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June 30, 2021

Daily Oregraph: 裏庭画報 水菜の花

 本日の最高気温は16.4度。曇り。

 釧路は暑さを知らぬ上級国民の町だ。田舎町だの僻地という悪口をいう連中は、今の時期に京都や奈良の盆地へ行ってみるといい。たちまちへばってしまい、泣き言をいうこと請け合いである。

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 水菜の花。初めて見たが、いかにもアブラナ科でございという顔をしている。

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 これはアサツキだろう。案外すっきりとした美形ではないだろうか。

 さて次回の捕物帖である『ライオンのたてがみ(The Lion's Mane)事件』から、たまにはためになるマジメな英語クイズを出そうと思う。

 この事件にはある海の生物がからんでおり、最後にそれが明らかになる。その意外な正体を目にした地元の警部殿はビックリして、「ホームズさん、あいつは一体なんだったんですか? 私は生まれも育ちもこの土地ですが、あんなものは見たことがない。サセックス(イングランド南東部)にいるものじゃありませんぞ」という。

 するとホームズは 'Just as well for Sussex.' と答える。ネットで拝見したある方の翻訳によると「サセックスにいても不思議はありません」というのだが、土地っ子が一度も見たこともないと断言しているのに、この解釈はおかしいとお思いにはならないだろうか? たとえ相当出来る方でも、まめに辞書を引いて確かめないと誤るものである。

 「東大王」よりもずっと味があるから(笑)、ぜひお考えいただきたい。きっと辞書のありがたみがジーンと身に沁みると思う。

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June 28, 2021

Daily Oregraph: 水無月を食ふ

 本日の最高気温は19.3度。晴れ。

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 某君が送ってくれた京都発祥のお上品な和菓子「水無月」。名前からして六月(旧暦)のお菓子だとわかるけれど、ういろうの上にのっかっている小豆には厄除けの意味があるらしく、コロナ禍の現在にはぴったりだ。

 正式には30日に食べるものらしいが、どうせぼくは京都人じゃないし(東夷?)、日持ちのしないお菓子だから、さっそく本日ご馳走になった。ひょっとしたらワクチンより効き目があるかも知れない。ありがたや、ありがたや。

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June 26, 2021

Daily Oregraph: 裏庭画報 オオダイコンソウ開花

 本日の最高気温は20.5度。晴れ。快適な一日であった。

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 オオダイコンソウが開花した。まだツボミがいくつか残っている。

 こいつはとにかく地味な花で、見かけるたびに気の毒になるほどである。葉の形状が大根の葉に似ているからダイコンソウというらしいけれど、似ているような似ていないような、ぼくにはあまりピンとこない。

 放っておけばダメになりそうなので、残りの小松菜をすべて収穫した。水菜も全部採ろうと思ったのだが、一株だけ花が咲きかけていたので、半分ほどにとどめておいた。小松菜の花は撮影したことがあるけれど、水菜の花は未見だからこの機会にぜひ写真を撮っておきたい。

 それにしても雑草の勢力がすさまじく、頭がクラクラしてきた。明日は畑の草むしりだな。敵は多勢、絶望的な戦いになりそうだ。冷えたビールをご馳走するから(笑)、どなたか応援していただけないだろうか。

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June 24, 2021

Daily Oregraph: 病は気から捕物帖 後編

 本日の最高気温は15.6度。曇り。

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 ヤマブキショウマ。わが裏庭はほとんど自然公園である。

 -さて前回では依頼者の親友ゴドフリー君が世界一周の船旅に出ているというのは真っ赤なウソで、ほんとうは実家の敷地内にある建物に身を隠しているところまでわかりました。それにはよほどの事情があるはずですが、親分はどうお思いになりますかな?

 -うむ、息子がいると知られちゃ困るってんだから、そうむずかしい謎じゃありますまいよ。息子が悪事を働いたんで取っ捕まったら牢屋に送られるか、それとも否応なく隔離されるような病気にかかったかのどちらかじゃありませんか。親父にしてみれば、余計な詮索をするジェームズさんが邪魔でしょうがねえんでしょう。

