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November 30, 2018

Daily Oregraph: 北大通で本を買う

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 ちょっとだけ北大通を歩いた。あいかわらず通行人は少ない。
 
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 新しい図書館にはまだ行っていないが、古本屋の店先はいつものぞくことにしている。

 本日の収穫は『洒落本大成』(全29巻 中央公論社)のうち第16巻と第17巻。一冊わずかに300円なのだが、開いてみると全くの新品である。読んだ形跡がまったくないのだ。

 こういう珍本をお買いになった方が釧路にいるとは驚きである。たぶん何冊かお読みになって内容にあきれ果て(笑)、古本屋に叩き売ったのではあるまいか。

 ぼくも昔いくつか読んだことがあるけれど、相当の教養ある作者たちが、たいていはどうでもいいような世にもくだらないことを書いている。才気をちりばめた駄文とはこういうものだろうか。才能と学問の浪費と思えないこともない。

 作者になまじっか学問があるせいか、古典の素養がないぼくなんぞにはチンプンカンプンの作品も多いし、そもそも文章そのものが難物である。18世紀あたりなら横文字のほうがはるかに読みやすいと思う。

 しかしパラパラめくっていると、遊里の女にもてる法なんてのも出てくるから(笑)、案外バカにはできない。もちろん日本文学の先生の論文のネタにもなるのだろう。

 ほんの一例を挙げておこう(便宜的に句読点を施しておいた)。

 川竹の(=流れにかかる枕詞)ながれはたえずしてしかも元の客にあらず。苦界をかせぐうかれ女はかつ誘(ひき)つ又出て口舌(くぜつ)の種をまきちらすより手巧多(てくだ=手管)の芽ばえおひしげり、花は妓館(おきや)の帳にみちて、どつち風がふくともちる事なし云々(でんでん、というのは冗談) -若井時成『粋(すい)学問』より

 いまは他に読まねばならぬ本がいくつもあるから、当分は読みませぬ。

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November 28, 2018

Daily Oregraph: がんばれ、おじさん

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 相生坂から釧路港を見る。

 ここ数日ポカポカ陽気がつづく。少々風は強いけれど、それが苦にならぬほど暖かい。昨日などは部屋の中にいると、日だまりの猫みたいな心持ちがしたくらいである。

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 自転車を押しながら坂を登ってきたおじさんが、すれちがったときに「こんにちは」と声をかけてくださった。けっこう急な坂だから、ちょっと苦しそうだけど、おじさん、がんばれ。

 自転車か…… ぼくも何度か自転車を買おうとしたのだが、そのたびに上り坂のことを考えて、とうとう買わずじまい。上り坂では自転車はかえって足手まといだからである。

 さて四日ほどブログをさぼったら、「おい、君、大丈夫か?」と心配してくれた方がいる。まさにブログを生存証明の道具だと考えているらしい(たしかに独居老人の場合なら、その役目を果たすにはちがいないけど)。

 大丈夫だよ。まだくたばりはしない。こういうときは大体まじめに読書しているから、駄文を書いているヒマなどないのである(笑)。

 おじさんは、がんばっているのである。

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November 23, 2018

Daily Oregraph: 冬到来

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 青空に誘われて散歩に出たはいいけれど、風が冷たいのなんの。もっと厚手のコートを着てくればよかったと後悔した。

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 街路樹はどれも裸になって、ナナカマドもごらんのとおり。それでも赤い実を残しているだけ立派である。

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 相生坂の西側。日陰では道路の表面が凍ったままである。ツルツル滑るから、手すりに頼らなければ転倒は必至、おっかなびっくり坂を登った。

 太陽に向って歩くと、顔はほんのり暖かいのだが、背中は寒い。隙間だらけのだだっ広い部屋で、チョロチョロ燃える囲炉裏の前に坐っているようなものである。

 -お寒うございますね。

 -うむ、いよいよ冬だねえ。歳を取ると寒さがこたえる。

 -おひとついかがですか?

