Daily Oregraph: 妖怪と詩人と
いつものコースを散歩した。一応コンパクト・デジカメは首からぶらさげているのだが、最近ではめったに写真を撮ることはない。どこにレンズを向けても定点撮影になってしまいそうな気がするのである。
もちろん狐狸妖怪のたぐいでも出現すれば話は別だ。実際狐ならこのへんにもいる。しかしキタキツネじゃありきたりでつまらない。からかさ小僧、大入道、ぬりかべなんて連中が目の前に現れることはないだろうから、まあいいさ、今日はひたすら歩くことにしようと思っていたら、
正直いって、これにはギョッとした。たかがプラスチックの人形にすぎないのだが、妙に落ち着かない気分がする。紙にマルを書いて点々を打ち、横棒一本引いただけでも人の顔に見えることを考えると、こいつはまさしく人間そのものだ。しかもぱっちり目を開いているから、からかさ小僧の何倍も気味が悪い。
う~む、意外にも妖怪に出会ってしまったらしいな。
知人(しりと)の浜に、めずらしく人影を発見した。妖怪ではない。最初は近くの漁師さんかと思ったが、そうではなかった。
啄木だ。現代の石川啄木にちがいない。啄木はじっと海を見ていた。お顔の判別できぬ距離だからよかろうと、詩人のお姿を勝手に撮影させていただいた。
本日は思わぬ収穫があったというべきだろう。
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