 -さすがは親分、ホームズ探偵もそう考えましてね、悪事を働いたというのは無理があるから、精神病か伝染性の病気のどちらかだろうと推理します。

 -なるほど、精神病患者を座敷牢に閉じ込めることはありましょうね。しかしジェームズさんに一瞬でも姿を見せたからには、座敷牢の線はありますまい。とすりゃあ伝染病なんだろうが、闇の中を駆けて姿をくらましたんならコロリとは思えねえ。どんな病気かはとんと見当がつきませんね。「白面の兵士」てえくらいだから、顔が真っ白だったてえのが手がかりなんでしょうけど……

 -さよう、たしかにそこが問題なんですけど、顔が白いといわれても素人にはちとわかりにくい。ネタばれになってしまいますが、八五郎さんに謎を解いてもらいましょうか。

 -それがね、ハンセン病だてえんですよ。あっしにはまったくわからねえから藪井竹庵先生に教えてもらったら、医術が進歩していなかった当時は、恐ろしい伝染病だてんで患者は引っ立てられて隔離施設へ送られ、人間扱いされずひどい目に会ったそうです。ところが実際はめったに感染するような病気じゃなくて、今じゃ治療法もみつかっているそうですぜ。

 -ドイルさんはお医者さんだから相当の知識をお持ちだったはずですが、この小説を書いた頃はまだハンセン病についてはよく知られていなかったんですな。

 -先生のおっしゃるとおりで、病気の正体さえわかっていれば患者がひどい扱いを受けることもなかったにちがいねえ。戦場で負傷したゴドフリーさんは、それと知らずにハンセン病患者の収容施設に命からがら迷い込み、そこのベッドに倒れ込んで眠っちまったんですよ。その後顔の皮膚にハンセン病に似た症状が現われたもんだから、家族はてっきりそうだと思いこんだのだが、竹庵先生のお話だと、万一感染したとしても半年や一年足らずのうちに発症するわけはなく、まず三年はかかるはずだてえんです。

 -するってえと、ただの皮膚病だったというわけか。

 -そうなんですよ、親分。幸いホームズ探偵が皮膚病のえらい先生を連れていったからハンセン病の疑いは晴れたんですが、無知てえのは実に怖いもんじゃありませんか。あっしなんぞはまるでものを知らねえから、ちと学問しなくちゃいけねえ。

 -いやあ面目ねえが、おれも八のことはいえねえ。しかしこれで納得したよ。息子を世間から隠して離れに閉じ込めておきながら、母親が平気でいられるはずはねえ。戦友を泊めて一緒に息子の話をしようなんぞという呑気な気持にはとてもなれめえよ。

 -そうでしょう、親分。実はもっとおかしいことがありやしてね、ゴドフリーさんの姿を見かけた翌日、頑固親父はなぜかジェームズさんがもう一晩泊まることを許した上に、息子の潜む小屋がみつかるかもしれねえというのに、敷地内を自由に歩かせてるんですよ。

 -なるほどそいつは妙だな。道理で先生が読んでいてしっくりこねえとおっしゃるわけだ。

 -どうもこの『事件簿』シリーズ、全体に出来がよいとは申せませんな。残りはあと四編、正直いって拙者も少々疲れたでござる。

 そこへフラリと現われたのは……

 -おやみなさんおそろいで。先生、あたしを仲間はずれとはひどいじゃありませんか。

 -はてな。薄氷堂さん、あんたお留守じゃなかったのですか?

 -へへへ、ここのブログ主の腕前じゃ、とてもセリフだけで四人書き分けるのは無理だと思いましてね、今回あたしは遠慮したという次第。

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June 22, 2021

Daily Oregraph: 病は気から捕物帖 前編

 本日の最高気温は17.4度。晴れ。もう少し気温が上がってもいいぞ。

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 小松菜と水菜がどっさり採れたのはいいけれど(試しに抜いた白カブはご愛敬)、畑にはまだまだたくさん残っているので、いったいどう始末していいやら。少しずつ時期をずらして種をまけばいいのに、とチコちゃんに叱られてしまった。

 -いやあ親分、青菜をどっさり頂戴してまことにかたじけない。さて本日のテキストは『白面の兵士(The Blanched Soldier)事件』ですが、八五郎さん、予習はされましたでしょうな?