 そういって若い娘さんは熱燗をすすめてくれた……わけがないよ。冬の妄想である(笑)。

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November 21, 2018

Daily Oregraph:裏庭画報 初雪

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 とうとう雪が降った。冷え冷えとした一日であった。散歩など思いもよらない。

 これはあかん。ウィスキー党のぼくも、さすがに熱燗が飲みたくなったけれど、あいにく酒はない。ないとなればいっそう飲みたくなるものだが、じっと我慢。

 明日も曇り時々雨か雪の予報だから寒いにちがいない。酒を買いにいこうかしら(笑)。

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November 18, 2018

Daily Oregraph: ツルウメモドキ

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 ツルウメモドキはいまの時期には貴重な彩りである。

  さてこういう「もどき」ならいいのだが、いいかげんな「歴史書もどき」は困る。

  ヒストリーの語源はストーリーです。これは「私たちの物語」なのです。  百田尚樹

  『日本国紀』なる本の著者百田尚樹氏はこうおっしゃるのだが、これ、すでに指摘されているように、辞書の語源欄を確かめればすぐにわかる、とんでもないまちがいだから信じてはいけない(たまには自分で辞書を引いてね)。万一純真なる若者が鵜呑みにしたら大恥をかくから、老婆心ながら申し上げておく。

 これではまるで読む値打ちのない駄本だと自ら宣伝しているようなものだが、たぶん彼は「これは私のこしらえた物語だけど、ストーリーはヒストリーに通じるんだから、通史を名乗ってもいいのだ」というトンデモ解釈を展開しているのだろう。

 もっとも問題なのは、こんな本でもありがたがる連中がいることだ。「読んでから批判しろ」というもっともらしいことをいう人もいようが、人生金と時間には限りがあるのだから(笑)、どちらもうっかりドブに捨ててはなるまい。

 いまぼくの読んでいる A. J. P. テイラーの『英国史 1914-1945年』は、一般向けの本だけれど、参考文献とその解説だけになんと39頁も割いている。生半可な勉強では読者をうならせる歴史書など書けるわけがないのである。

 いったいどれほどの学問があって百田氏は日本通史を手がけたのか。いい度胸をしているところだけはほめてあげたい。

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November 15, 2018

Daily Oregraph: 厚内神社

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 今朝は時間に余裕があったので、釧路へ戻る途中で厚内神社に立ち寄った。いつもは横目に見て通過してしまうのである。

 由来書きが見あたらぬから、なんという神様を祭っているのかは不明。しかし平和の神様であろうと勝手に判断し、わずかばかりのお賽銭を投じて世界平和を祈ってきた。

 もし平和が実現すれば、厚内神社が世界遺産に登録されることまちがいなし。となれば、当然ノーベル平和賞はぼくのものである。

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 この場所がガイドブックに載るとは考えにくいので、付近の写真を記録しておこう。

 神社のすぐ前にあるのが、厚内川にかかる厚内橋である。橋を渡ってまっすぐ進むと、JRの厚内駅に突きあたる。

 画面右手、つまり広尾方向から来ると、恐ろしい急カーブを曲がって橋に突入することになる。

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 厚内橋上から下流をながめたところ。ここからまもなく川は海に注ぐので、川面にはカモメが浮かんでいる。連中はふだん厚内漁港で魚のおこぼれをねらっているのだろう。

 下流に見えるもう一つの橋は近年になって出来たものである。それまで広尾へ向うには厚内駅前から折れて厚内橋を通ったのだが、現在は駅前を経由しなくとも、まっすぐ新しい橋を渡ればいいから、ずいぶん便利になった。

 それなのにわざわざ旧道を通るには理由がある。行きも帰りも厚内駅前の清潔な公衆トイレをお借りするのが、ぼくの習慣になっているのだ。コンビニのない田舎道をドライブするときは、公衆トイレの場所を把握しておくことが重要。

 つまり厚内はぼくにとって大変ありがたい場所のひとつなのである。

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November 14, 2018

Daily Oregraph: 十勝港絵日記 11月14日

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 サングラスをしたカッコいいお兄さんが何をしているのかと思って近づいてみると、せっせとシャックルにグリースを塗っているのであった。

