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January 31, 2021

Daily Oregraph: ミニ天山山脈

 本日の最高気温は-0.7度。穏やかな天気であった。

 昨日は朝から夕方にかけて、途中何度か休憩を取りながら雪かきに専念した。予想されたほどの大雪でなかったとはいえ、屋根からの落雪で車は半分埋まってしまった。除雪車によって寄せられた雪は壁というほどではなく、せいぜい垣根程度ではあるが、もちろんこれも崩してしまわねば車の出し入れはできない。

 なによりも困るのは、だんだん雪の捨て場がなくなってくることである。だから雪かきには時間がかかる。捨て場所がないから、すでにある雪の壁にスコップですくった雪の塊を押しつけたりしているうちに、壁はいっそう高く厚くなり、でこぼこの天山山脈が出来上がる。

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 最後の仕上げに山脈の端っこをスコップで削り取ったあとの断崖絶壁がこれである。一種の美しさがないとはいわないけれど、体はガタガタ、お願いだからもう降らんでくれ(笑)。

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January 29, 2021

Daily Oregraph: 鼻眼鏡捕物帖

 本日の最高気温は-1.5度。昼前から雪。

 さて今回取り上げる作品は『金縁の鼻眼鏡(The Golden Pince-Nez)事件』で、解決の鍵のひとつは遺体の近くにあった鼻眼鏡が婦人物であったということである。

 パンスネ(pince-nez)というのはフランス語で「鼻挟み」という意味らしく、つまり耳にかけるツルの代りにクリップで鼻をはさんで止めるメガネのこと。最近ではあまり耳にしないけれど、昔の小説にはしばしば登場する。ぼくは使ったことがないからよくわからないけれど、かけっぱなしにするには不向きじゃないかと思う。

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 -まったくよく降りやがる。なあ八、明日の朝はまた雪かきだぜ。

 -朝まで降るらしいですからねえ。この雪じゃあ、さすがに長屋の暇人二人も押しかけてはきますまい。

 -うむ、今日は『金縁の鼻眼鏡』を肴にするつもりだったのだが、この天気じゃ仕方あるめえ。おめえはもう読んだのだろう?

 -へえ。ホームズさん、例によって問題の鼻眼鏡を細かく調べていなさるところはさすがです。それよりも、むやみに吸った煙草の灰を本棚の前にまき散らして、隠し部屋を突き止めたてえのは面白いと思いましたね。

 -今どき床に煙草の灰をまき散らしたら、顰蹙を買って追い出されるのがオチだろうが、それはいいとして、どこか気になったところはねえか?

 -さあ、親分、そこです。ホームズさんとワトソン先生は、田舎の小さな駅で降りてから馬車に乗り、事件現場の屋敷へ向かっています。そんな場所に顔にも服装にも特徴のあるよそ者の女が行ったとしたら、必ず人目につくはずじゃありませんか。だから目撃者がなかなかみつからなかったてえのは納得できませんね。

 -そこに気がついたのはえらい。もうひとつ、凶器は封蝋ナイフだというんだが、こいつは先が錐みてえに尖ったものだろうから、突けば傷を負わせることはまちがいねえ。しかしな……

 -被害者に取り押さえられてあわてた犯人が机の上にあったナイフを取り上げたまではいいが、女の力で頸動脈をひと刺してえのはむずかしかろうと思いますね。

 -おれもそう思う。最初から殺すつもりがない以上、そうむやみに力を入れたとも思えねえしな。もっともたまたまということだってあるから、絶対にそんなことがねえともかぎらんが。まだおかしいところがあるぜ。

 -あ、例の朝飯ですね。あっしも首をひねったんだが、事件の翌朝に屋敷の主人は飯をたっぷり用意させている。実はかくまった犯人の女にも食事を分けたからなんですが、その頃には女にも事故とはいえ人をあやめてしまったことはわかっていたはずです。それなのに平気でぺろっと飯を平らげるなんてことがありますかねえ。