 -もちろんでさあ、先生。バッチリ読んできましたとも。

 -それはなにより。ではざっとあらすじをご説明してから話を進めましょう。このお話の語り手はホームズ親分ご自身というところが異色ですな。時は1903年1月、ジェームズ・M・ドッド君なる依頼者がホームズの部屋を訪れます。聞けば、ボーア戦争(1899~1902年)中の1901年に入隊して知り合った親友ゴドフリー君の消息が戦後パッタリ途絶えてしまった。ゴドフリー君が戦地で負傷したことを知っていたジェームズ君は戦友の安否を確認しようとします。そこでゴドフリー君の父君に手紙で問い合せたところ、息子は世界一周の船旅に出かけて当分戻ってこないというそっけない返事です。不審に思ったジェームズ君は徹底的に真相を突きとめようとするんですが……ここからは八五郎さんにお願いしましょう。

 -承知しました。ジェームズさんはゴドフリーさんの実家に乗り込もうとして、父親は名代の癇癪持ちで息子とはそりが合わねえことを知っていたから、母親宛に手紙を出します。するとお泊めするからぜひおいでくださいという丁寧な返事が来たんです。でもね、ここがちょっと引っかかるところでさあ。

 -どこが引っかかるんだい、八?

 -だってそうじゃありませんか、親分。父親の手紙はぶっきらぼうで、この件にはかまってくれるなというも同然だから、家に来て欲しくねえことはいうまでもありません。しかし母親が家に泊めてくれるというからには、もちろん主人の了解を取り付けているはずですぜ。そううまく事が運ぶとは思えねえんですよ。

 -なるほど、そりゃそうだな。うまい理由をこしらえて、やんわり断るのがふつうかも知れねえ。

 -しかもですね、もうひとつ奇妙なところがあるんでさあ。ゴドフリー君の実家に着くと、案の定ジェームズさんと父親は言い合いになります。それはいいんだが、夕食の席で母親は息子の軍隊での様子についてあれこれと質問するんですよ。

 -それのどこがおかしいんだ? 母親としてはあたりめえじゃないか。

 -いえね、母親があたりまえの態度だった、というのがまさに奇妙なんです。この事件の事情がわかると、親分もきっとなるほどと納得しますよ。

 -あいや親分、だんだんわかってきますから、まあ八五郎さんの話をお聞きなさい。

 -さて息子は船旅に出たの一点張りでさっぱり得心のいかぬまま、ジェームズさんがあてがわれた寝室であれこれ考えていると、なんといきなり窓の外にゴドフリーさんご本人が姿を現わしたんですが、見ればその顔は真っ白。アッと驚いていると、たちまちゴドフリーさんは闇の中へ姿を消しちまったんです。急いで外へ出てその後を追いかけると、どうやらいくつかある離れの小屋のひとつに身を隠したらしいのですが、なにしろ暗いからどこかはよくわからなかった。翌朝父親を問いつめると、余計な詮索をするなとばかり、ジェームズさんは叩き出されてしまったてえわけです。

 -ふうむ、息子は実は生きていたんだが、よくよくの事情があって旅に出たことにして、世間から隠していたってわけだな。

 -さよう。その事情というのがわかれば、父親はともかくとして、母親が平気な顔をして息子を話題にジェームズ君のお相手したというのが不自然だと納得できましょう。ねえ親分、両親がジェームズ君を家に招き入れたという設定はドイルさんの手抜かりだと思いますよ。ちと無理がありますな。

 -やっぱり先生もそうお思いになるでしょう。それからね、家を追い出されたジェームズさんが鉄道の駅長と村の宿屋の主人に確かめてみると、ゴドフリーさんは家に戻ってから間もなく世界一周の船旅に出たと証言しているんですが、これもおかしい。家族に見送られて駅から船旅に向かうのに立ち会ったんならともかく、駅長がそんな証言をできるはずはねえんですよ。駅長もグルだてえなら話は別ですが、事情からしてそれはありえねえことがやがてわかります。

 -八や先生の話を聞いてると、なんだか途中でつっかえつっかえしながら流れてくる流し素麺みてえな話だなあ。

 -ハハハ、拙者も決してケチをつけるつもりはないし、謎そのものはおもしろいんですがね、読んでいるとあちこち引っかかるから困るんですな。ホームズ・ファンの方々はなにも疑問を持たずにお読みになっているんでしょうかねえ。

