« Daily Oregraph: 花咲けど | Main | Daily Oregraph: 明日は選挙! »

April 04, 2019

Daily Oregraph: フクジュソウ

190404_01

 もうそろそろだろうと思って裏庭へ行ってみると、やはりフクジュソウが咲いていた。しかし日陰では、昨年払ったナナカマドの枝がまだ雪に埋もれている。いつものことだが、春はまっすぐにはやってこないようである。

 さて新元号に忌まわしい「安」の字が入っていなくて安心したけれど、「令和」とはまた微妙な元号だと思う。ぼくが真っ先に連想したのは「律令」だ。あの首相のことだから、「おれの決めたことには異を唱えるな」という意味かしらと思ったのである(だから人間ふだんが大切なんだよ)。

 日本人のぼくがそう思ったくらいだから、NYTの記事に order and peace という解釈があったのも無理はない。官邸ではさっそく不快を表明したらしいが、NYT は別に断定したわけではなく、いろいろな解釈をゆるす言葉だから auspicious harmony(めでたき調和)とも解せると断っている。むきになって否定したら、かえって「あの右傾政権ならやっぱり……」と思われるのがオチだろう。

 ネット社会には少なくない古典の専門家によれば、実は中国の古典由来で、読みようによっては暗君を皮肉っているのだとも解釈できるらしい。そうだとすれば、安倍晋三氏には「自分は年号を決められる大人物(暗君?)だからえらいんだ」と妄想しているふしがあるから、なかなかおもしろい。NYT の記事に「天皇にも皇太子にも(元号)決定について発言権はない」とあるのは、たぶん皮肉のつもりであろう。

 いずれにしても、ぼくはもともと元号の使用については消極的なので、安倍氏が令和がどんな意味を持たせたか、またどう政治的に利用しようとしたかについてはあまり興味はない。ただ「国民が心をひとつにして」という意味の発言をしていたことについては No! といっておきたい。はっきりいって、それはデモクラシーとは正反対の危険な思想である。人間境遇や立場、教育的素地がちがえば、思想もちがって当然なのだから。

 飯がまずくなるから、粋な方面に話題を変えよう。

 ポール・セローの南米旅行記を読んでいたら、クスコのホテルにたまたまあった古い蓄音機で昔なつかしい78回転のレコードをかける場面があった。曲は「上海リル(Shanghai Lil)」である。

 ちょいといい曲である。ぼくの駄訳をつけておくから、まあだまされたと思ってお聴きあれ。(こちらをクリックすればもとの歌詞もあるし演奏も聴ける)。

道あれば道を
丘あれば丘へ
追うはあの娘の
おもかげ 上海リル

夜の上海 またたく星に
よみがえるときめき
浮かぶはあの娘の
おもかげ 上海リル

いとしあの娘は
つれないけれど
瞳にはきらりと
光るもの

忘れたくても
変らぬ思い
ふたたびこの目に
わたしの 上海リル

(たぶんそのまま曲に合わせて歌えるはずだから、カラオケで歌ってみてね(笑))

 上海のリルといえば、昔わが国の歌謡曲にもあったけど、たぶんこれが元歌なんだろう。

|

« Daily Oregraph: 花咲けど | Main | Daily Oregraph: 明日は選挙! »

Comments

私自身は基本的に元号というものを近代社会においては必要のないものとする立場なのですが・・・

けれどもあるものとして考えたとき、今回の選択はそう悪くはない・・・というよりは、よく考えたものではないかなんて思っています。そのあたりはこの次に書くつもりなのですが・・・けれども・・・

>「あの右傾政権ならやっぱり……」と思われるのがオチだろう。

というふうになってしまいますよねえ。人はやっぱり日ごろが大事ですよねえ・・・

Posted by: 三友亭主人 | April 04, 2019 22:09

>三友亭さん

 首相が暗愚の人でなければ、特別悪い印象はないんでしょうけれど、あの方の場合、「ご令閨」が大変ご立派な方でもあるだけに、「令」の値打をかなり下げているんじゃないかと……

 本来の意味がどうあれ、安倍さんの理解はかなりそれとはズレているはずですよ。まことに不幸な国です。

Posted by: 薄氷堂 | April 04, 2019 23:20

フクジュソウは可憐ですね。この最近正直な副大臣が、舞台裏をバラした咎で辞任させられましたが、こんな腐りきった現実から、心を清めるにはきれいな花を眺めるしかないのかも。
 令和、すでに行政の書類に書きました。書き辛いし、冷たい感じです。
 私はこの元号は「命令が下ればお国のために国民は集まれ」という、愚鈍政治家の思いを感じます。万葉種云々はこじつけでしょう。令和の時代に日本を戦争参加させようというあの政治家の意図を感じます。次の国政選挙で必ず退陣に追い込みたいものです。
 そうそう「上海帰りのリル」は「上海リル」のアンサーソングだそうですね。

Posted by: トニー | April 06, 2019 21:01

>トニーさん

 カルロス・ゴーン氏は会社を私物化した容疑に問われていますが、国を私物化した罪はその十倍重いはずです。アメリカだったらただではすまないはずですね。検察はなにをしているのかな?

 さて戦争ですが、孫子の兵法によれば(笑)、日本はもう大戦争はできませんよ。全国の海岸地帯のあちこちに、まるで攻撃してくださいといわんばかりに配置された原発を見ればわかります。

Posted by: 薄氷堂 | April 06, 2019 23:19

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« Daily Oregraph: 花咲けど | Main | Daily Oregraph: 明日は選挙! »