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April 29, 2019

Daily Oregraph: キバナノアマナ

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 キバナノアマナ。小さな花だけど、黄色だからよく目立つ。

 雪は跡形もなく消え去ったし、天気は上々。ウラホロイチゲやエゾエンゴサクも元気を取り戻した。しかし朝晩の気温はまだ低いから、野菜の種まきは連休明けになりそうである。

 そこで昨年払ったナナカマドの枝を片づける作業を開始したのだが、量が多いのでたちまちへこたれてしまった。手で折れる細い枝はいいとしても、太い部分はノコギリで適当な長さに切らなくてはいけない。

 結局本日の成果はわずか二束。あと三、四回に分けて働かなくてはいけない。いやいやするんだからボランティアではない。しかも単位がもらえるわけではなし、だれもほめてくれるわけでもなし、達成感ゼロとは情けない。

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April 27, 2019

Daily Oregraph: 裏庭画報 雪中花

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 -やあ、とんでもねえ。この時期に雪ですぜ。

と、八公があきれ顔でいっても、親分は一向にあわてない。五月の八日に降ったことだってあるからな、と澄ましている。

 -それにな、地面を見ねえ。もうあらかた融けちまったよ。京大阪に降る雪みてえなもんだ。

 たしかに道路はもう乾きはじめている。大気はすでに雪の味方ではないのだ。

 そこへ裏庭から八卦見の薄氷堂の声が聞こえてきた。

 -おやおや、せっかく咲いたエゾエンゴサクの花がしょんぼりしているよ。

 -先生、まあお上がんなさい。おい、八、燗の支度だ。

 なんだかんだといっては昼間から酒を飲もうというのだから、のんきな連中である。これもひとえに市民の生活を第一にお考えくださる清廉の大老安倍様の善政のおかげで、人々の懐も温かく、気分もおだやか、まことにありがたき御世なるかな……と思ったら、座敷に上がって煙管を取り出した薄氷堂、意外にも深く溜息をついて、

 -いや、親分、こう景気が悪くちゃ、さっぱりいけねえ。観音様の境内に出かけて商売しようてえ気にもなれませんよ。エゾエンゴサクの花といっしょで、やつがれもすっかりしおれちまった。

 -なあに、先生、明けねえ夜はないっていうじゃありませんか。安倍様だっていつまでも生きてるわけはねえ。そう腐らねえで、まあ一杯おやんなさい。

 すると八公にしてはめずらしく気をきかせて、裏の障子をからりと開け放し、

 -雪見酒の花見酒ってのはどうです。

 一同愉快そうに笑って、酒宴がはじまった……ことにしておこう(笑)。

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April 25, 2019

Daily Oregraph: トイレで学ぶ

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 昨日の船上セキュリティ・チェックポイント。通路が狭いから、ちょっと窮屈である。

 24日の十勝港(広尾町)は、最高気温22.5度とかなり暖かかったが、最低気温は4.1度だから、ずいぶん寒暖の差がある。背景にちらりと見える山にはまだ少し雪が残っていた。

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 妙な写真を撮るものだとお思いになるかも知れないが、便器の上の貼紙がなかなかおもしろい。漢字文化圏にあるというのは実にありがたいことで、ゆえなき排外主義に毒されているネトウヨ諸君には考えを改めてもらわねばならない。あなた、横文字はダメでも最初の一文はわかるでしょう?

 衛生を保持しようというんだから、「みなさんトイレはきれいに使ってね」という意味だとただちに了解できる。ただし二番目の文章にある「座便池」は、どう考えても小便用の便器ではあるまい。ひょっとしたら大便用のトイレと同じ貼紙を使っているのかも知れない(確かめておけばよかった)。まさか Please use the bench. のシャレではないだろう(笑)。

 さて衛生を保持するために、バルブを回して水を流そうとしたら、びくとも動かない。はてなと思ったら、貼紙の最後に鉛筆でこう書いてあった。

  Can't use because damage.