 ……ええと、長くなりますから謎解きは次回ということにいたしましょう。どうしてもネタばれを避けることはできませんので、あらかじめご了解ください。

 それにしても探偵小説はうかつに書けぬものです。特に短編は細かいアラが目立つからいけません。天下のコナン・ドイル先生も長屋の連中にかかっては散々でございます。

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June 20, 2021

Daily Oregraph: 裏庭画報 ギョウジャニンニク開花

 本日の最高気温は11.9度。雨のち曇り。なんでこんなに寒いのだろうか。

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 満開間近のギョウジャニンニクの花。

 この花を美しいと思う人は少ないにちがいない。少々不気味なところさえあるけれど、強烈な生命力を感じさせ、忘れがたい奇妙な魅力があることは確かだ。ギョウジャニンニクは精がつくといって好んで食べる人が多いのも納得である。

 印象がちと生々しすぎるから、活花にして茶室に飾るには向きそうにないけれど(といっても、わが家に茶室なんぞはない(笑))、六月の雨に打たれる姿はそれなりに味がある。

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June 17, 2021

Daily Oregraph: Welcome on board!

 本日の最高気温は14.7度。曇りのち晴れ。

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 本日の船上セキュリティ・チェックポイントはちょっとにぎやか。担当者は接客中である。

 さて船は感染があっという間に広がる危険はあるけれど、感染者がいたら必ずあぶり出されるから、全員元気である限りは安心できる環境だろう。むしろ警戒すべきは、陸上からやって来るわれわれ訪船者だと思う。

 だから船によっては原則として訪船者を居住区内には入れないのだが、本船ではぼくみたいな怪しい男を中に入れてくれた。何年かぶりでご馳走になったペプシ・コーラがうまかったよ。

 それにしてもマスクを着用したままの行動はつらい。気温は低めなのに、30分も体を動かして作業するとマスクを交換したくなったほどだ。これからの季節、お上のお達しの如何にかかわらず、無用の外出はしたくないと思うのだがいかが?

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June 16, 2021

Daily Oregraph: 話がヘンだよ捕物帖

 本日の最高気温は14.9度。晴れ。

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 気温は上がらなかったけれど、眠たくなるような穏やかな天気であった。

 -ねえ親分、この小説ですがね、どうも解せねえ。

 -ああ、『三破風館(The Three Gables)事件』だな。どこが解せねえ?

 -つまりですね、犯人が余計なことをしなけりゃ、こんな大事にはならなかったはずなんです。

 -うむ八、そこに気がついたか。おめえにしちゃ上出来だぜ。事を荒立てねえでこっそり目的のものを盗み出していりゃあすむ話だからな。

 -そうですよねえ。話の流れからして、探しもののありかは誰にでもわかります。手下を女中に仕立てて屋敷にもぐりこませているんだから、そいつを盗み出すのは造作もねえこった。目的が金目のものじゃねえんだから、女主人にしたって、そいつを盗まれたことさえ気づかねえでしょうよ。

 -そのとおりさ。第一たかが本一冊を盗もうてえのに、わざわざ大金を出して家中のものを屋敷ごとそっくり買い取ろうなんて途方もない話を持ちかける必要がねえ。あまりにも妙な話だから、女主人が怪しんでホームズ探偵に相談することになるんだ。

 -しかもですよ、ボスにいいつけられた黒人ボクサーがベーカー街までやって来て、事件から手を引けとホームズを脅すなんて、いかにもおかしな話ですぜ。盗人はこっそり仕事をするのが常道、そんな目立つことをすれば足がつくに決まってますよ。

 -もともと事件にならずにすむものをむりやり大事件に仕立てているから、読んでいてどうもストンと腑に落ちねえのさ。犯人は次々と自分に都合の悪いほうに事を進めているんだからな。なあ八よ、ドイルさんには悪いが、こいつは大失敗作だよ。

 -でもね親分、そんなことをいったらホームズ・ファンから苦情が出やしませんかねえ(笑)。

 -おいおい、いくら横槍が入っても目明しと瓦版屋は真実を曲げちゃならねえと、お奉行様もおっしゃってるじゃねえか。

 ……というわけで、あたしも瓦版屋のはしくれでありますから、親分の批評をそのまま掲載する次第でございます。

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June 13, 2021

Daily Oregraph: ハナタネツケバナを見に行く

 本日の最高気温は19.7度。晴れ。

 天気がいいので、ふと思い立って鶴居村の温根内木道へ。駐車場には車が約10台。木道では何組かの人々とすれちがった。

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 昨年ここへ来たのは6月12日だから、ちょうど一年ぶりである。ビジターセンターだが昨年は休館日で、今年はコロナ禍のせいで6月20まで休館と、結局新装開店後のセンター内はまだ拝見していない。

