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November 30, 2019

Daily Oregraph: 西成モーニング

 当社京都通信員が11月24日に大阪へ出張して撮った写真から数枚。

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 西成の朝はアルコールで始まる……と決まったわけではなく、コーヒー、トーストと茹で玉子のセットも選べるのだが、「生ビール or 酎ハイ or 焼酎 or ハイボール」のモーニングセットというのは、やはりちょっと驚きである。

 朝っぱらから酒かよ、と顔をしかめる方がいらっしゃるかもしれない。だが、ちょっと待った。だれもが9時~5時で働いているわけではないのだし、自由人のジジイだっているのだから、自分を万物の尺度とするなかれ。

 しかし縄暖簾をくぐってモーニングを頼むんなら、ぼくは西成モーニングを選びたい。

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 いかにも大阪。いったいどれほど安いのか、てんで見当もつかない。たぶん客層はニューオオタニや桜を見る会とは縁のない人々であろう。つまりぼくの仲間である。

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 この店構えは渋い。渋すぎて映画のセットのような感じさえする。大映映画「悪名」シリーズで勝新太郎の演じた八尾の朝吉が、今にもふらりと店に入ろうかという……といっても、なんのことやらわからぬ人が多いにちがいないけど、まあいいさ(笑)。

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 上のお店は山王市場通商店街にあるのだそうな。商店街マニアとしては、一度行かずばなるまい。

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November 29, 2019

Daily Oregraph: もう年の暮れ

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 いつの間にか店頭に鏡餅が並ぶ季節になった……といっても、まだ11月だからちと気が早すぎるようだ。この調子で年を取るのではたまったものではない。

 相変らず「破断荷重」だの「耐荷重」だの、不粋きわまりない文章を相手にしている。あまりにも浮世離れしているから、ボーッと生きているような、そうでないような。一応生存証明として、写真を載せておく。

 今日(といっても、もう日が変ってしまったけれど)の日中、日が射しているのに雪がちらついた。ごく短時間で止んだのは幸いだったが、いよいよ冬本番である。

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November 22, 2019

Daily Oregraph: 23年ぶりの羊羹

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 へえ、ちっとも変っていないじゃないか。

 当社京都通信員から送られてきた写真を見てそう思った。だって、最後にこのお店の前を通ったのは1996年3月なんだから、23年以上も昔の話である。知る人ぞ知る名物はかま餅とでっち羊羹。どちらも一度だけ味わったことがある。

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 これがでっち羊羹。刻んだ栗の入った、まことに上品な羊羹である。めずらしいことに、京都通信員が送ってくれたのである。残念ながら、かま餅は日持ちしないから、送るのを断念して、本人がむしゃむしゃ食ってしまったらしい。

 さてこのお店から少し南下すると出町商店街がある。

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 おお、「出町座」とは? 新しく誕生した映画館だという。正確には「木屋町四条上ルにあった立誠シネマが移転・改名したもの」だそうだが、今どき商店街に映画館を作るとは、さすが京都の底力だと思う。同志社も近くにあるし、一定の観客は確保できるのだろう。

 古いお店がそのまま残る一方で、思い切り新しい映画館ができるところに、京都のおもしろさがある。ぜひまた散歩に行きたいものだが、ブラキストン線のはるか彼方だから、遠いよなあ。

【11月24日 追記】

 三友亭さんのために鎌餅(これが正式名)の写真を……

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 純白の柔らかい餅が餡をくるんでいる。いかにもうまそうだが、23年前に一度食べたきりだから、とっくに味は忘れてしまった。

 大黒屋さんは場所がちょっとわかりにくい。ぼくの記憶によれば、(たしか織田信長ゆかりの)阿弥陀寺を目標にするといい。門前の小路を西に入れば、お店はすぐである。

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November 20, 2019

Daily Oregraph: ミセス・ニッポン

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 ふ~ん、こういうマネキンもあるんだなあ。ちょっとでもさわると、関節が外れてしまいそうに見える。ひょっとしたらもともと手は人工皮膚に覆われていたのかも知れないが、彼女の体質(?)に合わないから、いつの間にかはがれてしまったのだろうか? 実に痛々しいものである。