 なんとなく侍の内職みたいだけれど、地道に生きるというのはこういうことだ。ふだんはコツコツと地味な仕事に励んで、油やペンキまみれになる。しかし週末ともなれば、こざっぱりした服に着替えてサタデイナイトフィーバー(ちょっと古いか……)、女の子に大もて、というのも青年らしくていいと思う。

 ぼくだって作業服にべったりグリースが付着することもあるんだけど、悲しいかな、土曜日になっても、ジジイがもてることはありえない。若さを失ったからしょうがないんだよ。

 青年よ、めげずにコツコツやってくれ。金はなくても若さがあるぞ。そして金に魂を売り渡した新自由主義者どもをぶっとばせ(笑)。

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November 13, 2018

Daily Oregraph: 十勝港絵日記 11月13日

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 空も海も十勝ブルーの上天気。しかし夕方になるとぐっと冷えこんできたので、初めて防寒着を着用した。

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 今日もみんなマジメに働いている。

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 ぼくもけっしてサボっていたわけではないが……艙内でこんなふしぎな光景を目にして、思わずシャッターを切った。

 もちろん外板に穴が開いているわけではないし、心霊写真でもない(笑)。久々の偶然芸術である。

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November 12, 2018

Daily Oregraph: 十勝港絵日記 11月12日

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 厚内海岸の朝焼け。

 この種の写真を撮る趣味はないけれど(第一そのために早起きする根性がない……(笑))、たまたま通りかかったのである。心なき身にも、鮮やかなものだと素直に感じられる景色であった。
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 本日の船上セキュリティチェックポイント。そろそろマンネリだから、裏側からレンズを向けてみた。

 少々疲れたので今日はこれにて。

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November 07, 2018

Daily Oregraph: 落葉の街

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 うすら寒い一日であった。橋の上に立つおねえさんも寒かろう。

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 飲屋街の紅葉見物もちょいとオツなものである。

 しかしぼくみたいな風流人(?)はごく少数派とみえて、通りにはとんと人影が見あたらない。昼間から顔を赤くしたおっさんたちが立飲み屋にたむろしている大阪あたりとはえらいちがいである。

 道路のあちこちには落葉が降り積もり、

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ここでは二人のおばさまがそいつを掃き集めていた。客商売だから店先をきれいにしているのだろうが、まことにご苦労さまである。

 そういえば、わが裏庭ももう一度落葉拾いをしなくては……

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November 04, 2018

Daily Oregraph: 定例散歩 11月4日

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 快晴。海がギラギラまぶしく光っている。太陽の威力恐るべし。

 ポカポカと暖かく、絶好の散歩日和である。

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 知人の浜に打ち寄せられた昆布。いまでは船を出して昆布漁をする光景は見られないけれど、近所の漁師さんたちが拾い集めて、

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使われていない線路上に干している。自家消費用なのだろう。これは大根とちがって、年中見られる景色である。

 ぼくも散歩のついでに昆布拾いをしたいところだが、残念、それは御法度である。漁業権がないからだ。みなさまもご注意あれ。

 気持のいい散歩であったが、さすがに毎度同じコースでは飽きてしまう。そろそろ大都会のゴチャゴチャした路地裏が恋しくなってきたところだ。いまの時期なら関西あたりがいいだろうなあ。

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November 01, 2018

Daily Oregraph: 大根干したり

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 十一月の空と海。まずまずの天気で、さほど寒くはない。

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 春過ぎて夏きたるらし白妙の衣ほしたり天の香具山というのは、やはり名歌だと思う。たいへん詠みぶりが素直だし、さわやかでモダンな感じがする。とても大昔の歌とは思えない。

 さてわが釧路では、いまの時期どこの家でも大根を干す……というのは実は半世紀以上昔の話で、最近ではめったに見かけぬ光景なのである。

 干してシワシワになった大根は、やがて沢庵になるのだが、ぼくはタクアンが大の苦手ときている(笑)。日本人のくせにタクアンぎらいということは、子どものころから少数派の悲哀を味わってきたということだ。

 しかし大根を干しているところを見るのはなつかしくて心惹かれる。冬の接近をやんわりと感じさせるところがいい。

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