 -うむ、おれもそこんところはドイルさんの失敗だと思うのだ。よほど肝のすわった悪じゃねえかぎり、いつもどおりに飯を食えるとは思えねえ。主人だって心中穏やかじゃねえんだから、まずふだんの一人前を二人で食ってちょうどいいくらいだろうよ。おっと、八、そんなことより、ちょいと外を見ろ。

 -え? おや、降ってますねえ。ちょっと話をしているうちに、ずいぶん積っちまった。

 二人は溜息をついて顔を見合わせたのでございます。

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January 25, 2021

Daily Oregraph: えんぴつ捕物帖

 本日の最高気温は+1.5度。暖かくはなりましたが、玄関前の雪の壁を切り崩す作業は、一部が凍りついているために、あまりはかどらなかったようでございます。

 さてヒマはあっても金のない連中のすることといえば、無駄話と相場が決まっております。手習いのお師匠さんが雪かき用の木鋤(こすき)を片づけておりますと、

 -これは先生、ご精が出ますな。

 -おや、薄氷堂さん、どうなすったね?

 -お借りした『三人の学生(The Three Students)事件』をお返しにまいりました。お礼といっちゃなんですが……

といって一升徳利を差し出したものですから、先生はすっかり相好を崩して、

 -おお、これはなにより。ひょっとして貯金箱を割りなすったのかな? ご無理なさらんでもよかったのに。

 -なあに、割ったんじゃなくて、ひとりでに棚から落っこちて割れたんです。そういう定めだったのでしょうな。

 主客薄っぺらい座布団を敷いて向き合い、『三人の学生』を肴に昼間っから茶碗酒と洒落こんだことは申し上げるまでもありません。

 -先生、どこの大学の話かは伏せてありますが、どこなんでしょうね?

 -うむ、それはケンブリッジかオクスフォードのどちらかにちがいありません。その証拠のひとつとして、学生の一人は「青を獲得した(got the Blue)」 と書いてありますが、ユニフォームの青が濃ければオクスフォード、淡ければケンブリッジのスポーツ代表選手に選ばれたことをいうのです。

 -へえ、字引にそんなことまで出てるんですか?

 -さよう。だから舞台はふたつの大学のうちのどちらかなのです。さて事件が起きたのは、問題の三人の学生を受け持つ指導教官の部屋ですが、試験用紙をこっそり書き写したのは三人のうち一人だから、そうむずかしい事件ではありませぬが、しかし……

 -つまり三人を一人ずつ呼び出して問いただせば、そう苦労しなくとも犯人は割り出せますな。しかしそれでは問題が公になるも同じだから、内々ですませるわけにはいかなくなるというわけですね。

 -だから真犯人を特定して、彼に試験を辞退させるしかないわけです。たいした事件でないとはいえ、そこにむずかしさがあるし、ホームズ親分の活躍する余地があるんですな。

 -ねえ先生、私はこの小説はなかなかよくできていると思うんですよ。地味な事件ながら、推理のおもしろさはあるし、後味もたいへんいい。

 -ホームズ親分がまず注目したのは、現場に残された鉛筆の削りかすと、あとで運動用スパイクからこぼれ落ちたものとわかる、小さな土くれの固まりですな。

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 -ははあ、それでわざわざ木ペン(鉛筆)をなまくらな肥後守で削ってみたんですね(笑)。削りかすに見える鉛筆の刻印の文字から、残った長さを推理するというのは、一見なんでもないようですが、凡眼の見逃すところでしょう。

 -ドイルさんは鉛筆の話をもう少し引っぱるつもりだったらしく、普通サイズのものじゃないといって、わざわざホームズを文房具屋にまで連れて行ってますね。なにかの記念にもらった特別な鉛筆だったとして、それを手がかりにするつもりだったのかも知れないのだが……