 文法のおかしい、ヘンな英語だなどといってはいけない。英米人にも「故障中」という意味は確実に伝わるはずだ。多少まちがっていても、意味が通用するなら臆せずに使うべきものだなあと、ぼくは感心した。おかしいのは、これだけは英語で書いてあることかな。

 トイレにも学ぶべきことはあるという教訓である(笑)。

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April 23, 2019

Daily Oregraph: 裏庭画報 花の季節はじまる

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 朝からまじめに働いて、種まきの準備を終えた。もう少し気温が上がるのを待って、来週にでもまこうと思う。

 予想どおり花が咲き出した。枯草の間から顔を出したのは、ウラホロイチゲ(白)とエゾエンゴサク(淡い水色)である。画面中央下から右上に伸びた葉はキバナノアマナで、こいつももうじき黄色い花を咲かせるだろう。ニリンソウが咲くのははもう少し後だ。

 釧路の住人にとって、いまが一番うれしい季節である。

 え、どうして花のアップを撮らなかったんだって? そりゃああなた、畑仕事の後で手が震えていたからですよ(笑)。

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April 22, 2019

Daily Oregraph: 大阪八重桜異聞

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 先日催促したら大阪通信員から本日撮り立ての写真が送られてきた。感心、感心。

 う~む、大阪ではヤエザクラだってさ。文句あるか、といわんばかりの咲きっぷりである。夏日がつづき、半袖で過ごしているらしい。

   八重櫻日輪すこしあつきかな  山口誓子

 さてこうも陽気がよくなると頭のおかしい人物が現れるもので、お呼びじゃないのに吉本の舞台に上がり、散々物笑いにされたらしい。もっとも以前スーパーマリオに扮して珍無類の姿をさらし、世界中から嘲笑を浴びた御仁ゆえ、そのくらいふしぎじゃないともいえる。それにしても……日本は恥の文化とはよくぞいった、ハハのんきだね。

 -あの爺さん、花見に浮かれたんだろう。

 -爺さんの回りにいるゴロツキみたいな連中はなんだい? 人が近づくと怒鳴りちらしているぜ。

 -SPだよ、要するに用心棒だ。

 -用心棒を連れて花見とは、どこまでもヤボなジジイだね。

 -さあ、場所を変えて飲み直そう。

 このあと二人がどこへ行ったか、ぼくにはたいてい見当がついている。どうせ懐はさびしいんだろうから、せいぜい新世界で串カツというところだろうが……実はちょいとうらやましくもある(笑)。

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April 20, 2019

Daily Oregraph: 裏庭画報 土の匂い

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 地鎮祭をしてビルを建てようというわけではない。鍬をふるって土を起こすのである。

 猫の額ほどの地面でも、すぐに息切れがする。ふだんあまり体を動かしていないから、百姓仕事にはまるで向いていないのだ。しかし細々と野菜を作って食うためには、やらねばならぬ。

 それにしても雑草にはまったく腹が立つ。特に写真左下に見える赤い根っこ(地下茎?)には毎年泣かされる。「雑草博士入門」という本を調べても、まだ正体はわからないのだが、こいつのしぶとさは尋常ではない。思い切り引っぱっても抜けずに途中で切れてしまうから、いつまでも土中に残り、夏になるとあちこちから顔を出すのである。

 NHK教育放送で「野菜の時間」とかいうのがあるけれど、あれはいけない。なにしろ畑には雑草ひとつ生えていないんだから、専門のスタッフが日頃せっせと手入れしているにちがいない。そこへ撮影のときだけタレントがやってきて、うれしそうに土いじりをするのを見るとシャクにさわるのである。ばかやろう、そんな百姓がいるものか(笑)。

 しかし春になって土の匂いをかぐのは気分のいいものだ。昔は近所のあちこちにあった肥だめの匂いまで思い出すから奇妙である。マドレーヌの味から記憶がよみがえって大長編をものした作家のようにはいかないけれど、肥だめの匂いからいろんなこと……たとえばはな垂れどものチャンバラごっこや女の子のゴム跳び、紙芝居屋のおっさんや納豆売り、それに七輪で焼くサンマの青い煙や、軒先にぶら下げて干したシシャモの映像まで浮んでくる。みんな貧乏だったけれど、いまのようにみっともない世の中ではなかったような気がしてならない。

 まもなくいろんな花がいっせいに咲き出すだろう。それを眺めながら、ジジイは野菜の種をまくのである。

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April 18, 2019

Daily Oregraph: 春の港(としておこう)

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 二週間ぶりにシャッターを切ったのだが……

 -ひでえ写真だね、こりゃあ。

と、わが大阪通信員に叱られてもしかたがない。返す言葉がないのである。

 -すまん。面目ない。しばらく間が開いたから、むりやり撮ったんだよ。

 -なにゆえヘボな写真にこだわるんだ?

