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July 30, 2019

Daily Oregraph: 赤い花みつけた

 6月22日の「大阪の赤い花」という記事で、銀杏のてっぺんに咲く赤い花をご紹介したけれど、それは銀杏の花ではなく別の蔓性植物の花であることがわかった……そう大阪通信員から連絡があったので、当該記事の末尾に「追記」を加えておいた。

 -いやあ、すっかりだまされちまったよ。実に面目ない。

 まあ、人間だれしもかんちがいはするものだ。ウソで固めた某首相とちがって、正直に誤りを認めるんだからえらい。

 しかも、見よ。

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 -すまん、すまん。これが例の赤い花の正体だったよ。

 疑問を頭の片隅に置いて、いつか解決しようという気持があるのは、ボーッと生きていない証拠である。

 ……と、ここまではほめていいのだが、せっかく串カツの一本もおごってやるつもりだったのに、肝心の花の名を書いていないのは減点だな。

 このラッパ形の赤い花は、ぼくの調べたところではノウゼンカズラ。もしちがったら、遠慮なくご指摘いただきたい。通信員君の精神をみならって、ぼくも素直におわびしたいと思う。

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July 28, 2019

Daily Oregraph: ミヤマニガウリの花

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 朝からひさびさの上天気である。最高気温も29.3度に跳ね上がった。こう天気が良くては、暑かろうがなんだろうが散歩をしないわけにはいけない。

 そうだ、ミヤマニガウリだ!

 相生坂(西側)下のミヤマニガウリについては先にご紹介したが、夏真っ盛り、あいつはどうしているだろうか……と来てみれば、おお、ぐんぐん茎が伸びて、歩道にまではみ出しているではないか。

 しかもいつの間にか株が増えて、写真の範囲外の左右にも葉っぱが見えている。このまま順調に成長すれば、数年の内にはちょっとした群落になる可能性もあると思う。春採湖畔以外に群落が出来るとすれば、釧路植物界の一大事件(笑)である。

 だが、待てよ。これほど増えたのに花が見当たらない。ていねいに見たけれど、みつからないのである。しかし花も咲かずに数が増えるというのは変な話だから、しつこく観察をつづけると……

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とうとうひとつだけみつけることができた。ごく小さな白い花である。果実も成長しつつある。汗をかきながら歩いてきた甲斐があったというものだ。

 花の次は実である。とにかく小さなものだから、散歩用カメラではいけない。マクロ撮影できるカメラが必要だろう。うまく撮れるといいのだが……

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July 27, 2019

Daily Oregraph: 朝は朝霧夕べは……

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 本日の船上セキュリティ・チェックポイント。霧の深いことがなんとなくおわかりいただけるだろうか。

 今月はヒマなはずだったのに、月の後半から立て続けに仕事が入り、読書がさっぱりはかどらない。『悪霊』はやっと248ページ、おもしろくなってきたところなんだけど、ちょっと足踏みしている。

 『フランケンシュタイン』は出張先で本をどこかに置き忘れてしまい、インターネットからテキストをダウンロードしたのだが、さていかがあいなりまするやら。

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 さて「朝は朝霧」とくれば「夕べは夜霧」と対にするのが文学的常識である。少なくとも名曲「サーカスの唄」の歌詞はそうなっている。なに、ご存じないとな? それでは基礎教養に問題があるから(笑)、YouTube で検索してお聴きなさい。

 しかしいくら釧路が霧の町だといっても、毎度夜霧がかかるわけではない。ごらんのとおり、夕方には晴れ間が出たのである。明日は晴れの予報。実にありがたい。

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July 23, 2019

Daily Oregraph: ちょっとだけ北見

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 ひきつづき7月22日。ひさびさの北見駅である。ずいぶん変ったような印象を受けるのだが……

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2000年3月27日に撮影した写真と比較してみると、意外に変化していないようだ。

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 やはり釧路よりはかなり気温が高い。疲れていたこともあって、じっくり見物したわけではないけれど、この商店街はなかなか面白かった。

 アーチになにか書いてあるのだが、ひどく読みづらい。あとで写真を拡大して SUN ROAD GINZA だとわかった。実はこの商店街の存在は知っていたけれど、入口をのぞいてみただけだったから、今回は一通り歩いてみることにした。