 -途中でだんだん鉛筆なんぞどうでもよくなっちまったから、尻切れトンボになったというわけですね。

 -まあ、そこは作者の失敗だとしても、ホームズが教官の部屋の窓の高さから犯人の背丈を推定したところ、机の上に残った小さな固まりからスパイクシューズを連想したところはえらい。それだけでほぼ犯人が特定できますからな。それに、教官の従僕がある特定の椅子に座ったわけを見抜いたところなどは秀逸といえましょうな。

 -ただね、先生、この小説は気に入っているんだが、机の上にスパイク靴を置いたんなら、もっと汚れていてもおかしくはないし、運動練習帰りの学生が都合よく鉛筆と紙を持っていたというのはちと納得しかねるんですよ。

 -ハハハ、暇人が探偵小説を読むと、細かいところまで気がつくものです。いずれにしてもこの事件を誘発した本当の犯人は、指導教官でしょうな。問題用紙を机の上に置きっ放しにして部屋を空けるとは不注意もはなはだしく、学生ばかりを責められませんぞ。

 -ごもっとも。そりゃあ置いとくほうが悪い。私だって目の前に酒があればとても辛抱できないから、つい手が出ちまいますしね。

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January 22, 2021

Daily Oregraph: お神酒捕物帖

 本日の最高気温は+2.0度。朝から日射しがありましたので、裏長屋の寒さも一休みというところでございます。

 -薄氷堂さん、ご在宅かな。

 -おや、先生、どうぞお上がりください。今日は丁度オツなものがありましてね。

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 -へえ、これはまた……

 -へへへ、売れ残りのお神酒、角の酒屋で投げ売りしてたのを、小生が救ってやったわけでして。

 -なるほど。こう景気が悪くては、なかなか正札でものは買えない。拙者もお上が給付金を一両くださるのをあてにしておったが、勘定奉行があの愚物では話にならん。ろくに学問もないくせに平生からいばり散らし、実にけしからん男ではありませんか。

 -まあまあ、お神酒でもいただいて気分を直すとしましょう。ところで例のナポレオン胸像事件はお読みになりましたかな?

 -うむ、あれはホームズ親分にしては才気に走らず、コツコツと地道な捜査をしたところが値打ちですな。

 -ロンドンのあちこちを歩き回って丹念に調べるところはちょいと地味なようだが、事件そのものの着想はおもしろいし、よくできた話だと思いますよ。

 -しかしレストレイド警部が相変らず間抜けなのは気になりますな。連続して同じかたちの胸像が壊されるからには、きっとなにかわけがあるにちがいない。当然奉行所としては小売り、問屋、製造元の筋を探るはずだし、またそうしなくては手落ちになります。

 -ハハハ、でも私立探偵が利口な分だけ警察が間抜けなのは探偵小説の常道ですからね。えらそうなお上に不満を抱いている者にとってはそのほうが愉快でもありますから、本の売行きにも関係するのでしょう。

 -そうかも知れませんな。ところで薄氷堂さんが犯人だとして、とっさに半乾きの石膏像の中になにかを隠すとしましょう。あとあとのためにどうしますかな?

 -仮定の質問にはお答えできない、てなことを私は申しませんよ(笑)。そうですね、一々割らんでもいいように、底になにか目印をつけておくでしょうね。底なら多少傷がついていたって売り物にはなります。

 -さよう。像をひとつずつ盗み出しては街灯の下で壊さんでも、現場で確認すればすみますからな。盗み出すのは一つだけでいいから目立つこともない。

 -でもね、それじゃ話がつまらなくなるし、ホームズの親分の出番もなくなるわけで……

 -ごもっとも。ところで角の酒屋には、まだお神酒は残っていましょうか?

 -おっと、もう空になりましたか。酒屋にはもう残っちゃいますまいが、どっちにしても、こちとら銭がありません。おや、先生、なにを見ていなさるんで?