 -あ、さわらないでちょうだい。指がバラバラになりますわ。

 -おっと、失敬。しかしこの国の民主主義みたいに虚弱なお体ではありませんか。ちとカルシウムをお摂りなさい。シシャモを召し上がるとよろしい。

 -まあ、失礼ね。私こう見えても、れっきとしたアベ友ですのよ。えらい方たちとも、たくさんおつきあいがあるんですからね。

 -ははあ、では桜を見る会に参加なさいましたね。

 -もちろんですわ。あなたみたいな下級国民といっしょにしないでちょうだい。シシャモですって? なによ、えらそうに。

 というわけで、下級国民は尻尾を巻いて逃げ帰ったのだが、化けの皮というのはいつかはがれるものだなあと、妙に納得したのであった。

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November 15, 2019

Daily Oregraph: シシャモ

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 天気晴朗にして風強ければ、シシャモがよく干せる。日中さっと干すぐらいだと、身はきわめて柔らかく、ムシャムシャ食うには最適である。味は淡泊かつ上品、頭から尻尾まで全部食えるところもいい。口に入れる前につくづく眺めると、まさに命をいただいているという気持になる。

 しかし昔のように冬の間の保存食とするには、徹底的に干さなくてはいけない。拍子木のようにカチカチ音がするまで乾燥させるのである。ぼくは柔らかいほうが好みだけれど、煮干しの一歩手前ほど固くなったシシャモを、石炭ストーブの上に載せてあぶるのもオツなものであった。

 どこの家の軒先にも大量のシシャモがぶら下がっていた時代は終り、最近ではこの魚も貧乏人の味方ではなくなったから、東京あたりで上物をたらふく食おうと思ったら、悪名高い安倍晋三後援会にでも入会する必要がありそうだが(笑)……そこまで堕落しては、シシャモの命をいただく資格はあるまい。

 さて、車の12ヶ月点検をかねて冬タイヤに交換。これで一安心である。安心ではあるが、雪かきはいやだ。当分降らなくてもいいぞ。

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November 12, 2019

Daily Oregraph: 十勝港絵日記 11月11日~12日

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 11月11日。朝のうちは上天気だったのだが、夕方から雨。荷役が遅れるから雨は困る。しかし相手が天気では、苦情の持ち込み先がない。

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 11月12日。早朝に雨は上がった。最近は天気予報が乱立気味で、雨は06時までとする予報もあれば、12時まで降りつづくという予報もあって、翌日の天気でさえこの調子なのだから、地球の温暖化あるいは寒冷化などという途方もない問題が、たかが人間様に解決できるものかと我思う、ゆえに我あり。

 「おい、コーヒーはどうだい?」と一等航海士が声をかけてくれたけれど、今日はちょいと忙しいから遠慮した。彼は気のいいオヤジさんで、昨日はいろいろ世間話をしたのである。

 夕方無事荷役は終り、夜道をドライブして帰着。ああ、しんど。

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November 10, 2019

Daily Oregraph: 十勝港絵日記 11月8日~10日

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 11月8日。ああ、とうとうこんな時期になってしまった。まだタイヤを交換していないから、雪が降らぬことを切に祈る。

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 11月9日16時28分。太陽が山に隠れたとたんに寒くなる。あたりまえの話だけれど、やっぱり寒いものは寒い。

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 11月10日。いわゆるサンデー・ノーワーク。午前中はホテルの部屋でデスクワークならぬ、座卓ワークをしてまじめに過ごした。

 散歩に出たついでに、昼飯は近くの食堂で麩入りの広尾ラーメンでも食おうと思ったら「本日休業」とは悲しからずや。やむなくスーパーで買ったサンドイッチをビールで流し込んだ。