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 すると、ビックリ。通りが縦横に走っており、短時間で全部見て回るのはとても無理である。シャッターの閉まっているお店もあちこちにあったけれど、かつての北見の繁栄ぶりがうかがわれる一大商店街といっていいだろう。釧路にもこれほどの規模の商店街はなかったし、昭和の文化遺産としても一見の価値があると思う。

 ごらんのとおり、東北の雁木に似て、雪が降っても平気で歩ける雪国仕様である。

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 おお、なつかしいなあ。こういう文房具屋さんはもはや絶滅危惧種であろう。

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 こちらの美容室は小津安二郎調(笑)。思わぬ拾いものをした気分である。ほかにも昔ながらの時計屋さんや、

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すでに冬の備えも万全な金物屋さんなど見どころが多く、くまなく見て回ることができれば、どんなに愉快だったろうか。時間はたっぷりあったのに、体力気力が足りなかったのは悔やまれる。

 ピアソン記念館という歴史的建造物の看板もみかけたのだが、900メートル先と知って断念。にわか北見びいきとしては、ぜひもう一度行かなくちゃいけないね。

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July 22, 2019

Daily Oregraph: オホーツク・ブルー

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 網走は一年ぶり。釧路はぐずついた天気だったが、小清水町に入ってからは空晴れ渡り、みごとなオホーツク・ブルーであった。

 この上天気に長距離ドライブとは優雅なものだとお思いかもしれないけれど、仕事ですよ、仕事。

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 Port of Abashiri. オホーツク海の向こうに見えるのは知床の山々である。あれは斜里岳だろうか?

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 本日の船上セキュリティチェックポイント。こいつはぼくの病気みたいなもので、必ず撮ることにしている。

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 そして本日のランチ。謎のヌードル(なにを使ったんだろうね?)とフライド・ミート。ごちそうさまでした。

 さてご飯の量にご注目いただきたい。たったこれだけで足りるんだから情けない。かつてのヤセの大食いの面影はすでにない。ああ、これが年を取るということなのだ。

 網走のホテルが満室だったため、北見のホテルでこれを書いている。朝が早くて疲れていたから、ほんの40分ほど町を散歩しただけ。ろくに写真を撮っていないけれど、ネタ不足の折から、明日は北見編でお茶を濁すつもりである。

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July 20, 2019

Daily ORegraph: 雨上がる

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 19日朝、雨。

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 20日朝、小雨。何日もぐずついた天気がつづいて、ほんとうにいやになる。

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 しかし諸君、止まない雨はない。午後になると薄日が射して、めでたく本日の船上セキュリティ・チェックポイントを撮ることができた。

 明日は参院選投票日である。ヴェルサイユ宮殿へ行進……ではなく(笑)、こぞって投票所へ!

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July 15, 2019

Daily Oregraph: ヴァセックの塔

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 『オトランド城』にはガッカリさせられたから、こいつ(『ヴァセック (Vathek)』もどうせたいしたことはあるまいと予想していたら、とんでもない、レベルが段ちがいに上の傑作だったから驚いた。

 作者のウィリアム・ベックフォード(William Beckford, 1760-1844)はたいへん多才な人物で、短期間ながらモーツァルトに直接音楽を教わったこともあるらしい(詳しいことはウィキペディアでもご参照いただきたい)。

 『ヴァセック』は1782年にフランス語で(上の画像は1787年フランス語版)、1786年にサミュエル・ヘンリ(Samuel Henley, 1740-1815)の英訳が出版された。

 あらすじは省略するが、アラビア趣味満点の幻想的な作品である。やはりホラ話にはちがいないけれど、スケールは壮大で、舞台は地上、天上、地獄にまたがり、30メートルの兜が子供だましだとすれば、こちらは少なくとも大人だましといっていいだろう。文章も流麗だし(ぼくごときがいうのもなんだけど、割と苦労なく読めたからそうにちがいない(笑))、話の運び方がうまいから、有無をいわせず読ませてしまうのは作者の力量だと思う。

 もちろんあちこち変なところはあるけれど(笑)、ここはこういう世界なのだから文句をいうのはヤボだと納得させてしまうところが、「超自然的事物の取入れ方」のうまさだろう。素人が考えても、後世に大きく影響を与えたとすれば『ヴァセック』のほうにちがいない。