 どうやら先生は棚の上にある招き猫の貯金箱に目をつけたらしいのです。

 -あ、先生、そいつを割っても中から真珠は出てこねえ。ナポレオンと猫じゃ勝負になりませんよ。

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January 21, 2021

Daily Oregraph: ツララの涙

 本日の最高気温は+2.5度。午前中はひどく寒かったけれど、午後から晴れて気温が上がったのである。

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 ごらんのとおり、ツララが落涙している。彼(あるいは彼女)にとって、融けるのは非常につらいことなのである。

 なに、涙が見えないとな? 心眼を凝らせばきっと見えますぞ(笑)。

 やっと音楽収集作業が一段落し、ホームズ捕物帖の『六つのナポレオン像(The Six Napoleons)』を読み終えた。この短編については次回。

 このたびはずいぶん多くの曲のさわりを聴いて選び、mp3 ファイルを保存した。食わずぎらいにならぬよう、これまで聴いたことのない曲にもチャレンジし、初めての演奏家の演奏にも耳を澄ました。

 いろいろな発見があった。一例だけ挙げれば、ヴォーン・ウィリアムズは「南極交響曲」しか知らなかったが、ほかの交響曲もすばらしいので、全9曲を保存した。そのほか聴かずに死ぬ可能性のあった多数の作品を保存できたのは収穫であった。

 それにしても知らぬ間に恐ろしく腕の立つ若手の演奏家がたくさん活躍しているのには驚いた。しかし技術的にはびっくりするほどうまいのに、聴いていて実につまらない演奏家も中にはいるという印象を受けた。

 好みもあろうから名前は挙げないけれど、ある女性ピアニストの演奏などは、音が目の前を新幹線のように高速に通過していく。とても人間業とは思われないほどだ。なにか文句でもあるかといわんばかりのスキルのせいか、YouTube の視聴数も圧倒的である。

 しかし、however、ただひたすら音符が通過するだけでは、その音自体を味わうヒマがまったくないし、そもそも音楽として聞こえてこないのはどういうわけだろうか? ぼくはけっして情緒纏綿たる演奏が好みというわけではないけれど、必ずしも正確無比の超絶技巧を至上のものとは考えない。

 新しい波を頑固に拒んではいけないと思って、ベートーヴェンのピアノソナタを何曲か素直に最後まで聴いてみたが、例の時代感覚のちがいのせいか(?)どうしても体が受けつけない。口直しにリヒテルの演奏を聴いてホッとした。まるで格がちがう、というのがぼくの結論。こっちは余命いくばくなんだから、反論は受けつけない(笑)。

 さて以下はご参考までに……

 USBメモリには要注意。以前から気づいてはいたのだが、知らぬ間にデータが壊れる可能性なきにしもあらずである。もちろん頻繁に起こるわけではないけれど、今回も一度だけ再生中にストップしたので、その曲を保存し直す必要があった。データのバックアップは必須である。

 また動作不安定だった古い USBメモリを使ったら、A という曲の途中からまるで無関係な B という曲が混入するという奇怪な現象が起こり、メモリを再フォーマットして保存し直したら復旧したけれど、こういうのは躊躇なく捨てるべきだろう。信頼しすぎてはいけないという教訓かも知れない(安物のせい?)。

 USBメモリによってはデータの読み書き中にランプが点滅するものもあり、それを観察すると、停止してから2~3秒は点滅しつづけている。して見ると、メモリを抜き取るときには、曲が停止した直後ではなく、数秒待ったほうがいいのではないかと思う。

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January 17, 2021

Daily Oregraph: 1960年代の男

 本日の最高気温は-4.0度。風はなかったが、雪は凍てついてスコップを受けつけなかったので、雪の壁サボタージュは断念した。

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 活字に戻るどころか、今日も音楽三昧。せっせと YouTube から曲を拾った。クラシックの目玉は、まずはわが敬愛する上の写真のおじさん、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲全15曲。ぼくは全曲のLPレコードを持っているけれど、イコライザ付きのアンプは復活したもののレコードプレーヤを置く場所がないから、YouTube に頼ったのである。

