Daily Oregraph: 空想花見
大阪の桜である(4月6日当社大阪通信員撮影)。こちらより約一ヶ月半近く早い。
さて本日の道知事選は、自公推薦候補の勝利に終った。いわゆる中央直結という呪文の効果には、今さらながら驚かされる。世界への恥さらしともいうべき腐敗と直結してどうするつもりだとは思うけれど、それを選んだ人々のほうが多かったという事実は事実として受けとめざるをえない。
それなら花見気分になれないかというと、それはまた別の話である(笑)。ただし木の下で泥酔して醜態をさらすのではなく、人混みから離れて、たとえばタコ焼きをほおばりながらビールを一杯やるほうを選びたい。
隣に粋なおねえさんでもいればうれしいけれど、ないものねだりをしちゃいけない。お相手としては、左翼崩れの渋い爺さんなんてのも悪くはない。いや、頑固一徹の反米右翼爺さんも案外おもしろかろう。どっちにしても、利権とは縁のない年寄りのこととて懐さびしく、料亭でどんちゃん騒ぎとはまいらない。
公園のベンチから場所を変えて……とはいっても、
-おい、君、おれの部屋でつづきをやらんか。
と誘われて、ふらふらついて行くと、狭苦しい路地のはてにあるぼろアパートの二階である。六畳間のすり切れた畳には、ペラペラの座布団が二枚、無造作に投げ出された文庫本や雑誌に埋もれかかっている。すり傷だらけのテーブルの上には、いつ洗ったのかとあやしまれるほど汚れたコップが二つ三つ。
-遠慮するな、焼酎ならいくらでもある。まあ、やれ。
爺さんは慣れているとみえて、4リットルのペットボトルを軽々と持ち上げ、トクトクと音を立ててコップに焼酎をついでくれる。肴は途中のスーパーで買ってきた薩摩揚げ。まだ日の高いうちに飲む焼酎のストレートは効く。
ボーッとした頭で、開け放した窓からちらりと外を見ると、ゴミゴミした家並のところどころに、桜のきれはしが見える。
-ハハハ、これもまた花見にはちがいありませんね。
すると爺さん、澄ました顔をして、
-花なんぞは見えなくてもかまわんじゃないか、君。月花をばさのみ目にて見るものかは、だな。
はてな、どこかで聞いたようなセリフだ。もしや、この爺さん……(笑)
Comments
自民勢の候補が知事になりましたが、単身夕張で頑張った若者?タマが良かったのでしょう。
面白い爺さんと飲む酒、なかなかリアリティーがありますね。私の母方の爺さんもこんな人でした。年寄りを毛嫌いしてはいけませんよね。面白い体験が聞けるかもです。
Posted by: トニー | April 08, 2019 16:50
>トニーさん
投票率、やっぱり低かったです。勝った負けたよりも、そちらのほうが問題だと思います。自分で自分の首を絞め、戦わずして負けるとは、どういうつもりなんでしょうね。
>年寄りを毛嫌いしてはいけませんよね。
そうですとも。ジジイすなわちアベ、アソウじゃないんですから(笑)。
Posted by: 薄氷堂 | April 08, 2019 19:55
>頑固一徹の反米右翼爺さん
一昔前はこんな人に出会うことも多かったのですが、最近はとんとお目にかからなくなりました。志向のふい行ってはあるもののこういう方々と話をするのは楽しかったりもしたのですが・・・最近出会うのは何が何だかわからない極度の左嫌い。私なんかは極めてうまくバランスを取っていると思うのですが、そんな私でも彼らから見れば極左らしいですから・・・
そういえば先日読んだ某右翼団体の旧幹部の話。とある女流の政治評論家(「さくら」なんとかいいました)、1985年に対談したときは、彼女は私よりかなり左にいたんだけど、この間あったら私よりずーっと右に行ってしまってましたといってましたっけ・・・
Posted by: 三友亭主人 | April 08, 2019 22:02
>三友亭さん
「反米」右翼爺さんなら、まんざら話が合わないでもないと思います(笑)。
最近は「親米」右翼が標準らしいですからね、植民地根性の右翼とはこれいかに? それじゃあ、亡くなった兵隊さんが浮かばれませんよ。
> そんな私でも彼らから見れば極左らしいですから・・・
ハハハ、でもね、わが国では左大臣のほうが右大臣よりもえらいはず。「極左」ともなれば、どれだけえらいのかしれません(笑)。
三友亭さんが極左だとすれば、憲法遵守の姿勢を堅持してこられた今上天皇も立派な左という理屈になります。ネトウヨ諸君よ、どうする?
Posted by: 薄氷堂 | April 08, 2019 22:42