 さて小説の楽しみ方にはいろいろある。21世紀の読者としては、奇怪な超自然的現象に驚いているだけでは物足りないから、ちょっとだけ算数を応用してみた。

 見栄を張りたがる権力者の常として、主人公ヴァセックはばか高い塔を建てるのだが、階段にして 1,500 段だとある。夢のないリアリストとしては当然計算してみたが、一段の高さ15センチとして、塔の高さは225メートルになる。ぼくが真っ先に連想したのは伏見稲荷だ(笑)。稲荷山は標高233メートルだから、ほぼ同じ高さである

 ヴァセックは身分の高いカリフだが、昔はエレベータなどないから、天文を観測したりするためには、毎日のように歩いて塔のてっぺんまで上らなくてはいけない。ベックフォード氏は幻想怪奇趣味の小説家だけれど、ここでは魔法は登場せず、ヴァセックには自分の足で一歩一歩階段を上らせるのである。なにか恨みでもあったのだろうか。

 いいですか、諸君、1,500段ですぞ! 伏見稲荷のてっぺんを制覇したぼくが断言するけれど、塔の頂上にたどり着いたときはヘトヘトになって、天文観測どころの話ではなく、ヴァセック君、床に座りこんでしまったにちがいない。

 明日からはこのペンギン・ブックに収録されている最後の作品『フランケンシュタイン』に取りかかる。ハリウッド映画のモンスターがちらついて困るけれど、この作品はれっきとしたゴシック・ノベルなのである。

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July 10, 2019

Daily Oregraph: 風景は変る

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 電柱の右側にもう一本あった線路が姿を消して、レールが積み上げられていた。この線路は長年使われていなかったようで、近くの漁師さんがよく昆布を干していた。

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 路線廃止になるまで列車の走っていた線路でも、(たぶんレール撤去の)作業が行われていた。ほんとうはもっと近づいて確認したかったのだが、お仕事のじゃまをするわけにはいかないから遠慮しておいた。

 いつの間にか風景は変る。いま目の前にある景色は未来永劫変化しないようについ錯覚するけれど、いつかは必ず変る。線路が撤去されて何年かたてば、ここを列車が走っていたことさえ、きれいさっぱり忘れ去られるだろう。

 ついでにいうと、投票率がわずか10%上がるだけで政権がぐらつくことはまちがいない。投票したって世の中なにも変らないというのは、万物流転の大原則にも反するまちがいである。座して貧困を招くほど愚かなことはない。廃れはじめた風景を一変させるためにも、お互い参院選には一票を投じようではないか。

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July 08, 2019

Daily Oregraph: ゴシック・ホラ話

 ある日突然空から巨大な兜が降ってきたら、たいていの人はビックリする。「一体どうして?」という疑問はさておき、その兜が下にいた人間を直撃して殺してしまったとしたら、ふつうは恐怖するにちがいない。

 しかしその兜が「これまで人の作ったどの兜より百倍も大きい」といったらどうだろうか?

 「アッハッハ、そんなばかな」と大笑いするに決まっている。仮に兜の長径を約30センチとすると、その百倍は30メートルにもなるから、人を圧死させるどころか、中庭はほとんど兜に占領されてしまい、建物にも相当の被害があったと考えなくてはならない。過ぎたるはなんとやら、「冗談もほどほどにしろよ」と叱られてもしかたがないだろう。

 しかしそんな事件の起こるのがオトラント城(The Castle of Otranto)なのである。この城ではほかにもいろいろの怪異が見られ、もちろん幽霊も出現する。しかし……ちっとも怖くないのだからおかしい(笑)。

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 MDCCLXV(1765)年に出版された『オトラント城』は、舞台を十字軍時代のイタリアに設定した、いわゆるゴシック・ノベルの草分けとされる存在(異論もあるらしいが)である。作者はインテリ貴族のホレス・ウォルポールで、画像に見るとおり、初版はイタリア語からの翻訳と称し、作者の名を伏せている。

 30メートルの兜が降ってくるくらいだから、ストーリーの進行にも無理が目立つ。城主の家来があまりにもバカで話が一向に先へ進まなかったり、一刻を争う場面で「さあ、早くお逃げなさい」といわれているのに、逃げるどころかくどくどと話を始めたり、読んでいてイライラすることが多い。