 ついでグラズノフやカリンニコフなどの、まだ聴いたことのない交響曲をダウンロードし、シューマンやプロコフィエフなどの曲も大幅に追加した。せっかくの人類の宝の多くを知らぬままでは、死んでも死にきれない(笑)からである。

 さてクラシックのほかに、ジャズやポピュラーなどのいわゆる「洋楽」(そういえば、小島正雄さんというすてきなおじさまがいたっけ)を次々と聴きながら漁っているうちに、あたりまえのことながら、ぼくの基礎は60年代にあることにあらためて気づいたのである。

 たとえばジャズにしろポップスにしろ、50年代後半から60年代の曲が最もすんなり体に入ってくる。マイルス・デイヴィスの Bitches Brew は1970年だが、ぼくには難解な現代音楽の一種としか聞こえない(笑)。

 もはや歌謡曲とはいいにくくなった若者向けの和製ポップス(?)などは、Occupied Japan の曲みたいに聞こえてしようがない。戦後間もなくから昭和30年代の歌謡曲のほうが、なじみのある日本語らしく聞こえるのだから、ぼくも完全にジジイになったわけである。歌詞の言葉数が増えるのに反比例して内容が希薄になったように感じるのである。

 日本の歌謡曲だけではなく、横文字の流行歌も割と古いもののほうがしっくりくるからおもしろい。これはある時期に生まれ育った人間が共通して持つ、いわゆる時代感覚というやつなのだろう。理屈をもとにむりやり作り上げた感覚ではないから、いいの悪いのといってもはじまらないし、ジジイが若者に押しつけたってなんの意味もない。

 もちろん古い名曲を若者が聴いても感動するにはちがいないけれど、身についた時代感覚がちがえば、感じ方もちがうはずだ。ショスタコーヴィチの曲にしても、ぼくなどはかろうじて彼と時代は重なるけれど、スターリン時代をじかに経験した人とぼくとでは、受ける印象に微妙なズレがあるにちがいない。

 だから1960年代に出来上がった男としては、十代の諸君が懐メロに接するような心持ちでグラズノフを聴くしかないわけだが、さまざまな時代感覚の持主が聴きつづけることは決して無意味ではないだろうと思う。

 食わずぎらいという言葉もあるしね、煙草をくわえながら苦い顔をして新聞を読んでいるおじさんの弦楽四重奏曲を、そこのお兄さんお姉さんも聴いてみませんか? 意外とお気に召すやも知れませぬ。

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January 14, 2021

Daily Oregraph: 雪の壁の破壊工作

 本日の最高気温は、なんとプラスの3.1度。風は少し強かったけれど、ポカポカと暖かい。

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 そこで除雪車の築いた雪の万里の長城の破壊活動に励んだ。つまりおおいにサボったわけである。

 わが国ではサボタージュを「仕事を怠けること」という意味で使っているが、誤用である。もともとは労働者が工場の機械などを破壊することをいう。レジスタンスが線路を破壊して軍事物資輸送をストップさせたりするのもサボタージュ。

 「除雪」とは名ばかりで、敵は卑劣にも民家の前に邪魔な雪の壁をこしらえるから、断乎としてこれを破壊するのである。愚公移山の故事に倣ってスコップをふるい、50センチ、1メートルと雪の山を切り崩していく。空しい。実に空しい作業である(笑)。

 コロナとの長期戦に備え、ここ数日 YouTube から大量に音楽を仕入れてきたが、相当数たまったので、明日からは再び捕物帖の世界に戻るつもりだ。雪よ、当分は降るな。

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January 11, 2021

Daily Oregraph: さらばCD

 本日の最高気温は-3.0度。上天気であった。

 9日は仕事があったから、10日はほぼ一日中雪かき。今日の午前中は雪かきの最終仕上げ(笑)。どうしてそこまでやるかというと、天気予報によれば、12日の夜からふたたび雪が降るからである。

