Daily Oregraph: 阿寒大神のご神徳
本日も上天気。最高気温は19.7度で、すこぶる快適であった。
厄割石というのは記憶にないが、いまさら厄払いの必要もないから、ふ~んといって通り過ぎるだけ。
しかし神社の「御由緒」というのを見かけたので、考えてみたらこの神社のご祭神もよく知らないし、どれどれと読んでみた。はて、「阿寒大神」とはなんぞや?
阿寒は北海道の山だから、神様に昇格したのはごく最近にちがいなく、祀られていたのが確認されているのは、由緒書によれば18世紀末らしい。応仁の乱以前から商売を続けているという、今宮神社のあぶり餅屋のおばちゃんから見ても、阿寒大神さんは明らかに新参者である。兵隊の位でいえば二等兵であろうか。
本州の古い町では万事につけて序列がやかましいから、(神様の葬式というのもおかしいけれど)本家や分家の集まる通夜の席では末席も末席、どうかすると座布団もあたらず、ゆっくり座るどころか、香典の受付係に任命される可能性さえある。
すると、やはり受付に立つ古参兵の貧乏神がいうには、
-あんた、どこから来はった? ええっ、北海道!? ロシアと変らんくらい遠いとこから、ようもまあ……
それを耳にした古手の神さんたちから好奇の目でジロジロ見られるので、阿寒大神さんは恥ずかしくて顔が真っ赤になるのである。せっかく受付も一段落したというのに、目の前のお皿の上のあぶり餅にうっかり手を出したら、ずうずうしい田舎者よといってバカにされはしまいかと、心配でたまらないのだ。
しかし阿寒大神さん、腐ってはいけませぬ。山の格からいえば、あなたは中級以上、堂々とお茶を飲みながら、あぶり餅を召し上がっていればいいのです。
ぼくも日本人のはしくれだから、山を信仰する気持はなんとなくわかる。山の麓に定住して集落を作れば、世界中どこにでも神社を建てて、キリマンジャロ大神だのマッターホルン大神だのを祀るにちがいないと思う。
もちろん18世紀に入隊したとしても、二等兵であったとしても、神様は神様である。ご利益がないはずはない。
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