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 いつもどおりセンターの正面向かって右側の道から反時計回りのコースを取る。ここはチェホフが散歩していそうな、実にいい道である。

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 木立を抜けると、一年ぶりの釧路湿原。釧路市内よりも気温はかなり高く、体感では20数度というところであった。

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 シコタンキンポウゲ。これはあちこちでみかける花だから、けっしてめずらしくはない。わが裏庭でももうじき見られると思う。

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 ヒメカイウ。

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 左がサギスゲ、右がワタスゲ。少しでも風があると盛大に揺れるから、写真を撮影するのはむずかしい。今日は風が弱かったのでなんとか撮れた。

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 エゾイソツツジ。近年花のサイズが全体に小ぶりになり、まばらになったように思う。

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 今日のお目当てはこれ、ハナタネツケバナである。昨年は数が多く花ものびやかだったのだが、残念ながら今年は不作で花にも勢いがない。どうしていっぺんに減ってしまったのだろうか。結局情けない写真しか撮れなかった。

 このほかに在原業平が感嘆したという(ウソ、ウソ)カキツバタもたくさん咲いていたのだが、写真ではあの紫がどうしても再現できないので掲載は見合わせた。

 歩いているうちにだんだん気温が上がって、たぶん25度はあったんじゃないかと思う。凍らせておいたペットボトルのお茶を持って来たのは正解だった。

 やっぱりここはいい。わが家から車で約35分走れば別世界が待っているから、以前はたびたび訪れたのだが、ここ数年だんだんドライブがおっくうになってきた。今年はせめてもう一度、ゴキヅルの実でも見に来ようと思う。

 そういえば今日は日曜日、駐車場に戻ると車が6~7台ほど増えていた。人混みを避けて時間を過ごすにはいい場所だから、みなさまもぜひ。

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June 12, 2021

Daily Oregraph: 裏庭画報 夏来たれども

 本日の最高気温は16.4度。曇り。

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 シャクは釧路では夏の花である。これが咲いているからには夏にちがいないのだが、それにしては気温が低い。

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 これも毎年律儀に咲いてくれる。たぶんヤマツツジじゃないかと思うけれど、自信がないからもう一度図鑑に当たってみるつもり。

 さて今日のニュースだが、なになに「G7パンデミック再発防止で合意」とな? そんなら当然オリンピック即時中止宣言を出したのかと思ったら、菅首相は「東京五輪・パラリンピックの開催に向けた決意を表明」だそうだ。もうこの首相閣下に遠慮は無用だろう。知性のひとかけらもない、日本の恥さらしである。

 やはりニュースなんぞを見るんじゃなかった。花を眺めていたほうがよっぽどマシである。

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June 10, 2021

Daily Oregraph: 女は怖い捕物帖

 本日の最高気温は18.5度。晴れ。快適な一日だった。

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 散歩の途中でなつかしいものを見つけた。石炭ストーブを置く台である。このサイズだとルンペンストーブ用だろう。

 -あいや、そこのご浪人、失礼ながら女難の相が出ておりますぞ。

 -え? なんだ、薄氷堂さんですか。ハハハ、お人が悪い。ご商売はいかがですかな。

 -ボチボチといいたいが、まるでいけません。ところで例の『高名な依頼人(The Illustrious Client)事件』はどうでした? どうせヒマですから、そこへお座りになって、お話を聞かせてくださいませんか。

 -さる高貴なお嬢さんが女たらしの男爵に丸めこまれて、親の反対を押し切って婚約したのを、ホームズが苦労して結婚を阻止するという筋書きです。この男爵、細君殺しの前歴もある極悪人なのですが、なにしろ世に知られた男前だし、頭の回転が速くて口が達者ときているから、世間知らずの一途なお嬢さんはころりとだまされてしまったんですな。

 -なるほど、なんとか真理教の信者みたいなもんですね。いくら回りが意見したって耳を貸すどころか、かえって意固地になるという。

 -さよう。男爵が過去に草履のように捨てた生き証人の女を一人連れていき、ホームズ探偵が弁舌をふるって、これまでに何人もの女をたぶらかして破滅させたり殺したりしている事実を説いて聞かせても、お嬢さんはまったく動じない。

 -それじゃあ、まるで手の打ちようがないじゃありませんか。どこのお姫様かは知らないが、そんなバカ娘は放っておけばいいんです。

 -うむ、さすがのホームズも困り果てましたが、実はひとつだけ手があったんですよ。この男爵は過去に交渉をもった女について一々記録を残していましてね、相当きわどいことを書いていたらしいのです。

 -ははあ、その手記を手に入れてお嬢さんに見せようというわけですね。

 -ところが男爵は用心深いから、手記はたやすく手に入らないのです。そこでホームズは一計を案じ、ワトソン先生に高価な中国の皿を持たせて骨董好きの男爵に売り込み、注意をそらして手記を盗み出そうとします。

 -だけどね、ワトソン先生の名前も当然知れているんだから、すぐに身バレしちまいませんかね?