 自称上級国民が肉体労働をすれば、当然活字なんぞを読む余力などあろうはずがない。せいぜいウィスキーをちびちびやりながら音楽を聴くのがいいところだ。

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 それにしても……USBメモリを差し込んだCDプレーヤを使って36年前のアンプを鳴らす日が来ようとは思わなかった。6年前に購入したTEAC製のこのCDプレーヤにはUSB端子が付いており、これまでめったに利用しなかったけれど、最近 CD駆動部が故障して初めてそのありがたみがわかった。諸行無常、CD の時代も終りを告げようとしているとは!

 パソコンでCDをリッピングしたファイルをUSBメモリにコピーして再生すればいいのだから、考えようによっては一々CDを交換する手間が省けるというものである。うるさ方はどうおっしゃるかわからないけれど、ぼくのロバの耳には音質の劣化はまったく感じられない。YouTube から拾った曲も MP3 に変換すれば、音質に特に不満はない。

 問題は必ずしもファイルの並び順に再生されないことだが、これもフリーソフトで解決できる。ご参考までに、ぼくの場合は、

 UMSSort というフリーソフトでファイルをアルファベット順にソートする(その順番で再生されるようになる)→StrucureT-Maker というやはりフリーソフトでファイルのリストを EXCEL シートとして出力するという方法で処理している。

 下の画像は出力後に若干加工して見やすくしたリスト例の一部(USBメモリは音楽のジャンル別にいくつか用意)。

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 ファイルリストを見ながらプレーヤのリモコンで曲の番号を指定すればOKだから、楽ちんである。USBメモリーを利用できる装置があれば、わざわざネットワークプレーヤを購入する必要はないから、当分はこれで間に合わせるつもり。上級国民はケチなのである。

 これもコロナによる引きこもり生活対策の一つといえないこともないかな?

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January 09, 2021

Daily Oregraph: ここでも雪かき

 本日の最高気温は-3.0度。昨日の雪が嘘のような上天気である。

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 船のハッチカバーも荷役前に雪かきしなければならない。雪の量から見て、これは二度目の雪かきにちがいない。

 ご存じない方には想像できないほどの面積があるから、大変な作業である。フィリピン人船員が雪かきとは気の毒に!

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January 08, 2021

Daily Oregraph: 緊急警報的中

 本日の最高気温は-2.6度。昨日からの釧路市内の積雪は、新聞によれば 24 cm だから、当地としては大雪である。

 おまけにわが家は吹きだまりなので、積雪は通りの向い側の倍以上。早朝から 4時間もかけて車の出し入れが出来るようになり、ホッとしたのも束の間、雪は第一波に引き続いて第二波、ふたたび勢いを増して、結局本日は雪かきを3回もやるはめになった。体はガタガタである。

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 これは本日16時に撮影したものだが、景色は一変し、道路の幅はほぼ半減してしまった。道内では 70 cm も降ったところがあるというけれど、みなさん一体どのように雪かきされているのか想像もつかない。

 もうあきまへん。一杯やって寝ます(笑)。

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January 07, 2021

Daily Oregraph: 緊急雪かき宣言

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 本日の最高気温は-3.1度。朝から雪。

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 本日の船上セキュリティ・チェックポイント。雪が午後まで降りつづいたため、仕事にならなかった。

 いったん止んだ雪は、夜になってふたたび強まり、明朝まで降りつづくらしい。雪かき必至である。やれやれ、気が重い(笑)。

 緊急事態宣言発令だそうな。危機感がないからこその非常識な Go to キャンペーンだったのに、いまさら「大変な危機感をもっている」などといわれても、そりゃ通りませぬ。愛知・大阪の緊急事態宣言については「現時点ではそうした状況にないと思う」とは、ほんまに危機感あるんかいな?

