Daily Oregraph: 裏庭画報 エゾノシモツケソウ
エゾノシモツケソウ(バラ科)。まだつぼみだが、ほかにネタもなし、本日はこの花を利用したいと思う。
シモツケソウの北海道版で、学名にも Filipendula yezonensis と「蝦夷」が織り込まれている。Filipendula(フィリペンデュラ) とは、牧野先生の図鑑によると、
f.<l. filum(糸)+pendulus(吊り下がった)。基本種の根が小球を糸でつないだようにみえるから。
と、OED の語源欄よりも詳しい説明があって、至れり尽くせりである。なるほどペンデュラム(pendulum 振り子)の親戚らしい。ついでにいうと、filum(=thread) はフィラメント(filament)の語源である……といっても、最近では白熱電球がめずらしくなったから、「な~るほど」と納得するのは爺さん婆さんである可能性が高い。
OED は filipendula は drop-wort(Filipendula vulgaris: ロクベンシモツケ) なりとしている。これは同じシモツケソウ属だが、花はなんとなく似ていても葉っぱがまるでちがう。エゾノシモツケソウに近いのは meadowsweet(Filipendula ulmaria: セイヨウナツユキソウ。『リーダーズ英和』は「シモツケ;シモツケソウ」とする)である。
先日の ramsons を確かめようと引っぱり出した『野草の写真図鑑(Wild Flowers by Christopher Grey-Wilson の日本語版)』(1996年 日本ヴォーグ社)から図版を拝借してお目にかけよう。
花の色がこちらはクリーム色である以外は、エゾノシモツケソウによく似ている。大変香りのよい花なのだそうな。メドウスィートという名前もいい。
というわけで、本日の夏休み自由研究でありました。
Comments