Daily Oregraph: 裏庭画報 5月7日
本日の最高気温は14.7度。晴れ。
記事はたいして変りばえしないけれど、植物には明らかな変化が見られる。今の時期は一日も目が離せないのである。
さて本日聴いたのは、グレン・グールド弾くところのバッハ。ゴルトベルク変奏曲と平均律クラヴィーア曲集第1巻、どちらも YouTube で聴くことができる。
グールドというピアニストは、はじめて聴いた人が「あれっ?」と思うほど独特の演奏をし、世間でいう優等生の枠にはとても収まらない人物であるような印象を受ける。
放課後の高校の音楽室でだれかがピアノを弾いている。廊下を通りかかった音楽教師が不審に思ってのぞいてみると、これがグールド君なのであった。完全に自分だけの世界にひたって一心に弾いているから、声をかけるのもはばかられる。とにかく邪魔をしないで放っておくように、という一種のバリアが存在するようでもある。
まことにあっぱれの腕前なのだが、独特すぎてみなのお手本にするのはためらわれるし、第一あの世界に入りこめるほどの生徒はめったにいまい……音楽教師はそう考えて腕組みしながら、この扱いのむずかしい不思議な生徒の弾くピアノの音色に聴き入るのであった。
とまあ、素人が勝手にそんな想像をしたくなるような演奏は実に魅力的であって退屈とは無縁、つい聴きこんでしまう。ぼくは大変気に入っているけれど、案外好き嫌いは分かれるかも知れない。
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