 雪がちらついただけで雪かきの覚悟を決めるという、ぼくの危機感を見ならっていただきたいものである。

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January 06, 2021

Daily Oregraph: 一年ぶりの外食

 本日の最高気温は-3.1度だったが、日射しがあって室内は暖かかった。

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 一年ぶりの外食は豪勢にもカキ天ソバ。必要以上の栄養(笑)を摂ってしまった。やはりお店の中は客がずいぶん減ったように見える。

 アンプを取り替えたら音が革命的に改善されたので、ここ数日は音楽三昧。ボロい部屋には目をつぶって、音だけを聴いているかぎりでは上級国民になった気分である(錯覚、錯覚)。

 ブラームスのチェロ・ソナタ、マーラーの「大地の歌」、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番などクラシックから、マイルス・デイヴィス、歌謡曲いろいろ、箏曲や長唄まで、なんでも聴く。活字を読むよりずっと楽だし、ウィスキーをやりながら聴けばなおよし。

 昨年末に故障したCDプレーヤーにはUSBメモリ入力端子が付属しているので、いまはこれで間に合わせている。どうもCDプレーヤーの駆動装置は故障しやすいような気がするので、次をどうしようか迷って、いろいろ調べて見たら、最近はネットワークプレーヤーとやらいうものがあるとは思いもよらなかった。そういえば YouTube でたいていの曲は手に入るし、時代は変ったものだ。

 そのなんとかプレーヤーを購入して日本経済に貢献したいし、室内で音楽を聴くのは確実にコロナ対策にもなるだろうから、Go to Travel から Listen to Music 政策に転換してほしいものである。まあ、ガースーさんやアスホールさんじゃ無理だろうけど……

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January 04, 2021

Daily Oregraph: 正義の犯罪捕物帖

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 本日の最高気温は-1.2度。西風が冷たい。釧路川には氷が浮んでいた。

 今回の作品は『チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン(Charles Augustus Milverton)』事件である。昔ぼくが読んだ翻訳は『恐喝王ミルヴァートン』と題し、これはまず妥当なところだと思う。『犯人は二人』とする邦訳もあるらしいが、こちらはまずい。内容から見て誤りとはいえないけれど、探偵小説の邦題としては不適切だろう。

 ミルヴァートンは、巧妙に法の網を逃れつつ、恐喝で巨万の富を築いた男である。いつも薄笑いを浮かべて紳士面をしてはいるが、きわめて冷酷非情、他人の不幸を飯の種にして肥え太っている卑劣漢ゆえ、日頃冷静沈着なホームズが「ロンドン一の悪党(the worst man in London)」だとして、口をきわめてののしっている。

 この小説を読んだ八公が「ふ~ん、大勢の人を不幸に陥れた江戸一の悪党、口入屋の平蔵みてえなやつだね」と感想を述べていることからも、どんな男か想像がつくと思う(どの平蔵かは、もうお察しであろう(笑))。

 さてその悪党をこらしめて哀れな依頼者を救うために、なんとホームズとワトソン先生は家宅侵入、窃盗という罪を犯すことになる。正義のための犯罪は正当化されるか、という興味深い問題を提起しているともいえよう。

 あらゆる犯罪の手口を熟知している探偵ホームズは、みごとな泥棒の手腕を発揮するのだが、動機が動機だから、たいていの読者は苦笑しながらも彼の行為を大目に見るだろうと思う。ただしどうしても見逃せない問題がひとつある。再びわれらが八五郎さんのご意見をうかがってみよう。

 -う~ん、あっしが納得できねえのは、邸内の様子を探るためにホームズの親分がミルヴァートンの女中さんに言い寄って婚約までしたことなんです。結局は女をポイと捨てちまうんだから、罪が深いですぜ。

 ぼくも同感である。この一事なかりせば春の心はのどけからまし、この短編の後味はずっといいものになったにちがいない。しかし人によってはまた違った感想もあるもので、手習いのお師匠さん、溜息をつきながら、