 さて問題は明日からの天気である。どうなることやら。

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November 06, 2019

Daily Oregraph: 夜風が沁みる

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 本日の船上セキュリティ・チェックポイント。

 上天気だったけれど、朝から風が強く、乗組員諸君もほぼ冬装備であった。吹きさらしの場所に立つんだから、そりゃあ寒いにきまっている。

 日没とともに一気に気温が下がり、風の冷たいのなんの。それなら熱燗だろう……というのは、素人の浅はかさ(笑)。今夜もいつものごとく、スコッチ on the rocks である。この不屈の精神で、迫り来る冬に立ち向かうのである。

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November 03, 2019

Daily Oregraph: 最後のミヤマニガウリ

 分担金だの留置権だの担保だの、およそ自分には縁のない単語を相手にしながら机に向っていると気分がくさくさするから、好天に誘われて散歩に出た。

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 すっかり葉を落とした不格好な街路樹も、影だけを見れば、琳派の屏風絵のようである……はずがないね(笑)。この木にかぎらず、あちこちの街路樹は落葉が進んで、みすぼらしい姿をさらしている。

 おお、そうだ。相生坂下のミヤマニガウリはどうなっただろうか?

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 ……こうなっていたよ。しかし、もうすっかり終りかなあと思ったら、たったひとつだけ花も実もあるやつがいた(探してごらんなさい)。万物枯れゆく中、ひときわ異彩を放っている。こういうジジイにぼくもなりたいものだが、もう無理だろうなあ。

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November 01, 2019

Daily Oregraph: 霜月のリアリズム

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 公園の落葉。

 あっという間に11月である。11月には冬の食料にするために家畜を殺したから、アングロサクソン語では Blotmonath (blood month 血の月) といったらしい。同じ赤でも紅葉ではなく血液とは、さすが肉食文化はちがうものである。

 和名では霜月または霜降月……といえば、ぼくは頭髪に霜の降りた爺さんを連想する。

 旅の坊さんが臨港鉄道の線路跡をてくてく歩いているうちに、

 -急ぎ候ふほどに知人(しりと)の浜に着きて候。

てなことをいう。いつも不思議に思うのだが、だれに聞かせようとして、こんなひとり言をいうのだろうか。

 -あまりに苦しう候ほどに、これなる朽木に腰をかけて休まばやと思ひ候。

 またしても要らざる説明をしながら、坊さんは砂浜に打ち上げられた流木に腰かけて、握り飯を食おうとする。なにしろ歩き通しだから、当然腹が減る。ここで坊さんが握り飯を食うのはリアリズムである。

 そこへいきなり小屋から白髪頭の翁が現れる。やせ衰えた、皺だらけの貧相な爺さんである。生気のない顔はとてもこの世の者とは思われず、とたんにリアリズムが怪しくなる。

 坊さんと翁は、型どおりに問答をするわけだが、たいてい翁は幽霊であったというオチになる。ときにはこの翁、今どきの無学な大臣より千倍も教養のある左大臣の亡霊であったりするから油断できない。人と幽霊はみかけによらないのである。

 しかしぼくは21世紀の味気ないリアリストである。ここで現実に引き戻さなくてはいけない。

 -おい、坊さん、握り飯はのどがつまるべさ。お茶でも入れるかい?

 -おや、お爺さん、これはどうもご親切に。

 -ついでにシシャモ焼くから、ちょっと待ってれや。

 浜風にあてて干したシシャモはうまいものだ。その生臭ものを坊さんがムシャムシャ食うところは、現代リアリズムである。

 -いや、すっかりご馳走になりました。おみかけしたところ、ただのご老人とは思えません。(と、芝居がかって)いかなる人の果やらん、その名を名のり給へや。

 -バカ、なにこいたもんだか。おれはただのジジイさ。はんかくさいこというんでねえ。

 ああ、霜月のリアリズムは、やっぱりつまらない。

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