 -不思議の国のアリス嬢の「絵のないご本なんて、なんのためにあるのかしら?」という意見に賛同するからだよ。

 それに……こんな写真からでも、なにかしら伝わるものはあるはずだ。

 -そうかなあ?

 -君の目は節穴かね(と、攻勢に転ずる(笑))。遠くがボーッと霞んでいる。光にかすかななまめかしさがある。見ているうちに、なんだか眠たくなってくる。冬には撮れん景色だな。題して「春の港」。

 -あきれてものもいえん。

 だからさ、また写真を撮って送ってくれよ(笑)。

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April 12, 2019

Daily Oregraph: くすのき物語

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 4月11日に当社大阪通信員が撮影した十三公園の楠。最近ぼくは低調ゆえ、写真を送ってくれるのは大いに助かる。しかしいくら写真を提供してくれても、無給であることには変わりない。すべてアベノミクスのせいである(笑)。

 たしかに堂々たる楠である。かたちもいいし、生命力に溢れている。一方の通信員君は枯れかかっている。緑の葉を茂らせる樹木と枯れゆく爺さん(失礼)との間に吹く風は、さわやかにはちがいないけれど、どことなくもの悲しくもある。

 -ねえ、こんなに天気がいいのに、どうして悲しそうな顔をしてるの?

 -う~む。それはね、君も大人になればきっとわかるよ。

 ここで通信員のお爺さんは、かつて新聞でみかけた佛教大学の広告コピーを思い出すのであった。

    人間は、
    いつか
    死ぬ。

 -ほんとだよなあ。それに、この楠だって、いつかは枯れるのだ。

    木は
    いつか
    枯れる

 -だとすれば、

    悪は
    いつか
    滅びる

ということになるな。いや、そうならねば困る。

 -お爺さん、なにブツブツ独り言をいってるのさ。はい、これ。

 そういって少年は、大阪のうるわしい習慣に従って、飴玉をひとつ差し出した。お爺さんは礼をいって、素直にそれを受け取った。賢そうな子だから、いずれあそこに見える北野高校にでも進学するのだろう。

 お爺さんの相手に飽きた少年は、教会のほうへ駆けていった。その後ろ姿を見送りながら飴玉をほおばったお爺さんは、思わず口をすぼめた。酸っぱいレモンの味がしたのである。

 -ああ、おれはこの味をすっかり忘れていた……

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April 07, 2019

Daily Oregraph: 空想花見

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 大阪の桜である(4月6日当社大阪通信員撮影)。こちらより約一ヶ月半近く早い。

 さて本日の道知事選は、自公推薦候補の勝利に終った。いわゆる中央直結という呪文の効果には、今さらながら驚かされる。世界への恥さらしともいうべき腐敗と直結してどうするつもりだとは思うけれど、それを選んだ人々のほうが多かったという事実は事実として受けとめざるをえない。

 それなら花見気分になれないかというと、それはまた別の話である(笑)。ただし木の下で泥酔して醜態をさらすのではなく、人混みから離れて、たとえばタコ焼きをほおばりながらビールを一杯やるほうを選びたい。

 隣に粋なおねえさんでもいればうれしいけれど、ないものねだりをしちゃいけない。お相手としては、左翼崩れの渋い爺さんなんてのも悪くはない。いや、頑固一徹の反米右翼爺さんも案外おもしろかろう。どっちにしても、利権とは縁のない年寄りのこととて懐さびしく、料亭でどんちゃん騒ぎとはまいらない。

 公園のベンチから場所を変えて……とはいっても、

 -おい、君、おれの部屋でつづきをやらんか。

と誘われて、ふらふらついて行くと、狭苦しい路地のはてにあるぼろアパートの二階である。六畳間のすり切れた畳には、ペラペラの座布団が二枚、無造作に投げ出された文庫本や雑誌に埋もれかかっている。すり傷だらけのテーブルの上には、いつ洗ったのかとあやしまれるほど汚れたコップが二つ三つ。

 -遠慮するな、焼酎ならいくらでもある。まあ、やれ。

 爺さんは慣れているとみえて、4リットルのペットボトルを軽々と持ち上げ、トクトクと音を立ててコップに焼酎をついでくれる。肴は途中のスーパーで買ってきた薩摩揚げ。まだ日の高いうちに飲む焼酎のストレートは効く。

 ボーッとした頭で、開け放した窓からちらりと外を見ると、ゴミゴミした家並のところどころに、桜のきれはしが見える。

 -ハハハ、これもまた花見にはちがいありませんね。

 すると爺さん、澄ました顔をして、

 -花なんぞは見えなくてもかまわんじゃないか、君。月花をばさのみ目にて見るものかは、だな。

 はてな、どこかで聞いたようなセリフだ。もしや、この爺さん……(笑)

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April 06, 2019

Daily Oregraph: 明日は選挙!

