上がった。
17時17分。日暮れがどんどん早くなり、短い散歩をしているうちに、街灯はすべてともっていた。
さてほかにネタもなし、傘張り浪人みたいな地味な話だけれど、本の補修について。
ご存じのとおり、英米のペーパーバックスの造本はきわめてお粗末である。日本の文庫本は最近でこそ英米並みに雑になってきたけれど、戦前の岩波文庫などはしっかりした造りで、いまだにびくともしない。
この本は1950年代出版のものらしく、ふつうのペーパーバックよりも紙質は数等上だし造本も丁寧、メリケン製にしてはかなり優秀なほうだと思う。しかしすでに約70年も経っているから徹底的に乾燥しており、読んでいるうちに地震で地割れが出来たように裂けてしまう。
そこで活躍するのが木工用ボンドである。こいつを割れ目に流し込んで(写真上)、半日ほど重しをのせておくと復活するのだが、いったんこうなると繰返し地割れが発生する。そのうちに背表紙もろとも本が真っ二つに分かれてしまうこともめずらしくない。
それを予防するために愛用しているのが幅広のスコッチテープ(写真下)。これで背表紙を補強するとかなり効果がある。ペーパーバックだけでなく、ハードカバーの本や辞書などにも大いに役に立つからおすすめである。
もちろん見た目はよろしくない。長年愛用しているランダムハウス英和辞典などは、韋編三絶、木工用ボンド+スコッチテープで何度も処理しているから、辞書界のフランケンシュタインみたいになってしまった。
それでも本は補修が効くからまだいいけれど、人間様の頭や体はそうはいかないから悲しい。固有名詞はなかなか思い出せないし、膝はギクシャクするし、いずれバリッと音を立てて二つに割れてしまうんじゃないだろうか。
Comments
我が家にも、明治時代半ばの書物が二種。どちらも近年出版されたものがあるので、それを買えばいいのですが、いかんせんそちらは極めて高価。財布の事情で100歳以上のおじいちゃん(おばあちゃん?)に活躍してもらっています。だから、薄氷堂さんと同じように、時々治療をしてあげないと…
>この本は1950年代出版…すでに約70年も経っている
…1950年代がもう70年前なんですね。
どうりで、我が体にもがたが来ているわけだ。
それでも自動車なんかよりはだいぶ丈夫ですなあ。60年以上も動き続ける自動車なんてそうそうありませんし、そのほかの機会だって…つくづくありがたいことです。
Posted by: 三友亭主人 | September 25, 2021 07:56
>三友亭さん
本がバラバラになるのは悲しいものですし、第一読みづらくてしょうがありません。
> どうりで、我が体にもがたが来ているわけだ。
縁起でもない予言ですが……あと十年たつと先生のお体にもきっと木工用ボンドが必要になりますよ(笑)。
Posted by: 薄氷堂 | September 25, 2021 22:27