 だからたぶんいろいろ欠点を指摘されたんだろうと思うが、作者も黙ってはいない。第二版の序文では、ヴォルテールに喧嘩を売りながら(笑)、深刻な場面に滑稽味があったっていいじゃないか、ハムレットだって墓掘り人夫が登場するじゃないか、などと自己弁護に努めている。

 どう好意的に見たって、とても傑作と呼べる小説ではないと思う。ゴシック・ホラーだろうと期待して読んだら、肩すかしを食うことまちがいなしである。しかしゴシック・法螺話だと思って読めば、多少の面白味はあるかも知れない。

 さてどうしてこんな古物を読んだのかというと、これまた昔読みかけて放り出したうちの一冊だというのが主な理由である。しかもこのペーパーバックは40年以上も前に買ったもので、長年本棚にしまいこんでいるうちに、すっかり乾燥してしまい、(ペーパーバックのお粗末な造本をご存じの方ならうなずいてくださると思うが)数十年後に本を開いてみると、

 その刹那、バリバリという大音響とともに書物はまっ二つに裂け、ために大地は揺れ動いたのであった……つまり、本自体がゴシック・ホラーと化してしまったのである。

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 最初に二つに割れるだけなら木工用ボンドで補修すればいいのだが、読んでいるうちにあちこち紙がまとまってバラバラと抜けそうになる。すでに何度木工用ボンドの世話になったことだろうか。

 最近の「すごいですね、ニッポン」番組にはうんざりさせられるけれど、製本技術については日本をほめてやっていいと思う。特に文庫本のレベルは高い。

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 写真は昭和14年9月発行の岩波文庫『草枕』である。なんと80年もたっているのに、しっかりしたもので、紙を引っぱってもビクともしない。最近は英米のペーパーバック並みに背をノリで固めただけの粗製本もあるようだが、妙なところは真似しないで欲しいものだ。

 さて実はこのペンギン・ブックにはあと二篇ゴシック・ノベルが収録されている。少し気は重いけれど、最後までつき合うしかないだろう。

【付記】せっかくなので、齋藤勇先生の『イギリス文学史』から、

 その(School of Terror の)鼻祖と見られるのは、The Castle of Otranto, a Gothic Story (1765) の作者 Horace Walpole (1717-97) である。彼は超自然的事物の取入れ方が幼稚粗笨であるけれども、元来空想に耽ることが好きで理性偏重に飽きたイギリス人の要求に合ったので、爾後半世紀間イギリスにおける彼の影響は大なるものである。

 つまり「幼稚粗笨」ではあったけれども、後世に大きな刺激を与えたということなのだろう。しかし、齋藤先生、どんなお顔をしてこの作品をお読みになったのであろうか(笑)。

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July 04, 2019

Daily Oregraph: 不勉強のいいわけ

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 3日17時41分。体感上は20度くらいなのだが15度とは! さすがは貧乏人の軽井沢である。

 この時間帯に幣舞橋を歩いて渡る以上、目的は決まっている。今年になってからは初めてだと思う。どうでもいいようなネタだが、最近めざましい出来事が起こらないから、どうかご勘弁いただきたい。

 我ながら出不精もいいところだけれど、別に人間嫌いでも極端に非社交的なわけでもない。元来進んで夜の町へ出かけようという気がないものだから、君出てきませんか、という奇特な方が現れるのを待っているのである。いわば消極的引きこもり(笑)。

 最初のお店ではいろいろとご馳走が出てきたけれど、半分ほどしか食べられなかった。丸山某議員とは大ちがいで、アルコールも控え目。だからといって人間が上等なわけではない。ジジイになったのである。いろんなところで老いを思い知らされるものだ。

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 微醺を帯びて(ものもいいようだね)二軒目へ向うところ。酒飲みの方ならよくおわかりのとおり、こうしてごく短時間、夜風に吹かれてふらふら街を歩くのはなかなかオツなものである。

 醜態をさらす一歩手前で無事お開きとなり、さてどうしようかと少し迷ったが、千鳥足にはなっていないのを確かめ、歩いて帰ることにした。

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 23時28分。ふたたび幣舞橋にさしかかると、この時間に三脚をかかえた人がいたのには驚いた。じっくり橋上の裸像を撮ろうというのだろう。彼のためにも、夜霧がかかっていればよかったのに、と思った。

 そんな次第で、先生、昨夜は一ページも本を読んでいないのです。今日も少し疲れが残っていますから、思い切ってサボることに決めました。え、いけませんか?

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