 -うむ、そこですよ。ワトソン先生ご自身、「ぼくはホームズ同様スコットランドヤードでは顔が売れている」てなことをいってますからな、悪人どもの間でも顔が割れていると思います。そこは難点といってよろしいが、この小説では、皿をめぐって交渉しているうちに、ワトソン先生の知識の浅さから正体がばれてしまうことになっています。

 -しかしなんとか間に合って、ホームズは首尾よく手記を盗み出したと……

 -ええ、そうなんですが、最後の場面では例の生き証人の女が意外な行動に出るんですな。たぶん似たような事件が実際にあったのを、ドイルさんは取り入れたかと思われます。

 -へえ、それはどんな?

 -う~む、もう十分ネタばれさせてしまったし、それまでいってしまうとホームズ・ファンから袋叩きにされそうなので、よしておきましょう。ほら、本をお貸ししますから、ご自分でお読みなさい。

 -じゃあお借りしますよ。ちぇっ、今日は商売はもうおしまいだ。早速帰って読まなくちゃ。

 -ハハハ、ではごめん。

 と、手習いのお師匠さんが立ち去りかけたところへ、背中から声がかかりました。

 -あら、先生、これからどちらへ?

 -おお、これは三味線のお師匠さんか。なにね、別に用もないけれど、ブラブラと深川の八幡宮あたりにでも……

 -まあ、それじゃあご一緒させていただきましょう。かまいませんわね。

 そういって返事も待たず、ニッコリ笑って先生の袖にすがりついたから、薄氷堂は苦笑いして、

 -ほうら見なさい。あたしの占いは当たるんだよ。

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June 09, 2021

Daily Oregraph: 裏庭画報 間引き菜?

 本日の最高気温は13.9度。空は晴れ渡っているのに気温は上がらない。

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 小松菜の間引きをした……といっても、間引き菜にしてはちょっと大きすぎるけれど、種をまいてからもう40日も放りっぱなしだから、こんなものだろう。

 どうせ売り物ではないし面倒くさくもあるから、根菜類は別にしても、菜っ葉は間引かないことにしている。かたちの大小を問わず、そのまま食ってしまう。しかしあまりにも「密」で見苦しいから、今朝は気分転換もかねて適当に引っこ抜いたのである。

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 こちらは水菜。だいぶかたちになってきた。水菜は密なほうがリッチな気分になれるから(笑)、もちろん間引きなんぞはしない。

 ごらんのとおり雑草が勢いづいてきた。この連中はまるで地面から続々と湧いて出るように見える。毎日草むしりなんぞをして青春を浪費したくはないし、畑に除草剤は使いたくないからお手上げである。なんとかならないものだろうか。 

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June 07, 2021

Daily Oregraph: Twitter 民よ正気に返れ

 本日の最高気温は20.3度。晴れ。陽気に誘われて、ひさしぶりに太平洋を見てきた。

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 さてさすがは自称カエロ大学首席卒業の秀才、頭の悪い大衆向けに、噛んで含めるように大事なことを教えてくださいます。民度の高い東京都民の子弟教育にふさわしい校長先生ですね。感服いたしました。

 ……なんていってる場合じゃありませんぞ。今朝あちこちの Twitter を拝見したら、ある自称経済学者の方の写真がデカデカと載っているのには閉口いたしました。食欲減退ですよ、勘弁して下さい

 以前から思っていることをここで正直に申し上げます。Twitter をご利用のみなさまの多くは「写真の扱いが実に下手くそ」であります。ある人物を批判するために写真を掲載するのなら、その選択が重要であることは今さら申すまでもありません。

 しかるに選択がまずすぎるから、対象とする人物がニッコリ笑った写真などを掲載し、あたかもその方の宣伝に手を貸しているかのごとき印象を受けるのです。ヒトラーやスターリンのPR写真みたいなものを載せてどうするつもりですか?

