Daily Oregraph: 気温差は10度
今日の最高気温は26.1度。晴れ。ちょっと暑いなあとは思ったけれど、先ほどチェックしたら京都は36.4度だそうな。気温の差は10度以上だから、快適さにおいては都人(みやこびと)の負け、東夷(あずまえびす)の勝ちである。どんなもんだい。
本日の船上セキュリティ・チェックポイント。いくら快適とはいっても、ぼくらは体を動かせば汗をかく。しかしこの連中は南国育ちゆえ涼しい顔をしていた。
さて19世紀ど真ん中の小説トロラップ作『慈善院長』だが、登場人物の一人である大執事(主教補佐)グラントリ家の住み込み女性家庭教師の年収が30ポンドであることがわかった。これはなんとジェイン・エアと同額だから、まずは水準(25ポンド程度)以上といえよう。ついでにいえば同家の女中頭は年収60ポンドとあるから、一通りの教育ある女性が当時いかに冷遇されていたか、よくわかると思う。
ヴィクトリア時代の貨幣価値については諸説あり、もともと単純な換算は不可能な上、当然時期によっても変化するわけだが、中には1ポンド=7~8万円という推定もある。いくら貧乏でも現代日本では年収140~160万円程度はあるだろうという前提をもとにしたものだろう。
しかしこれは明らかにとんでもない過大評価だとぼくは考える。希望的に推定したくなる気持はよく理解できるが、事実には反すると思う。実際は「超低賃金」だったはずで、最低賃金制の存在する現代日本の感覚で考えるのはまちがいのもとだと思う。19世紀イギリスでは賃金の一般水準はきわめて低く、貧乏人は「まさか!」と思うほど貧乏だったにちがいない。
なぜそんなことにこだわるかといえば、ちょっと想像すればわかるように、小説の読み方が根本的に変ってくるからである。エゲレスの歴史書をたくさん読めば詳しいことがわかりそうだけれど、なかなか実現はむずかしいから(まことに面目ない)、当面は小説中に登場する庶民の年収を拾ってメモしておこうと思う。
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