 明日は道知事選の投票日である。とにかく投票所へ行こうよ。

 いつも申し上げるように、金持の一票も貧乏人の一票も価値は同じ。その一票という武器を活用しない手はないと思う。圧倒的多数であるはずの貧乏人がたった一握りの富裕層に支配されつづけるのは、その武器を使わないでふて寝しているからだ。

 「選挙ではどうせなにも変らないよ」という人は、いわばユデガエル状態にある。変らないどころか、いつの間にか可処分所得はじわじわ低下して、生活が苦しくなっているのに、半分茹で上がってボーッとしているのだ。

 選択肢に最善がないというなら、せめて最悪を避けるのが分別というものだろう。このままではどうなるかというと、

Kichenermix

これじゃあ、お互い困るでしょう? だから投票所へ行こうよ。沖縄につづくのは北海道だ。 

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April 04, 2019

Daily Oregraph: フクジュソウ

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 もうそろそろだろうと思って裏庭へ行ってみると、やはりフクジュソウが咲いていた。しかし日陰では、昨年払ったナナカマドの枝がまだ雪に埋もれている。いつものことだが、春はまっすぐにはやってこないようである。

 さて新元号に忌まわしい「安」の字が入っていなくて安心したけれど、「令和」とはまた微妙な元号だと思う。ぼくが真っ先に連想したのは「律令」だ。あの首相のことだから、「おれの決めたことには異を唱えるな」という意味かしらと思ったのである(だから人間ふだんが大切なんだよ)。

 日本人のぼくがそう思ったくらいだから、NYTの記事に order and peace という解釈があったのも無理はない。官邸ではさっそく不快を表明したらしいが、NYT は別に断定したわけではなく、いろいろな解釈をゆるす言葉だから auspicious harmony(めでたき調和)とも解せると断っている。むきになって否定したら、かえって「あの右傾政権ならやっぱり……」と思われるのがオチだろう。

 ネット社会には少なくない古典の専門家によれば、実は中国の古典由来で、読みようによっては暗君を皮肉っているのだとも解釈できるらしい。そうだとすれば、安倍晋三氏には「自分は年号を決められる大人物(暗君?)だからえらいんだ」と妄想しているふしがあるから、なかなかおもしろい。NYT の記事に「天皇にも皇太子にも(元号)決定について発言権はない」とあるのは、たぶん皮肉のつもりであろう。

 いずれにしても、ぼくはもともと元号の使用については消極的なので、安倍氏が令和がどんな意味を持たせたか、またどう政治的に利用しようとしたかについてはあまり興味はない。ただ「国民が心をひとつにして」という意味の発言をしていたことについては No! といっておきたい。はっきりいって、それはデモクラシーとは正反対の危険な思想である。人間境遇や立場、教育的素地がちがえば、思想もちがって当然なのだから。

 飯がまずくなるから、粋な方面に話題を変えよう。

 ポール・セローの南米旅行記を読んでいたら、クスコのホテルにたまたまあった古い蓄音機で昔なつかしい78回転のレコードをかける場面があった。曲は「上海リル(Shanghai Lil)」である。

 ちょいといい曲である。ぼくの駄訳をつけておくから、まあだまされたと思ってお聴きあれ。(こちらをクリックすればもとの歌詞もあるし演奏も聴ける)。

道あれば道を
丘あれば丘へ
追うはあの娘の
おもかげ 上海リル

夜の上海 またたく星に
よみがえるときめき
浮かぶはあの娘の
おもかげ 上海リル

いとしあの娘は
つれないけれど
瞳にはきらりと
光るもの

忘れたくても
変らぬ思い
ふたたびこの目に
わたしの 上海リル

(たぶんそのまま曲に合わせて歌えるはずだから、カラオケで歌ってみてね(笑))

 上海のリルといえば、昔わが国の歌謡曲にもあったけど、たぶんこれが元歌なんだろう。

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