 みなさん、どうか正気に返ってください。

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June 04, 2021

Daily Oregraph: 裏庭画報 雨の日のクロユリ

 本日の最高気温は14.9度。曇りのち雨。風強し。

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 今年もクロユリが咲いた。

 -まあ、きれいなクロユリ。ねえ、こんな歌ご存じかしら? 「黒百合は恋の花」っていうのよ。

 -師匠、バカにしなさんな。知ってますとも。「愛する人に捧げれば 二人はいつかは結びつく……」ってんでしょう。織井茂子さんだね。

 -まあ、野暮天の唐変木かと思ったら、薄氷堂さんって案外話せるじゃありませんか。あたしのとこで三味線のお稽古でもお始めになっちゃいかが?

 -ハハハ、ご冗談を。おっと、雨が降ってきたね。濡れるから中へお入んなさい。

 -じゃあ、お言葉に甘えて……おや、手習いの先生がこっちに駆けて来ますよ。あれまあ、朝っぱらから徳利をぶらさげてるじゃありませんか。

 -しめた! これで酒にありつけるね。雨に打たれてうなだれる黒百合を見ながら、粋な年増とご一緒に一杯てえのはオツなものです。

 ……なんてね。そんなうまい話があるわけないじゃないか(笑)。雨風の音混じりにピアノ曲なんぞを聴いていましたとさ。

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June 02, 2021

Daily Oregraph: 五輪特攻隊?

 早いなあ、もう六月だよ。本日の最高気温は15.7度。上天気の割にはさほど気温上がらず。

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 本日の船上セキュリティ・チェックポイント。たまに港の空気を深々と吸うのは気持がいいものだ。

 さてTVを見ていたら、ある大学の先生(ごめんなさい。お名前を失念しました)が十分に対策さえすれば「五輪の開催は可能」だと解説されていた。上から目線と批判されぬよう用心されたらしく、十分に言葉をお選びになっていたところは好感が持てた。

 でもね、先生、そりゃ通りませぬ。

 もちろん可能か不可能かといえば可能に決まっていることは、いわれなくてもわかります。オリンピックの開催自体は、たとえ「対策が不十分でも」可能だと思いますよ。物理法則に反しないかぎり、たいていのことは可能ですからね。たとえば台風の最中に看板が飛んでこようとも、瓦が落ちてこようとも、風の抵抗に耐えうるかぎりは、無理をして外を歩くことは不可能ではなく可能です。

 実際台風が来るたびに、「危ないからおよしなさい」といさめられても「なあに、気をつけるから大丈夫」といって用水路の見回りに行ったり、屋根の様子を確かめに上ったりするご老人がいますよね(そして命を落とすことも!)。しかしまともな人ならそんな日には無理に外出しないものです。嵐が過ぎるまでは用心して家でじっと大人しくしているのが普通です。

 相手は台風同様聞き分けのないウイルスなのですから、「十分な対策」とは慎重に構えて無用な危険を冒さないことではないかと思いますよ。しかもご自分お一人だけが嵐の中に突撃するのならまだしも(ご勝手にどうぞ)、「大学のえらい先生がいうんだから大丈夫」とばかり、大勢の人がうっかり嵐に突っこんで危険にさらされるとしたらどうでしょうか?

 先生のおっしゃるとおり、ひょっとしたら開催しても「大丈夫」かもしれません。しかし「大丈夫ではない」可能性も無視できませんよね。ぼくは大丈夫でないほうに一万円賭けますが(懐が寂しいので一万円でご勘弁下さい)、かりに可能性が五分五分だとしましょうか(どちらが六分でも七分でも同じですけれど……)。

 その場合、結果的にどちらかが間違いになるわけですけれど、ことは大勢の国民の安全に関わる重大事なのですから、同じく間違うのならより安全なほう(「大丈夫ではない」という予想)を選んで間違うのが賢明ではないでしょうか。国民の生命をあずかる政府ならより慎重な予想を選択するのが当然ではないでしょうか?

 もはや「できるかできないか」を考える段階ではなく、「やっていいのか悪いのか」が問題なのです。たとえ先生から単位をいただけなくても(笑)、安全安心など誰も保証できない現状ではオリンピックを開催していいわけがないとぼくは考えます。 

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