Daily Oregraph: なにわ冬景色
しばらく沈黙を守っていた、つまり写真を送ってこなかった当社大阪通信員が11月26日に撮影した一枚。彼の写真はもっぱら植物が対象なので、ひょっとしたら彼自身も光合成して生きているんじゃないかと思う。
やっと大阪も冬らしくなったのだそうな。
ぼくもよく知っているが、関西の冬は案外寒いのである。特に室内は冷え冷えとして、春のやるせなさ、夏の腹立たしさ、秋のものさびしさとはとはまるでちがう、一種の絶望感ともいうべきものがある。
……と、ここからは写真とは直接関係のない話になるのだが、昔を思い出して、
一日を終えて部屋に戻り、電気のスイッチを入れても、冷え切った蛍光灯はすぐには明るくならない。凍りつくような弱々しい光に身をひたすときは、独り暮らしの男(あるいは女)が孤独感に打ちのめされるときである。
やっと温まってきた電気コタツにもぐりこんで、亀の子のように身をすくめたが最後、もう動くのがいやになる。Never thinking of tomorrow どころか、現在についてさえ考えたくなくなるのだが、こんなとき不信心者を救ってくれるのは、イエス様でも仏様でもない。
ノックもせずにドアを開けて入ってきたのは、無学無教養だけど気のいい飲兵衛の友人である。
-へえ、君、まだ生きてたのか。おい、うまい酒を持ってきたから湯を沸かせ。熱燗にしよう。
有無をいわせず、酒盛りがはじまる。ふだんはもののわからぬ困った友人なのだが、こういうときには実にありがたい。
文科省はバカだから推薦しないだろうが(笑)、サウイフモノニ ワタシハナリタイと思う。つまりなんだね、たとえ立派でない人間であっても、きっとだれかの役には立つということだ。
Comments
今、我が家にはこたつはないのですが・・・
こたつは良いですねえ。いったん入ると、もうそこからは出られなくなる。床を敷いて布団に入ることさえ、こたつに深々と足を突っ込んだまま寝るほうが魅力的に思えてくる。
そんなとき、手の届くところにアルコールが置いてあり、つまみの少々(するめがあれば最高)でもあれば、いつまでもそこで暮らせるように思えてしまう・・・堕落ですな、これは・・・でも、魅力的な堕落でもあります・・・だから我が細君は、頑強に我が家にはこたつを導入しようとはしません。
Posted by: 三友亭主人 | December 10, 2019 22:17
>三友亭さん
ははあ、奥様はご主人の性質を見抜いていらっしゃるようで……
ぼくがいた部屋は石油ストーブは使用禁止でしたから、電気ヒーターかコタツしか使えませんでした。電力消費量ではコタツが圧倒的に有利ですから、選択の余地はなかったわけです。
敷き布団の上に直接電気コタツを置いて、そのまま寝こんでしまったという経験は……もちろんありますよ。
ただしビンボーだったから、酒やツマミなどはめったにありませんでした。つまり、寝るしかないではありませんか(笑)。
Posted by: 薄氷堂 | December 11, 2019 10:37