 -女嫌いを売り物にしているホームズの親分に、女をくどく才能があろうとは、まことに意外でござった。

と、うらやましそうな顔を見せるところから察するに、お師匠さんもまだまだ学問が足りないようで……

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January 02, 2021

Daily Oregraph: 古いアンプを引っぱり出す

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 本日の最高気温は-3.9度。上天気だが、寒い。散歩をさっさと切り上げて車に逃げ帰った。正月から根性なしである。

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 これまで使ってきた ONKYO のコンポーネントの音質にたいして不満はないのだが、電源を入れると表示される文字が限りなく薄くなって、いよいよ ON なのか OFF なのか不明になった上に、かなり前から入力セレクト・スイッチも接触不良気味である。不便きわまりない。

 長年使ってモトは取ったから、そろそろアンプだけでも新調しようかと考えたけれど、今どきこの手の製品は昔ほど需要がないらしく、手頃な価格では気に入ったものがなかなか見あたらない。よさそうなものは、中古でもとんでもない値段である。

 待てよ、中古? 納戸に眠っているプリメインアンプはどうだろうか……てなわけで引っぱり出したのが、1984年12月に購入したラックスの L-510 である。もう20年近く使用していないから完動するかどうか不安があり、恐る恐る30分ほど通電してみたら幸い異常はなさそうだ。

 汚れに汚れたパネルをピカールで磨くこと約30分(笑)、やっと見られるようになった。なにしろでかいアンプで、重量は 17 kg もある。苦労して場所を確保し、スピーカーを繋いでスイッチを入れると……音が出ない!

 背面を見ると、どうやら磨いているうちにプリとメインのジャンパー・スイッチを入れていたらしい。こいつを OFF にして再び電源を入れると、今度は無事音が出た。めでたし、めでたし。

 肝心の音はどうかというと、最高級品とはとてもいえぬにしても、ほんのちょっぴり高級程度のアンプではあるから、当然普及品コンポーネントのアンプとはレベルがちがう。音の輪郭がハッキリクッキリして、だらしなさが消えた。安物スピーカーの格がいっぺんに2つは上がったから驚きである。クラシックもいけるし、ヴォーカルも実にすばらしい。

 36年物のアンプ、トランジスタのくせに発熱がすごく、いつまで使えるかはわからないが、当分はこれでいこう。今夜も捕物帖はお休みにして、昔の歌謡曲を聴き直しながらウィスキーを一杯やることにする。

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January 01, 2021

Daily Oregraph: 新年のご挨拶

 一夜明ければ元旦を迎え、あら不思議、コロナも消え失せて万民に笑顔が戻った……というわけではなく、めでたさも中くらいといったところは悲しゅうございますが、それでもお互い生きながらえて、無事雑煮を食うことができたのはなによりと存じます。

Fujisantama
 さて正月といえば富士山。くしろOBさんが写真をお送りくださったので、本日の写真として掲載いたします。富士のお山というのは、なぜと聞かれても答えようはありませんが、国破れてもこの山ありというくらい、つむじの巻きぐあいの左右を問わず(笑)、日本人にとってはとにかくおめでたい。その富士山が多摩のあたりからこんなにも大きく見えるとは意外でありました。

 本年もまた三百六十五日、ジジイがウィスキーを何本消費するか、どれだけ駄文を書くか、まったく予想はつきませぬが、それも健康であればこそ可能なこと、どうか皆様もお体を大切に、暗雲漂う2021年をたくましく乗り切ってくださることを心よりお祈り申し上げます。

 本来であればホテル・ニューオオタニあたりで新年を祝う会を開催し、五千円の会費で一万五千円相当の料理をご馳走して、有権者、いや読者の皆様のご機嫌をうかがうべきところ、時節柄最果ての地からご挨拶申し上げる次第でございます。

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